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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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632/744

632:グランジ・ロコロ村、森域結界の恐怖

「ちっ、こんなことならぁ真っ(さき)にレイド(むら)(もど)って、五百乃大角(いおのはら)たちを(なお)しとくんだったぜ!」

 面倒(めんどう)なことになった。


「にゃみゃぎゃにゃぁぁぁぁぁっ――――にゃおぉぉぉぅん()

 大森林開拓村②(ロコロむら)の入り(ぐち)(つる)で編んだ坂道(さかみち)から飛び出していく――

 強化服自律型(シシガニャン)おにぎり一号(いちごう)


 黄緑色(きみどりいろ)目鼻口(めはなくち)が無い(かお)

 それが前後逆向(まえうしろぎゃくむ)きに、(そと)から(もど)るものだから。

 (うし)(あたま)鼻先(はなさき)顔つき(・・・)(あらわ)れる。

 それはまるで寄せては(かえ)す、さざ(なみ)のように見えて――

 気持(きも)(わる)くも、面白(おもしれ)ぇことになった。


 (はや)(はなし)が、おれたちは――ロコロ村(ここ)から出られねぇらしい。


「おにぎりちゃん! 気持(きも)(わる)い!」

 物怖(ものお)じしない子供(ビビビー)が、そう言うと――

 おにぎりが(むら)(もり)境目(さかいめ)に立ち止まった。

 ひょっとしたら猫の魔物風(おにぎり)なりに、(こころ)(いた)めたのかも知れない。


 すると、村と森の境目(なみうちぎわ)ぶれ(・・)が、かみ合った(・・・・・)のか――

 その胴体(どうたい)が、ぐにゃりと伸びた。

 無数(むすう)(あたま)(あし)(うで)。そして(せなか)中に背負(せお)った、収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)(ばこ)が――

 荒縄(あらなわ)(ごと)(つら)なり、ひょろ長くなった(・・・・・・・・)(からだ)のあちこちから突き出て、(うごめ)く。


「「「「「ぎゃーっ!?」」」」」

 こりゃ、村長(そんちょう)魔法具箱(まほうぐばこ)(なか)出合(であ)った、あの狂った強化服たち(・・・・・・・・・・)より、(たち)(わり)ぃ!

 まるで蛸之助(おおだこ)(うで)(あし)のようになった、おにぎりの姿(すがた)を目の当たりにした――

 子供(こども)大人(おとな)何人(なんにん)かが、卒倒(そっとう)した。


「化け(ねこ)めぇ――っ!!! 怨霊退散(あくりょうたいさん)仏敵必滅(ぶってきひつめつ)!」

 ヴッ――――スッパァァンッ!

 あまりの気持(きも)(わる)さに、張り扇(ハリセン)(たた)いたら――

「みゃぎゃにゃやぁー()

 ヴッ――――スッパァァッ、パパパパパパッパパパパパパパパパァァッンッ!

 (かえ)紙扇(かたな)で、引っぱたき(かえ)された!


「痛っでだたたたただっだだだだだだだぁぁぁぁっ――――!?!?!?!?」

 (むら)(もり)境目(さかいめ)(うごめ)いていた、無数(むすう)強化服(おにぎり)(からだ)が――

 無数(むすう)張り扇(ハリセン)で、おれの(あたま)を打ち下ろした。


 実相(しき)最初(あたま)一匹(いっぴき)だけ、(のこ)りは(ほとん)どが仮相(くう)

 本当(ほんとう)(かす)かな当たり(・・・)だが、これだけ(つら)なられりゃぁ――

 (いて)えし、うぜぇし――この野郎(やろう)


「――(めっ)せよ!」

 おれが刀印(いん)(むす)ぶと、目鼻口(めはなくち)のない(つら)が――スッパッコォォォォゥン♪

 (へこ)んで、火縄(ひなわ)残響(ざんきょう)(かな)でた!


「ウカカッ――ざまあねぇぜ!」

 ぽっきゅむりんと、(むら)境目(さかいめ)から(はじ)かれ――

 (いきお)いよく(むら)(なか)へ――舞い戻って来やがった(ごろごろごろろぉん)


「あっ、ばか――――来んな!」

 ぽきゅむごろどたん♪

 一匹分(いっぴきぶん)(なが)さに(もど)った、黄緑色の猫の魔物風(おにぎりのやろう)――

 それに伸し掛かられ、おれは押しつぶされた。


「あはっはははっ♪ あー、気持(きも)(わる)かった♪」

「ふぅーっ、かわいいいつもの、おにぎりに(もど)った♪」

 駆け寄る子供(こども)たち。


(おも)くはねぇがぁ、邪魔(じゃま)だっぜっ!」

 藻掻(もが)くおれに、(あつ)まる人々(ひとびと)

 わいわいわいわい、がやがやがやがや――――!?

 騒然(そうぜん)のグランジ・ロコロ(むら)、入り(ぐち)


 はぁはぁはぁ――!

 必死(ひっし)黄緑色(きみどりいろ)から、這い出ると――ふぉん♪

『ホシガミー>おにぎりさんに先行して頂いて、事なきを得ましたね』

 ふぅぃ、(たし)かにな。

 生身(なまみ)(ひと)が、あんな身の毛もよだつような姿(すがた)(さら)した日にゃ――

 正気(しょうき)で居られる(はず)がねぇ。


 (もり)(ぬし)使(つか)った〝森域結界(しんいきけっかい)〟とやらは、村長(そんちょう)魔法具箱(まほうぐばこ)の――

 (なん)だっけか……「えーっと、村長(そんちょう)さまよぉ?」


「なんだぁい? ひょっとして――呼・ん・だ・かぁい?」

 切り株壇上(かぶだんじょう)から、そんな(こえ)が飛んで来たから見たら――

「「「「こんにちわ、村長(そんちょう)ズです!」」」」

 ドガダァン――♪

 また長髪(ながかみ)男女(だんじょ)が、姿(すがた)(あらわ)した。


「やかましぃ! (はなし)があるのは、銃吼村長(ジュークそんちょう)だぜ!」

 怒鳴(どな)りつけてやったら、此方(こっち)(むら)村長(そんちょう)たちは――

 大人(おとな)しく山積(やまづ)みの石ころ(SDK)を、片付(かたづ)(はじ)めた。

 さっき女将(おかみ)さんに、(しか)り飛ばされてたからなぁー。


(なん)だい、シガミーちゃ……シガミー殿(どの)、ふぉっふぉっふぉ♪」

 また村長訛(そんちょうなま)りに(きょう)じる、ジューク村長(そんちょう)

「ふぅ――その(じい)さまめいた(はな)しぶりは、しねぇといかんのか?」

 いい加減(かげん)(わずら)わしくなってきた。


「うむ、そうじゃよ。前任(ぜんにん)のフカフ村村長(むらそんちょう)から――」

 (こし)を曲げる村長(ジューク)


 「――(わし)のように、威厳(いげん)を持って村人(むらびと)たちを(みちび)くのじゃ。(けっ)して謀略(ぼうりゃく)暴力(ぼうりょく)、ましてや魔導(まどう)アーツを村政(そんせい)に持ち込むことのないように精進(しょうじん)するのじゃぞ、ふぉっふぉっふぉっふぉっ♪」

 生えてない(ひげ)を、撫でる村長(ジューク)


「――って言って(むら)(まか)されたときから、威厳(いげん)を持って(ひと)(せっ)しないといけなくなっちゃったからのじゃわい……ふぉっふぉっふぉっふぉ――けっほけほ!?」

 (わか)くはねぇが、老人(ろうじん)と呼ぶには大分(だいぶ)(はや)すぎるフカフ村村長(むらそんちょう)が――

 慣れない(じい)さま(わら)いで、()せた。


(なげ)ぇ。威厳(いげん)てぇのわぁ、他人(たにん)さまを(りっ)するための方便(ほうべん)で……暴力(ぼうりょく)(ひか)ならねぇもんだがぁ――(こころざし)前任共々(ぜんにんともども)立派(りっぱ)だぁなぁ」

 魔物境界線(まものきょうかいせん)であるガムラン(ちょう)なら冒険者たち(あらくれども)(りっ)する、代表さま(リカルル)が目を(ひか)らせてる。


「えっ、そうかい? 村長(そんちょう)として立派だなんて言われた(・・・・・・・・・・)のは、(はじ)めてだよ、うへっへ♪」

 (あたま)を掻き身をよじる、まだ新任(しんにん)らしいフカフ村村長(むらそんちょう)

 威厳(いげん)はねぇし、口調(くちょう)(わす)れてる。


「まあ、頑張(がんば)ってくれや。ソレで聞きてぇことだがよ。(もり)(ぬし)がこの(むら)に掛けたのは〝封印結界(ふういんけっかい)〟とかいう、お(まえ)さまの魔法具箱(まほうぐばこ)と似たような(もん)か?」

 やっと本題(ほんだい)を、切り出せた。


「そうだね。規模(きぼ)(ちが)うだけで、大体同(だいたいおな)じだよ。けど(ぼく)……(わし)魔法自販機(まほうじはんき)(つく)り出すのは、〝封印結界(ふういんけっかい)〟じゃなくて〝封鎖空間(ふうさくうかん)〟だ……じゃよ」

 〝封鎖空間(ふうさくうかん)〟か。偽の山道(・・・・)(なか)は、何処(どこ)までも繰り返されて(・・・・・・)いて――

 (ちか)くを彷徨(うろつ)(もの)姿(すがた)を――化け物(・・・)のように変えて、見せやがった。


 村長(ジューク)魔法具箱(まほうぐばこ)なら、〝特撃型改(シシガニャン)子供(こども)らの合わさった、奇っ(かい)でおぞましい姿(すがた)〟に。

 いまロコロ(むら)(おお)ってる(やつ)なら、その境目(さかいめ)に立った強化服自律型(おにぎり)を、〝千切れた(・・・・)蛸足(たこあし)みたい〟に。


 手応(てごた)えはなく、引っ(ぱた)きゃ消える――幻術(まやかし)(たぐ)い。

 日の本生(もとう)まれなら、(きつね)(たぬき)に化かされたと(おも)程度(ていど)のことだが――


「「「「ぅうぅぅーん」」」」

 (だい)大人(おとな)が見ても(たお)れる(ほど)の、(たち)(わる)さ。

 五百乃大角(いおのはら)(なお)次第(しだい)対策(てだて)(かんが)えておきたい。


「あなたたちっ、ちょっとお待ちなさいなっ!」

 (なん)だっ、うるせぇ!?

 大申女(おおざるおんな)ゲスロットが、(わめ)いてやがる!


「――いま、(むら)(はい)ってこられると――」

 見れば悪逆令嬢(ゲスロット)さまが、(むら)(そと)へ向かって――(おお)きく手を振っていた。

 ヴォゥッ――ぶるるるわわわわぁぁん♪

 ウゥォッ、ウゥッォォォゥン――――ぶるぶるぶるるるぶるるるわわわっわぁぁん♪


 (おお)きく(ふる)える――モサモサ頭(むらびと)たち。

 大森林(ファンキー)観測村①(・フカフむら)からの来訪者(きゃく)何事(なにごと)もなく、大森林観測村②(グランジ・ロコロむら)(はい)ってきた。

 その(おお)きな(あたま)を、面白く揺らして(・・・・・・・)


「なぁんでぇい、(そと)から入って来られる(・・・・・・・)(ぶん)には――化かされ具合(・・・・・・)わぁ、(たい)したことねぇじゃんかぉよぉ」

 ふぅ、(おど)かすなってんだぜ。


(なに)悠長(ゆうちょう)(かま)えていますの!?」

 大口(おおぐち)(ひら)き、なおも(わめ)悪逆令嬢(ゲスロット)


「――ぷひゅぎゅひ♪」

 そのときリオレイニアが、地に伏した。

 (わす)れてたぜ、彼女(リオ)(なん)でもこなす出来(でき)(おんあ)だが――

 面白(おもしれ)(もの)(たい)して、滅法弱(めっぽうよえ)ぇってことをよぉ。


「なるほどだぜ……こう面白(おもしれ)ぇと、うちの番頭株(リオレイニア)使(つか)(もの)にならん!」

 そう一人(ひとり)で、納得(なっとく)してたら――

(なに)(おっしゃ)っていますの、小猿(こざる)!? このままではロコロ(むら)が、満員(まんいん)になってしまいますわっ!」

 (すご)剣幕(けんまく)の、大申女(おおざるおんな)(おこ)られた!

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