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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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630/744

630:グランジ・ロコロ村、名産は石ころ?

「ぃやっかましぃやぁぁぁぁぁっいっ!」

 おれは(かみ)を折って(つく)った、〝張り扇(ハリセン)〟を取り出し――

 スッパァンスッパァン、スパパァーン♪

 力一杯(ちからいっぱい)脳天(のうてん)(たた)いてやった!


「おぅふ!」「おぅふ!」「おぅふ!」「おぅふ!」

 大木(たいぼく)の切り(かぶ)、その壇上(だんじょう)(くず)れ落ちる、祭り囃子隊の連中(そんちょうども)

 切り(かぶ)一部(いちぶ)(かべ)のように(のこ)してあって、(おと)が良く(ひび)くようになってる。


 (たた)いた(おと)が――――ォォォォオォォォォゥゥッ♪

 火縄(ひなわ)残響(おと)みたいで――「こいつぁ、心地良(ここち)いやなっ♪」


「ひょろげはっはははははははぅああ――――♪」

 うるせぇ村人(むらびと)も、振り(かえ)りざまに――――スパッシィィン!

 引っぱたいてやった――「ぬぉひょろはー!?」

 そしたらそれは、ミギアーフ氏(おっさん)だった。


「おぅぅふっ、ひょろ――――ぉっ!?」

 (くず)れ落ちる、地図作(ちずづく)りの天才(てんさい)

 まぁ、良いぜ――ゥカカカッ♪


「うるせぇやつぁ――――全員(ぜんいん)、引っぱたくからなぁっ!?」

 最後(さいご)一閃(すぱん)――――「ににるぎーっ!?」

 (かお)のあたりを張り扇(ハリセン)で、(たた)いてやったら――

 やっと迷子娘(ファロコ)が、(はな)れてくれたぜ!


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「あはははははっはははははあはははははっははあははっははっ♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」


 くそう、フカフ(むら)から付いて来た、モサモサ(あたま)(やつ)らも混ざって――――(わら)ってやがるぜ。

 そういうつもりじゃ無かったんだが――(げい)が受けるのわぁ、とても良いやな。

 憂さ晴らし(・・・・・)にでもなったのか――ささくれ立った気持(きも)ちが、落ち着いた。


「「よいしょっと!」」

 女将(おかみ)さんが(たお)れたウチの、男女二人(だんじょふたり)(かつ)ぎ上げた。

 年齢として(としのころ)女将(おかみ)さんよか、二回(ふたまわ)りくらい(した)か。

 その二人(ふたり)(かお)瓜二(うりふた)つで、双子(ふたご)って(やつ)らしい。

 跡目争(あとめあらそ)いとかに巻き込まれずに、よくまぁ元気(げんき)(そだ)ったもんだぜ。

 それは良いことだがぁ――


 この(つら)ぁ……どっかで見たぞ?

 ちょっと強面(こわもて)に見えて、なかなかの器量好(きりょうよ)し。


 何処(どこ)で見たかな?

 相当(そうとう)(むかし)……っていっても、この来世(らいせ)に生まれ落ちてから――

 まだ一年(いちねん)も、過ぎてねぇからなぁ。

 それこそ(はじ)めて、この地に落とされたころ――――!


「あっ、門番(もんばん)のおっちゃんに似てる!」

 (ちょう)、似てらぁ!


「そらそうさね。この二人(ふたり)は、うちの子だからね」

 驚愕(きょうがく)衝撃(しょうげき)の、この(はなし)

 女将(おかみ)さんや門番(もんばん)のおっちゃんとは、古馴染(ふるなじみ)らしい――

 工房長(ノヴァド)ギルド長(レムゾー)や、それこそ辺境伯名代(ルリーロさま)は、知ってるんだろうか?


   §


「しかし都会育(とかいそだ)ちの、あんたたちが大森林(やまおく)(むら)で――ちゃんと村長(そんちょう)を、やれてるのかい?」

 舞台袖(ぶたいそで)正座(せいざ)をさせられる、やや(いか)つくも器量好(きりょうよ)しな村長半分(ふたり)

 (かみ)(ながさ)さが(こし)くらいまであって、どっちも(おんな)に見える。


「まかしてくれよ、(かあ)さん。ふふん♪」

 ――――ギャッギャッギャァーン♪

「おまかせください、お(かあ)さま。うふん♪」

 ――――ヴォンヴォヴォ、ヴォンヴォヴォッ♪

 それぞれうるさくて(ひら)たい、琵琶(びわ)(かな)でる。


(なに)をふんぞり(かえ)って、いるんだい?」

 がみがみがみがみっ!

 (はじ)まった、女将(おかみ)さんの説教(せっきょう)を聞いていても、仕方(しかた)が無い。


 おれは目の(まえ)に、積み上げられていく(・・・・・・・・・)――

 (やま)に目を向けた。


 グランジ・ロコロ(むら)総出(そうで)で、かき(あつ)めてくれたのは――


「こんな(もの)が欲しいなんてガムラン(ちょう)(ひと)たちは、変わってるなぁ……変わっとるのじゃぁ、ふぉっふぉっふぉっ♪」

 いや、変わってる具合(ぐあい)じゃ(けっ)して、引けを取っちゃいねぇーが――

 (いま)は言うまい。


「これマジ(・・)で、(もら)っちまっても良いのかぁ?」

 山積(やまづみ)みにされたのは、石ころ(・・・)だったが――

 ただの石ころ(・・・・・・)……なんかではなかった。

 それは、見覚(みおぼ)えのある三角形(さんかくけい)


 そう、それは(なん)と、おにぎりの(もと)になった〝酢蛸(SDK)〟だった。

 (おにぎり形状(けいじょう)の、〝演算単位(えんざんたんい)〟の発生装置(はっせいそうち)です)

 うん、凄ぇ頓知(・・・・)な。

 つまりそれは、猪蟹屋(おれたち)(さが)していた垂涎(すいぜん)の――

 発掘魔法具(アーティファクト)一種(いっしゅ)だった。


「ふぅ、うちの子が(もり)から(ひろ)って来ますのよ。捨てても捨てても――ギロリッ!」

「ふぉっふぉ♪ 正直(しょうじき)なところ邪魔(じゃま)で、持て(あま)していたのじゃよ――チラリ」

 二人(ふたり)の目が、三角山(おにぎりやま)を抱きかかえ、うなり(ごえ)を上げる――森の主の娘(ファロコ)に向けられた。


「みなさまー、ちょぉっとお待ちを? うふふー♪」

 (おそ)らくこの村最強(むらさいきょう)らしい、商会長(しょうかいちょう)さまの――お出ましだ。


 女将(おかみ)さんの(おや)ってこたぁ、そこそこの(とし)だろうに――

 女将さん(むすめ)(ほとん)ど変わらん、見た目。

 ぼばぼーんとした(からだ)つき。


 そして悪逆令嬢(あくぎゃくれいじょう)ゲスロットリンデを、血祭り(・・・)にしたあの体術(たいじゅつ)

 とても聞き(およ)んだ宮廷魔術師(きゅうていまじゅつし)とは、似ても似つかない(べつ)(わざ)使(つか)う――

 おおよそ、いくさ場じゃぁ、会いたくねぇ手合(てあい)


 なにより、『┐(͠≖ ͜ʖ͠≖(あのかお))┌』はやべぇ。

 まるで(わら)ってねぇーぞ。


 ふぉん♪

『シガミー>星神さま、出番だぜ! 五百乃大角も迅雷も居ない今、太刀打ち出来るのは、お前さまを置いて他には居るまい』


 ふぉん♪

『ホシガミー>あらあら、クスクス? 我々にはリオレイニアさんも、いらっしゃるじゃありませんか』

 ふぉん♪

『リオレイニア>辞退させて頂きます。私もまだ命が惜しいので』

 サッと目を逸らす、給仕術免許皆伝(メイドのなかのメイド)


「じゃぁ、商売(しょうばい)(はなし)(べつ)にして――この捜索(そうさく)クエストの報酬(ほうしゅう)として、この(やま)から――二つ(・・)、分けてくれんか?」

 酢蛸(こいつ)がありゃぁ、女神像(めがみぞう)(つく)って設置出来(せっちでき)る。

「それは(かま)わないけど……(かま)わぬぅのじゃが」

 よぉーし、お(ゆる)しが出た。


 (やま)に手を延ばすと――――がぶり!

「痛ってぇ――――!?」

 また(かじ)られた。


「ニャギャにゃぁ!」

 二足歩行(うしろあし)で――すたたたたっ♪

 猫の魔物(おねこさま)にして、魔法具の精霊(ケットーシィ)

 その(ちい)さな(からだ)が伸びて、おにぎり山(・・・・・)に手を掛けた。


(あぶ)ねぇ、止めとけ! いま手を出すと、(かじ)られるぞ!?」

 (ちい)さな(ねこ)(からだ)だ。下手(へた)したら、(いのち)(あぶ)ねぇ。

 蘇生薬(エリクサー)を――ヴッ♪


「みゃにゃん?」

「ぎぎるにぃ?」

 なんて言ったのかはわからんが、一瞬(いっしゅん)会話(かいわ)


 お猫さま(ロォグ)(かじ)られも引っ掻かれもせず、(りょう)猫手(ねこて)一個(いっこ)ずつ――

 おにぎり(SDK)を持って(もど)ってきた。


「――これは神話(しんわ)時代(じだい)からある、廃棄(はいき)された――カステラ――充電(じゅうでん)ソケット――文庫本(ぶんこぼん)――にゃぉーん♪――」

 わからんが、お(ねこ)さまにとっても、転送魔法具(てんそうまほうぐ)(つく)るのに――

 女神像(めがみぞう)必要(ひつよう)になる――すぽん♪

 必要(いら)なかった蘇生薬(エリクサー)を、仕舞(しま)う。


「わからん――が、でかした!」

 おれはお猫さま(ロォグ)(かか)えた酢蛸一式(おにぎり)を、受け取るべく手を延ばす。

 すかっ――――ありゃ?

 ひらりと、(かわ)されたぞ?


 ぽっきゅぽっきゅぽきゅむ――おにぎりが寄って来た。

「みゃにゃやぁーぎゃやーにゃんやー、みゃぎゃぁーにゃんやぁーむぉゃんゃぁ、みにゃやぁーん。みゃにゃぎゃがぎゃやーにゃー()

 うるせぇ。

 黄緑色(おにぎり)は、木の(いた)を取り出し――ぱたん♪


『「これは神話(しんわ)時代(じだい)からある、廃棄(はいき)された女神像(めがみぞう)心臓部(しんぞうぶ)にゃ。これの起動(きどう)成功(せいこう)してこそ、(しん)魔導工学技士(まどうこうがくぎし)にゃんだもの♪」って言ってるんだもの♪』

 木板(いた)には、そんな言葉(ことば)が浮かんだ。


 なんだとう?

 おれはもう一度(いちど)お猫さま(ロォグ)に手を伸ば――がぶり♪

(いて)ぇ」

 くそう、おれの手に大小(だいしょう)(ふた)つの歯形(はがた)が付いた。

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