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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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651/744

651:厨房ダンジョン、海鮮の狼煙

 厨房(ちゅうぼう)(おお)い尽くす、(ねつ)のない(ほのお)

 狐火(きつねび)を知らぬ村人(むらびと)やロットリンデたちが、逃げ(まど)(なか)


 ガムラン町名物(リカルル・リ)ギルド受付嬢(・コントゥル)と、同じく名物メ(リオレイニア)イドの二人(・サキラテ)は――

 おれ三人分程度(さんにんぶんていど)近距離(ちかいまあい)で、対峙(たいじ)していた。


 こん、かららん♪

 折れた練習用魔法杖(ちいさなつえ)を、リオが投げ捨て――ォォォ♪


魚足齪疎(ゥォタセソ)良散(ヨォチ)(フォ)羅綺(ラァキ)卯熨(ゥーノ)差歩不磨(サフォフィマ)反畄弧雀鷂面忌(ソォルコヅミモォイ)み!」

 突然(とつぜん)経文(きょう)、いや――真言(マントラ)(ちか)いか?

 まるで聞いたことのねぇ、文言(もんごん)だが――

 (たしか)かに、(じゅつ)起こり(・・・)(かん)じたぞ。


「わっ、高速詠唱(はやじゅもん)!?」

 村長(ジューク)が、尻餅(しりもち)をついた。

「あら本当(ほんとう)(つたな)いですけれど、ちゃんとした詠唱魔法(スペルマジック)ですわ――さては貴方(あなた)宮廷魔導師(きゅうていまどうし)でしたのねっ♪」

 喜々(きき)として(とげ)の付いた鉄棒(つえ)(かま)える、悪逆ご令嬢(ロットリンデ)

 当然(とうぜん)だがリオレイニアは、宮廷魔導師(きゅうていまどうし)ではない。


(つえ)よ!」

 手にしていた、折れていない(ほう)魔法杖(つえ)を、(かる)く振るリオ。

 ぼごごごごぅわわっ――――ぶわぁぁぁあああっぁぁっ!

 (ふく)れ上がっていた蒼白(あおじろ)(ほのお)が、一斉(いっせい)に揺らぐ。


「コォォォォオン♪」

 ――――ィィイィィィィィイィィィィインッ!

 (うな)るリカルルの眼光(がんこう)空中(ちゅう)を薙ぐ視線(ひかり)煌めき(・・・・)――――ばっがぁぁあぁぁんっ!!

 爆発(ばくはつ)する狐火(きつねび)

 (なが)れた一条(ひとすじ)導火線(どうかせん)は、コントゥル母娘(おやこ)使(つか)う〝狐火(ウィルオ)・仙花(ーウィスプ)〟。

 五穀豊穣(ごこくほうじょう)(かみ)眷属(けんぞく)としての、血筋(ちすじ)由来(ゆらい)する(ちから)だ。


 ヴァチヴァチィッ――

 噴煙(ふんえん)に見え(かく)れするのは、光の紋様(ひかりのたて)

『<MAGIC・SHIELD>――ピッ♪』

 ――ガラランッ!

 投げ捨てられる、どこかから取り出された(ぼん)

 画面(がめん)表示(ひょうじ)された〝発動(はつどう)した魔法(まほう)をあらわす文字(もじ)〟も、一緒(いっしょ)(ゆか)に落ちた。


「わわっ!? 方陣記述魔法(ピクトペンマジック)が――爆発(ばくはつ)したっ!?」

 起き上がった村長(そんちょう)が、また尻餅(しりもち)をついた。

爆発魔法(ばくはつまほう)!? この(わたくし)の目の(まえ)で、爆発魔法(ばくはつまほう)ですってぇぇぇぇっ!?」

 開いた(くち)(ふさ)がらない様子(ようす)の、ご令嬢(れいじょう)

 (ふたた)(ゆか)に突き刺さる鉄棒(つえ)――ゴガッビギッガゴン!


(ほのお)を!」

 眼前(がんぜん)仕えるべき主人(ケンカあいて)へ向かって、(おお)きく振られる、リオの練習用(れんしゅうよう)魔法杖(まほうつえ)

 ――――ぅごごごごぉうぼぼぼぼぼぼわぅ♪

 狐火(きつねび)がシュルシュルと、湧き出たのとは逆向(ぎゃくむ)きに(もど)っていく。


「んなっ――なんですのっ、ここここここ、コォォン!?」

 ぼふっしゅる、ぼぼっしゅふる!

 狐火(きつねび)湧き(・・)が、(すこぶ)(わり)ぃ。

 すっかり(ちい)さくなった(ほのお)が――――ごぉぅわぁぁ、しゅるぽん♪

 リカルルの(くち)に、吸い込まれてしまった。


「んごひゅぅっ!? けほこほけへかはっ――!」

 (くち)から白煙(はくえん)を吐き、(くず)れ落ちるリカルル。


(なん)だぜ(いま)の?」

 (つえ)一本(いっぽん)、折ったと(おも)ったら――狐火(きつねび)をリカルルに、突き(かえ)しちまったぞ。

「わかりマせん。(おソ)ろシく高度(こウど)ナ、高等魔術(こうとうマじゅつ)(おモ)わレます()

 うぅむむぅ。(のろ)(がえ)しとか、術の反動(さかなぎ)を起こさせるような魔術(まじゅつ)だぜ。


 つまり坊主(おれ)の、領分(りょうぶん)じゃぁねぇ。

 間違(まちが)いなく、奥方さま(ルリーロ)領分(りょうぶん)だ。

 鉄鍋(なべ)に籠もったりしてなけりゃ、(くわ)しい(はなし)くらい聞けたんだが。


 ふぉん♪

『>>シガミー、いまは目の前の敵に、集中しましょう』

 そうだったな。


   §


「ウケケケッケッ――――よくぞ此処(ここ)まで辿(たど)り着いたわよ。ほめてやろぉ()

 ちょっと目を(はな)した(すき)に、女神の姿の浮かぶ球(いおのはら)が――

 (つの)を生やし甲冑(かっちゅう)着込(きこ)み、矢鱈(やたら)となびく外套(がいとう)を、身に(まと)ってやがった。

 知ってる、あの格好(かっこう)は――魔王という生き物の姿(・・・・・・・・・・)だ。

 魔王(まおう)(しろ)(かざ)られてた城主(じょうしゅ)姿絵(すがたえ)に、とても良く似ている。


「ににににるるるるぎ!?」

 ちなみに本体(ほんたい)は、『Θ(けもののめ)』をしたファロコに(つか)まったままだ。

(こわ)(こわ)い、目が(こわ)ぁい()

 (イイスタァエッグ)に抱きついたまま手で、(さかしま)にして振ってみたりされてる。


(なん)真似(まね)だぜ?」

 おれは正面(しょうめん)から、じりじりと。

 迅雷(ジンライ)は――ヴォヴォゥン♪

 (ゆか)すれすれを、すべるように飛んでいく。


(なに)って、この格好(かっこう)ですることなんてぇ――()っるいことに、決まってるじゃんかぁよぉ()

 ヴォヴォゥゥンッ――――♪

 魔王女神さま(・・・・・・)が――ヴッ♪

 (あら)たな(たま)を、取り出した。


 くるくるくるるると、空中(ちゅう)(ただよ)浮かぶ球(・・・・)――『Σ(゜ロ゜(カシャッ♪))』

 (それ)には目鼻口(めはなくち)に見える突起(とっき)(へこ)みが有り、まるで(おどろ)いたような(かお)をしていた。

 ヴュッパパパァァッ――――♪

 (それ)(おお)(かく)すように、(ひと)のサイズの五百乃大角(いおのはら)姿(すがた)(あらわ)れていく。

 それはまるで、央都(おうと)各地(かくち)設置(せっち)されている女神像(めがみぞう)のようで。


(いた)(いた)い、(はな)してー()

 魔王(まおう)(うし)ろから、女神(めがみ)首根(くびね)っこを押さえつけた。

「グゥフェフェフェッ()

 魔王(まおう)(ほう)(ある)(つら)をしていて、五百乃大角(いおのはら)内面(ないめん)をよく(あらわ)せている。

 もちろん、どちらも中身(なかみ)五百乃大角(いおのはら)だが。


 ふぉん♪

『>>イオノファラー本体は、身動きが取れないようです。もう少し近づけば、ファロコから奪還出来そうです』

 木箱(きばこ)背後(はいご)(まわ)り込む迅雷(ジンライ)


 浮かぶ(たま)は、ニゲルが二個(にこ)、取っ(つか)まえてくれたから――

 魔王姿(まおうすがた)の浮かぶ(たま)が、最後(さいご)一個(いっこ)だったはず。


 ふぉん♪

『シガミー>>浮かぶ球の作り置きなんて、有ったか?』

 ふぉん♪

『>>安全改良型は、あの一個で最後です』

 だよなぁ。


 ふぉん♪

『マオウファラー>>そのとおりだぁぁ。あと残ってるのは全部、改良前の〝爆発しちゃう奴〟だぁぁ。それが42個もあるのだぁぁ? それがどういうことか、おかわりだろぉ? グゥフェフェフェッ!』

 ちっ、内緒話(『>>』)五百乃大角(いおのはら)相手(あいて)じゃ、全部筒抜(ぜんぶつつぬ)けだ!


 マオウファラーの袖口(そでぐち)から――ガシャバシャリッ!

 橙色(だいだいいろ)(ちい)さな(いた)が、飛び出した。

 (なん)だあの(いた)(あな)が空いて(つか)のようになった(ところ)(にぎ)ってるぞ?


 ふぉん♪

『>>樹脂製のセミオートマティックコンパクトピストルです。【地球大百科事典】によるなら、2218年製造〝FLAMEPADーO〟。口径は・380ACP。トリガーガードレーザー付きで装弾数は6+1発。2・5インチバレルで重量は194グラム』

 (おそ)ろしく寸足(すんた)らずだが、立派(りっぱ)武器(ぶき)ってことだな。

 板ぺら(そいつ)(はし)から、おれたちが使(つか)耳栓(みみせん)のような赤光(ひかり)(きら)めき――

 女神(めがみ)(みみ)(あた)りに、(ねら)いを付けた。


 ふぉん♪

『>>やい惡神! 召喚の塔を吹っ飛ばした〝浮かぶ球〟を、大筒がわりに使おうってぇのかぁ!?』

 そんなことになったら、ロコロ(むら)壊滅(かいめつ)する。


 ふぉん♪

『メガミファラー>>私のことは気にせず、マオウファラーの指示に従って下さい!』

 やかましぃ!


 ヴォヴォヴォゥゥゥン♪

 奇襲(きしゅう)(あきら)めた空飛(そらと)(ぼう)が、(もど)ってきた。


 ふぉん♪

『>>シガミー、私を耳の後ろに当てて下さい』

 はぁ? やれというなら、やる。

 やらんと、今世(らいせ)まで終わっちまう。


 <<しがみー、きこぇますか?>>

 なんだ!? (こえ)が聞こえたが――(あたま)(なか)で、聞こえているような。

 それはまるで、(にせ)迅雷(ジンライ)のようで――お(まえ)(にせ)迅雷(ジンライ)か?


 <<INTTRTT01じんらぃです。にせではぁりません>>

 なんだか面妖(めんよう)(こえ)だぜ。

 <<このこぇは、シガミーのほねをゅらしてったぇてぃます。ぬすみぎきされるしんぱぃはぁりません>>

 なら(たす)かるぜ。

 おれの念話(こえ)さえ(しぼ)っておけば、内緒話(ないしょばなし)出来(でき)る。


 どうする?

 あの野郎(いおのはら)は、大爆発(だいばくはつ)する浮かぶ球(・・・・)(たて)に、押し切るつもりだぜ?


 <<しんぱぃぃりません。ぉにぎりのしゅぅのぅまほぅぐほどではぁりませんが、しんぃきわくせぃでとれたたしゅたょうなしょくざぃがぁります>>

 なるほど。

 お(あつら)え向きに、此処(ここ)厨房(ちゅうぼう)だって(わけ)だな♪


 <<はぃ、そぅぃぅことです>>

 おにぎりが居ねぇのが悔やまれるが、迅雷(ジンライ)収納魔法(しゅうのうまほう)にも、そこそこの(りょう)食材(しょくざい)を――

 日々(ひび)溜め込んできた(・・・・・・・)


 おれは(かまど)に火を入れる――「ひのたまぁ!」

 ぼわぁ、パチパチパチッ!


 じゃぁまずは――あ、此奴(こいつ)が有ったな!

 (あら)い場の(した)(さぐ)り、(ざる)を取り出した。

 (なか)には、血抜き(・・・)をしておいた――


 <<むらのたきでとれたさかなですか、それはじっにぅってっけです。ぃぉのふぁらーのしゅぅちゅぅをみだしてゃりましょぅ>>

 (ふる)える迅雷(ジンライ)が、くすぐってぇ。


「しかし、(うみ)(もの)だか(かわ)(もの)だか、わからんな」

 大森林(だいしんりん)(うみ)はないが――

「シガミーちゃん……ひそひそ……(なに)やってるの?」

「イオ……ルガレイニア先生(せんせい)が……ひそひそ……(たたか)っていますのに――おいしそうな、お(さかな)ですわね♪」

 子供(こども)らが、寄ってきた。


 おれは一匹(いっぴき)、まな(いた)(うえ)に乗せる。

 うむ。(とぼ)けた面構(つらがま)えをしてやがるぜ。

 神域(しんいき)で捕れた巨大魚(でかいやつ)に、似てなくもねぇが――なんて(さかな)だぜ?


 しめしめうっひっひ――チーン♪

 ぽこん♪

『超特選森林木魚【中】

 大森林全域で捕れる、回遊魚。

 煮て良し焼いて良しの、海水魚。

 但し味が淡泊すぎるため、生食には適さない』


(うみ)(もの)だったか」

「このお(さかな)、木の(なか)を流れてた()で見たよね」

「ええ、大事(だいじ)制服(せいふく)塩臭(しおくさ)くなってしまって、(こま)りましたわ♪」

 (こま)りましたわと言う(わり)に、その目は――(さかな)釘付(くぎづ)けだ。


 (さかな)(はら)を裂き、(わた)を取る。

 (しお)をまぶして、(くし)に刺した。


「じゃぁ、お(まえ)手伝(てつだ)ってくれや」

「よろしくてよ♪」「はぁい♪」

 おれは、(さかな)を焼き(はじ)めた。


「シガミーちゃん。おいしそうな(にお)いですわね♪」

 そうだろぅ。迅雷(ジンライ)(なか)には食材(しょくざい)だけでなく、日の(もと)調味料(ちょうみりょう)薬味(やくみ)(そろ)ってる。


 子供(こども)らが(なら)べた(さら)に、焼けた(さかな)を乗せ――

 醤油(しょうゆ)を、ひと垂らし――じゅっ♪


「さぁ(みんな)! どんどん食ってくれやぁ! どんどん焼くぞぉ!」

 早速(さっそく)、ビステッカが(せき)に着いた。


 ふぉん♪

『マオウファラー>>あれ? 魔王の分は?』

 ふぉん♪

『メガミファラー>>あれ? 女神の分は?』

 ふぉふぉん♪

『イオノ>>あれ? あたくしさまの分は?』


 ふぉん♪

『シガミー>>惡神さまの分はありません』


「ぎゅぎゅぎゅるー?」

 ファロコの爛々(らんらん)とした視線(ΘΘ)が、調理台(ちょうりだい)(うえ)の焼き(ざかな)に突き刺さる。

「ぐきゅきゅるるー♪」

 そしてその手(ファロコ)につかまれた御神体(ごしんたい)さまからは、盛大(せいだい)(はら)(むし)(かな)でられた。

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