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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
5:大森林観測村VSガムラン町

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602/744

602:ファンキー・フカフ村へようこそ

「へへいへぇーい♪ ようこそおいで(くだ)さいーましたっ♪」

 うをわぁ!? (あたま)がおにぎり(なみ)にでかい(むすめ)がぁ、料理(めし)(はこ)んできた。


「ちょーしわぁ、どーぅかぁーい♪」

 やっぱりモサモサした(おお)きな(あたま)青年(せいねん)が、(たて)だか(よこ)だかわからないほどの――

 分厚(ぶあつ)(にく)(はこ)んできた。


 ジュジュジュジュゥー♪

 鉄板(てっぱん)木皿(きざら)に乗せてあって、(うま)そうな(おと)(かな)でてやがるぜ。

「きゃはぁー♪」

 いつもなら真っ(さき)奇声(きせい)を上げるのは、五百乃大角(いおのはら)だが――

 今日(きょう)はその(やく)を、ビステッカに(ゆず)っている。


「「いゃふぅー、ひゃひゃぁーい♪」」

 ぱしんと手を打ち合わせ、手を(つな)いで去って行くファンキー・フカフ(むら)(わか)(しゅう)たち。


 腰を振り(うぇいぅえぃ)頭をふらふらと(へいへへぇーい♪)

 「えぇい、しゃっきりと(ある)かんかぁ――!」――と(かつ)を入れてやりてぇ。


 (かぜ)に吹かれてモッサモサ揺れてるから、あの(あたま)わぁ……チリチリになった(かみ)の毛かぁ!?

 (むら)火事(かじ)見舞(みま)われた……様子(ようす)はねぇーか。

 おまえらぁ、おれたちを持てなすまえに、(あたま)から(みず)でも(かぶ)った(ほう)がよくね?

 (大森林(だいしんりん)気候(きこう)に合わせた機能性(きのうせい)を、追求(ついきゅう)したファッション……一種(いっしゅ)歌舞伎者(かぶきもの)と、お(かんが)(くだ)さい)

 なるほどなぁ。


   §


「コッヘル商会会長(しょうかいかいちょう)のティーナ・コッヘルよー。よろしくねぇー♪」

 むっちりとした(からだ)(つつ)み込まれ、身動(みうごき)きが取れなくなった。


「これはこれは商会長(しょうかいちょう)さま♪ 紹介(しょうかい)(おく)れましたわ。そちらは我が猪蟹屋(ししがにや)当主(とうしゅ)、シガミー・ガムランですわ、クスクス()

 そんな(こえ)におれは解放(かいほう)され、今度(こんど)茅野姫(かやのひめ)がガシリと抱きすくめられた。


 ふぉん♪

『ホシガミー>あら、身動き出来ない? シガミーさん。たすけてー!』

 おれでさえ身動(みうご)きが、取れなくなったからな。

 ふぉん♪

『シガミー>星神さまじゃ、死んでも抜け出せん。諦めろ』


「ふぅい。そっちはおれの、まぁ……縁者(えんじゃ)みたいなもんだ、名は茅野姫(かやのひめ)だぜ」

 藻掻(もが)くことすら出来(でき)ない、星神さま(カヤノヒメ)紹介(しょうかい)してやる。


(わたくし)はリオレイニア・サキラテです!」

(わたし)はレイダ・クェーサーだよ!」

我々(われわれ)初等(しょとう)魔導学院(まどうがくいん)(ねん)組教師(くみきょうし)と、教え子たちです――一同(いちどう)さんはい、こんにちわ♪」

「「「「「「「「「「「「「こんにちわー♪」」」」」」」」」」」」」

 抱きしめられてはたまらんとでも(おも)ったのか、すかさず一気(いっき)名乗(なの)りを上げる連中(れんちゅう)


「はい、こんにちわぁ♪ あらぁ、(めずら)しいお(きゃく)さまも居るわねぇ?」

 避難(ひなん)して、鬼の娘(オルコ)(あたま)にしがみ付いていた――

 お猫さま(ケットーシィ)に向けられる、商会長(しょうかいちょう)(やさ)しげなまなざし。


「にゃんにゃんみゃー♪」

「「我輩(わがはい)はロォグ、ニャァ」って言ってるぜ……わよ」

 猫の精霊(ケットーシィ)にして、魔法具作(まほうぐづくり)りの魔物(まもの)

 猫の中(ヴァロルフォグル)の猫(・オルネコー)とかいう言葉(ことば)をもじって、ロォグと名付(なづ)けた。


「あたしは、オルコトリアだ」

 ガムラン町支部(ちょうしぶ)何度(なんど)(こわ)した乱暴者(らんぼうもの)だが、根は常識人(じょうしきじん)なギルド支部受付嬢(しぶうけつけじょう)だ。

 血を四肢(しし)(あつ)筋力(きんりょく)倍加(ばいか)し、(まさ)に〝(おに)金剛力(こんごうりき)〟を使(つか)鬼族(オーガ)(むすめ)

 今日(きょう)彼女(オルコ)猪蟹屋(ししがにや)猫耳付(ねこみみつ)きメイド制服(せいふく)を、着込(きこ)んでいる。


「はぁーい♪ ローグニャーちゃんに、オルコニャーちゃんね。よろしくーぅ♪」

 ざっとおれたちの頭数(あたまかず)(かぞ)えた商会長(かのじょ)は、厨房(ちゅうぼう)らしき建物(たてもの)を振り(かえ)り――

 背負(せお)っていた鉄鍋(てつなべ)を取り出して、ガァンと打ち鳴らした!

 うるせぇ!


「あなたたちぃ、サボってたらぁ承知(しょうち)しませんよぉ――?」

 外見(がいけん)からは想像(そうぞう)できないほどの(はや)さで、駆けていく商会長(しょうかいちょう)

 (なが)く編み込んだ(かみ)が揺れ――ガンガンガガガガガァン♪

 うーるーせーぇー!

 (そと)項垂(うなだ)れていたミスロットと盗賊(とうぞく)たちが、背筋(せすじ)を伸ばして厨房(ちゅうぼう)(もど)った。


「こらっトゥナ! あなたは今日(きょう)わぁ、お(きゃく)さんなんだからぁ、厨房(ちゅうぼう)に立つんじゃぁありませぇーん!」

 (ぎゃく)に追い出されたのは、女将(おかみ)さんだった。

「そう言ってもさぁ、(かあ)さんも、もう(けっ)して(わか)くないんだか――――!?」

 うふふふふぅ――――鉄鍋(なべ)菜切(なき)庖丁(ぼうちょう)に持ち替えた商会長(しょうかいちょう)が、微笑(ほほえ)みをたたえた。


「まさかの母上(ははうえ)だとは……えらく(わか)くね?」

 おれはリオに耳打(みみう)ちした。

「そうですね。気のせいか女将(おかみ)さんより、若々(わかわか)しく見受(みう)けられます」

 ガムラン(ちょう)にも化け(もの)じみた若作りが居るから(・・・・・・・・)、そこまで(おどろ)きはしなかったがな。


 女将(おかみ)さんの縁者(えんじゃ)母上(ははうえ))による(めし)支度(したく)は、とても手際(てぎわ)が良く――

 無人工房並(むじんこうぼうなみ)大量(たいりょう)(めし)が、飛び出してきた。


 最後(しまい)には配膳(はいぜん)が追いつかず、おれたちも総出(そうで)手伝(てつだ)った。

 出したテーブルは、20(たく)にも(およ)び――

 椅子代(いすが)わりの(ちい)さな切り(かぶ)も、100個近(こちか)(なら)べた。


「ばたり」「ばたり」「ですわ」「そうわね」「ばたり」「あっしもさぁ」

 ミスロットと盗賊(といぞく)(たお)れ、厨房(ちゅうぼう)から(まろ)び出たころ――

「これで全員分(ぜんいんぶん)(そろ)ったわぁね?」

 (うたげ)準備(じゅんび)(ととの)った。


   §


「じゃぁ、こほん♪ みなさんようこそ――かんぱーい♪」

 (わか)くもない(しゅう)、ジュークの素っ気ない号令(ごうれい)


「「「「「「「「かんぱーい♪」」」」」」」」

「「「「「かぱーい♪」」」」」

「きゃぁ♪ すごい、ご馳走♡」

「おれっちの(した)満足(まんぞく)させられると、お(おも)いかね? ふふぅん♪」

「みゃにゃぎゃぁー()

「ひひひぃーん?」

 おれたちが(さかずき)(かか)げると――


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「うえぇーーーーーーーーーーい♪」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 ガガゴォン!

 全員(ぜんいん)(さかずき)を、打ち鳴らした。


「ぷはぁ――なんだこの、冷えた善哉(ぜんざい)みたいなのわぁ?」

 超旨(ちょううめ)ぇ♪

「そ、それは(さき)ほどの、ソッ(そう)ですわよ」

 (あお)(かお)のミスロットさんが丸太(いす)(ころ)がし、寄ってきた。


「へぇー。こりゃますます商談(しょうだん)を、成功(せいこう)させなくちゃな♪」

 ごん――すとん♪

 (となり)(すわ)られた。

 彼女(ミスロット)が持つ(さかずき)には、(むら)(つく)ってるらしい――ぬるい酒(エイル)並々(なみなみ)と、(そそ)がれている。


「へっへぇーい♪」

 それにしてもだ。

 歓迎(かんげい)されてるのはわかるがぁ、モサモサ(あたま)(わか)(しゅう)がぁ――

(きみ)っさぁー、(さい)(きん)さぁー、どぉなのぉ?」

 (ちょう)うるせぇ。


「ぅにゅわわっひょへぇーぃ♪」

 あと、おっさんは(だま)っとけ。

 切り(かぶ)みたいな(おお)きな建物(たてもの)から(ひび)く――ズムズムムズムズム♪

 お囃子(はやし)にも超絶(ちょうぜつ)に、イラッとさせられる!


 (イオノファラーなら、(よろこ)びそうですが)

 だな。この騒々(そうぞう)しさは彼奴(あやつ)歌声(うたごえ)にも、(つう)じる(もの)があるから――

 此処(ここ)住人(じゅうにん)とは(ちょう)、気が合いそうだ。


 おれは、白金(はっきん)(ぼう)を取り出すが――

 迅雷(ジンライ)はウンともスンとも言わず、浮かびもしねぇ。

 やはりこの(こえ)は、おれがそう考えた(・・・・・)だけのことだ。


「そんなことより、小猿(こざる)っ♪ この子は(・・・・)、いつ(うご)き出しますの?」

 ご令嬢(れいじょう)、いやミスロット・リンデさまが――

 テーブルに置かれた女神御神体(いおのはら)を、(ゆび)さした。

「わくわくわくわく♪」

 年甲斐(としがい)も無く、お(はしゃ)ぎになってやがるぜ。


 テーブルの(うえ)女神御神体(めがみごしんたい)を乗せた、女神像(めがみぞう)台座(だいざ)

 此奴(こいつ)をギルド支部出張所(しぶしゅっちょうじょ)や、女神像(めがみぞうの)転移先(てんいさき)として、使(つか)えるようにするには――


「あー、どーすりゃ良いんだぜ? お(ねこ)さまよ?」

 テーブルの(うえ)を四つ(あし)(ある)く、ロォグにも(たず)ねてみた。

 おれが轟雷(ゴウライ)で飛んで、レイド(むら)に行ってくりゃ済む(はなし)なんだが。


女神像(めがみぞう)との(つな)がりが死んでる(・・・・)ニャァ♪ (いき)を吹き(かえ)させないと使(つか)――オフィスビル――枝豆(えだまめ)――グラボ二枚差(にまいざ)し――ニャッ♪」

 (いき)を吹き(かえ)させるって言ってもよぉ?


「そりゃ無理(むり)だぜ。この(むら)にはギルド支部(しぶ)なんて、(かげ)(かたち)もねぇだろうが?」

 イオノフ教教会(きょうきょうかい)にも似たものはある(・・・・・・・)らしいが、どっちにしろ教会(そんなもの)なんざねぇ。

 神官さま(ナーフ)が「未開(みかい)の地に、教会(きょうかい)はありません!」って言ってたから、ねぇーのは(たし)かだ。


「よくわからないけど、残念(ざんねん)だったね。このおばさ……お(ねえ)さんがケチって、フカフ(むら)にはギルド支部(しず)出来(でき)なかったんだよ」

 とおい目をする、(わか)くもないジューク氏。


「うるさいですわよ、ジュークのくせに!」

 (ちい)さな(たる)のような、(おお)きな(さかずき)を――ばこん!

 ジュークの(あたま)に乗せる、ご令嬢(ミスロット)

 (さかずき)はパカーンと割れ、ぬるい酒(エイル)(あたま)から(かぶ)る、ジューク氏。


「ひっ、ひどいよー、ロットリンデェ――――!?」

 あははっはあははっは、ケタケタケタタタッ――――♪

 (こころ)(そこ)から(たの)しそうな、あの(かお)

 それは(まさ)に、ニゲルを負かしたときの、(ぼう)令嬢(れいじょう)そのもので。

 あー、本当(ほんとう)此奴(こやつ)らわぁ――


「まるで……10数年後(すうねんご)のお(じょう)さまと、ニゲルの(よう)(おも)えてきました」

 リオレイニアも(おな)じことを、(かんが)えていたらしく――

 (ひたい)を押さえて目を、(しず)かに閉じた。

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