表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

715/744

715:ファローモからの依頼、ギルドで承りますわ

「ふう、まったくもって事態(じたい)がつかめませんけれど、ご依頼(いらい)ということでしたら冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドが(あいだ)(はい)っても、よろしくてよ?」

 ガムラン町随一(ちょうずいいち)悪漢(ごろつき)……じゃなくて、ご令嬢兼(れいじょうけん)受付嬢(うけつけじょう)が――

 一枚(いちまい)紙切(かみきれ)れを(ふところ)から、ぺらりと取り出した。


 覇気(はき)の無い青年(せいねん)が、真っ赤になった(かお)(そむ)け――

 王女殿下(おうじょでんか)が、杓子(しゃくし)を振り(まわ)し――

 眼鏡の女(リオレイニア)が、下敷き(いたぺら)鉄筆(ペン)を取り出した。


 ここは〝大森林(だいしんりん)観測村かんそくむら④ファローモのお宿(やど)|((かり))〟(ない)女神像(めがみぞう)間兼(まけん)臨時(りんじ)ギルド出張所(しゅっちょうじょ)

 つまり、女神像(めがみぞう)が有る地下通路部屋(ちかつうろべや)に、椅子(いす)(つくえ)(なら)べただけの場所(ばしょ)だ。


「あっ、ちょっと――!?」

 (かみ)(うし)ろから、ひょいと(かす)め取るのは、名物(めいぶつ)受付嬢(うけつけじょう)オルコトリア。

 ガムラン姫(リカルル)ともども、わざわざ受付嬢の制服(しごとぎ)着替(きが)えている。


『冒険依頼書/冒険者ギルドガムラン町支部

      /受付担当者:リカルル・R・K■』

 冒険依頼書(かみぺら)には受付嬢(リカルル)署名(なまえ)(すで)に書き込まれていて、コントゥル家の紋章印(しるし)まで押してあった。


「では(わたくし)代筆(だいひつ)させていただきますね――お名前(なまえ)をうかがっても?」

 (しず)かな物腰(ものごし)近頃(ちかごろ)は〝ギルドの建物(たてもの)(こわ)(ほう)〟として有名(ゆうめい)だが――

 元々此奴(もともとオルコ)は、仕事(しごと)出来(でき)分別(ふんべつ)もあり、体格(ガタイ)が良くて(つら)まで良い。

 おれやレイダに狩りの仕方(しかた)(おし)えてくれたりと、心根(こころね)(やさ)しいとくれば――

 (まさ)名物(めいぶつ)受付嬢(うけつけじょう)と呼ばれるに、相応(ふさわ)しいだろう。


 ふぉん♪

『>>有り余る怪力と天狗に対する執着と、〝上空からの攻撃に過剰に反応すること〟を除けば、至って優秀なギルド職員です。冒険者としての名声も〝聖剣切りの閃光〟へ所属したこともあり、上々のようですし』

 うん、全部(ぜんぶ)ひっくるめても……オルコは良い(やつ)だ。


 跳ねっ返り(リカルル)お目付役(・・・・)として小言(こごと)を言いつつ、書類仕事(しょるいしごと)なんかを変わってやる(ところ)は、ガムラン(ちょう)何度(なんど)か見かけた。

 けどひょっとしたら、こうして受付仕事(うけつけしごと)を買って出たのには――

 (さき)狙撃(そげき)(たい)しての、謝罪(しゃざい)のつもりも有るのかも知れない。


(@たくし)の名は――ファローモのファローモです」

 名乗(なの)(もり)(ぬし)

「ぎゅぎぎぎぃ?」

 鳴く森の主(その)第二子(だいにし)

「そーだよ、ぎゅぎぎーだよ♪」

 (いもうと)(ひざ)に乗せ、かわいがる様子(ようす)第一子(ファロコ)


「そろそろ、(はな)して欲しいなぁ――シガミーちゃぁん!?」

 だれがシガミーちゃんか。

 (いもうと)さまに袖口(そでぐち)をつかまれ、身動(みうご)出来(でき)ない様子(ようす)のレトラ(じょう)

 また取っ(つか)まったのか……ふぅ。

 こんなのわぁ、どっかで見たことがあるぜ。


 ふぉん♪

『>>タター・ネネルドの手に纏わり付く、天ぷら号の尻尾のようです』

 そう、ソレだぜ。


 仕方(しがた)がねぇから、椅子(いす)を取り出して――ヴッ♪

 ストンと(すわ)らせてやった。


 下手(へた)(ちか)づくと森の主(ファローモ)(むすめ)たちに、おれまで取っ(つか)まりかねねぇから――

 グルッと(まわ)り込んで、(テーブル)から距離(まあい)を取り――リオレイニアの背中(うしろ)(かく)れる。


「ファローモノファローモ……ええと? ファローモって言うのは種族名(しゅぞくめい)よね?」

 「どういう(つづ)りかしら?」と、受付仕事(うけつけしごと)(しょ)っぱなから(つまづ)鬼娘(オルコ)

 (ととの)った(かお)困惑(こんわく)表情(いろ)が浮かび、その目が(およ)ぐ。


「それどこかで、聞いたことありましてよ?」

 (くび)(かたむ)思案(しあん)する悪逆令嬢(ロットリンデ)

「ほらジュークが見た景色(けしき)をっ、ピクトグラムに(えが)いてっ、商会長(しょうかいちょう)たちがっ――」

 (となり)に立つジューク村長(そんちょう)を、(ひじ)小突(こづ)大申女(ばかぢから)


(いた)い、(いた)いっ! そっ、それなら(おぼ)えてるよ。たしかココに入れたまま――」

 村長(ジューク)脇腹(わきばら)を押さえながら、(こし)(しば)り付けた頭陀袋(ずだぶくろ)を、ちょいと開けた。

 魔法具箱(ジュークボックス)(へり)から引き抜かれたのは、ボロボロになった(かみ)

「お寄越(よこ)しなさいなっ!」

 それを(うば)ったロットリンデが、(つくえ)(うえ)(ひろ)げる。


「「「「「「「「「なんだなんだ?」」」」――ららぁん?」」」」」

 興味(きょうみ)のなさそうな森の主(ファローモ)たちと、身動(みうごき)きが取れないレトラ以外(いがい)

 全員(ぜんいん)で、二枚並(にまいなら)べた(かみ)ぺらの、ボロボロの(ほう)(のぞ)き込んだ。


『私はファローモ成体です。

 私の子供がフカフ村に療養しに行きます。

 私の子供に何かあったらフカフ村まで、

 また迎えに行くことになるでしょう……私が

 かしこ』

 その文面(ぶんめん)鬼の娘(オルコ)が、ざっと読み上げた。


(なん)だぜ、そいつぁ?」「手紙(てがみ)のようですが?」

 (くび)(かし)げる、おれたち。


「こりゃ、あの(とき)の――」

 そんな女将(おかみ)さんの(こえ)が、すぐ(となり)から聞こえた。

「知ってるのか?」

 おれはリオレイニアの(しり)を押し、テーブルに(あゆ)み寄る。


(くわ)しくはわからないけど、たしか森の主(ファローモ)の、ご神託(・・・)さね」

 ご神託(しんたく)……そういやウチの女神様(いおのはら)何処(どこ)だ?

 ふぉん♪

『>>茅野姫と一緒に、厨房へ行くと言っていました』

 まだ食い足りんのか、彼奴(あいつ)わぁ。


「ふふん小猿(こざる)、聞いて(おどろ)きなさいな。ジュークは(なん)と、神獣(しんじゅう)森の主(ファローモ)言葉(ことば)(ひと)言葉(ことば)にして書き写せますのよ(・・・・・・・・)……そうでしたわよね?」

 (むね)()らせ威張(いば)悪逆令嬢(ロットリンデ)が、村長(そんちょう)を振り(かえ)る。

 神獣(しんじゅう)と呼ばれるくらいなら、ご神託(・・・)くらい寄越(よこ)すこともあるだろうが――


ファローモ(・・・・・)言葉(ことば)と言われてもな。普通(ふつう)(はなし)出来(でき)てるじゃぁねぇかよ?」

 大人(おとな)しく椅子(いす)(すわ)る、森の主(ファローモ)群れ(・・)を見た。

「はイ。現状(げんジょう)にオいて73パーセントノ正確性(せいかクせい)ヲ持ッて、音声(おンせい)にヨる意思疎通(いしソつう)(ハか)レていま()

 だろぉ、迅雷(ジンライ)もこう言ってるぞ?


()い、(むすめ)(つう)じて(ひと)言葉(ことば)(おぼ)えました。いまではこうして(じか)に、(はな)せていますね」

 『(もよう)』が(はい)った着流(きながし)しの珍妙(ちんみょう)(おんな)が、まるで――

 (ひと)ごとのような(くち)ぶりで、そう説明(せつめい)した。


 娘を通じて(・・・・・)ってのは、(おそ)らくあの――

 おれが(まぶた)(うら)で〝ファロコと出くわした〟ときの(こと)を、言ってるんだろう。

 丁度(ちょうど)、おれたちで言うところの、画面(モニタ)(なか)梅干(うめぼ)(だい)

 ふぉん♪

『>>はい。私のファイリングシステムや、女神像ネットワークを介した一行表示に似た長距離間通信を、〝森域〟や〝樹界〟というファクターを持つファローモたちは有していると思われ』

 うむ、そういう……ことだな……完全(かんぜん)にはわからん。


「ティーナさん……商会長(しょうかいちょう)が言うには、〝詠唱魔法(まほう)方陣結界(ピクトグラム)翻訳(ほんやく)する能力(のうりょく)〟らしいよ。使(つか)(みち)(ほとん)どないけどさ」

 村長(ジューク)がボロボロの(かみ)を、大事(だいじ)そうに仕舞(しま)い込んだ。


「呼・ん・だーぁ?」

 ボバボーンとした(からだ)つき。

 とても、ひ孫(・・)が居そうな(とし)には見えない、女将(おかみ)さんの母親(ははおや)

 大森林(このば)において、実質最高(じっしつさいこう)権力者(けんりょくしゃ)らしい――

 コッヘル商会(しょうかい)商会長(しょうかいちょう)さまが、のほへーんと姿(すがた)(あらわ)した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ