7:転生幼女(破戒僧)、冒険者ギルドデビュー
『ガムラン町冒険者ギルド』
「おい、ここでまちがいねえな?」
目線が低いせえか、自分がどこに居るのかさっぱりわからねえ。
「(はい、マスター)」
おすみつきをもらった。
こういうときは、短い棒はほんとうに便利だ。
ぎぃぃぃぃ。
大きな木のドアを開ける。
なかは、あさ日にてらされる外と、おなじくれえにあかるい。
ちらほらと、めし処に来てた連中とおなじような装束がうろついてる。
窓口らしい長机……かうんたあとかいう場所に、人かげがねえ。
「たのもーう! 番頭わぁいねえのかぁー?」
机には字が書ける鉄筆と、ぴかぴかひかる鐘がおいてある。
短い棒がいうには、このまるい鉄のあたまを押すと、音が鳴って人が出てくるらしい。
ガチーーーーン!
ちからいっぱい押してやった。
「はぁーい! おまたせいたしましたわぁー……って、あれ? 誰も居ないじゃないの?」
だれか出てきたが、おれが小さすぎて見えんらしい。
「ここだ、ここ! おれがおるだろーが」
つくえによじのぼって手を振ってやった。
「え? ちょっとまって!? 金髪さらさらの、ほっぺたぷにぷにの、小なまいきそうなお子さまが、なんかちょっと拗ねたかんじで、私をキッて睨みつけてくるのですけれど、ああもう一体全体どうしたらいいのかしらぁぁぁぁ?」
しゃんとした身なりのわかい女が、おれを見るなりわめきだした。
どこぞの姫さんかと思うような高貴な顔つき。
そのあたまの上から、きつねの耳がとび出てる。
「(キツネの半獣人です。武器は所持しておらず、脅威度は8%……一割以下です)」
あぶなくねえといわれても、こええもんはこええ。
あとずさるおれのてを、ガシリとつかまれた。
「コレはきっとそうね。まいっ晩、美の女神さまにカワイイ女の子と、お近づきになれますようにって1000回唱えてから就寝した私の邪念がついに実を結び……うぇっふぇふぇふぇ――」
机の向こうから身をのりだし、高揚する内面をかくしもしねえ狐耳。
「(ヴヴヴゥゥン!?)」
主であるおれの危機に、うしろあたまで短い棒がカチャカチャ変な音を立て始め――――
すっぱぁぁぁぁぁぁぁぁぁんっ!
「きゃひぃぃぃぃぃぃぃん!」
狐耳が尻をおさえて、机にっ突っぷした。
「やかましぃー!」
紙束をまとめた板から白煙がたちのぼる。
つぎにでてきた女には、見おぼえがあった。
「ごめんねシガミー、いらっしゃい♪」
狐耳を乱暴に横へどかす、角のはえた女。
おれが地獄……じゃなかった、ここガムラン町の近くに落ちてきた日に会ったやつだ。
「えっと、だれだっけ。まいにち店にきてた、んーっと……そう、〝海老の背わた〟だ、〝海老の背わた〟」
「オルコトリアよ、オルコトリア。一文字も合ってないじゃないの!」