表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

707/744

707:旅籠屋三階内湯にて、森の主あらわる

波浪雲(ファローモ)!? とうとう(うつつ)にまで、姿(すがた)(あらわ)しやがったな!?」

 まさかの森の主(・・・)は、おれが(まえ)想像したのと(・・・・・・)大差(たいさ)ない姿形(すがたかたち)をしていた。


 大渦(おおうず)(えが)いた着流(きなが)しのような(ふく)のまま、湯に浸かるのは――

 (ひたい)から小枝(こえだ)を生やした、(やさ)しげで珍妙(ちんみょう)(おんな)


(@う)があるのは(わたし)ではありません、樹界虫(きかいちゅう)です。この(もり)命運(めいうん)を、(にな)って(くだ)さい」

 (かす)かに目を、つり上げると――

 ふらふらと揺れていた小枝(つの)が・・・ピタリと止まった。


「うむ。お(まえ)さまの言うことは矢張(やは)り、何一(なにひと)つ、わからん」

 (なん)(はなし)なんだぜ?


龍脈(@ゅうみゃく)(からだ)宿(やど)すもの。それは樹界虫(きかいちゅう)です」

 龍脈(・・)まわりの(はなし)ならぁ、せめて星神(ほしがみ)にでも言えやぁ。


   §


「そもそも、お(まえ)さまが、(むら)から出られなくしたんじゃねぇか」

 くぴり。ふぅぅぃ――久々(ひさびさ)の澄み(ざけ)わぁ、染みるな。


樹界虫(@かいちゅう)を逃がしてしまっては、(もと)も子もないので……森域結界(しんいきけっかい)を張るのは、当然(とうぜん)のことゆえ」

 その結界(けっかい)とやらには、五百乃大角(いおのはら)お猫さま(ロォグ)が――

 女神像(めがみぞう)(かい)して、(あな)を空けちまったがなぁ。


 とくとくとくん――(から)みのある澄んだ(さけ)を、猪口(ちょく)(そそ)ぐ。

 リオレイニアの居ぬ間に、なんとやらだぜ。

 (はたら)きづめのおれが、おれの酒瓶(さけ)を持ち出したからといって――

 (とが)められる、道理(どうり)はねぇ。


 (れい)によって森の主(ファローモ)の言うことは、まるで要領(ようりょう)を得なかった。

 それでも(はら)を割って(はな)すならぁ、やはり般若湯(こいつ)だろ――ウカカカッ♪


「お(まえ)さまも、一献(いっこん)どうでい?」

 湯に浮かべた(ぼん)に、(さけ)()いだ猪口(ちょく)を乗せてやる。

 まえに瞼の裏で話をしたとき(・・・・・・・・・・)わぁ、そこそこ飲み食い(・・・・)したからな。


()れは、(さけ)ですか?」

 ちびり。ウカカッ――いける(くち)だな。

 一緒(いっしょ)に、飲み食いが出来(でき)りゃ――大抵(たいてい)のことは、(なん)とかなるもんだ。


()ー。あて(・・)に、(あま)(もの)(いただ)きたく」

 そうだった。此奴(こいつ)さまは(あま)いもんに、目が無かった(・・・・・・)んだったぜ。


(あま)(もの)なぁ」

 ガムラン饅頭まんじゅうで良――

「(ちょっと、いま(あま)(もの)って言っったぁ!?())」

 てちりと、おれの頭上(あたま)降臨(こうりん)する御神体さま(いおのはら)


 ィィィィィィンッ――――殺気(さっき)っ!?

 (かす)かに湯が、揺れた気がするぜっ?


「やい、念話(ねんわ)は止めとけやぃ。湯船(ゆぶね)(あな)を空けられたら、折角(せっかく)風流(ふうりゅう)(さけ)がぁ台無(だいな)しだろぅがっ!」

 狐耳族(きつねみみぞく)(ちか)くで、根菜(いおのはら)(ジンライ)念話(ねんわ)使(つか)うと、殺気(さっき)が飛んでくる。

 しかも其奴(そいつ)場合(ばあい)によっては、(ほそ)(するど)狐火・仙花(きつねび)(ともな)い――

 壁床天井に(ところかまわず)大穴(おおあな)を空けるのだ。


「ところでシガミー。こちらの(かた)わぁ、どなたぁ()

「なんという、(ちい)さき(もの)……樹界虫(きかいちゅう)では、ないようですが?」

 見つめ合う、美の女神(いおのはら)森の主(ファローモ)


「聞いて(おどろ)け、(もり)(ぬし)さまだ。失礼(しつれい)の無いように、気をつけろやぁ――」

 ふぉん♪

『イオノ>>ファロコちゃんの、お母さんわのねん?』

 そういうことだな。


「――そして(ぬし)さまよ、こいつ(・・・)ぁこうみえて(ひと)の世の(かみ)……(ぬし)みたいなもんだ。(うやま)必要(ひつよう)はねぇが、仲良(なかよ)くしてやってくれや」

 二人とも、平穏無事へいおんぶじ(たの)むぜ。

 また念話(ねんわ)で、がなられても(かな)わんからな。


「(てなわけで迅雷(ジンライ)星神(ほしがみ)を連れてこい)」

 ちなみに生身(なまみ)のおれが、念話(ねんわ)使(つか)っても――

 狐耳の連中(コントゥルおやこ)(かん)に、(さわ)ることはない。


 ふぉん♪

『>>茅野姫なら、厨房に居ます』

 ふぉん♪

『ホシガミー>>はい。あとからお出しする分の料理の、下ごしらえをしておりますわ?』

 森の主(ファローモ)との(はなし)が済んだら、おれも厨房(そっち)(はい)るが――


 おれは耳栓(みみせん)を、ぎゅっと押し込んだ。

 おれが付ける耳栓(みみせん)から突き出た、(ちい)さな機械腕(きかいうで)

 その先端(さき)から、(ほとばし)赤光(せっこう)

 湿気(しっけ)(おお)風呂場(ここ)では、一行表示(ティッカー)文字(もじ)(すこ)(にじ)むが――

 読めない(ほど)ではない。


 ふぉん♪

『シガミー>>どうも森の主が言うには、おれぁ〝樹界虫〟とか言う虫らしくてな』

 全身(ぜんしん)龍脈(りゅうみゃく)と言われても、おれにはまるでわからん。

 けど、こと龍脈(りゅうみゃく)(かん)してなら、専門家(くわしいやつ)がいる。

 (ほか)ならぬ茅野姫(かやのひめ)、その(ひと)だ。


「というわけで、(いそ)しいところ(わり)ぃがぁ――」

 ――(なん)(あま)い、(さけ)(さかな)(たの)むぜ。

 女神像近(めがみぞうちか)くなら視線(しせん)(とお)らなくても、こうして念話(ねんわ)(つう)じる。

 (こま)かいことは全部(ぜんぶ)迅雷(ジンライ)女神像任(めがみぞうまか)せだが、使(つか)えるのだから問題(もんだい)ない。


 ふぉん♪

『シガミー>>三階南側の客間まで、持ってきてくれや』

 ふぉん♪

『ホシガミー>>では冷たい物と温かい物、どちらに致しましょうか、くすくす?』


(つめ)たい(もの)(あたた)かい(もの)なら、どっちが良いんだぜ?」

 おれは小枝(つの)を生やした珍妙(ちんみょう)森の主(おんな)に、聞いてやる。


「はい、はぁい♪ お風呂(ふろ)で食べる甘い物(・・・)って言ったらぁ――冷たいの(・・・・)に決まってるでしょっ()

 神さん(おまえ)には、聞いてないんだが――


()は、(わたくし)もそれで」

 まぁ森の主(ほんにん)も、そう言うなら良いだろう。

 じゃぁ(つめ)たい(もの)を、(たの)むぜ。


 ふぉん♪

『ホシガミー>>くすくす、承りましたわ♪』


「よいしょぉ()

 トタンと、(ぼん)に飛び乗る女神御神体(いおのはら)

「ぅわぷっ! (さけ)(こぼ)れるだろぅがぁ」

 芋茸(めがみ)さまが(となり)に浸かる、森の主(ファローモ)見上(みあ)げた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ