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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

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71/744

71:シガミー(元破戒僧)、七天抜刀根術七の型

「(鬼娘(アイツ)には、おれがみえてんのか!)」


 ヴゥゥーッ♪

 地図(ちず)で言ったら左上(いぬい)方角(ほうがく)

 迅雷(ジンライ)が〝(とお)く〟を切りとって〝(ちか)く〟にして、みせてくれる。


 けど〝切りとられた(わく)〟の(なか)は、ほとんどザラザラした暗闇(くらやみ)でしかなく、人影(ひとかげ)すらみえやしねえ。

 迅雷(ジンライ)よか間合(まあ)いがひろいなら、姫さん(リカルル)本気(まじ)でやりあえんじゃねぇか?

 この(あいだ)、おれたちが勝てたのは正直(しょうじき)迅雷(ジンライ)使(つか)った如何様(いかさま)のおかげだ。


「(シガミー、そろそろゴーブリンの先端(せんたん)到達(とうたつ)します)」

 天辺(てっぺん)にいる小鬼(こおに)どもが大口(おおぐち)をあけて、かじり付こうとしてやがる。

 おれは(こい)(えさ)じゃねぇーぞ。


「(小太刀(かたな)に持ちかえて、金剛力(こんごうりき)だよりで切りつけても良いが――いかんせん(かず)(おお)すぎらぁ!)」

 一本(いっぽん)だけだった小鬼櫓(こおにやぐら)が、いつのまにか何本(なんぼん)も立ち(はじ)めていた。


「(ゴーブリンは想定以上(そうていいじょう)強敵(きょうてき)でした。シガミー、広範囲(こうはんい)におよぶ攻撃方法(こうげきほうほう)はありませんか?)」

 真言(マントラ)――〝瀑布(ばくふ)火炎(かえん)(いん)〟で焼きはらうことはできるが、たぶんおれまで燃えちまう。


「(では――七天(しちてん)抜刀(ばっとう)根術(こんじゅつ)(かた)に、広範囲(こうはんい)におよぶものがありませんか?)」


「((さん)(かた)があるが、百八(ひゃくはち)までしか(ねら)えねえから、とても(ころ)しきれねえぞ)」

 ……(しち)(かた)もあるにはあるが、ありゃ(わざ)じゃねえ。ただの自決(はらきり)だ。


「(――7の(かた)をくわしく?)」

「(はぁ!? てめえ、ちょっと(あたま)をよぎった言葉(ことば)まで、読む(・・)んじゃねぇよ!)」


「(時間(じかん)がありません――7の(かた)をくわしく?)」


「ったく! 錫杖(しゃくじょう)地面(じめん)(おも)いっきり突き刺して、地割(じわ)れを起こし――おれごと(・・・・)――奈落(ならく)(そこ)()っことすような(わざ)だ! なっ? つかえねえだろ!?)」


 したを見る。やっぱり来世(ここ)地獄(じごく)だ。

 小鬼(こおに)っていうか、緑色(みどりいろ)餓鬼(がき)の群れに、いまにも(かじ)られそうだ。

 マジでやべえ。飛びかかられたら、つかまれそうなところまで、落ちてきちまった!


「(7の(かた)でいきましょう。いますぐ真下(ました)(はな)ってください!)」

「(無理(むり)だぜ。どれだけ金剛力(こんごうりき)で跳べたところで、七の型(あれ)を打つとおれぁたぶん、精根(せいこん)尽きてぶったおれる(・・・・・・)


 おれに根術(こんじゅつ)(おし)えたやつぁ、天狗(てんぐ)と差しちがえて、七の型(それ)で死んだしな。

 ガムラン(ちょう)に落ちてきた日に、本気(ほんき)で差しちがえるつもりでも、七の型(あれ)だけは使(つか)おうとすら(おも)わなかった。


「(では、リカルル他数名(ほかすうめい)を――見殺(みごろ)しにしますか?)」

 まだ、どんなことになってんのかは、わからねえじゃねぇかよ。


「(このまま落ちた場合(ばあい)神力不足(しんりょくぶそく)パワーアシスト(こんごうりき)膂力(りょりょく)維持(いじ)できなくなる確率(かくりつ)が70%に(たっ)して――――)」

 おまえの(めし)背負(せお)ってきただろうが!

 使用開始(しようかいし)までに、30秒必要(びょうひつよう)ですので――

 30(びょう)だと!? それも、さきに言っとけ!


「(――ええい、わかった! 小鬼(コイツ)らさえ蹴散(けち)らしゃぁ、絶対(ぜったい)になんとかできるんだな!?)」

「(お(まか)せください、シガミー)」

 迅雷(ジンライ)の言うことは、全部(ぜんぶ)全部(ぜんぶ)うまくいってるわけじゃねえが、乗ってやる。

 (まん)一失敗(いちしっぱい)しても、そいつぁまるごと、五百乃大角(いおのはら)のせいにできるからな!


「すっすぅー、すっすぅー、すっすぅぅぅぅーーーーっ!」

 免許(めんきょ)皆伝(かいでん)のおれでも、(かた)のさいちゅうに(いき)()ぐことはできねぇ。おおめに吸う。


「ギャギャギャギュギョッ!!!」

 やかましいぞ、小鬼(こおに)め!


「((しち)(かま)え、(ぬりご)(たまおの)――(うみやめ)(とみて)。)――(やり)から南方七宿(すざく)まで。」

 ヒュヒュヒュヒュッヒュヒュヒヒヒュフォオン――――ゴッガァン!


 おれは(かま)えをとりながら、伸びてきた(ちい)せぇ(うで)を、たたき落とす!

 目印(めじるし)がわりに、一回(いっかい)打っとくか―――この錫杖(しゃくじょう)(さだ)めて()たる――――


「――――血怨戒(ちえんかい)(しゅう)!」

 ふんぬぉりりりゃやぁぁぁぁぁぁ――――ギャリリィン――――どんっ!

 直下(ちょっか)(はな)たれた錫杖(しゃくじょう)が――ゴバキャッ――――ドズズズゥン!


 (おか)に突き刺さっちまったが、まったく(もっ)てかまわねえ――すぽん♪

 小鬼(こおに)が消しとび、錫杖(しゃくじょう)が消え、(おか)亀裂(きれつ)ができた。


 ――ヴッ――ジャリィン!

「(もう一度(いちど)だ)――(やり)から南方七宿(すざく)まで。」


 錫杖(しゃくじょう)(ひじ)まで使(つか)ってはさみこみ――――ジャリィィィィィィィィィィィィイッィイィッンッ!

 (きり)独楽(こま)のように――縦に回した(ねじった)


 ブォヴォォォォォォォォォォォォォォォォン――――うっわ!

 (まわ)りすぎだぜ、(あぶ)なくてつかめやしねぇ!


「(つかめねえと、(いん)(むす)べねえぞ!)」

 両手首(りょうてくび)から、手袋(てぶくろ)みてえな分厚(ぶあつ)(かいな)がとびだした。


 ドッゴッ、ゴッ、ゴッ、ゴゴゴッ、ゴオッ、ゴゴォォォォンッ!!!

 回転(かいてん)のいきおいで跳ねまわる錫杖(しゃくじょう)を――――手袋(かいな)で押さえこまねえといけねえ!


「あとは、どうなってもしらんぞぉー!?」

 ギャリッ、ギャリィィィィィィィィィィィィィィィィンッ――――ギュギャギャギャギャギャリリリリリィィンッ!


 うるっせぇぇぇーーーーっ!

 ずざぁっ――丘を踏みしめる(でぇいりゃあああああ)――がきっん!


 どうにか(おさ)えこんだが――――ざりざりざりりぃーーーーーーーーっ!

 いきおいあまって一回転(いっかいてん)


 おれの靴跡(あし)きれいな(・・・・)(まる)が、錫杖(しゃくじょう)を取りかこむように(えが)かれた。

 ひょっとしたら、こいつが(わる)かった……いや、効きすぎた(・・・・・)のかもしれねえな。


 重心(じゅうしん)がえがいた(えん)のちからを、まっすぐ突きささる(ぼう)から、地面に(・・・)つたえきった。

 小鬼(こおに)どもが、縦横無尽(じゅうおうむじん)にはしる亀裂(きれつ)にふきとばされたり、飲み込まれたりしてる。


 ふかく突き刺さった錫杖(しゃくじょう)を、かかえた手。

 おれは――(いん)(むす)ぶ。

 これに真言(マントラ)はのらねえが、あるのとないので威力(いりょく)がなんでか変わる――


「――(めっ)せよ!」

 ゴガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァッドッズズズズズズズムン!


 ふわぁり――気がとおくなる。

 精魂(せいこん)をつかい果たしたからだ――こりゃ、マジで死ぬんじゃねえか?


 地面(じめん)着地(ちゃくち)したはずが、また空中(ちゅう)(ほう)り出されてる。

 ちがうか、んう?

 わかった……(おか)(そこ)が、まるごと抜けやがった(・・・・・・)――ガムラン(ちょう)一個分(いっこぶん)くらいあんじゃねえのかこりゃ……横にも縦にも(・・・・・・)


 ふにゃり――――最後(さいご)にあたまに浮かんだのは、レイダとリオの(こえ)(かお)だった。






















「(シガミー? ――――――使用者(マスター)のバイタルサインに、看過(かんか)できない異常値(いじょうち)検出(けんしゅつ)。)」


 ふぉふぉふぉふぉっふぉおふぉふぉふぉぉぉぉぉん♪♪♪

『緊急時戦術プロトコル作動

 >WetWareID#44Ga3

  対象アドレス:生体デバイス個体シガミー内/不随意記憶領域内/……/……

 >Created backdoor to room #44Ga3

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