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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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643/744

643:冒険者ギルド大森林観測村支部、最凶と最強と約500倍

「あら? そのお(かお)、どこかで……見覚(みおぼえ)えがありましてよ?」

 こと、不遜(ふそん)なわりには(はなし)が分かるガムラン代表(だいひょう)名物(めいぶつ)受付嬢(うけつけじょう)

 オォォッ――その目に、屋内(おくない)では見えないはずの、(つき)(ひかり)が見え(かく)れしている。

 抜けない聖剣(せいけん)を、無理矢理(むりやり)へし折り――

 魔王(まおう)という生き(もの)力業(ちからわざ)淘汰(とうた)せしめた、当世最凶(とうせさいきょう)のご令嬢(れいじょう)である。


「そのドレスとっても、素敵(すてき)ざますわね?」

 (かた)悪逆非道(あくぎゃくひどう)(おそ)れられたという、希代(きだい)吸血鬼(きゅうけつき)ロットリンデ。

 女将(おかみ)さんの態度(たいど)から、〝似てる〟と(ほの)めかされ――

 いざ会ってみれば、魔物境界線(ガムラン)代表以上(だいひょういじょう)の跳ねっ(かえ)り。

 絵本(えほん)『けいこくのまもの』でも、うたわれる(ほど)悪女(あくじょ)である。


「そんな新旧世代(しんきゅうせだい)における、最凶同士(さいきょうどうし)。そんな二人(ふたり)視線(しせん)が、バチバチと(から)み合っっているっう――♪」

 ばかやろぅめ! さっきの(こえ)が、令嬢(れいじょう)たちの(あいだ)を飛ぶ火花(ひばな)に――

 (あぶら)(そそ)ぐような言葉(ことば)を、投げつけていく。

 ざわつく会場(かいじょう)


 あの(こえ)(たし)か、ガムラン(ちょう)のギルド職員(しょくいん)だろ。

 やはり壇上(だんじょう)に、姿(すがた)は見えんがぁ? 


 狐火(きつねび)仙花(せんか)狐火(きつねび)月輪(がちりん)、そして色鮮(いろあざ)やかな爆発魔法(ばくはつまほう)

 どっちも〝火の気(・・・)〟、持ちの令嬢(れいじょう)だ。

 その二人(ふたり)相手(あいて)に良くやるな、彼奴(あいつ)

 ある意味(いみ)尊敬(そんけい)するが……阿呆(あほう)だぜ。


 ふぉん♪

『>>女神像の起動に成功しました』

 お(まえ)一言(ひとこと)、言ってからにしろやぁ。

 ふぉん♪

『ロォグ>>転移扉の設置も完了にゃぁ♪』

 あーもー、ご苦労様(くろうさま)です。


「おぉーっとぉ! 両者一歩(りょうしゃいっぽ)(うご)かず、見つめ合っているぅー♪ どちらも相手(あいて)出方(でかた)(うかが)っているのでしょぅかぁ――えっ? どうしましたか、解説(かいせつ)のリオレイニアさん――あれっ、あのちょっと腕を引っ張らないで――ドコへ行くんですか、(わたし)にはこの世紀(せいき)のベストバウトの結末(けつまつ)見届(みとど)けるとい――ぐっふぉぅわっ――ガチャララララン、ゴガッ、ドサッ!!」

 壇上(だんじょう)に、リオの姿(すがた)が無ぇ。

 どうやらご令嬢たちの、直接対決(・・・・)は――

 彼女(リオレイニア)承諾(しょうだく)した(うえ)での、出し物(・・・)ではなかったらしい。


   §


「ロットリンデちゃぁん、ハウスよぉ――?」

 ぽきぽきと(ゆび)を鳴らす、女将(おかみ)さんの母上(ははうえ)、コッヘル商会(しょうかい)商会長(しょうかいちょう)

 ドレスの(した)から――ゴガチャンッ♪

 折りたたまれた鉄の棒(まほうつえ)を落とす、大森林(ロットリンデ)村最(・ナァク・)凶令嬢(ルシランツェル)

 両手(りょうて)を挙げた、その(かお)戦意(せんい)がないのは見て取れた。


「リカルルちゃんもぉー、ケンカしちゃ、だぁめぇでぇすぅかあらぁねぇぇっ?」

 母狐(ルリーロ)扇子(せんす)を、ピシリと突付(つきつ)けられ――

 (たしな)められる、魔物境界線(リカルル・リ)最凶令嬢(・コントゥル)


「わ、わかっておりますわ。もう子供(こども)ではありませんもの――フン!」

 いつも(こし)に下げている細身(ほそみ)長剣(ちょうけん)とは(ちが)う、(ちい)さな(けん)

 それに伸ばしていた手を、引っ込める子狐(こぎつね)

 手の(こう)必死(ひっし)にさする彼女(かのじょ)目尻(めじり)に、(なみだ)が浮かんでいる。


(もう)(おく)れました。(わたくし)、コッヘル商会(しょうかい)代表(だいひょう)をしております、ティーナ・コッヘルです」

 (おと)も立てずに壇上中央(だんじょうちゅうおう)(すす)み出る、大森林最強(ティーナ・コッヘル)


「ぎゃっ――――まさかっ、魔導(まどう)アーツ開祖(かいそ)!? なんでココに!?」

 辺境伯夫人(へんきょうはくふじん)にして、元魔導騎士団(もとまどうきしだん)総大将(そうだいしょう)

 前世(ぜんせ)では五穀豊穣の神(・・・・・・)眷属(けんぞく)で有り、(ぞく)に言う化け狐(・・・)有名(ゆうめい)な――

 妖弧(ようこ)ルリーロ・イナリィ(・・・・)・コントゥル。

 前世(ぜんせ)でも今世(こんせ)でも、相当(そうとう)手練(てだ)れだ。

 その(かお)が、困惑(こんわく)(ゆが)んでる?


 どうも女将(おかみ)さんの母上(ははうえ)と、ウチの名代(みょうだい)顔見知(かおみし)りらしい。


 迅雷(ジンライ)――ふぉん♪

『>>なんでしょう、シガミー』

 (いま)まで極力(きょくりょく)直接関(ちょくせつかか)わらずに来たが――

 今後(こんご)は、あの商会長(しょうかいちょう)さまとわぁ、全力(ぜんりょく)(あいだ)を置くぞ。

 あの妖弧(ルリーロ)に、あの(かお)をさせる相手(あいて)なんて――相当(そうとう)にやべぇ。


 ふぉん♪

『>>はい。彼女が妖弧ルリーロと同等の戦力を有している場合において、我々ガムランサイドは大森林サイドに優位を取れません』

 まさかの、ガムラン町全部入り(・・・・・・・・・)で負けるとか。

 しかも大森林(ここ)には、森の主(ファローモ)までいる。


 央都(おうと)との(とびら)さえ(つな)がりゃ、どうとでもなると――

 (たか)(くく)っていた自分(じぶん)を、(しか)りつけてやりてぇ。


   §


 すっぽこ――ここここぉぉん♪

 もの(すご)時間(じかん)が掛かってるが――てちり。

 何処(どこ)かから、おれの(あたま)(うえ)に飛んでくる(げい)は――

 ちゃんと使(つか)えるようだな。


五百乃大角(いおのはら)め、(あぶ)ねぇから――どっかで(あそ)んでろやぁ」

 根菜(こんさい)間違(まちが)って、(した)ごしらえしちまいそうで、(こえ)ぇ。


 ふぉん♪

『イオノ>今こそ料理人としての腕の見せ所じゃない、やったねシガミー♪』

 やかましい。お(まえ)さまは(めし)が、食いてえだけだろうが。

 ふぉん♪

『シガミー>言われなくても、やらいでか。そもそも、おれたちは此処へ商談に来たんだからな』


 ったくよぉ。

 寝起(ねお)きに、厨房から(・・・・)(つく)らせやがって。

 それでも、見たことのない食材(ねた)(つぎ)から(つぎ)へと(はこ)び込まれて来るから――

 大宴会(だいえんかい)(した)ごしらえにも、(ねつ)(はい)るぜ♪


料理番(りょうりばん)さまぁ、持ってきやしたぁ♪」

 来たな、盗賊(とうぞく)のおっさん。

 此奴(こいつ)は見た目とは裏腹(うらはら)真面目(まじめ)仕事(しごと)をしてくれるし、中々(なかなか)業物(わざもの)(こし)に下げてやがるから――

 中々(なかなか)面白(おもしろ)(やつ)だ。無理(むり)仲良(なかよ)くなろうとまでは(おも)わねぇが。


「あっしもっでっさぁぁっ――――どごすすぅん!」

 そんな(やつ)が持ち込んできたのは、木箱(きばこ)(はい)った立派(りっぱ)(たまご)だった。


「こらバクチッ、食材(しょくざい)大事(だいじ)(あつ)いなっ!」

 女将(おかみ)さんの怒鳴(どな)(ごえ)に――「あっしもでさぁー!」

 そそくさと逃げていってしまう、盗賊(とうぞく)バクチ。


 普通(ふつう)二首大鷲(ふたくびおおわし)(たまご)の、ざっと――何倍(なんばい)ある迅雷(ジンライ)

 ふぉん♪

『>約500倍ほどですが』


「ふむ。こいつぁ、茶碗蒸(ちゃわんむし)しにでもするかぁ♪」

「シガミー、こレは――それどコろでは、ないのデは!?()

 わかってらぁ、冗談だぜ(・・・・)


「あっ、ソレは食べ物じゃないよ(・・・・・・・・)っ……な、ないのじゃ!」

 ジューク村長(そんちょう)が、(あわ)てて駆け込んできた。

「ああ知ってる。こいつぁ、間違(まちが)いねぇ――」

 巨木(きょぼく)木龍(きりゅう)の――


「これはたぶん、ファロコの弟妹(きょうだい)だと(おも)うよ……(まえ)に見たことがあるのじゃ、ふぉっふぉっふぉぉ♪」

 は?

「いやこいつぁ、木龍(きりゅう)(たね)だぜ!?」


「なんだなんだ?」「うぇーい?」「どしたどした?」

「ぎゅぎゅぎゅりゅぎぃ?」

 わいわいわいわい、がやがやがやがや!

 居合(いあ)わせたガムラン(ぜい)と、大森林勢(だいしんりんぜい)(あいだ)緊張(きんちょう)(はし)る。


対魔王結界(たいまおうけっかい)がない以上(いじょう)、このままにしてはおけませんねぇ、クスクス()


「にゃにゃやーん♪」

 ふぉん♪

『>森域結界の中でなら、ユグドラシルを使うことは可能ニャァ♪」


(いま)すぐ封印(ふういん)すれば、予定(よてい)時刻(じこく)夜会(やかい)(はじ)められますわ♪」


 手伝(てつだ)ってくれてた、女将(おかみ)さんだけじゃなく――

 茅野姫(カヤノヒメ)にロォグに、ビステッカなんかまで居やがった。


「ふぅ、でしたら上級鑑定(じょうきゅうかんてい)すれば、一目瞭然(いちもくりょうぜん)でしょう、シガミー」

 リオレイニアが、(たまご)(まも)二股角娘(ファロコ)(あゆ)み寄る。


「ああもう、しめしめうっひっひ♪」

 まてまて、手を出すと(かじ)られるぞ。

 チーン♪

 おれは巨木(きょぼく)木龍(きりゅう)(たまご)を、値踏(ねぶ)みする。


 ふぉふぉん♪

『イースターエッグ/

 生体ベースの魔導回路を内包した、疑似生態系。

 開封すると中身が生成される。それまで中身は存在しない。』


「わからん。こいつぁ(なん)だぜ、迅雷(ジンライ)?」

 ふぉん♪

『>>全アイテム一覧に該当が一件有りました。〝食料・食材カテゴリ〟以外なのでイオノファラーによる、更なる開示が必要です』

 (なん)だと、其奴(そいつ)(いま)すぐ寄越(よこ)せやぁ、五百乃大角(いおのはら)


「ウケケケケッウケケケッケケケケケケケケェッケケッ――――♪」

 妖怪(ようかい)美の女神(いおのはら)(わら)(ごえ)が、真新(まあたら)しい厨房(ちゅうぼう)木霊(こだま)した。

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