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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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712/744

712:ファローモからの依頼、妖怪変化と樹界虫

(みょう)(しず)かですが、どうかされましたか?」

 屏風(びょうぶ)の向こうから(かお)を出す、蜂の魔神(ルガレイニア)

 (しず)かだとっ? リオは(なに)を、言ってるんだ?


 ふぉん♪

『>>〝非線形防音壁〟により、100Hz〜5000Hzの周波数帯域において、最大40dBの騒音を低減しています』

 あ、防音壁(こいつ)か――ごつん!


『ヒント>1メートル以内の距離での通常の会話を、ほぼ聞こえないレベルまで低減する性能に相当します。※ISO10140ー2およびISO16283ー16に基づく評価。【地球大百科事典】より』

 (たた)いてみたが(おと)がしねぇ……からつい、(ちから)を込めちまった。


「おっと、それがなっ!? (もり)(ぬし)さまがっ……ひそひそ……ご立腹(りっぷく)らしいっ!」

 うねうねと(いきお)いよく(うごめ)く――(ひと)(かたち)

 縁取(ふちど)られた輪郭(そいつ)は、天を衝いていた(・・・・・・・)

 ニゲルが見たら(かお)をしかめ、王女殿下(ラプトルさま)が見たら――

 「(なん)という機能美(いあつかん)ららぁん♪」と(よろこ)びそうな、攻撃的(こうげきてき)(かたち)


「わっとっ、そうは見えませんが?」

 (たお)れそうになる屏風(びょうぶ)を、両手(りょうて)で押さえつつ――

 防音壁(びょうぶ)(うえ)から、こちらを(のぞ)き込む、猪蟹屋(ししがにや)紅一点(こういってん)


「その眼鏡(めがね)(こわ)れてるんじゃねーのか? 良く見……ろやぁ!?」

 (ひと)(かたち)景色(けしき)を、うねらせる――

 それはそれは(いか)心頭(しんとう)の、森の主(ファローモ)魔神(まじん)を振り(かえ)ったら。

 そこには『(もよう)』入りの着流(きなが)しを着た、珍妙(ちんみょう)(おんな)(すわ)っていて――


()は、もう(ひと)(おな)(もの)を」

 と、(から)になった(うつわ)を、ひょいと持ち上げた。


「「「「あれっ!? (もと)(もど)ってる?」」――やがる?」――わよ()

 ふぉん♪

『イオノ>>ちょっとシガミー、どーなってんの!?』

 ふぉん♪

『シガミー>>おれに聞いてどーする!? 現世は、お前らの管轄だろぉーがぁ!?』


「もー、(なん)なのですか?」

 屏風(びょうぶ)を退かしてしまう、蜂顔(はちがお)のメイド。

 部屋(へや)の中を見れば、小柄(こがら)(おとこ)たちが、(となり)部屋(へや)(ふすま)(はず)し――

 手狭(せぜま)だった宴会場(えんかいじょう)を、勝手(かって)(ひろ)げてた。

 (めし)を食うための大部屋(おおべや)は、1階(した)(つく)ってあるんだが――


「ぴゃっ、出遅(でおく)れた!?()

 ヴッ――ヴォヴォヴォォォゥンッ!

 飛び出していく、飯神(めしがみ)

 おれたち以外(いがい)は、持ち込んだ飲み(もん)を、かっ喰らったりしてて――

 もう此処(ここ)で飲み食いを、(はじ)めちまうつもりのようだぜ。


 ふぉん♪

『ホシガミー>>クスクス、プー♪ 龍脈の底で初めてシガミーさんと、お会いしたときのことを覚えていますか?』

 星神(カヤノヒメ)客間中央(きゃくまちゅうおう)で、(めし)配膳(はいぜん)(はじ)めている。

 (なん)だぜ、どいつもこいつも(やぶ)から(ぼう)に!


 (はじ)めて会った星神(ほしがみ)てのは――

 花畑(はなばたけ)中央(ちゅうおう)(たたず)む、白髪(はくはつ)老人(ろうじん)のようでもあり――

 眉目麗(みめうるわ)しい(わか)(おんな)のようでもあり――

 (やり)(かたな)酒瓶(さかびん)のようでもあった姿(すがた)のことだろ?

 おれの(あたま)(なか)で、目まぐるしく姿(すがた)を変えていく、惑星ヒース神(ほしがみ)


 ふぉん♪

『>>はい、そうです。何にでも姿を変えられるというのは、何者でもないと言うことですわ』

 (なん)にでも変わり(うつ)ろいゆく、(しき)これ(すなわ)(くう)だが。

 ふぉん♪

『シガミー>>つまり、化けられる姿が多すぎて、姿を止められないと?』


「ならぁ、こいつぁ(たん)に、化けるのが下手なだけ(・・・・・・・・・・)……じゃぁねぇのかぁ?」

 (くち)をついて出た、そんな言葉(ことば)は――


「ねぇ、今誰(いまだれ)かぁ、化け狸ってぇ(・・・・・・)言ったぁぁあぁあああぁぁっ――――!?」

 雑然(ざつぜん)混迷(こんめい)する場を(さら)に、(べつ)様相(ようそう)へと切り替えた。


 鼻先(はなさき)(すこ)し伸ばし、双眸(そうぼう)をギラつかせた――

 五穀豊穣(ごこくほうじょう)眷属(けんぞく)にして、(よわい)200を越える化け狐(・・・)

 四つ(あし)になった奥方(おくがた)さまから、蒼白(あおじろ)(ほのお)が吹き出し――


 (いま)まさに宴会(えんかい)(はじ)めんとしていた全員(ぜんいん)が――

 自分(じぶん)(つめ)たい菓子(かし)(うつわ)を持って――

 廊下(ろうか)へ逃げ出した。


 パキパキメキキキッ――――!

 コントゥル辺境伯(へんきょうはく)名代(みょうだい)変化(へんか)に、(おどろ)いたのか。

 (もり)(ぬし)さまが(あたま)から、鹿(しか)大角(おおつの)を生やしていく。


「ぎゃっ、ま゛だ(あら゛)だな゛樹界虫(ぎがいぢゅう)が――!?」

 (おとこ)姿(すがた)になった(もり)(ぬし)念話(ねんわ)で、がなり立てた!


「うるっせぇぇぇぇぇっ!」

 おれは平机(テーブル)(あたま)を打ちつけ、もんどり打った!


   §


「ではまずは、このややこしい状況(じょうきょう)を――」

「はい、整理致(せいりいた)しましょう。クスクスプーッ()

 すっかり人払(ひとばら)いが出来(でき)た、客間(きゃくま)

 強者揃(つわものぞろ)いの面々(めんめん)だったが、相手(あいて)辺境伯家(へんきょうはくけ)(もの)となれば――

 退却(たいきゃく)も止む無しだ。

 (のこ)ったのは――おれと迅雷(ジンライ)に、蜂の魔神(ルガレイニア)星神(カヤノヒメ)


「ほんまに(たぬき)や、あらへんのやな? (うそ)ついたら狐火(きつねび)千本喰(せんぼんく)らわしますぇ――――コココォォォンッ!」

 そして(くだん)の――コントゥル辺境伯(へんきょうはく)名代(みょうだい)


「そ゛ぢらごそ゛、(わ゛る゛)い゛樹界虫(ぎがいぢゅう゛)なら゛(はら)わなければ――!」

 (わる)樹界虫(きかいちゅう)だぁ!? 良いとか(わる)いとか有るのかよっ!?

 (いま)だ四つん這いの化け(ぎつね)に、向き合うのは――(おとこ)姿(すがた)森の主(ファローモ)


「ああもう、レーニアー! シールド張ってちょうだい!」

 普段(ふだん)傍若無人(ぼうじゃくぶじん)好戦的(こうせんてき)悪漢紛(あっかんまが)いのご令嬢(れいじょう)も、名代(みょうだい)(むすめ)として――

 必死(ひっし)に場を(おさ)めようとしているが、この状況(じょうきょう)が5(ふん)(つづ)いたら――

 手に(かか)えた、血色(ちいろ)柄巻(つかまき)脇差(わきざ)しを――喜々(きき)として抜くだろうよ。


()でだぁだだっだっ!?」

 (もり)(ぬし)強力(きょうりょく)念話(ねんわ)喰らってる(・・・・・)のは、(いま)のところおれ一人(ひとり)だ。


 狐耳族(きつねみみぞく)のコントゥル母娘(おやこ)たちは、念話(ねんわ)(あつか)発掘魔法具(アーティファクト)である――

 迅雷(ジンライ)五百乃大角(いおのはら)御神体(ごしんたい)を、狙撃の道具(・・・・・)(かん)じ取る。

 念話(ねんわ)(かん)じた瞬間(しゅんかん)殺気(さっき)とともに〝(なん)でもぶった切れる、(ほそ)狐火(きつねび)〟を撃ち(かえ)してくるのだ。


 そしておれの(よう)生身の体で使った念話(・・・・・・・・・・)には、やり(かえ)しては来ない。

 ただ、これだけ強力(きょうりょく)森の主(ファローモ)念話(ねんわ)には、(かん)じ入るくらいしそうなもんだが――

 まるで平気(へいき)らしいぜ。


「ぐぎぎぎっ、()ぅっ!」

 両耳(りょうみみ)(あた)り、小枝(こえだ)が生えたおれの頭(・・・・)が、はち切れそうに脈打(みゃくう)つ。

「「「シガミー、大丈夫(だいじょうぶ)ー?」」」

 屏風(びょうぶ)(かげ)(かく)れた生意気(なまいき)子供(こども)と、(どう)じない子供(こども)と、大食(おおぐ)らいの子供(こども)たち。

 彼奴(あいつ)らは、逃げ(おく)れた(わけ)じゃない。


 (こと)次第(しだい)……面白(おもしろ)見世物(みせもの)見逃(みのが)すまいと、わざと(とど)まったのだ。

 その証拠(しょうこ)に、三人(さんにん)とも猪蟹屋制服(ししがにやせいふく)である給仕服(メイドふく)着替(きが)えている。

 着替(きが)えは腕時計(うでどけい)(かい)せば、一瞬(いっしゅん)で済む。


「お、奥方(おくがた)さまよぉ、も、(もり)(ぬし)さ、さまわぁ――ぐぎゃっひぃっ!? どっ、何方(どっち)かっていやぁ、鹿(しか)鹿(しか)ぁ――――!」

 虎型(とらがた)を着れば、この頭痛(ねんわ)(おさ)まるかもしれん。

 おれは必死(ひっし)(うで)を伸ばし――腕時計(うでどけい)(はず)したままだったことを、(おも)い出した。


「ごの(なが)で、本物(ぼん゛もの゛)の゛樹界虫(ぎがい゛じゅう゛)は――――この(・・)樹界虫(きかいちゅう)だけの、ようですね」

 おれの(あたま)をわさわさと撫でる、珍妙な女(もりのぬし)

 ふぅ、(ようや)(もと)姿(すがた)(もど)ってくれたか。


「また、シガミーが――」

「「シガミーちゃんが――」」

 突っ伏し(いき)(ととの)えるおれに、投げかけられるのは――


「「「木の実に(・・・・)……食べられてる(・・・・・・)」」」

 無遠慮(むえんりょ)な――子供ら(ガキども)(こえ)


「ふひぃぃ……か、勘弁(かんべん)してくれぇやぁー」

 (あたま)(おも)いのは、念話(ねんわ)を喰らったからってだけじゃなくて――

 例の果物(・・・・)(また)頭に生った(・・・・・)かららしかった。

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