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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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576:龍撃の学院、奇祭はソースの調べ

第二回(だいにかい)、タコパ開催決定(かいさいけってい)いたしましたぁ!」

 揉めごとが氷解(ひょうかい)し、(ゆる)んだ空気(くうき)

 そんなところに(おど)りぐねる、蛸足(たこあし)という立派(りっぱ)食材(しょくざい)


開催日時(かいさいにちじ)は、(いま)ココなう♪」

 丸茸さま(いおのはら)が、そう言い出さない――訳が無い(・・・・)のだ。


「まったくよ。揉め(ごと)飯事(めしごと)しか起きねぇぜ、この(うつつ)わぁ!」

 迅雷(ジンライ)(れい)アレ(・・)、どうなってたっけか?

 ふぉん♪

『>滞りなく、工房長より納品済みです』

 今度(こんど)こそ、本当(ほんとう)だろうな?


   §


「こちらにも、もう二皿(ふたさら)いただけますかしら?」

 (ひめ)さん(ガムランの(ほう))の気取った様子(・・・・・・)が板についてて、(はな)につきやがるぜ。

「へぃ、よろこんでぇー♪」

 おれは焼き上がった〝(あま)蛸型(たこがた)鯛焼(たいや)き〟を、新開発(しんかいはつ)のレイダ材製(ざいせい)紙皿(さら)に乗せる。

 ふぉん♪

『>火で炙られ焦げた和紙を、レイダ材で補強した場合。なぜ色味が竹の皮目のように、なるのですか?』


 ふぉん♪

『シガミー>おれに聞くな。わからん。ウケは良いから使える物は使っとけ』


   §


 おれの手伝(てつだ)いを買って出たレイダが(かみ)(はこ)を焦がし、燃え(ひろ)がるのを(ふせ)(ため)、とっさに「レイダ(ざい)にぃ、なぁれぇえーい!」

 そんな経緯(けいい)出来(でき)た、まるで(たけ)(かわ)のような紙箱(かみばこ)を見るなり――


「シガミーさん、この(かたち)綺麗(きれい)に焦げた(かみ)のお(さら)を、大量(たいりょう)(つく)れますか? ププークスクス()

 そう進言(しんげん)する、守銭奴星神(しゅせんどほしがみ)カヤノヒメ。


 (にぎ)(めし)(つつ)(たけ)(かわ)みたいな、簡素(かんそ)(つく)り。

 そんな船形(ふながた)紙皿(さら)。そんな(もの)なら、(まばた)きの間で3(まい)(つく)れる。

 その現物(げんぶつ)を見せて、おにぎりたちに(たの)んでおけば――

 無人工房(むじんこうぼう)で30(ふん)も掛からずに、何千枚(なんぜんまい)複製出来(ふくせいでき)る。


「あっ、その(いろ)素敵(すてき)わよ! いっぱい(つく)って! あたくしさま……たこ(やき)きイオノちゃんさまも頑張(がんば)って焼くから(・・・・)っ♪」

 丸茸(まるきのこ)が、それはそれは(うれ)しそうで――

 ふぉん♪

『>イオノファラーが、物理的に輝いています』

 本当(ほんとう)だ。浮かれた女神御神体(まるきのこ)(からだ)が、うっすらと(ひか)ってやがる。


 ふぉん♪

『シガミー>あれ大丈夫か? MSPが減ったりしてねぇだろうな?』

 MSP(メガミスキルポイント)てのは五百乃大角(いおのはら)専用(せんよう)の、SP(スキルポイント)のことだ。

 女神(めがみ)生身(なまみ)姿(からだ)(かぜ)(さら)すと、どんどん減っちまうから仕方(しかた)なく――

 この御神体(ごしんたい)に取り付いて(もら)ってる。

 関係(かんけい)ねぇが、星神(ほしがみ)のは(ホシガミ)SP(スキルポイント)だ。


 ふぉん♪

『ホシガミー>大丈夫なようですよ。気力活力ともに120%。過充電状態なため余分な活力を発光することで発散しているだけです、ププププークス♪』

 なら良いやぜ、ソレすなわち世界(せかい)安寧(あんねい)だ。


 それに今日(きょう)(しの)げば、やっと念願(ねんがん)の〝央都(おうと)で、のんびり(ひま)を持て(あま)したい〟――が実現出来(じつげんでき)らぁな!


 ふぉん♪

『ヒント>和紙/繊維を原料に、手漉きで作られた紙。強靱で日光による劣化が少ない』


 丈夫(じょうぶ)(かる)くて、しんなりとした手触(てざわ)りの紙製(かみせい)(うつわ)

 そいつが要るなら、(なん)とかしてやりてぇ。

 絵で板(エディタ)記録(ブクマ)してある、(かみ)材質(マテリアル)を――解析指南(かいせきしなん)

 ふぉん♪

『解析指南>汎用エディタには対応出来ません。一枚ずつ作成する方法は有りますが、時間が掛かるため推奨出来ません』

 けど〝満遍(まんべん)なく焦がした(かみ)(つく)れ〟となると解析指南(かいせきしなん)も、お手上(てあ)げだった。


「えぇー? 焦げたぁ和紙(わし)ぃのぉー、マテリアルノードォ()

 画面(がめん)(なか)絵で板(エディタ)(もぐ)り込む梅干(うめぼ)(だい)女神(メガミ)アイコンさま。

「それはねぇーこうしてぇ、元素(げんそ)とボリュームでぇ、自動的(じどうてき)にぃーマテリアル生成(せいせい)ぅ。こっちの炭素(たんぞ)エフェクトわぁ、2%上限(パーじょうげん)()――」

 画面(モニタ)(なか)点在(てんざい)する〝仮説(もののつくり)〟や〝(なちたち)〟を(あらわ)す、板ぺらの間(ノードとやら)から――

 ぐんにゃりした(えにし)を手で引き延ばし、(むす)んでいく。


「マテリアル出力(しゅつりょく)()

 ヴュパポン♪

 立ち(どころ)焦げた(・・・)和紙(かみ)の〝色味(いろ)〟を、作り出した(・・・・・)


 これには(おど)いた。

「(おい。五百乃大角(いおのはら)のくせに、対価(めし)をせがんでこねぇぞ?)」

 まさか浮かれすぎて、(こわ)れたか?

 ふぉん♪

『イオノ>タコパの道も一歩から。後顧(こうこ)(うれ)い、獅子搏兎(ししはくと)山椒(さんしょ)小粒(こつぶ)でぴりりと(から)い』


意外(いがイ)なコとに……ひそヒそ……本心(ほンしん)かラ、前向(まえム)きナ(ヨう)()

「やっぱり……ひそひそ……(こわ)れただろぅ?」


 ふぉん♪

『イオノ>聞こえていますよ。けど今日の所は気分が良いので、許してあげましょお♪』

 絵で板(エディタ)から飛び出す、梅干(うめぼ)しサイズの分け身(アイコン)

 定位置(ていいち)である、食材(しょくざい)フォルダ(となり)空いた場所(スペース)寝転がる(ごろぉん)


 どっぷん、どぽぽん――カチャカチャカチャッ♪

 目のまえの机上(テーブル)に立ち、饂飩粉(うどんこ)出し汁(だしじる)で溶き(はじ)める丸茸形状(おのはら)


『(Θ_Θ(カシャッ♪))』、『(Θ_Θ(カシャッ♪))』、『(Θ_Θ(カシャッ♪))』

 (ひと)のサイズの五百乃大角(いおのはら)姿(すがた)を――――ヴュッパパパァァッ♪

 空中(ちゅう)(うつ)し出す、空飛ぶ(プロジェクション)(BOT)×3。


「おい、アレはまさか――イオノファラーさまではないのかねっ!?」

 空中(ちゅう)(うつ)し出された(おんな)姿(すがた)を見た、政敵派閥閣下(せいてきはばつかっか)(こえ)(あら)げているがぁ――

 よくも(した)(ぱら)が出がちな(おんな)を、美の女神と見抜いたな(・・・・・・・・・・)


 「まぁ、そうさね?」

 ズサササッ――女将(おかみ)さんの気のない返事(へんじ)(ひざ)を突く、政敵派閥(せいてきはばつ)たち。

 ソレに(なら)王家筋(おうけすじ)に、ガムラン(ぜい)どもが――組んだ手を(はな)押し当てた(・・・・・)

 学者方(がくしゃかた)子供(こども)とメイドたちは、何処吹(どこふ)(かぜ)で――

 (あたま)にねじり鉢巻(はちまき)を巻いた美の女神(いおのはら)実物大(じつぶつだい))を、手伝(てつだ)ってくれている。


 見えてるだけでも全部(ぜんぶ)で、五人(ごにん)五百乃大角(いおのはら)が――

 奇祭(きさい)タコゥパに邁進(まいしん)していた。


 透波(すっぱ)連中(れんちゅう)が、似た背格好(せかっこう)間者(かんじゃ)使(つか)う――人心(じんしん)(まど)わす手口(てぐち)

 だが神々(かみがみ)のやる分け身の術(・・・・・)には、際限(さいげん)がねぇ。


 ふぉん♪

『>マルチタスク、マルチスレッドです』

 それな。


 ぶつんと閉じられる、絵で板(エディタ)

 (なん)にしても、でかした丸茸(まるきのこ)さまよ。

 基本的(きほんてき)絵で板(エディタ)(つく)れる(もの)は、無人工房(むじんこうぼう)でも(つく)れる。


 これで祭り(タコゥパ)使(つか)竹革(たけかわ)(うつわ)を、いくらでも用意出来(よういでき)らぁ♪


   §


 工房長(こうぼうちょう)渾身(こんしん)の――なんとアダマンタイト(せい)の、軍配団扇(ぐんばい)

 軍配(それ)には(まる)出っばり(・・・・)が、気持(きも)(わる)程並(ほどなら)んでいて――

 まるで(てつ)(はな)だ。

 裏返(うらがえ)し火に掛け、溶いた込む義故ぅ(うどんこ)(なが)し入れ――

 切った(たこ)と菜っ葉と、薬味(やくみ)を落としたら――

 鉄串(てつくし)器用(きよう)(ころ)がし、(まる)く焼き上げる。


「さぁ、食べてみてよ! これがぁ正真正銘(しょうしんしょうめい)のぉ、たこ焼きパーティーの(はじ)まりわよっ()

 大講堂横(だいこうどうよこ)(ふたた)び立てた、(ぬの)出来(できた)掘建て小屋(テント)

 その日陰(ひかげ)(なか)浮かぶ(プロジェクション)(BOT)(あやつ)御神体の姿(まるきのこ)は掻き消え――ヴォォォゥン♪

 まるで本当(ほんとう)に、美の女神(メガミ)五百乃大角(いおのはら)降臨(こうりん)しているように見えた。


 (うなが)されるままに。(かお)りの(つよ)いタレと(たまご)のソースを掛け――一口(ひとくち)

 ハフハフハフッ――()っちぃがぁ――「超旨え(ひょぉふへぇ)♪」


「でしょでしょそーでしょぉー? Такояки - это не такояки.()

 わからん。興奮(こうふん)のあまり、わからん語が出とるぞ?

 (あち)い、(うま)い――(あつ)(うま)


   §


 五百乃大角(いおのはら)主催(しゅさい)(うたげ)は、深夜(しんや)にまで(およ)び――

 倉庫(そうこ)が〝レイダ(ざい)紙皿(かみざら)〟で……埋め尽くされた(・・・・・・・)


「みゃにゃぎゃぁー()

「ひひひひっひぃん?」

 (わる)かった(わる)かった、すっかり(わす)れてたぜ。


 (なん)せ、おれも迅雷(ジンライ)もカヤノヒメも、五百乃大角(いおのはら)でさえ――

 馬車馬(ばしゃうま)のように、(はたら)いてたし――

 いつもなら気づく生意気(なまいき)子供(こども)や、しつけに(きび)しい給仕服(メイド)も――

 (いき)()(ひま)が無い(ほど)(いそが)しかったのだ。


 奇祭(タコゥパ)は、それほどの盛り上がりを見せ――

 ラスクトール国王(こくおう)すらも、お(しの)びで来ていたとか。


「お(まえ)らの(ぶん)も、(いま)すぐ焼いてやるから――(ゆる)せやぁ」

 おれは見よう見まねで(おぼ)えた〝たこ焼き〟を、二皿焼(ふたさらや)き上げ――

 黄緑色(きみどりいろ)働き者たち(・・・・・)に、振る舞った。


ーーー

マテリアルノード/3DCGツールにおいて質感や材質を個別に制御し、テクスチャデータを生成するための機構。ノードグラフと呼ばれる〝視覚重視型UI〟を備える。

後顧の憂い/将来に対する心配事。

獅子搏兎/簡単な事柄にも、全力を尽くすこと。

山椒は小粒でぴりりと辛い/体は小さくても気立てや才能に優れていて、侮れないというたとえ。

透波/忍者。人をだまし浮気者で、盗賊で嘘つきというのが本質。

間者/スパイ。敵方の様子を探る者。家族や同胞の命や尊厳を奪う、社会の敵の最たる者。

Такояки - это не такояки./「たこ焼きは、たこ焼きでは無い」という、「たこ焼きは〝人生〟」的な訓話。

マテリアルノード/3DCGツールにおいて質感や材質を個別に制御し、テクスチャデータを生成するための機構。ノードグラフと呼ばれる〝視覚重視型UI〟を備える。

後顧の憂い/将来に対する心配事。

獅子搏兎/簡単な事柄にも、全力を尽くすこと。

山椒は小粒でぴりりと辛い/体は小さくても気立てや才能に優れていて、侮れないというたとえ。

透波/忍者。人をだまし浮気者で、盗賊で嘘つきというのが本質。

間者/スパイ。敵方の様子を探る者。家族や同胞の命や尊厳を奪う、社会の敵の最たる者。

Такояки - это не такояки./「

たこ焼きは、たこ焼きでは無い」という、「たこ焼きは〝人生〟」的な訓話。

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