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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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613/744

613:大森林探索行、渓谷へ

「(ははははっ♪)」

 (かく)れモテ(おんな)(うわさ)される彼女(かのじょ)の、太股(ふともも)(かか)えて(はし)る。

 今生(こんじょう)二度(にど)は無いだろうなぁ。

 そんな(うわ)ついた心持(こころもち)が――


「――――! ――――!」

 聞こえん。

 ふぉん♪

『リオレイニア>こらっ、止まりなさい! もうっ、全部はだけちゃ)」

 ごちごちごちごちんっ!


 ――まるで(いた)みを、(かん)じさせなかった。


 金色(きん)冒険者(ぼうけんしゃ)カードを持つ冒険者(ぼうけんしゃ)なら、やろうと(おも)えば(かて)ぇ木の実を素手(すで)で割れないこともない。

 ましてや彼女(リオ)は、辺境伯(へんきょうはく)コントゥル家に(つか)える――凄腕(すごうで)侍女(メイド)だ。

 おれの(あたま)くらい割れてもおかしくねぇところだが――

 それはまぁ、加減(かげん)をしてくれて――――ごちごちごちごちんっ!

 ごちごちごちごちごちごちごちごちんっ――――!


 流石(さすが)(いて)ぇ――やめんかぁ!

 女将(おかみ)さんみたいな、(あたま)(かぶ)れる鉄鍋(なべ)を、おれも工房長(ノヴァド)(つく)ってもらうかな。


――(いいから)――――(渓谷は見えたか)?」

 ぐらぐら揺れる大地(だいち)翻弄(ほんろう)される、木々(きぎ)

 ニゲルみてぇに木の(うえ)を行けりゃ、見通(みとお)しは良いが――

 おれ程度(ていど)(はや)さで(うえ)を行くと、足場が無くて(・・・・・・)かえって時間(じかん)が掛かっちまう。


 ふぉん♪

『シガミー>渓谷は見えたか?』

 (ひと)の目で追えねぇ(くらい)(はや)さで、うっそうと(しげ)(もり)(なか)(すす)んでいるのだ。

 木の(えだ)彼女(リオ)が、ぶつからないように身を(かが)めつつ(はし)るのは、結構大変(けっこうたいへん)で――

 (さき)見通(みとお)しは、目線(めせん)(たか)(やつ)にやってもらう。


 (なが)れていく、(もり)湿(しめ)った空気(くうき)

 (まえ)を行くはずのシシガニャンどもの殿(しんがり)は、まだ見えない。


「(――!)」

 ふぉん♪

『リオレイニア>立ち止まったら、お話がありますので覚えておいて下さい!』

 ふぉん♪

『シガミー>おう、合切承知!』

 給仕服(きゅうじふく)(すそ)が、はだけるのも(かま)わずに――

 リオが身を起こした。


 ふぉん♪

『リオレイニア>ガムラン町ギルド支部正面、鍛冶工房の方角。大地に亀裂が見えました』

 彼女(かのじょ)が掛けた眼鏡(めがね)は――〝誰彼構わず、たらし込む魔眼(まがん)〟を押さえ込むための特別製(とくべつせい)だ。

 そして遠目(ズーム)夜目(ナイトビジョン)がきく、魔法具(まほうぐ)でもある。


 ガムラン(ちょう)の――ギルド支部正面(しぶしょうめん)から見て――鍛冶工房(かじこうぼう)がある方向(ほうこう)

 つまり〝(とら)方角(ほうがく)〟か。

 シシガニャンどもは、正面(しょうめん)に居ると(おも)ってたが――結構(けっこう)ずれてやがったな。


 おれは向きを変えるついでに――(たか)い木の(みき)を蹴り上がる。

「――!?」

 一気(いっき)(あた)りが(ひら)けた。

 目の(まえ)(ひろ)がるのは、(さき)大陸壊滅(たいりくかいめつ)のような――うねる大地(だいち)

 うねる(かたむ)きに根が耐えられなかったのか大木(たいぼく)次々(つぎつぎ)と、(おと)も立てずに(たお)れていく。


――(居たぜ)!」

 亀裂(きれつ)の向こう。

 曲がりくねる渓谷(けいこく)を――

 その断崖絶壁(だんがいぜっぺき)を――

 一直線(いっちょくせん)(のぼ)っていく――

 露草色(つゆくさいろ)と、躑躅色(つつじいろ)


 ふぉん♪

『シガミー>結構速え。迅雷と大杖を両方使ったら、少し跳べたりしねえか?』

 ふぉん♪

『リオレイニア>浮かぶことは可能ですが、マナ欠乏時に制動が掛かるため、速度の維持は難しいです』


 ふぉん♪

『シガミー>ちっ、使えねえ!』

 ふぉん♪

『リオレイニア>なんですって!?』

 ごちん♪

 ふぉん♪

『シガミー>違う違う、使えねぇのは迅雷のことだぜ!』

 (いて)ぇな!

 リカルルとルリーロだけじゃなくて、リオまで――

 おれの(あたま)小突(こづ)くのに、躊躇(ちゅうちょ)が無くなっちまったぜ。


「――そんなことを言うなら、轟雷(ゴウライ)を着て飛べないのですか――――!?」

「――それで落ちたときに、手に持ったリオを(つぶ)しちまいかねん!」

 あ、(こえ)が出た。やべぇ、また引き(はな)された!


 ん?

 なんだか(みち)(さき)に、(もり)自然(しぜん)には似つかわしくない――

 派手(はで)(いろ)のが、落ちてやがる(・・・・・・)


「こいつぁ――おれの〝11(ばん)〟だぜ」

 行き(だお)れていたのは、最後尾(さいこうび)(はし)っていたはずの――特撃型改(とくげきがたかい)の11(ばん)

 たぶん小石(こいし)にでも(あし)を取られて、すっ(ころ)び――そのまま、置いて行かれたんだろう。


 おれは立ち止まる。

 おれの腕時計(うでどけい)(はい)っているのは――

 今着(いまき)てる給仕服(せいふく)と――

 轟雷(ごうらい)と――

 強化服(きょうかふく)10号改(ごうかい)だ。


   §


 シュッゴオッバァァァァァァッ――――!!

 (はえ)(はえ)ぇ!

「ヴュザッ――きゃぁぁぁぁっ――――!?」

 轟雷(ごうらい)の背で爆ぜる大筒(スラスター)

 その(いきお)自体(じたい)は、本気(ほんき)魔法杖(つえ)を駆る彼女(かのじょ)と、そこまでは変わらんだろぅ。

 それでも自分(じぶん)で飛ぶのとは、(ちが)うらしぃ。


 ヴュパ――『((°□ °))』

 強化服10号改(シシガニャン)中の彼女は(・・・・・)大口(おおぐち)を開け(ふる)えている。

 まぁ、じっとしてくれてるなら、持ちやすくて良い。


 よぉーし♪

 さっき拾った特撃型改(とくげきがたかい)11(ばん)を、簡単(かんたん)に着られる(かん)じに仕立(した)ててみたが――

 (いま)のところ、上手(うま)く着られているぞ。


 (やす)(つく)りの(ほう)を、リオに着せるわけにはいかねぇから――本式(ほんしき)(ほう)を着せてやった。

 ヴュゥワッ――ジザザッ♪

 シシガニャンの(あたま)(つく)りは、そこそこ複雑(ふくざつ)で――おれ一人(ひとり)じゃ、完全(かんぜん)には再現出来(さいげんでき)なかったが――

 轟雷(ごうらい)(さき)に着ていたお(かげ)で、(れい)演算単位(すげぇとんち)肩代(かたが)わりしてくれた。


 耳栓(みみせん)(よっ)つと、分解(ぶんかい)して、〝11(ばん)〟を着られるように(つく)(なお)し――

 轟雷(ゴウライ)を脱いで、特撃型改(とくげきがたかい)10(ごう)も脱いで――

 特撃型改(とくげきがたかい)11(ばん)を着て、最後(さいご)轟雷(ごうらい)を着た。


 はっきり言って、超絶面倒(ちょうぜつめんどう)だったが――(いた)(かた)ねぇ。

 五百乃大角(いおのはら)迅雷(ジンライ)直ったら(・・・・)本格的(ほんかくてき)にシシガニャンどもを(つく)行程(こうてい)見直(みなお)してやる。

 目標(もくひょう)としては腕輪(うでわ)に絶えず10(ぴき)の、シシガニャンを持てるくらい(つく)りたい。


▼▼▼▼▼(ピピピピピッ)▼▼▼▼▼(ピピピピピッ)▼▼▼▼▼(ピピピピピッ)▼▼▼▼▼(ピピピピピッ)――――♪』

 うるせぇ。

 (した)を見れば、断崖絶壁(だんがいぜっぺき)を駆けていく、(ねこ)魔物風(まものふう)どもが見えてきた。


「あーあーっ? よぉーし。強化服(きょうかふく)中なら(・・・)、こうして(はな)せるぜ♪」

 (こえ)物音(ものおと)(みみ)に届くまえに消されちまうのは、(こと)(ほか)――厄介(やっかい)だって(こと)が、わかった。


「ザザザッ――ふぅ、本当(ほんとう)ですね♪」

 よし。服越(ふくご)しに、ちゃんと(こえ)も聞こえる――ってことはだ。

 (いま)リオレイニアは、魔法(まほう)使(つか)えるってことだ。

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