表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

637/744

637:御神体修復作戦、大復活!?

「とてつもなく(たよ)りないですけれど――くすくす、うふふ♪」

 とはコッヘル商会(しょうかい)商会長(しょうかいちょう)

「――はい。(ほか)に手だてがある(わけ)でもないので、良しとしましょう、ププークス()

 とは猪蟹屋(ししがにや)営利担当兼(えいりたんとうけん)星神(ほしがみ)さま。


 言ってることは(ただ)しいが、やめろ。

 下卑(げび)(つら)特撃型改(シシガニャン)(うし)姿(すがた)を、(あな)が空く程見(ほどみ)つめるんじゃねぇやい。

 (なに)(かんが)えてるのかはわからんが十中八九(じゅっちゅうはっく)金儲(かねもう)けの算段(さんだん)に決まってるだろうが。

 お(まえ)さま(がた)(つる)ませとくと、(あと)(こえ)え気がする。

 おれはさりげなく、守銭奴二人(しゅせんどふたり)(あいだ)に割り込んだ。


   §


「さて、使(つか)いに出して、早二日(はやふつか)。おれの(あたま)(ほとん)(もと)(もど)った(わけ)だが――」

「そうですね、では(わたし)最後(さいご)蜂納(はちおさ)めを――ヴヴヴヴッヴヴヴヴヴヴヴヴウヴヴヴヴッ♪」

 (くつ)(かかと)床板(ゆかいた)(はげ)しく打ち付け、満足(まんぞく)した様子(ようす)のルガレイニア。

 (こえ)ぇ。(はち)(かお)侍女(じじょ)給仕服(メイドふく)(ひるがえ)し、くるくると華麗(かれい)(まわ)りながら寄って来た。


 眼鏡(めがね)(かたち)(いろ)が、ルガ(ばち)彷彿(ほうふつ)とさせるソレから――ヴュゥン♪

 (もと)細工(さいく)(こま)やかで、上品(じょうひん)色味(いろみ)姿形(かたち)を変えた。


 ここ二日(ふつか)は、大森林(だいしんりん)(めず)しい魔物(まもの)を狩ったり――

 村入(むらい)(ぐち)の裂けた坂道(さかみち)の、修繕(しゅうぜん)手伝(てつだ)ったり――

 この近辺(きんぺん)で採れる、(めずら)しい(きのこ)(はなし)(くわ)しく聞いたり――

 本来(ほんらい)目的(もくてき)だった、商談(しょうだん)(はなし)なんかをして過ごし――

 何事(なにごと)もなく、とても有意義(ゆういぎ)時間(じかん)を過ごした。


「おれの(かみ)と、リオの眼鏡(めがね)(なん)関係(かんけい)があるんだぜ?」

「言っていませんでしたか?」

 (はち)じゃなくても、彼女(リオ)練習用(れっbしゅう)魔法杖(ようまほうつえ)という、強力(きょうりょく)毒針(どくばり)を持っている。


「聞いてねぇ……でごぜぇますわよが?」

「ふぅ、あのフカフ村特有(むらとくゆう)のヘアスタイルは、凶悪(きょうあく)です。(わたくし)のような、か(よわ)(もの)にはとても正視出来(せいしでき)ませんでした――(とく)にシガミーの(まる)(あたま)はもう、ぶふふふふふふふぉっ――(いた)っ!」

 (からだ)を折り曲げ、(ちか)くの(はしら)頭突(ずつ)きをくれる、我がパーティーメンバー。


「うるせぇでごぜぇますわよぜ。リオも、とてもか弱き者(・・・・)には、見えんだろうがよぜわ――」

 言葉遣(ことばづか)いを日々正(ひびただ)されてはいるが、悪態(あくたい)くらいは()――!

「ふぅ、その対処(たいしょ)眼鏡(めがね)遮光機能(サングラス)の、〝光学(こうがく)フィルタオプション〟というものを使用(しよう)していました」

 彼女(リオ)が持つ特異技能(とくいぎのう)、サキラテ家の隠形(おんぎょう)(じゅつ)

 それは、こんな至近距離(めとはなのさき)でも効くらしい。


「いででで、ほっへはをつまむんひゃへーひゃぃ――――おれぁ、そんな仕組(しく)みは付けとらんぞ?」

 ふぅぃ、やっと(ゆび)(はな)してくれたぜ。

暗視モード(ナイトビジョン)などの使用説明(しようせつめい)(なか)に、使(つか)(かた)が書いてありましたよ? なんでも(つよ)(ひかり)遮蔽(しゃへい)する(さい)仕組み(・・・)使(つか)って特定(とくてい)(かたち)を、(くら)く塗りつぶして見せてくれるとかで」


「じゃぁ、いままでおれの(あたま)は、塗りつぶされていたって(わけ)か?」

 それはそれで、面白(おもしれ)ぇ気もするが――

「はい。もうほとんど消えかかってましたけど、クスクス♪」

 まだ(すこ)毛先(けさき)が跳ねまくる、おれの(あたま)(やさ)しく撫でられた。


「じゃあ、ロコロ村(こっち)に来てるフカフ(むら)村民(れんちゅう)は、いまも(くら)く見えてるのか?」

 その手を押しのけながら、やや(ほころ)口元(くちもと)見上(みあ)げた。


「いえ、(かれ)らに(たい)しては見ているうちに見慣(みな)れたというか、とても似合っている(・・・・・・)ように(かん)じられて、(なん)とか克服出来(こくふくでき)たので、今朝(けさ)からは普通(ふつう)髪型(かみがた)が見えていました」


「ふぅん。じゃぁ本当(ほんとう)に、おれだけ(とく)面白(おもしろ)かったのか」

 何だか、それは……(うれ)しくないこともないような気がしたけど。


 最強(さいきょう)生活魔法使(せいかつまほうつか)い、蜂のお化け(ルガレイニア)退治(たいじ)するには――

 面白(おもしれ)(かお)で、(かぶ)いた(げい)(ひと)つで事足(ことた)りる。


 なんて、(ほか)(やつ)らに知られたら――

 冒険者(ぼうけんしゃ)パーティーシガミー御一行様(ごいっこうさま)猪蟹屋一味(ししがにやいちみ)の、防衛(ぼうえい)(かなめ)(くず)れるぞ。

 五百乃大角(いおのはら)(なお)ったら、相談(そうだん)しねぇといけねぇかもな。


 ちなみに商談(しょうだん)内容(ないよう)はと言えば、フカフ村名産品(むらめいさんひん)猪蟹屋製品(ししがにやせいひん)との物々交換(ぶつぶつこうかん)

 そして女神像設置並(めがみぞうせっちなら)びに、央都(おうと)への直通(ちょくつう)転移扉(てんいとびら)設置(せっち)(たい)する報酬(ほうしゅう)は――

 名店(めいてん)ロットリンテールのガムラン町支店(ちょうしてん)出店(しゅってん)という(あん)に、まとまりつつある。

 なんせ、あの高級店(みせ)菓子(かし)に、ウチの姫さん(リカルル)大層(たいそう)、ご執心(しゅうしん)だからな。


「みゃにゃぎゃにゃにゃやー()

 「うるせぇな」と、(こえ)がした(ほう)見上(みあ)げたら――

「ひっひひひぃぃぃん?」

 颯爽(さっそう)(うま)(また)がり、(おお)きな木の(みき)垂直(すいちょく)に駆け(のぼ)る、おにぎり騎馬(きば)を――

 追いかける特撃型改(シシガニャン)たちが、目に(はい)った。


(てん)ぷら(ごう)が居るってこたぁ――(かえ)ってきたのかっ!?」

 おれたちは寝床代(ねどこが)わりに借りた集会所(しゅうかいじょ)を、飛び出した。


   §


「あっ、ござる(・・・)来た! ちゃんと持って(かえ)ってこれたよ♪」

 満面(まんめん)()み。(かじ)(ぐせ)迷子癖(まいごぐせ)なんかは、あるものの――

 心根(こころね)(やさ)しいんだと(おも)う。

 家族(かぞく)らしい、悪逆令嬢(ゲスロットリンデ)村長(ジューク)二人(ふたり)人柄(ひとがら)が……超偲(ちょうしの)ばれるぜ。


「「ござる♪」」

 休憩所(きゅうけいじょ)(まわ)りは、(はや)くも(ひと)だかりで一杯(いっぱい)だった。

「「「「「「ござるだっ♪」」」」」」

 やかましい。いつの間にか〝ござる目付(めつけ)〟が増えてやがるぜ。

 邪魔(じゃま)だから、あんまり(あつ)まってくれるなよ。


「おう、ござる(・・・)じゃなくてシガミーだぞ。良く(もど)ってきたが――随分(ずいぶん)時間(じかん)が掛かったもんだ――ぐはっ!?」

「ぎぎるにー!」

 食らいつくように、抱きつかれた!


   §


 休憩所(きゅうけいじょ)大机(おおづくえ)(うえ)にドカリと荷物(にもつ)を置いた、特撃型改(とくげきがた)16(ばん)(はし)り去っていく。

 見たことのねぇ、もの(すご)(いろ)をした(とり)や――

 (ちい)さめの(しし)や、二本角(にほんつの)(うさぎ)なんかも居て――

 大机(おおづくえ)獲物(えもの)山積(やまづ)み。


「こりゃまた、沢山取(たくさんと)ってきたのぉ――ふぉっふぉっふぉ♪」

 (あらわ)れた村長(ジューク)が、ファロコから(はなし)を聞いてくれた。


「――千切(ちぎ)れた特撃型改(シシガニャン)は、その場に(そこ)しといてくれて良かったんだがな」

 毛先(けさき)が跳ねる(うし)(あたま)を、両手(りょうれ)でガリガリ掻いたら――

 右手(みぎて)をリオレイニアに、左手(ひだりて)をゲスロットリンデにつかまれた。


「だめだよ。はぐれた群れの仲間(なかま)は、すぐに見つけてあげるんだよ!」

 おれを見るその(かお)は、とても真剣(しんけん)だった。

「そりゃ、(わる)いことをしたなぁ……いや、(れい)を言うぜ、ありがとうよ。ウチの(ねこ)みてぇな(やつ)らが世話(せわ)になったぜ」

 (つの)を突き出してきたから、村長(そんちょう)を見た。


頑張(がんば)ったみたいだから、(あたま)を撫でてあげてよ……撫でてやってはくれんかのぅ、ふぉっふぉっふぉ♪」

 おれは(みどり)がかった髪色(かみいろ)(かた)(かみ)を、わしわしと撫でてやった。

「ぎゅにりりぃ――♪」

 

 (はなし)に寄れば、木の(えだ)(くぼ)みや小川(おがわ)なんかに引っかかる(たび)に、千切(ちぎれた)れた隊列(ねこども)くっつけ直して(・・・・・・)、と言うのを繰り(かえ)していたら――二日(ふつか)も掛かってしまったんだそうだ。

 いや、本当(ほんとう)にお(つか)れさまだぜ。

 わしわしわしわし。


「ぎゅにりりぃ――?」

 撫でるのを止めると、じっと見つめてくるもんだから――

 わしわしわしわし。


「それで、この獲物(えもの)(やま)(なん)なんでぇい?」

 肝心(かんじん)頭陀袋(ずだぶくろ)も、見当(みあ)たらん。


「それは、小腹(こばら)が空くそばから出くわした獲物(えもの)を、無計画(むけいかく)に狩りまくったのですわ――まったくもう」

 (よこ)から悪逆令嬢(ゲスロットリンデ)の手が伸び、二股(ふたまた)(つの)をぽんぽんと(やさ)しく(たた)く。

「ぎゅにりりぃ――♪」


 なるほどな。

 そして狩った魔物(えもの)を、ウチの猫風身共(ねこども)が持ち(かえ)ったって(わけ)だ。


「ぎゅにりりぃ――?」

 わしわしわしわし?

「ぎゅにりりぃ――?」

 わしわしわしわし??


「あ、それ。いつまでも終わらないから、もう止めて良いよ……止めて良いのじゃよ」

 そうなの?

 村長(そんちょう)がファロコを引っぺがしてくれた。


「ではそろそろ、イオノファラーさまを取り出して差し上げては? プークスクスクス()

 そうだぜ、星神(ほしがみ)さまの言うとおりだぜ。

 肝心(かんじん)頭陀袋(ふくろ)何処(どこ)だ?

 大机(おおづくえ)(した)(のぞ)くも、(なに)もねぇ。


 (かお)を上げると――ぐらぐらっ!

 獲物(えもの)(やま)が、(かす)かに揺れた。


   §


 ガタガタゴトゴト――!!

 手持(ても)ちの収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)に、獲物(えもの)格納(かくのう)したら――

 騒々(そうぞう)しく(あば)れる、頭陀袋(ずだぶくろ)が現れた。

「ふががっが……もがががっ!?」

 (なか)(はい)ってる(やつ)らが、(あば)れて――なんか(わめ)いてやがる。


(たす)かった、(おん)に着るぜ♪」

 もう一回最後(いっかいさいご)にファロコを撫でてやろうとしたら、ガチガチと噛みついて来やがった!

 撫でられるのには、飽きたのか……(あや)うく(かじ)られるところだぜ。

 礼代(れいが)わりに〝阿門戸(ヌガーバー)〟を4個くらい、(くち)(ほう)り込んでやった。


「ファロコちゃん! それはねぇ、ちゃんと(つつ)(がみ)を開けて、中身(なかみ)だけを食べるんだよ」

「開けてあげる」「ぼくも」「わたしも」

 級友(きゅうゆう)たちと迷子娘(ファロコ)は、いつの間にか仲良(なかよ)くなってたらしい。

 おれに向ける(きば)を、ほかの子供ら(がきども)には向けないでくれている。


 ふぅ、(たの)しそうで良いやな。

 さて、此方(こっち)(つつ)みを開けてみるぞ。

 頭陀袋(ずだぶくろ)を、ひっくり(かえ)した。


 ゴチン、ガシャン♪

(いた)っ!」「ァゥチ!」

 (ころ)がり出たのは、根菜(こんさい)(ぼう)

 (なつ)かしい(こえ)に、ほっとした。


「いよぉーぅ……しっ! (かん)……全大(ぜんだい)……復っ……(かつ)――ぅ♪」

 まて、お(まえ)さまめ!

「なんだぜその、カクカクした(うご)きわぁ!」

 全然(ぜんぜん)完全大復活(かんぜんだいふっかつ)じゃぁねぇだろがぁ!


 一応(いちおう)(なお)ったらしいが――

 (うご)いては止まり、止まっては(うご)き出すのを――繰り返してるぞ?

 なんとも落ち着かねぇ、仕上(しあ)がりだぜ。

 けど、文句(もんく)をファロコに言うのも(ちが)うやな。


迅雷(ジンライ)五百乃大角(いおのはら)調子(ちょうし)を見てやってくれやぁ」。

 調子(ちょうし)(わる)いときは、便利棒(ジンライ)(なぐ)れば立ち(どころ)(なお)る。


「シガ……ミー。女……神像(がみぞう)フレー……ムワーク、再起(さいき)……(どう)しま……した」

 怖気(おぞけ)(はし)った。なんてこった、おれの相棒(あいぼう)までカクカクしてやがるぞ!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ