表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

633/744

633:グランジ・ロコロ村、注意書きと石像と鏡

「こんな(ひれ)(もり)満杯(まんぱい)になるこたぁ、ねぇたぁ(おも)うがぁ――」

 (あお)(かお)をする、大申女(ゲスロット)村長(ジューク)

 そして女将(おかみ)さんや村長四人組(そんちょうよにんぐみ)まで、(しぶ)(つら)をし(はじ)めた。

 (まゆ)(つば)をつけねぇといけねぇような、化け(もの)姿(すがた)を見せられたばかりだ。

 (まん)(いち)にも起こらん……とは言い切れん。

 (ねん)のため、一応(いちおう)やっとくか。


「おにぎりっ!」

 おれはおにぎりの、収納魔法具箱(せなか)に手を当て――ヴッ♪

 角材(ぼう)を取り出した。

 そいつを――「ちょっと、持ってろや」

 おにぎりに持たせ――シュカッカァン(チィェエェイッ)

 斬り(むす)ぶみたいにして、小太刀(こだち)(けず)って(とが)らせる。


「チイィェイ、アハァン♪」

 (おどろ)いた村人(むらびと)何人(なんにん)かが――

「ゥィヤハァァァァーッ♪」

 ――(さけ)びながら逃げていった。


 おれは出来(でき)た木の(くい)を持ち、『グランジ・ロコロ村へようこそ』と書かれた派手(はで)(つく)りの門構(もんがま)えを(とお)り過ぎ――

 おにぎりが化けた(・・・)境目(さかいめ)手前(てまえ)まで、(ある)いて行く。


「なぁ、この木の(よこ)(つら)に、この棒(こいつ)を立てても(かま)わねぇかぁ?」

 振り(かえ)村長(ジューク)村長ども(よにんぐみ)に、お(うかが)いを立てた。


「そりゃぁぁぁぁー♪」

(べつ)にっ♪」「(かま)わっ♪」

「ないけど――ぃやぁぁぁぁぁぁあぁっ♪」

 村長(そんちょう)どもが長髪(ながかみ)を振り(まわ)して、返事(へんじ)をして――

「うん。かまわない……のじゃ?」

 村長(ジューク)が、(くび)(かし)げる。


 ズガァン――(よこ)に生えた木に、(くい)を突き刺した。

 ガムラン温泉街(おんせんがい)(つく)るときに(つちか)った、阿吽(あうん)呼吸(こきゅう)健在(けんざい)で――

 指示(さしず)をしなくても、おにぎりが平手(ひらて)で、ぱこぉんと(つよ)く打ち込んでくれた。


「よし良いぞ。じゃぁ、いつもの(いた)ぺら出せや」

 おにぎりに手を差し出すと――ヴッ♪

 自分(おにぎり)とか、お猫さま(ロォグ)猫共用語(ねこご)翻訳(やく)する木板(いた)を、パタンと取り出した。

 そいつを受け取り(くい)に、ぶら下げる。


文面(ぶんめん)は――」

 ふぉん♪

『この村に入るべからず。

 ※現在、森の主により退村規制されています。

 大森林観測村②グランジ・ロコロ村 村長ズ』

 こんなもんだろ。


「これでは足りませんわね、ジューク?」

 (てのひら)を突き出す、大申(おおざる)ゲスロットリンデ。

「そうだね、ロットリンデ」

 (おな)じく(てのひら)を突き出す、村長(そんちょう)ジューク。

 おれが建てた看板(いたぺra)に、異を(とな)えるフカフ村勢(むらぜい)


「どういうこったぜ――――?」

「みゃにゃぎゃぁー()

 (よこ)小首(こpくび)(かし)げる、おにぎり。

 そうだそうだ。

 なんて言ってるかはわからんが――

 もっと言ってやれ。


「ですから、こんな入り(ぐち)が、あと五カ所有(ごかしょあ)るので、看板(かんばん)が足りませんと(もう)しているのですわ?」

 (なん)だぜ、それならそうと(はや)く言えや。


 (なん)でも、(はなし)を聞けばロコロ(むら)には、全部(ぜんぶ)六カ所(ろっかしょ)もの出入り口(でいりぐち)があり――

 その(つる)で編んだ坂道(さかみち)には、魔物(まもの)もよく(のぼ)ってくるそうだ。


   §


「まったくもうっ! 当分(とうぶん)(あいだ)(むら)(そと)に出られませんでしてよ!」

 (ひたい)を押さえる、悪逆令嬢(ゲスロット)


 (のこ)りの看板(かんばん)をぶら下げ、魔物(まもの)よけの(さく)なんかも取り付けたから――

 そうそう満杯(まんぱい)には、ならなくなったと(おも)う。


 ふぉん♪

『ホシガミー>問題は、まるで解決していませんけれども? プークス♪』

 やかましいが、その(とお)りだぜ。


「まえにも(おな)じことを、フカフ村でされた(・・・・・・・・)ことがあったんだけど――あったのじゃがぁ、ふぉっふぉっふぉっ♪」

 村長(ジューク)大申女(おおざるおんな)をなだめようと、近寄(ちかよ)っていく。

 (こし)に下げた頭陀袋(ずだぶくろ)が、ガランと揺れた。

 (なか)には、あの魔法具箱(まほうぐばこ)――魔法自販機(まほうじはんき)とやらが(はい)ってるのだろう。


「あのときわぁ、三ヶ月程掛(さんかげつほどかか)かったんだったかしらぁ……(そと)に出られるようになるまで?」

 いつの間にかコッヘル商会(しょうかい)商会長(しょうかいちょう)|(手練(てだ)れ)が悪逆令嬢(ゲスロット)(かたわ)らに立ち、(ゆび)三本数(さんぼんかぞ)えた。

「そのとき(わたし)は、央都(おうと)に詰めてたから――(くわ)しいことは、(なに)も知らないさねぇ?」

 商会長(しょうかいちょう)(むすめ)魔導騎士団(きさじしょくどう)総大将(のおかみ)人類最強(じんるいさいきょう))が、腕組(うでぐ)みをして(くび)(かたむ)ける。


面倒(めんどう)なことに、なりやがったぜ」

 三ヶ月(みつき)足止(あしど)めされたら、いろいろと(まず)(こと)になるぞ。


 ガシガシと(あたま)を掻いてたら――「こら、小猿(こざる)っ! 折角(せっかく)(つや)やかな(かみ)が、(いた)むでしょうがっ!」

 悪逆令嬢(ゲスロット)(うで)をつかまれ、(おこ)られた――(はえ)ぇ!

 つかまれるまで、(ちか)づかれたことに気づかなかったぞ!?

 (にせ)山道(やまみち)で、やり合ったときにも(おも)ったが――

 本当(ほんとう)(はえ)ぇ。


「まったくです。いつも注意(ちゅうい)しているのですけれど――」

 リオレイニアまで、おれの(うで)をつかんで来た。

 こっちも(はえ)ぇ――っていうか(また)、サキラテ家の隠形術(おんぎょうじゅつ)使(つか)われた!


 こいつらぁ、気配(けはい)(ころ)(かた)が――(しの)びの(もの)と変わらねぇ!

 気をつけねぇと起きたまま正面から(・・・・・・・・・)――寝首(ねくび)を掻かれそうだぜ!


「「お返事(へんじ)は――?」」

 両手(りょうて)(たか)く持ち上げられた、おれは――

「へ、へぇ――以後(いご)、気を付ける所存(しょぞん)でござるわよぜ」

 うな垂れて、そう言うしかなかった。


「「いま(dれ)か、〝ござる〟って言ったぁ!?」」

 子供ら(がきども)地図男(おっさん)を引き連れた、子供ら(レイダとビビビー)が駆け込んできた。


   §


(もり)(ぬし)森域結界(なんたら)(やぶ)方法(ほうほう)わぁ、ねぇのかぁ――!?」

 女神像(めがみぞう)が無いから――(とびら)(つく)れん。つまり逃げられん。


多分(たぶん)……有りますけれど、見ても面白(おもしろ)(もの)ではありませんよ?」

 その目がジューク村長(そんちょう)を見た。

「はぁ? 有んのかよっ!?」

 おれも村長(そんちょう)を見ると――その(あたま)(たて)(うご)いた。


「たぶん……向こうだと(おも)うよ」

「そうね……行ってみましょう」

 スッタスタと(ある)いて行ってしまう、二人(ふたり)


 おれとリオと茅野姫(ほしがみ)とロォグ、そして子供(こども)らとおっさんは――

 (あわ)てて、その(あと)を追いかけた。


   §


 (つる)(おお)われた、木の(うえ)にある地面(じめん)

 木が(まばら)らで開けたところに、確かに有った(・・・・・・)


 (ぼう)(かま)(てん)を衝く、精悍(せいかん)面構(つらがま)え――


「やっぱり此処(ここ)わぁ、大申(おおざる)(むら)っ!?」

 地面(じめん)から生えていたのは――

 細身(ほそみ)小袖(こそで)に身を(つつ)み、歯をむき出しにした――

 (いか)つい大申(おおざる)(よう)な……魔物(まもの)姿(すがた)をした石像(せきぞう)か?


 いや、かろうじて(からだ)つきが、(おんな)らしいか?

 いやいやまてまて……このドレスに……手にした(ぼう)に付いた(とげ)(かたち)


「こりゃ、お(まえ)さまかぁっ!? マジ(・・)大申女(おおざるおんな)じゃぁねぇーかぁ!」

 おれは、此処(ここ)ぞとばかりに悪逆令嬢(ゲスロットリンデ)(にら)みつけ、(ゆび)を指してやっ――

 ぼごわぁぁん――――ぷすぷすぷすん♪


「どわぁれがぁ、大猿女(おおざるおんな)ですのっ。燃やしますわよっ?」

 ぼごごぅわぁぁっ――――♪

 対魔王結界(たいまおうけっかい)煉獄(ゲヘナ)(ねつ)にも耐えた、おれの金糸(しんし)(かみ)が――

 一瞬(いっしゅん)、燃え上がった!


「あっちちっ!? けっほけほっ、(なん)てことしやがる!? 燃やしてから(・・・・・・)ぁ、言うんじゃぁねぇやぁい!」

 (かみ)の焦げた(にお)いに(つつ)まれた。

 しかも自分(じぶん)(かみ)のだ。

 到底(とうてい)心地(ここち)の良いものではない。


「ぶふふっ!?」

 リオレイニアが突然(とつぜん)折れ曲がった(・・・・・・)

「なんだぜ? どうしたんだぜ!?」

 (あわ)てて駆け寄るおれを見る、彼女(リオ)(ひとみ)見開(みひら)かれる!


「ぐぴゃ――ごごん!」

 (あたま)地面(じめん)に打ち付け、微動(びどう)だにしなくなった。

 いや、(かた)がブルブルしてる?

 まさか雷魔法(いかづち)を、(はな)ちやがったかぁっ!


「やい、お(まえ)さまが悪虐非道(あくぎゃくひどう)吸血鬼(きゅうけつき)とやらでも、これはねぇんじゃねぇのかぁ?」

 ぐるるるん――――ジャッリィィンッ♪

 錫杖(しゃくじょう)(かま)え、(くず)れ落ちたパーティーメンバーの(まえ)に立ち(ふさ)がった!


 ん? なんか(あたま)がふらつくぜ?

 おれも魔法(いかづち)を、食らっていたのかも知れねぇ!


 ひゅひゅひゅひゅひゅひゅひゅうひゅひゅんっ――――

 ゴガァン♪

 錫杖(しゃくじょう)地面(じめん)太蔓(ふとづる)の当たりに、打ち付ける。

 (ほそ)(つる)を打ち付けたら、流石(さすが)地面(じめん)(やぶ)れかねないからな。

 しかし、(あたま)(おも)いというか、(うご)きに遅れて揺さぶられてる(・・・・・・・・・・)


「「「あはははっ♪」」」

「「「「ぷぐひひっ♪」」」」

 居合(いあ)わせた(やつ)らが、呑気(のんき)(わら)い出した!?


「な、(なん)だぜ!?」

 おれは(たお)れたままのリオを、(まも)るべく――

 じりじりと後退(あとじさ)る――チャリン♪

 まるで銀貨(ぎんか)鉄箱(てつはこ)に、投げ入れたかのような(おと)がした。


随分(ずいぶん)とファンキーになったね……なったものじゃなぁ♪」

 フカフ村村長(むらそんちょう)さまが、とんと置いたのは(かがみ)


 しかも、猪蟹屋(うちのみせ)で売ってる相当立派(そうとうりっぱ)なのと(おな)じくらい、よく見えた(・・・・・)


 その(わく)(なか)錫杖(しゃくじょう)(かま)え、おれを見つめているのは――

 (あたま)の毛が、チリチリモサモサになった……おれだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ