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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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666:厨房ダンジョン(裏)、虫と角と刀と牛と階段と扉

「さて、どっちへ行く?――ニャァ♪」

 おれたちは(うえ)から落ちてきたはずだが、その(わり)には――

 地面(じめん)(たい)らで、歯車一(はぐるまひと)つ落ちてねぇ。

 (うえ)見上(みあ)げるが、ヴォゥゥン♪

 (たか)天井(てんじょう)にも(あな)はなかった。


 ふぉん♪

『>>上空から落ちた際に、例のおにぎりの尻尾のような物が、我々を軟着陸させました』

 あの尻尾(しっぽ)鑑定結果(かんていけっか)は?

 ふぉん♪

『>>鑑定しようとすると狂ったように暴れ、逃げられました』

 すると、(おろ)ろしく(かん)の良い……辺境伯名代(ルリーロ)みたいな(むし)ってことか?

 ふぉん♪

『>>はい、現状その認識で良いかと。存在は謎ですが攻撃性はありませんので、害はないかと思われます』

 いや、攻撃性(こうげきせい)がないなら、ルリーロみたい(・・・・・・・)ではねぇーかぁ。

 ならまぁ、あの(むし)(ほう)っておけ。


「シガミーちゃんと会った通路(つうろ)が、最初(さいしょ)に居た厨房(ちゅうぼう)(おな)階層(かいそう)だとしたら――みんなはずーっと(うえ)に、居るのでしょう?――ニャァ♪」

「そうだな。一先(ひとま)ずは、(かべ)掘り進んで(・・・・・)階段(かいだん)を作るか――ニャァ♪」

 おれたちは縦穴(たてあな)(ふち)へ、ぽきゅぽきゅと(ある)いて行く。


「レトラちゃんや(みな)さんは、ご無事(ぶじ)なのかしら?――ニャァ♪」

正直(しょうじき)わからんなー。村長(そんちょう)(はぐ)れたら、やばい(・・・)ってことしか聞いてねぇしよぉ――ニャァ♪」

 画面(モニタ)(なか)の、子供(ビステッカ)(かお)(くも)る。

 いけねぇな、(わらし)不安(ふあん)にさせちまった。


「そウいえばビステッカ・アリゲッタ。貴方(あナた)はドうして村長(そんチょう)たチと、はぐレてしまったのですか()

 そうだな。此処(ここ)まで気を張りっぱなしで、肝心(かんじん)なことを聞いてなかったぜ。


「そ、それはその、倉庫(そうこ)の……厨房(ちゅうぼう)から見えた隣の倉庫(・・・・)の入り(ぐち)に、(めず)しい食材(しょくざい)発見(はっけん)したのでつい――ニャァ♪」

 画面(モニタ)(なか)(かお)が、(あか)くなった。


「食べ(もの)に釣られ、ふらフらと(はイ)り込ミ、はグれてしまったと()

 ビステッカが(うつ)し出された(わく)(すみ)が、チカチカ(ひか)るのは――

 迅雷(ジンライ)(はなし)をしている、ということを(しめ)している。


「そ、そういうことですわ! だ、だって一大(いちだい)穀倉地帯(こくそうちたい)である〝アリゲッタ辺境伯領(へんきょうはくりょう)〟でも、滅多(めった)にお目にかかれない希少(きしょう)な、お野菜(やさい)積んであった(・・・・・・)のですものっ!――ニャァ♪」

 いや(べつ)に、必死(ひっし)弁明(いいわけ)するほどのことではない。


「そういうことならぁ、(はぐ)れたのは、お(まえ)さんだけと見て、良さそうじゃね?――ニャァ♪」

 (じつ)に、ビステッカ(おまえさん)らしい理由(りゆう)だった。


「それなら良いのですけれど――ニャァ♪」

 やや安心(あんしん)した(かお)を、見せてくれたが――

 本当(ほんとう)だぜ。おれと出会(であ)えてなかったら――

 ふぉん♪

『>>はい、危険な目に遭っていたかも知れません』

 うむ――


「じゃぁ、(のぼ)るか。しっかりと付いて来いょおぅ――ニャァ♪」

 すぽん、すぽん、ごどん、すぽん♪

 おれは目分量(めぶんりょう)適当(てきとう)に、ぐねぐねとうねる岩肌(いわはだ)(あな)を開けていく。


 すぽん、すぽん、ごどん、すぽん♪

 階段型(かいだんがた)切り取るように(・・・・・・・)迅雷(ジンライ)収納(しゅうのう)すれば――

 何処(どこ)までも、岩壁の中を(・・・・・)(のぼ)っていける。

 途中(とちゅう)で、〝おにぎりの尻尾(・・・・・・・)(むし)〟が出てくるかと(おも)ったが――

 そんなこともなく――おれはビステッカに(たず)ねた。


「なぁ、さっき言ってた珍しい野菜(・・・・・)って、どんな(やつ)だぜ?――ニャァ♪」

 そんなに(めずら)しいなら料理番(りょうりばん)としちゃぁ、訊かずには居られない。


「〝オニオーン〟という丸々(まるまる)(ふと)った、お(ねぎ)ですわ♪――ニャァ♪」

 鬼怨(おにおん)だぁとぉ? (おそ)ろしい名の(ねぎ)だな?

 (ぼう)ギルド受付嬢(うけつけじょう)の、いつもギルド屋舎(おくしゃ)壊してる方(・・・・・)が、(おも)い浮かぶ。

 一本角(いっぽんつの)大剣(たいけん)背負(せお)った麗人(れいじん)(かお)は、何故(なぜ)(いか)(くる)っていた。

 おれは身震(みぶる)いして(あたま)(なか)から、鬼の娘(オルコトリア)を追い(はら)った。


 ヴォヴォゥン♪

『>>僧侶猪蟹の没後すぐ、日の本にも伝来した野菜です。茅野姫から預かった神域惑星収穫リストにも、記載されています』

 神域惑星(しんいき)でも採れた(・・・)なら、おれも(さわ)ったことくらい有るだろ?


(ふと)った(ねぎ)なぁ――あっ、包丁(ほうちょう)で切ると目に染みる奴(・・・・・・)か?――ニャァ♪」

「そう、それですわ! よくご(ぞん)じですのね?――ニャァ♪」

 アレ(・・)かぁ、薬味(やくみ)になるっていうんで、何度(なんど)使(つか)ったことがある。


「へへっ、おれぁ女神(めがみ)料理番(りょうりばん)だからな。それで、その鬼怨(おにおん)てのは、そんなに貴重(きちょう)なのか? 神域惑星(しんいき)でも獲れるぜ?――ニャァ♪」

 ぽきゅりと振り向き、言ってやる。


「そうですのっ!? でしたら(わたくし)、オニオーンを揚げたのを(・・・・・)一度(いちど)、食べてみたいですわ♪――ニャァ♪」

 合わせた両手(りょうて)(ほほ)に添え、ぽきゅりと跳ねる虎型ひ号(シシガニャン)は――

 相当(そうとう)気色(きしょく)(わる)かった。


「それでシたらば〝玉葱(オニオーン)(かニ)使(つカ)っタ揚げ料理(りょウり)〟ナどは、いかがでシょうか()

 揚げ(もの)だぁとぉぅ?


 ヴォォゥン♪

 画面(モニタ)(うつ)し出された、(わく)(なか)

 それは(かに)(はさみ)(ころも)を付け、揚げたような(・・・・・・)――

 一見(いっけん)(ざつ)料理(りょうり)


(かに)(はさみ)は焼くか(なべ)の、どっちにするかと、(おも)ってたんだが――(ちょう)うまそうだな!――ニャァ♪」

 (まさ)に打って付けだぜ!

 そうだな(もど)ったら、此奴(こいつ)(つく)るとするか。


 なになに、鬼怨(おにおん)(こま)かく(きざ)んで(かに)の身と――

 (うし)(ちち)(こな)を、混ぜ合わせる?

 見た目に(はん)して作り方(・・・)は、全然(ぜんぜん)雑じゃねぇ(・・・・・)な、

 うむ。しかも、(やさ)しい(あじ)がするらしい。


本当(ほんとう)、とってもおいしそうですわ♪――ニャァ♪」

 迅雷(ジンライ)同じ画面(・・・・)をビステッカにも、見せてやったのだろう。

 (こえ)(はず)んでいる。


 さて、(はなし)をしてたら――

 おにぎりが居た横穴辺りの高さまで(・・・・・・・・・)(のぼ)ってきた。


 ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォゥゥゥゥウゥゥゥン♪

「何だぜっ!?――ニャァ♪」


 ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォゥゥゥゥウゥゥゥン♪

「きゃぁぁぁぁっ!?――ニャァ♪」


 ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォゥゥゥゥウゥゥゥン♪

 (ひで)(うな)り。

 地鳴り(・・・)のようだが、どうもおかしい。


 ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォゥゥゥゥウゥゥゥン♪

 (おと)(うえ)から、降ってきてる(・・・・・・)

 おれは真上(うえ)に向かって――細長(ほそなが)大穴(あな)をあけた!


 あけた大穴(あな)天辺(てっぺん)が、パタリと開く(・・)

 (なか)から(あらわ)れた(とびら)(また)、パタリと開いた(・・・)

 その(とびら)が、パタパタパタと次々(つぎつぎ)(ひら)いていく。


 ヴォヴォパタタタ、ヴォヴォヴォッヴォッパッタパタパタパタパタパタタタタッ!

「「ぎゃぁぁぁぁっ!?――ニャァ♪」」

 おれたちは、(おそ)(おのの)いた!


 開く扉が(・・・・)、もの(すげ)(いきお)いで――

 落ちて来やがる(・・・・・・・)ぜっ!

「やべぇ、逃げろ!――ニャァ♪」

 階段(かいだん)を、駆け下りろやぁ!


「シガミーちゃん!――ニャァ♪」

 虎型ひ号(ビステッカ)に飛びつかれ、おれは盛大(せいだい)に――ぽぎゅむん♪

 素っ(ころ)んだ!

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