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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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675/744

675:芋の町にて、おにぎりの休日

「おじーちゃん、あっちに(ねこ)魔物(まもの)が居たよ!」

 (おさな)少女(しょうじょ)が、大慌(おおあわ)てで駆けてきた。


「はて、根っ子(・・・)魔物(まもの)? マンドラゴーラかのぉ♪」

 ふぉっふぉっ――――ふぉっ!?

 老人(ろうじん)の目が、(おお)きく見開(みひら)かれた!


「ぅひゃひゃぁぁぁぁっ! ほ、ほんとぉにぃー、猫の魔物(・・・・)じゃぁぁぁぁぁっ!?」

 (まご)(かか)え――脱兎(だっと)(ごと)く駆け出す、その健脚(けんきゃく)は――

 (のち)に〝ターボ(じい)さま〟などと呼ばれ、絵本(えほん)(つく)られるほどに――

 (かた)(ぐさ)となる。


「みゃにゃがやにゃぁー()

 子供(こども)を抱えた老人(ろうじん)が消えた路地(ろじ)を見つめ、小首(こくび)(かし)げる(ねこ)魔物(まもの)

 正確(せいかく)には、(ねこ)魔物(まもの)であるケットーシィ(・・・・・・)区別(くべつ)するためにも――

 (ねこ)魔物風(まものふう)と、呼ぶべきなのだが――


 この辺境(へんきょう)(まち)には、(ねこ)(ねこ)魔物(まもの)精霊(せいれい)や――

 (ねこ)魔物風(まものふう)や、極所作業(きょくしょさぎょう)用汎用(ようはんよう)強化服(きょうかふく)シシガニャン自律型(じりつがた)試作個体名(しさくこたいめい)おにぎり一号(いちごう)に、(くわ)しい人間(にんげん)一人(ひとり)も居なかった。


 (かお)のない、(かれ)もしくは彼女(かのじょ)が――

 この地へ降り立ってから、(やく)時間(じかん)

 この時点(じてん)被害者数(・・・・)は、100を越えていた(・・・・・・・・・)


   §


『ポテフィール町野菜専売所』

 (ねこ)魔物風(まものふう)が、そんな建物(たてもの)(まえ)(とお)り掛かったとき。


「うぎゃっ!?」「(なん)だよあれ!?」

「見たことねぇ……まさか、魔物(まもの)か!?」

 そこそこ(たくま)しい(からだ)つきの、(おとこ)たちが――

 一斉(いっせい)物陰(ものかげ)(かく)れた。


「ばっきゃろぅ! (おとこ)がぴーぴーわめくんじゃないわよっ!」

 かくいう(かれ)は、〝(おとこ)〟と言うには(はな)やか過ぎる野良着(のらぎ)に、身を(つつ)んでいる。

 その内股気味(うちまたぎみ)男性(だんせい)(?)の一喝(いっかつ)に、(だま)り込む(おとこ)たち。


「ににゃにゃーぁ♪ みゃぎゃにゃぎゃー♪」

 ぽっきゅらぽっきゅらぽきゅららら――♪

 軽快(けいかい)に跳びはねながら、鳴き(ごえ)を上げる(ねこ)魔物風(まものふう)

 (へん)(ふし)の付いたその(こえ)は、ひょっとしたら(まち)陽気(ようき)に当てられた――

 鼻歌(はなうた)のようなものなのかも知れなかった。


「「「「「「「「「「ね、(ねこ)魔物(まもの)だぁぁぁぁっ!?!?」」」」」」」」」」

 (ねこ)っぽい鳴き(ごえ)に、(おそ)(おのの)(おとこ)たち。

 その(あし)がじりじりと、(うし)ろへ下がっていく。


「ぅをまちっ! あんたたち、(いま)までにあんな(やつ)を、見たことがある(・・・・・・・)かい?」

 内股男性(うちまただんせい)が、もう一度声(いちどこえ)を張った。


「は、(はじ)めて見ましたぜ? なぁ?」

 (おとこ)たちの一人(ひとり)が、そう進言(しんげん)すると――

「「「「「「「「「へぇーい」」」」」」」」」

 (おとこ)たちはへぇーいと、力強(ちからづよ)(うなづ)いた。


「このとおり(ねこ)魔物(まもの)なんて一度(いちど)でも見たら、(わす)れるはずがねぇでさあ」

 苦渋(くじゅう)に満ちた(かお)(おとこ)たちを代表(だいひょう)し、やはりさっきの一人(ひとり)(はなし)をまとめた。


「でしょぉぅ? ならあの魔物(まもの)は――(そう)(とう)・レ・ア・な、お宝(・・)って(こと)じゃないかしらぁん?」

 口元(くちもと)に手を当て、ニタリと(わら)内股男性(うちまただんせい)


「さすがでさぁ、兄貴(あにき)ぃ!」

 ボゴッ――どつかれる、手下代表(てしただいひょう)


「どぉわれが、筋骨隆々(きんこつりゅうりゅう)顎割(あごわれ)れのおっさんわのよっ――しっつれいしちゃぅわぁ!」

「す、すいやせん、兄貴(あにき)!」

 ボゴン――どつかれる、手近(てぢか)にいた手下(てした)


大変(大変)でさぁ――あーにきーぃ!」

 (そと)から飛び込んで来るなり――ボゴゴン!

 どつかれる手下(てした)

 倉庫(そうこ)らしき場所(ばしょ)(よこ)たわるのは、三人(さんにん)になった。


「まったく(なに)を、(あわ)ててるんだい? こりゃ――手配書(てはいしょ)じゃないかぃ?」

 手下(てした)から(うば)ったチラシには――

 目鼻口(めはなくち)のない猫の魔物(・・・・)が、(えが)かれていた。


「なぁんだぁい。もとからぅちらの獲物(えもの)ってわけかい、うふふぅん♪」

 くねくねと(こし)を振り、ふんぬぅ!

 ピクピクと(うご)大胸筋(だいきょうきん)

 手下(てした)たちの(かお)が、さらに苦渋(くじゅう)に満ちた。


「ポテフィール自警団(じけいだん)種芋(たねいも)(とげ)! 出動(しゅつどう)よほぉぅ♪」

 ポテフィール自警団(じけいだん)種芋(たねいも)棘団長(とげだんちょう)

 内股気味(うちまたぎみ)(かれ)、もしくは彼女(かのじょ)(?)は――見目麗(みめうるわ)しい相貌(そうぼう)

 そして、見目麗(みめうるわ)しい内面(・・)を有していた。


   §


「ちょっと、そこの(ねこ)魔物(まもの)! 止まりなさいなぁ♪」

 ぞろぞろと、黄緑色(きみどりいろ)(あと)を付ける(れつ)先頭(せんとう)

 農作業(のうさぎょう)合間(あいま)に、冒険者(ぼうけんしゃ)をしています。

 そんな格好(かっこう)総勢(そうぜい)(めい)二列縦隊(にれつじゅうたい)


「みゃんにゃやぁー()

 (たの)しそうに、(みち)ばたに落ちた丸いもの(・・・・)(ひろ)い上げる――

 (ねこ)魔物(まもの)


「き、聞こえなかったようですぜ兄貴(あにき)!」

 ボゴン――(くず)れ落ちる団員(てした)


こいつ(・・・)荷車(にぐるま)から落ちた(いも)を、拾って歩いてる(・・・・・・・)ようですぜ兄貴(あにき)?」

 ボゴゴン――やや先行(せんこう)様子(ようす)(うかが)っていた団員(てした)団長(だんちょう)報告(ほうこく)し、やはり(くず)れ落ちる。


「なぁんだぁってぇぇぇぇぇっ!?」

 (おどろ)団長(だんちょう)

 (ねこ)魔物(まもの)が手に(かか)えるのは、ここまで(ひろ)(あつ)めたらしい――

 10個程度(こていど)(いも)


(いま)すぐ、引っとらえますか兄貴(あにき)?」

 ポゴオン――どつかれ、(くず)れ落ちる団員(だんいん)

 その(かず)は、(のこ)り5(めい)となった。


「ふん、バカをお言いでないよ! 見かけによらず、良い子(・・・)じゃないか♪」

 などという、背後(はいご)騒々(そうぞう)しさに――

 ぽきゅりと振り向く、(ねこ)魔物(まもの)


「みゃにゃやー()

 見つめ合う二人(ふたり)

 ズザッ――緊張(きんちょう)する団員(だんいん)たち!


「よく見れば……ふふふふ、良い面構(つらがま)えをしているわ♪」

 そう言って目鼻口のない(・・・・・・)(ねこ)魔物(まもの)(あたま)に――ぽふぅんと。

 手を乗せたのは(かれ)いや彼女(かのじょ)(?)の、(いも)(まち)顔役(・・)としての――

 矜持(きょうじ)だったのかも知れない。


「おや、夏毛(なつげ)手触(てざわ)りが(じつ)心地(ここち)よいじゃないさ♪」

 なでなでなでなで――♪

「みゃにゃやー()

 (なに)(おも)ったか、(ねこ)魔物(まもの)は――

 手にしていた(いも)を、ポトポトポテトと落としつつ――


「みゃにゃぎゃにゃーん()

 〝ポテフィール自警団(じけいだん)種芋(たねいも)棘団長(とげだんちょう)〟の(あたま)を――

 やさしーく、撫で返した(・・・・・)


「ぅふふふふふうっ♪」

 なでなでなでなで。

 ピクピクン(大胸筋(だいきょうきん))。

「にゃやにゃにゃぁ()

 なでなでなでなで。

 ポトポトポテト(落ちる(いも)


 その不可思議(ふかしぎ)光景(こうけい)を目の当たりにした、(のこ)りの団員(だんいん)たちは――

 (なぐ)られても居ないのに、へなへなと(くず)れ落ちるのであった。

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