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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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713/744

713:ファローモからの依頼、毛色と毛並みと板ぺら

 おれを見下(みお)ろすのは、星神(ほしがみ)茅野姫(カヤノヒメ)

 その目がチカチカと、(ひかり)を帯びて――へちり♪

 (いきお)いがまるでない手刀(てがたな)が、(ひたい)に振り下ろされた。


 ぶちぶちり――(あたま)から抜け落ちた(もの)が、ごろごろろろっ♪

 (あた)りを(ころ)がる気配(けはい)


「いやぁー(また)立派(りっぱ)果物(くだもの)が、取れたねぇ♪」

 いつの間に(もど)って来たのか、女将(おかみ)さんの(こえ)がした。

 見れば(おお)きな果物(くだもの)を、(かか)えてやがる。

 こんなことがぁ、(まえ)にもあったぞ?


()(むすめ)よ、あなたも(いただ)きなさい」

 手近(てぢか)(もも)みたいなのを、つかみ取る男の声の女(もりのぬし)

(むすめ)?」

 森の主(おまえ)さまの(むすめ)といやぁ――


()にゅるりぃぃぃぃ?」

 (ほほ)(ふく)らませた(わか)(おんな)が、(かたわ)らに立っていた。

「うわっ!? どっから出やがった!?」

 ファロコだ。また片目(かため)が『Θ(けもののめ)』をしている。


顧問(こもん)っ! 居ましたわ!」

本当(ほんとう)かニャ――!?」

「レトラベラ(くん)に、もしもーのことがあったら――!?」

 騒々(そうぞう)しい(こえ)を張り上げ、顧問技師(こもんぎし)顧問秘書(そのひしょ)――

 それと1(ねん)組担任(ぐみたんにん)ヤーベルトが、客間(きゃくま)へ飛び込んで来た!


 秘書(ひしょ)の手には――――カラカラッ、グルグルグルグルルルッ♪

 格子(こうし)出来(でき)(まる)(たま)に、取っ手が付いた魔法具(まほうぐ)

 その(なか)に浮かぶ(ひかり)()が、こっちを向いてやがる。


 ふぉん♪

『シガミー>>おい、秘書さんが持ってる魔法具は何だぜ?』

 ふぉん♪

『>>恐らく、〝森域〟や〝樹界〟といった〝大森林〟や〝森の主〟にまつわるファクターを検出し、追跡するための魔法具であると思われ』

 動体検知(モーショントラッカー)みたいなもんか。


「ぎゅにーっ? レーラの(ぶん)とフィーコの(ぶん)と……あと、ミャドーとマーチとセンセーの(ぶん)――」

 果物(もも)(ひろ)う手。全部(せんぶ)で6個欲(こほ)しいようだが……片手(かたて)じゃ無理(むり)だろ。

「ぅぴゃぁぁ――ここわぁ、どこぉー!?」

 ふさがったファロコの、もう片方(かたほう)の手には――眼鏡(めがね)を掛けた子供(こども)(かか)えられている。


()にゅりぃ――?」

 そして眼鏡の子供(レトラベラ)(くび)には、矢鱈(やたら)毛の多い赤子(・・・・・・)が張り付いていた。

 その(ちい)さな手が、此方(こちら)へ伸ばされた。

 おれはおれから生ったらしい果物(くだもの)……多分(たぶん)(もも)の小ぶりなのを――

 (ひと)つつかんで、持たせてやった。


 すると、木の葉のような(ちい)さな手が――

 果物(もも)とおれの手から、(はな)れなくなった。


   §


()ょっと目を(はな)した(すき)に、(なん)面妖(めんよう)な――しゃくしゃく、もぐもぐ!?」

 自分(じぶん)(むすめ)が知らぬ間に、〝(ばい)に増えた〟のだから――

 (もり)(ぬし)ファローモ、その成体(おや)(おどろ)くのも無理(むり)はあるまい。

 (ひたい)から小枝(こえだ)を生やし、『(もよう)』の(はい)った着流(きなが)しを着ている。


「ギャニギャッ!? 本当(ほんとう)面妖(めんよう)ニャ! 幼体(ようたい)ならいざ知らず、大森林(だいしんりん)気象(きしょう)をも(つかさど)ると言われる、成体(せいたい)ファローモが(ひと)姿(すがた)に化けるとは――!?」

 猫耳族(ねこみみぞく)であるミャッドが遠巻(とおま)きに、森の主(ファローモ)観察(かんさつ)(はじ)めた。

 (かれ)職業(しごと)は、〝魔導騎士団(まどうきしだん)術開発部(じゅつかいはつぶ)顧問技師(こもんぎし)〟だ。

 (かお)手先(てさき)に見える毛色(けいろ)は、(あか)るい緑色(みどり)

 (かた)から橙色(だいだいいろ)(ぬの)を、垂らしている。

 橙色(だいだいいろ)(ぬの)は、魔導工学技士(まどうこうがくぎし)で有ることの(あかし)


 ふぉん♪

『人物DB/ミャニラステッド・グリゴリー

      ラスクトール自治領王立魔導騎士団魔術研究所ギ術開発部顧問技師』


 顧問氏(ミャッド)が――キュルッキュラ、ガッチャガチャンッ♪

 大人(おとな)(にん)を乗せた〝地を(はし)る乗り(もの)〟の、鎌首をもたげた(・・・・・・・)

 あの(ひら)たい(はこ)は、(かれ)使(つか)魔法杖だ(・・・・)


 ルコル少年(ちょうねん)の〝走る椅子(ギルドいす)〟や、お猫さま(ロォグ)手甲(ガントレット)

 工房長(ノヴァド)金槌(ハンマー)に、王女殿下(ラプトルさま)杓子(しゃくし)

 工具(こうぐ)乗り物(・・・)になる、変わり(だね)魔法杖(まほうつえ)は――

 その(すべ)てを魔法具(まほうぐ)妖精(ようせい)、ケットーシィが(つく)っている。


「こ、顧問(こもん)!? お、落ち着いて(くだ)さい――!」

 ふぉん♪

『人物DB>マルチヴィル・エリミネフ

      ラスクトール自治領ギ術部顧問秘書官』


 踏み(だい)のように(たか)くなった、ミャッドの魔法杖(まほうつえ)が――

 ガシャガシャ、チャキャチャキャチャキャチャッ!

 (ひと)(とお)り抜けられるほどの、(おお)きな輪を形作(かたちづく)った。


 顧問秘書(マルチヴィル)(あわ)を食うってこたぁ、あの踏み(だい)(さき)に付いた輪っかは――

 並みの物ではない(・・・・・・・・)のだろう。

 十中八九(じゅっちゅうはっく)(ろく)でもないことを、しでかしてくれそうだぜ。


 森の主(ファローモ)(むすめ)たちを追いかけるのに使(つか)われた、丸格子(モーション)()魔法具(トラッカー)を――

 顧問秘書(こもんひしょ)からひったくる、顧問氏(こもんし)

 丸い輪(・・・)中央(ちゅうおう)、垂れ下がる(くさり)へ――――ガチリッ!!!


 ポヒヒヒヒヒィイッ、ヒュシュッヒヒュルルルゥウルッ――――♪

 (なん)かの(おと)魔術の神髄(ひかりのすじ)が、輪の真ん中に(・・・・・・)(あつ)まっていく!


「((もり)(おびや)がす――龍脈(りゅうみゃく)の゛(みだ)れ――幼体(ようたい)が泣いでいる――約定(やくじょう)は果だされだ――――)」

 ギィン――ぐわあぁっ!

 (もり)(ぬし)姿(すがた)が、(おとこ)姿(すがた)へと変わっていく。


「待て待て、待てやぁっ――――(いだ)゛ぃいだっだだっ!」

 (するど)(おも)く、おれの脳天(のうてん)(つらぬ)く――(おとこ)(こえ)

 大角(おおつの)を生やし、両目(りょうめ)が『ψ()ΘWΘ(だものの)ψ()』になってやがるぜっ――!?



『(Θ△Θ(ぎにゅりりっ?))』『(Θ曲Θ(ぎぎぎるるっ?))』

 森の主の娘(おまえら)もぉ、いい加減(かげん)、手を(はな)せやぁ!

 (あね)(ほう)がレトラを(かか)え、(いもうと)(ほう)がおれの(うで)をつかんで――

 まるで(はな)しやがらねぇ!


「シガミーちゃぁん!?」

 だれがシガミーちゃんか!

 しかし、お前さま(レトラ)には色々(いろいろ)(まか)せっきりで、(わる)いことをしちまった!

 ファロコの(いもうと)が落ちないよう、必死(ひっし)(かか)えている様子(ようす)を見れば――

 彼女(かのじょ)森の主(ファローモ)(むすめ)たちを、無下(むげ)(あつか)ってないことが、わかるからな。


 ゴドガァァンッ――――「今度(こんど)は、(なん)だぁ!?」

 (まど)(そと)(なに)かが、ぶち当たったようだ。

 建てたばかりの旅籠屋(はたごや)が、ぐらぐらりと揺れ――

「グゲッゲゲゲゲゲゲッ――――!?」

 風神(ふうじん)の鳴き(ごえ)まで聞こえてくる!


 くそう、ぐぐぐぐっ!

 森の主(ファローモ)念話(ねんわ)を聞いたからか(また)(あたま)(おも)くなってきた。

 もう駄目(だめ)だなっ。こんな(とき)に、五百乃大角(いおのはら)め――

 何処(どこ)、行きやがった!?


 バキバキメギッ――――ガッチャァァンッ!!!

 (まど)を突き(やぶ)り、飛び込んで来たのは――

「みゃぎゃにゃぎゃぁぁぁぁぁぁあっ――――――――♪」

 (おお)きな手甲(ガントレット)を突き出す、ひょろ(なが)(からだ)


「みゃひゃにゃやぁー()

 (にわか)に立ち上がった、おにぎりの後ろ頭(・・・)

 すっぽここここここぉぉぉぉぉっぉんっ♪

 魔法杖(ガントレット)炸裂(さくれつ)し、黄緑色(おにぎり)廊下(ろうか)へ――すっ飛ばされた!


「「「きゃぁぁぁっ――――!?」」」

 おにぎりの嵩張(かさば)(からだ)が、顧問氏(ミャッド)たちを、なぎ(はら)う。


 ぐるんと回転(かいてん)平机(そのば)へと降り立つ――

 青色の毛並み(・・・・・・)


()や? 〝ヴァロルフォグル・オルネコー〟とは、随分(ずいぶん)(めずら)しいですね?」

 珍客(ちんきゃく)登場(とうじょう)に、気でも()がれたのか――

 森の主(ファローモ)が、珍妙(ちんみょう)(おんな)姿(すがた)(もど)った。


「みゃにゃぎゃにゃぎゃにゃ、にゃぁーぎゃにゃにゃぁぁニャァ♪」

 くるくるくるくるるん、ぱたん♪

 魔術師(まじゅつし)格好(かっこう)をした、お(ねこ)さまの足下(あしもと)へ落ちる、おにぎりの文字盤(いたぺら)


 んぎぎぎぎっ。

 (おも)(あたま)(ひね)り、木板(それ)を覗き込む。


 ふぉん♪

『>あんな猫の中の猫と我輩を、

  一緒にしないで頂きたいニャァ♪』

 表示(ひょうじ)されたのは、そんな文字(もじ)だった――まったく。


 〝オルネコー〟てのは……(えら)いのか、(えら)くねぇのか――

 さっぱり、わからんなぁ。

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