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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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619/744

619:大森林探索行、震える森

 女将(おかみ)さんも迷子(まいご)二股角娘(ファロコ)も、魔法具建物(まほうぐたてもの)から出てきた様子(ようす)は無い。


――――(話も出来んな)――(ちょっとまて)――――――(黒板を出すから)

 ヴッ――(ガシャン)!

 (てのひら)(うえ)黒板(タブレット)を取り出したが――どうした(もの)か。

 おれの(ゆび)じゃ――(ため)しに使(つか)ってみせることも出来(でき)んぞ?


 鬼の娘(オルコ)に手を(ちか)づけたらタターが、ぴょんと乗ってきて黒板(それ)(ひろ)った。


 ふぉん♪

『シガミー>タターよ。この文字が、読めるな?』

 手にした黒板(くろいた)に、一行表示(ティッカー)(うつ)し出した。


「――、――――」

 (くち)をパクパクさせる少女(しょうじょ)

 すると画面横(モニタよこ)轟雷(おれ)の絵の鬼兜(あたま)(ところ)が――

『戦術級強化鎧鬼殻平時プロトコル>LIPリーディング――ON』

 チカチカと(ひか)った。


 ふぉん♪

『ゲスト音声>読めます、どうすれば良いの?』

 さっき渓谷(けいこく)で、口の形を読んだ(・・・・・・・)仕組(しく)みか。


 ふぉん♪

『シガミー>この板の使い方を、村長に教えたいんだが』

 轟雷(ゴウライ)を着ていれば、迅雷(ジンライ)がしてくれていたことの一端(いったん)を、こうして(にな)うことが出来(でき)る。


 けどこういう、(ひと)(おし)えたりってのは、リオレイニアや茅野姫(カヤノヒメ)が向いてるんだが――

 二人(ふたり)とも谷底(たにぞこ)に、置いてきちまった。


 ふぉん♪

『ゲスト>使い方なら、私も分かるよ。侍女長に教えてもらったから』

 黒板(くろいた)(うえ)(ゆび)を、すべらせるタター。

 へぇ、そりゃぁ(たす)かるぜ。


――――(ぬぅおわぁっ)!?」

 おれの足下(あしもと)(おお)きな(うさぎ)魔物(まもの)や、(さら)(おお)きな(しし)魔物(まもの)たちが、何匹(なんびき)(はし)り去っていく。

「「――(ぎゃぁっ)!?」」

 (あた)りの(たか)い木の(うえ)からも一斉(いっせい)に、大小様々(だいしょうさまざま)(とり)が飛び去って行く。


 魔物(けもの)(とり)が逃げていくのは――

 魔法具箱(たてもの)轟雷(ゴウライ)鬼族(オルコ)に、(おどろ)いたというよりは――

 この静寂(せいじゃく)から(のが)れようとしてる……んだと(おも)う。


 ふぉん♪

『ゲスト2>ピクトグラムを描くのと変わらないんだね。大体覚えたよ』

 そんな一行表示(ティッカー)が出た。

 いま黒板(いや)を手にしているのは、村長(そんちょう)だ。

 抜けたように見えて、中々(なかなか)どうして――


 ふぉん♪

『シガミー>へえ。器用なもんだな』

 おれでも迅雷(ジンライ)なしだと、まだまだ(あつか)いが(むずか)しい(もの)を――

 タターも村長(そんちょう)も、そこそこ使(つか)いこなしていやがる。


 ふぉん♪

『シガミー>最初に聞いておきたいんだが、〝音を消すスキル持ち〟はさっきの〝二股角の娘〟で間違いないよな?』

 この静寂(せいじゃく)は、(だれ)が起こしているのか。

 (すべ)ては、それを確認し(たしかめ)てからだ。


 ふぉん♪

『ゲジュークスト2>そうだよ。お嬢ちゃんに斬りかかっちゃって、びっくりしたんだと思う。ごめんね?』

 名前(なまえ)がおかしな(こと)になってるが、手先(てさき)器用(きよう)らしく――

 文字(もじ)寄越(よこ)(はや)さが、とんでもなく(はえ)ぇ。


 ふぉん♪

『シガミー>殺気を殺せなかった、おれも悪い。それにエリクサーで元通りだから、問題ねぇ』

 普段(ふだん)から誰彼構(だれかれかま)わず斬りつけてる(やつ)なら、人里(ひとざと)一緒(いっしょ)には住めねぇからなぁ。


 ふぉん♪

『ジューク>そう言ってくれると助かるよ。普段はとても良い子なんだけど。たぶん、今頃トゥナの拳骨でももらって、正気に返ってると思うよ』

 ふぉん♪

『シガミーゴウライ>それで、お前さまの使う、この魔法具箱なんだが』

 おれはゴンと(かる)く、建物(はこ)を蹴った。

 (おと)も無く(かす)かに揺れる、おれたち――――やべぇ!

 蹴った(おと「)が聞こえねぇから、加減(かげん)がわからなかったぜ。


 ふぉん♪

『シゴウライ>音を消すスキルを完全に、封じ込められるってわけじゃねぇんだな?』

 こうして静寂(せいじゃく)が、漏れ出てやがるからな。


 ふぉん♪

『ジューク>いや、完全に封じて押さえ込めるよ?』

 まてまてやぁ――ったくよぉ!

 毎度毎度(まいどまいど)どうしてこうも――

 誰かの話を聞けば(・・・・・・・・)(かなら)(はな)が、おかしな方へ捻れていく(・・・・・)んだぜ?


――――(封じ込められて)――――(ねぇだろうが)……――(――ニャァ♪)

 外部マイク(みみ)を澄ますが、其方(そっち)からは(なに)も聞こえん。

 ふぉん♪

『ゴウライ>封じ込められて、ねぇだろうが?』

 ふぅ、やっと名前(なまえ)を〝ゴウライ〟に変えられたぜ。


 ふぉん♪

『ジューク>ファロコの特性〝追い詰められると辺りの音を消して、敵の詠唱魔法を使えなくさせる〟は、ちゃんと封じ込められているよ』

 ふぉん♪

『ゴウライ>だからそれは一時のことで、また静寂が外に出てきちまってるだろうが?』

 手甲(てっこう)(こぶし)(たた)いてみせるが――やっぱり(なに)も聞こえねぇ。


 ふぉん♪

『ジューク>ちがうよ。この無音の特性は、ファロコが起こしているんじゃ無いよ?』

 何故(なぜ)(あお)村長(ジューク)(つら)が――――ズシィィン!

 ぶるりと(ふる)えた。いや、(ふる)えたのは(かお)だけじゃねぇ。


 この場の全員(せんいん)(しめ)す――小地図上(しょうMAPじょう)名前(なまえ)

 『△――轟雷』『▽――ジューク』『▽――タター』

 『▽――オルコトリア』の文字(もじ)(ふる)えた。

 自軍(じぐん)(あらわ)緑文字(みどりもじ)が、揺れる(たび)に――赤色(てき)に変わる!

 轟雷(てめえ)の名まで敵に(あかく)なるのは、どういうこったぜ!?


 それは轟雷(おれ)(アンテナ)(なか)でも一番頑丈(いちばんがんじょう)(はず)の〝合い(じるし)〟が、(くる)わされていることを(しめ)している。


 ――――ズシィィン!

 なんだ? 丹田(たんでん)(ひび)く――揺れ(・・)……か?


 ふぉん♪

『ゴウライ>じゃぁ、誰が起こしてるっていうんだ?』

 ――――ズシィィン!

 (おと)も無く逃げていく、(もり)魔物(まもの)たち。

 その逃げてきた(ほう)を、見や(ズームす)れば――んぁ?


 ――――ズシィィン!

 とおくの(そら)に――(もり)が浮かんでいた。

合い印/分かれた器物や、複数枚の書類の合わせ目を記した物。この場合は戦場で敵味方の区別を付けるための模様のこと。俗に言う敵味方識別装置|(IFF)。

丹田/へその下、下っ腹の内側。気力の源。

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