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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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667/744

667:此処は何処だぜ?

「バカやろ!――ニャァ♪」

 ゴロロロロロロン、パタタァン――シュタッ♪


 起き上がったときには、虎型ひ号(ビステッカ)姿(すがた)はなく――

 (かぜ)が吹き抜け、(そら)何処(どこ)までも(たか)く――

 そこは見晴(みは)らしの良い、小高(こだか)(おか)だった。


   §


「おいっ! こりゃ、()じゃねぇかっ!?――ニャァ♪」

 しかも(あか)るい、日が(たけ)ぇ!

 ふぉん♪

『>はい。恐らく、村長が封鎖空間より脱出し、我々も通常空間に戻ったと思われ』

 (ぜん)(ぜん)戻ってねぇ(・・・・・)だろが!

 おれたちが居たのは、ロコロ(むら)ギルド支部(しぶ)地下一階(ちかいっかい)だぜ!?

 厨房迷宮(ダンジョン)(はい)ったのも、せいぜい夜半過(やはんす)ぎだったはず!?


「ビステッカー! どこだぁー!?――ニャァ♪」

 返事(へんじ)はなかった。

 岩場(いわば)(もり)半々(はんはん)の、(あた)りの様子(ようす)(うかが)っていたら――


 すっぽこ――こここここここここここここぉぉぉん♪

 とんでもない遅延(おくれ)(あと)――てちり!


「アナタの世界(せかい)のよりどころっ――――やっと見つけたぁ、シガミー()

 すっとぼけた(こえ)

 根菜さま(いおのはら)の、お出ましだ!


 リオに(あず)けていた、御神体(ごしんたい)が――

 おれの画面(モニタ)(なか)を、分け身(アイコン)姿(すがた)通り透け(・・・・)――

 この得体(えたい)の知れぬ場所(ばしょ)に、顕現した(・・・・)のだ。

 要らん(げい)も、(とき)場合(ばあい)によりけりだ――


「でかした根菜(こんさい)、良く来やがった! ビステッカが居ねぇ、(さが)すのを手伝(てつだ)え!――ニャァ♪」

 おれは根菜(そいつさま)を、引っつかんだ。


(なん)わよっ! うるさいわよっ! ハラペ子ちゃん(・・・・・・・)なら、向こうに(・・・・)居たわよん()

 とんでもなく、怪訝(けげん)(つら)をされた。

 ふぉん♪

『>>美の女神とは?』


「はぁ!? 向こうに居ただとぉぅ!?――ニャァ♪」

 おれと迅雷(じんらい)は、さっきまでビステッカと一緒(いっしょ)に居て、矢鱈(やたら)(はさみ)が付いた(やつ)に、立て(つづ)けに(おそ)われたんだが!?


「(聞いてるわよぉん。おっきな(かに)さんを獲った(・・・)んでしょ!? いますぐ、お見せ())」

 ソレを知ってるってこたぁ、ビステッカは本当(ほんとう)無事(ぶじ)ってことだなぁ。

 ふぅぃ――一安心(ひとあんしん)したぜ。


「(はい。そしてどうやら、ビステッカは本物(ほんもの)だったようです())」

 女神(めがみ)に引き(つづ)眷属(けんぞく)も、念話(ねんわ)使(つか)う。

 コントゥル家の母娘(おやこ)が居ないなら、其の(ほう)世話(せわ)がねぇ。

「(おう、そうしたらレトラはどうした?)」

 無事(ぶじ)か?


「(え? 眼鏡子(めがねこ)ちゃんは、ずっと(みんな)と居たけど())」

 ぬぅ、本物(ほんもの)のレトラは、ずっと(みんな)と居たようだな。

「(はい。姿(すがた)だけを封鎖空間(ふうさくうかん)に、利用された(・・・・・)だけのようです())」

 さっきまで得体(えたい)の知れぬ、穴蔵(あなぐら)に籠もってたから――

 吹き抜ける(かぜ)(ちょう)心地(ここち)よい。


「(はぐれたのわぁ、シガミーとハラペ子ちゃんと、フッカパパとルリーロちゃんだけよん())」

「(おっさんと奥方(おくがた)さまは、見つかったのか?)」

 真っ(さお)(そら)見上(みあ)げたら(すげ)(たけ)(ところ)を、羽根(はね)(なげ)(とり)が飛んでやがる。


「(二人(ふたり)無事(ぶじ)よん。あんたたちとのリンクが途絶(とだ)えてから、10(びょう)もしないうちに厨房(ちゅうぼう)に駆け込んできた())」

 てちてちてちてち。

 おっさんは奥方(ルリーロ)さまを、ちゃんと(おく)(とど)けてくれたようだぜ。


「(となると居ねぇのは、おにぎり(・・・・)だけか……)」

「(どこかで(やぶ)けてたとしても、(たまご)――セーブデータさえ回収出来(かいしゅうでき)れば、復旧可能(ふっきゅうかのう)())」

 よし、どうなることかと(おも)ったが――

 一先(ひとま)ず、どぅにかなりそぅだ。


「はい! ちょぉだい()

 画面(がめん)(なか)梅干し大(アイコンさま)が、(ちい)さな(てのひら)を突き出してきた。

「(はい! ちょぉだい())」

 ご丁寧(ていねい)に、おれの手の(なか)(やつ)までもが、(ちい)さな(てのひら)を突き出してきた。


(なに)をだぜ?」

 (なに)をだぜ?

「((かに)(はさみ)でしたら、収納魔法(しゅうのうまほう)の『取って置き食材』フォルダに入れてありま())」

 あー、蟹の鋏(そいつ)か。


「(オッケーッ())」

 おい、つまみ食いすんなよ!

 その(はさみ)わぁ迅雷(ジンライ)が〝(うま)(めし)にする算段(さんだん)〟を、付けてくれたからよ。

「(知ってるわよ。だからこうしてわざわざ、お(むか)えに来たんじゃないのさっ? バカわの? シガミーはバカわの())」

 うるせぇ。


 (よう)するに〝(かに)(はさみ)を揚げた(やつ)〟を食うために、飛んできたのか。

 五百乃大角(おまえさま)らしいぜ。


 ふぉん♪

『シガミー>それで結局、此処は何処だ?』

 もう一度(いちど)(あた)りを見渡(みわた)しながら確認(かくにん)する。

 ふぉん♪

『>>二つの月の位置から、大森林より1008㎞北上した場所であると思われます』

 そりゃ、随分(ずいぶん)(きた)だぜ。

 とおくの(そら)(やま)稜線近(りょうせんちか)くに――

 昼日中(ひるひなか)月々(つきづき)が、浮かんでる(・・・・・)


 けど、その(わり)にゃぁ、(さむ)くもなければ――

 (やま)(もり)(けわ)しくねぇ。

 それこそ、ガムラン(ちょう)(あた)りの、木々(きぎ)(まば)らな草原(そうげん)にしか見えん。


   §


(ちが)ったぜ!」

 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅららっらっ――――♪

 必死(ひっし)(はし)る、虎型ふ号(おれ)


「はイ、シガミー。ガムラン近郊(きンこう)草原(そうゲん)などデは、有りませンでした()

 ヴォヴォヴォオヴォゥゥゥンッ♪

 必死(ひっし)(うな)り、飛ぶ迅雷(ジンライ)


「そーわよ! 食材(しょくざい)の――宝庫(ほうこ)わよっ()

 ばかやろぅっ、食われちまうぞ(・・・・・・・)っ!

 ちゃんと、虎型ふ号(おれ)頭兜の中(・・・・)(はい)ってろやぁ!


 虎型(とらがた)(ごう)の、(あたま)の上。

 (おお)きな()(うえ)までは、満足(まんぞく)に手が(とど)かんので――

「(迅雷(ジンライ)ぃ――!)」


了解(りょウかい)しまシた――すぽん()

 ヴォヴォヴォヴォゥゥゥゥンッ♪

 迅雷(ジンライ)御神体(いおのはら)を、回収(かいしゅう)してくれた。


「「「「「「「ぐぅぎゃるぉぅわぉぉぅぅ――!」」」」」」」

 (すさ)まじい怒声(どせい)に、振り(かえ)れば――

 大口(おおぐち)(ひら)き、獲物(おれ)に食らいつかんとする――

 身の毛がよだつ姿(すがた)をした(やつ)らの――群れ。


 おれたちは、とんでもなくでかい、そいつら(・・・・)に――

 追い立てられていた!

 その姿形(すがたかたち)。あんなのに心当たり(・・・・)は、まるでねぇ。

 ガムラン(ちょう)でもレイド(むら)でも、ネネルド(むら)でも大森林(だいしんりん)でも――どこでも。


(すく)なくとも、日の本(・・・)にゃ居なかったぜ(・・・・・・)! あんな恐ろしい姿の奴(・・・・・・・)ぁああよぉぉぉっぅ!?」

 たまに狐狸妖怪(こりようかい)に、化かされること(・・・・・・・)(くらい)はあったが――

 彼処(ここ)まで(おぞ)ましい姿(なり)をした生き(もん)わぁ、そうそう居ねぇ。

 それこそ、〝ミノ太郎(たろう)〟くらいだぜ。


「いイえ。シガミーが生マれる、(ヤく)7200万年前(まんネんまえ)日本(にホん)にモ棲息(せいソく)していマし()

 (うそ)つけやぁ――!

「あんなでかくて厳つい鳥(・・・・・・・・)が、日の本(・・・)に居てたまるかってんだぜ!」

 ぽっきゅらぽっきゅらぽぽきゅららららららららっららららっぁぁぁ――――♪


「くっきゃぉるるるるるぁぁ――――!!!」

 先頭(せんとう)一匹目(いっぴきめ)が――ガチンと(きば)を鳴らす!


 それは、石竜子(とかげ)のような(つら)をした――

 (とり)(ある)く――いや、(はし)るときの姿勢(しせい)

 どったどどった、どどった、どっどっどったっ!

 その(からだ)(おお)きさで、追いかけ(まわ)されりゃぁ――


 ぽっきゅらぽっきゅらぽぽきゅらららららっ――――♪

 いくら虎型(とらがた)でも、追いつかれちまわぁ!

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