表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

687/744

687:ロコロ村集会所にて、シガミーの行方について

「ちょっと、(うかが)いたいのですけれど――」

 紫色(むらさきいろ)細身(ほそみ)のドレスがコツコツカツカツと、宴会場(えんかいじょう)横切(よこぎ)った。


(なん)でしょうか?」

 クイと眼鏡(めがね)(かる)く持ち上げてみせる、給仕服(メイド)


小猿(こざる)はいま、どうしていますの?」

 やや(こえ)(ひそ)めているのは、会話(かいわ)内容(ないよう)が――

 晴れの(せき)には似つかわしくない(・・・・・・・・)ことを、自覚(じかく)しているからなのだろう。


詳細(しょうさい)はわかりかねますが、無事(ぶじ)とは聞いています」

 クイクイと眼鏡(めがね)何度(なんど)も、持ち上げて見せるのは――

 侍女(じじょ)としての彼女(かのじょ)矜持(きょうじ)を、(かんが)みるなら――

 最大限(さいだいげん)明確(めいかく)な、敵意表明(・・・・)である。


無事(ぶじ)なのは、知っていますわ。あの子供(こども)は、たとえ(ころ)されても……死ぬような者ではない(・・・・・・・・・・)のでしょう?」

 女神の料理番(シガミー)本質(ほんしつ)を、こともなげに言い当てる――

 悪逆令嬢(あくぎゃくれいじょう)にして、傾国(けいこく)魔物(まもの)


「では(なに)を、お知りになりたいのですか?」

 メイドは眼鏡(めがね)から手を(はな)し、眼前(がんぜん)に立つ女性(じょせい)見据えた(・・・・)

 その手は(こし)に置かれている。

 元辺境伯家(もとへんきょうはくけ)侍女長(じじょちょう)として、あり得ない態度(たいど)


「どこに居るのか、(おし)えて(くだ)さいな♪」

 その言葉(ことば)を聞いたメイドの口元(くちもと)に、とうとう(ちから)がこもる。


 悪逆令嬢(あくぎゃくれいじょう)ロットリンデ、彼女(かのじょ)(した)しい人物(じんぶつ)

 つまり、フカフ村村長(むらそんちょう)であるジューク氏。

 (かれ)(あやつ)魔法具箱(まほうぐばこ)によって、シガミーたちが――

 メイドが所属(しょぞく)する冒険者(ぼうけんしゃ)パーティーの仲間(なかま)が――

 何処(どこ)とも知れぬ(べつ)の地へ、飛ばされるような――

 憂き目にあっている(・・・・・・・・・)のだ。


「それはわかりかねます。そもそもシガミーたちを、行方知(ゆくえし)れずにしたのは――!」

 (こえ)(あら)げるメイド・リオレイニア。


「はーい、そこまでぇー。シガミーさんが、どこへ行ったかはわかりますよー、プークスクスクスクスッ()

 言い(あらそ)いを(はじ)めた、ふたりの(あいだ)に割って(はい)少女(しょうじょ)


「カヤノヒメさま!」

「あら小猿(こざる)……じゃなかった、シガミーの姉君(あねぎみ)

 (ちい)さな手を(おお)きく伸ばし、二人(ふたり)を引き(はな)す――

 小猿(シガミー)姉役(あね)にして、惑星(わくせい)ヒースをつかさどる星神(ほしがみ)


「ここロコロ(むら)からみて(やく)1000(キロメートル)……1000ドンバーテルほど(きた)に、いらっしゃいますわ。プークスクスクス()

 (なに)もない(ちゅう)(あお)ぎ見て、(なに)かを確認(かくにん)する――

 シガミーに瓜二つ(・・・)の、縁者(えんじゃ)


「1000ドンバーテル!? そんなはずは、だって大森林(だいしんりん)果て(・・)までは、せいぜい200ドンバーテル……200(キロートル)しかありませんのよ?」

 怪訝(けげん)表情(ひょうじょう)を浮かべ、(あた)りへ視線(しせん)をさまよわせる令嬢(ロットリンデ)


「だ、大森林(だいしんりん)(きた)には――よいしょっ! (うみ)(ひろ)がってるからねーぇっと!」

 料理(りょうり)一緒(いっしょ)(はこ)ばれてきた木箱(きばこ)

 その(わら)(なか)から(つの)が生えた少女(しょうじょ)ファロコを、引っ張り出す男性(だんせい)

 (くだん)魔法具箱(まほうぐばこ)使い手(・・・)、フカフ村村長(むらそんちょう)・ジューク氏である。


「では1000(キロ)(さき)に、(しま)があるのでしょう?」

 かるく(にぎ)った手を(あご)に当てる、才女(さいじょ)名高(なだか)侍女(メイド)


「いいえ、(きた)(うみ)にあるのは、(ちい)さな(しま)がひとつきりですわ」

 (ひたい)に手を当てる、傾国(けいこく)魔物(まもの)名高(なだか)令嬢(れいじょう)


「はい。大陸(たいりく)からその(しま)までの距離(きょり)が5(キロ)ほどで、島全長(しまぜんちょう)もせいぜい8(キロ)ほどしかありませんわ♪ クースクス()

 パタリと取り出されたのは、(おお)きめな(くろ)(いた)


 ヴォゥン――♪

 黒板(いた)(うつ)し出されたのは、(ななめ)(うえ)から見下(みお)ろした遠景(えんけい)

 それは高低(こうてい)(あらわ)描線(びょうせん)と、文字(もじ)各種記号(せつめい)

 つまりは、とてつもなく詳細(しょうさい)地図(ちず)だった。


「このまま1000(キロ)北上(ほくじょう)したら、極点(きょくてん)を越えてトッカータ大陸(たいりく)南洋(なんよう)到達(とうたつ)してしまいますわ」

 (いた)表面(ひょうめん)に、つつつつーと(ゆび)をすべらせる令嬢(ロットリンデ)

 大陸近(たいりくちか)くの(しま)(とお)りすぎ、一面(いちめん)斜線(しゃせん)だらけの海面(かいめん)に埋め尽くされても――

 なおも、つつつつつつつつつーと、北上(ほくじょう)(つづ)ける。


何言(なにい)ってるんだい? (きた)には(うみ)が、どこまでも続いてる(・・・・・・・・・)ん――いでででっ!?」

「ぎゅぅい、るるるるぅ!」

 やや(おお)きな子供(こども)に、(うで)を引っ掻かれる村長(そんちょう)


「もう、地図(ちず)に書かれていることが全てではない(・・・・・・)と、いつも言っているでしょう? ジュークは(すこ)(だま)ってなさい!」

 斜線(うみ)だらけになった地図(いた)を見つめ、(かんが)え込む悪逆令嬢(ロットッリンデ)


正確(せいかく)を期するなら、南洋(なんよう)ではなく北洋となります(・・・・・・・)ね、プププ-()

 つっ――シュカーン!

 地図(ちず)指先(ゆびさき)(つよ)(はじ)く、惑星ヒース星神(カヤノヒメ・ガムラン)


 どこまでも(つづ)くかのように見えた斜線(うみ)が、すぐに終わり――

 地図(ちず)上から(・・・)(あら)れる、(べつ)大陸(たいりく)

 その(はし)(あらわ)れた文字(もじ)や、記号(きごう)は――

 『トッカータ大陸:最端』を(あらわ)していた。


   §


「さきほど見て(いただ)いていた地図(ちず)は、じつは更新(こうしん)まえの(もの)ですので――誤解(ごかい)(まね)いてしまったかも知れませんね、クースクスクス()

 ピピプーン♪

 星神(カヤノヒメ)操作(そうさ)により、地図(ちず)点滅(てんめつ)すると――

 トッカータ大陸(たいりく)南端(・・)は、消えてなくなり――

 またもや、斜線(しゃせん)だらけの大海原(おおうなばら)(しめ)した。


(#10286)――――現在地点より/1008㎞』

 地図(ちず)を見つめる女性(じょせい)たちの(くび)が、(かたむ)いていく。


「ではシガミーは――」「小猿(こざる)は――」

「「――一体(いったい)どこに!?」」

 (さが)している人物(じんぶつ)は、大海原(かいめん)に浮かんでいることになっている。


「お、お(じょう)さまが(おっしゃ)るには、陸を走る魔物に(・・・・・・・)囲まれていたらしい(・・・・・・・・・)ですが?」

 眼鏡(めがね)をしきりにクイクイと、持ち上げているが――

 これは、態度を悪くしている(・・・・・・・・・)(わけ)では……ないのだろう。


「はい。ですのでクスクス♪ (うみ)(しめ)した、この謎のエリア(・・・・・)に、陸地があるのは(・・・・・・・)間違いない(・・・・・)ようですわ、クースクスクス()

 (なに)がそこまで(たの)しいのか――

 星神茅野姫(ほしがみかやのひめ)笑顔(えがお)が、絶える気配(・・・・・)はなかった。

ドンバーテル/約1キロメートルを表す単位。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ