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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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571/744

571:龍撃の学院、大講堂にて

「それでお(じょう)さま、どういたしましょうか?」

 深刻(しんこく)(かお)……(かお)眼鏡(めがね)半分隠(はんぶんかく)れているが――

 (じつ)彼女(かのじょ)仮面越(かめんご)しの(かお)は、とても表情豊(ひょうじょうゆた)かで――

 いつまで見ていても、飽きない。


 じっと見てると、小言(こごと)を言いに寄ってくるから――ヴヴウヴヴヴッ?

 あんまり(なが)くは、見ていられんがなぁ。

 けどそろそろこの〝(はち)みたいな(かお)に見える眼鏡(めがね)〟を、最終調整(さいしゅうちょうせい)ついでに(かたち)を替えてやるか。

 この威圧感(みため)だとフッカが、逃げていくしな。


 ふぉん♪

『ルガーサイト【銀相】

 防御力80。魔術的特性の構成質量をキャンセルする。

 装備した者の眼光を抑制すると同時に、

 魔術構文の概算化による詠唱時間短縮』

 そんな名前(なまえ)に、なったんだったっけ。

 (くろ)みがかった鏡面(きょうめん)が、ルガ(ばち)(かお)彷彿(ほうふつ)とさせ――

 ある意味(いき)格好良(かっこうよ)すぎている。


 ふぉん♪

『>はい。ですがリオレイニア本人は、とても気に入っている様子ですが』

 ならもう(ひと)(つく)るか?

 けど、これの(まえ)(つく)った真っ(しろ)眼鏡型(めがねがた)もあるだろ。


 ふぉん♪

『>では自在に形を、変えられるようにしましょうか?』

 そんなことも出来(でき)るのか?

 ふぉん♪

『>可能です。縦横の幅と厚み、前後左右への湾曲率と眼鏡のリム端のデザイン選択を、装着者が自分で行えるようにいたしましょう』

 手で引っ張って変えるのか?

 眼鏡(めがね)(はず)したら、リオレイニアの色香(いろか)(まど)わされた民衆(みんしゅう)(だま)っちゃいねぇ。


 ふぉふぉん♪

『>デザイン変更には、モニタに表示される簡易的なGUIエディタを使用します。可変機構に必要となるアダマンタイトの外装には、高密度の龍脈言語が記述可能ですの』

 まて。

 此処(ここ)大講堂(だいこうどう)巨木(きょぼく)木龍(きりゅう)討伐(とうばつ)し、(うたげ)(きょう)じた翌々日(よくよくじつ)

 入り(ぐち)には『央都政治と龍撃についての懇談会』の立て板。


(おも)った以上(いじょう)深刻(しんこく)事態(じたい)に、なっていましたわね」

 ご令嬢(れいじょう)真剣(しんけん)(かお)

 こんなのは、(あま)菓子(かし)(あま)くない菓子(かし)のどっちを食べるか(なや)んでるときか――

 侍女(リオ)同僚(オルコ)から逃げてる、真っ最中(さいちゅう)か――

 某青年(ぼうせいねん)をどうやって打ち負かしてやるか、奸計(かんけい)を練ってるときくらいしかない(はず)


 つまり、かなり深刻(しんこく)そうな(はなし)をしてるっぽくね?


政敵(せいてき)である上流貴族(じょうりゅうきぞく)派閥(はばつ)への、説得材料(せっとくざいりょう)としてはあまりにも――」

 辺境(へんきょうはく)伯参謀(さんぼう)(ひと)なんかも来てるし――

「そうですね。こんなに(ちい)さい(おんな)の子を、派閥側(はばつがわ)へ差し出すことなど――」

 博打好(ばくちず)きのサウルース王子殿下(おうじでんか)も居たか……今日(きょう)真面目(まじめ)(かお)をしてる。


「そもそもラプトル王女殿下(おうじょでんか)の、央民(おうみん)への配慮(はいりょ)がニャァ――」

顧問(こもん)、その発言(はつげん)不敬(ふけい)に当たります」

 顧問氏(こもんし)たちも来てる。


「それじゃぁ、言い(かた)を変えるニャァ♪ こほん、魔導工学(まどうこうがく)傾倒(けいとう)する(まえ)王女(あなた)(だれ)からも(した)しま――」

 白熱(はくねつ)する議論(ぎろん)。これだから(まつりごと)てぇのわぁ。

 ガリガリバリバリと(うし)(あたま)を掻いてたら――

 ぴしゃりと手を(たた)かれた。

 迅雷(ジンライ)動体検知(モーショントラッカー)を避け、(しの)び寄るサキラテ家の(ひめ)……女王蜂(ルガレイニア)


「――それって――ラクトアイス――チャタリング――ニャァー♪――」

 レイダに(かか)えられたお猫さま(ロォグ)が、(なに)かを言って――

「みゃにゃぎゃにゃぁ、みゃんやにゃぎゃーぎゃー()

 ぱたん♪

 全員(ぜんいん)がおにぎりを見つめ――議論(ぎろん)(つづ)いていく。

 背中(せなか)を向けてるから、(いた)に書かれた文字(もじ)が読めん。


 ふぉん♪

『>「建国の資格を横にするなら、そこの魔銃オルタネーターを駆る娘を、王家に嫁がせれば牛すき御前では無いかニャァ♪」と言っています』

 迅雷(ジンライ)古代猫(こだいねこ)共用語(きょうようご)が、わかるようになって来てるな。

 大体(だいたい)意味(いみ)(つう)じる。


「当たり(まえ)です。それに建国(けんこく)資格(しかく)(たて)にするなら、うちの子が王家(おうけ)(とつ)ぐことになりましてよ? 断固反対(だんこはんたい)、どこぞのモクブート(・・・・)(ほね)に差し上げるくらいなら、(わたくし)がもらい受けま――」

 うちの子(・・・・)てのは、コントゥル家使用人(けしようにん)である少女(しょうじょ)・タターのことだろう。

「ふっるぅん♪ そうだねぇ、彼女(かのじょ)強運(きょううん)はとても魅力的(みりょくてき)だけど……あと5、いや10年後(ねんご)なら?」

 そして、どこぞの(モクブート)(ほね)には、(かれ)、サウルース王子殿下(おうじでんか)(ふく)まれている。


 すっぽこかららっぁぁん!

「こららぁぁん! タターちゃんは、お(にい)さまなんかにはもったいないですららぁん♪」

 王女殿下(おうじょでんか)杓子(まほうつえ)で、王兄殿下(おうけいでんか)頭頂部(とうちょうぶ)(たた)いた。


「ひひいっひぃん?」

 小気味(こきみ)の良い(おと)(おどろく)く、子馬(てんぷらごう)

 真ん(なか)長机(ながつくえ)最前列(さいぜんれつ)

 群衆(うんしゅう)黄緑色(おにぎりたち)に取り(かこ)まれたメイド(ふく)少女(しょうじょ)一人(ひとり)(おび)えている。


「おいおい、そう取り(かこ)んで(むずか)しい(はなし)をされちゃぁ――子供(こども)(おび)えるだろうが?」

 おれは長大な長銃(アダマンタイト)軽々(かつがる)(かか)えた、少女(しょうじょ)メイドタターを気遣(きづか)う。


「「シガミーだって、子供(こども)だよね?」」

 うるせぇそ、子供(ガキ)どもめ。


   §


「とにかく交渉材料(こうしょうざいりょう)(そろ)いましたが、とても彼女(かのじょ)交渉(こうしょう)の場に連れて行くわけには――」

 ルガじゃなかった、リオレイニアが――

 カシャリと眼鏡(めがね)位置(いち)(なお)す。

 今度の奴(・・・・)は、王女(おうじょ)頭飾り(ティアラ)彷彿(ほうふつ)とさせるような――

 上品(じょうひん)(かん)じに、仕立(した)ててみた。


 工房長(ノヴァド)相談(そうだん)したら――

 おれの手持(ても)ちのアダマンタイトで、目隠(めかく)しと眼鏡(めがね)が合わさったようなのを(つく)ってくれたのだ。

 (かまど)煉獄(ゲヘナ)調子(ちょうし)上々(じょうじょう)で、(むずか)しいアダマンタイトの加工(かこう)普通(ふつう)鍛冶仕事(かじしごと)よりも(はや)く済んだ(ほど)だ。


 出来(でき)外側(がわ)に〝ルガーサイト【銀相(ぎんそう)】〟をはめ込み、(くだん)絵で板(エディタ)も入れ――


 ふぉん♪

『ルガーサイト改【金剛相】

 防御力310。魔術的特性の構成質量をキャンセルする。

 装備した者の眼光を抑制すると同時に、

 魔術構文の概算化による詠唱時間短縮。

 追加機能/使用者の好みに形状変化可能』


 (あかがね)がかった白金(はっきん)には、うっすらと周囲(しゅうい)景色(けしき)(うつ)り込んでいる。

 複雑(ふくざつ)光沢(こうたく)や、(ふち)にあしらわれた精緻(せいち)(はな)意匠(かざり)は――

 王女殿下(おうじょでんか)頭飾り(ティアラ)彷彿(ほうふつ)とさせた。


 (いま)のところ、リオレイニアに求婚(きゅうこん)する(やつ)老若男女問(ろうにゃくなんにょと)わず)も――

 物陰(ものかげ)から様子(ようす)(うかが)う、フッカ(じょう)も居ない。

 (はち)っぽさが(まる)で無くなったからか、リオレイニアの威嚇(ヴヴヴッ♪)も止んだ。


「ふぅ……(べつ)の火だねにしか、なりませんわねぇ」

 そんな(あたま)を押さえる高貴(こうき)姿(すがた)一人(ひとり)大講堂(だいこうどう)(すみ)にへら(・・・)(わら)うニゲル青年(せいねん)

 大方(おおかた)、「苦悩(くのう)する姿(すがた)まで素敵(すてき)だ」なんて、(かんが)えてやがるのだろうぜ。

 立ち上がっては(べつ)(せき)(すわ)(なお)す、挙動不審者(あやしいやつ)は――一先(ひとま)(ほう)っておく。


「そうだぜ。とても海千山千(うみせんやません)悪狐(わるぎつね)どもに、タターを差し出す(わけ)にゃぁいか――――!?」

 こいつにゃ、(てん)ぷら(ごう)がずっと世話(せわ)になって――!?


「「悪狐(わるぎつね)ぇ、ですってぇぇぇぇ――――!?」」

 コントゥル母娘(おやこ)が、気を吐いた!


「ぅをわぁ!? る、ルリーロさまっ!? どっから湧きや――」

 (いま)のはだなぁ、言葉(ことば)(あや)って(やつ)で――

 ごちんっ!

 ごちんっ!

「痛ってぇ――――――――!」

 おれは(あたま)を押さえ、うずくまった。


「シガミーは(くち)(ひら)(まえ)(なぐ)る、に(かぎ)りますわね」

 か(ぼそ)指先(ゆびさき)を、ぷらぷらと振るご令嬢(れいじょう)

「そうですねぇー、ちゃぁんと天窓(てんまど)から(はい)って来ましたぁよぉー?」

 (うえ)を見れば、(まる)天窓(てんまど)が開けられ――心地(ここち)よい(かぜ)が抜けていた。


「――お待ちください! ただいま、使用中(しようちゅう)ですので!」

 ドヤドヤドヤ、ガヤガヤガヤ。

 廊下側(ろうかがわ)大扉(おおとびら)の向こうから、喧騒(けんそう)(ちか)づいてくる。


(なん)だぜ!?」

 おれたちの(まえ)に、すたん(・・・)姿(すがた)(あらわ)青年(せいねん)

 白線(はくせん)(はい)った執事服(しつじふく)派手(はで)だが、中々様(なかなかさま)になっていて――

 まるで正装(せいそう)した、護衛騎士(ごえいきし)のようにも見えた。


 バガァーン!

 ドガドガドガガガッ――!!!!!


 大講堂(だいこうどう)乱入(らあんにゅう)してきたのは――

 見たことの無い連中(れんちゅう)


 いや一人(ひとり)だけ、見覚(みおぼ)えがあった。

 王城(おうじょう)地下(ちか)で、リオレイニアを詰問(きつもん)した――小役人(こやくにん)だ。

 とすると、こいつらは王政(おうせい)に異を(とな)える連中(れんちゅう)か!?


閣下(かっか)、どうぞこちらへ」

 小役人(やくにん)率先(そっせん)して、後続(こうぞく)(さき)へと(うなが)した。

「ふむ。それで、そこの小娘(こむすめ)が、かの建国(けんこく)(りゅう)退治(たいじ)したというのは本当(ほんとう)かね?」

 正装(せいそう)らしき、豪奢(ごうしゃ)派手(はで)軍服(ぐんぷく)

 もみ上げと顎髭(あごひげ)(つな)がった、やや強面(こわもて)男性(だんせい)


 (おび)えるタターを(かば)うように立ち(ふさ)がる、ラプトル第一王女(だいいちおうじょ)殿下(でんか)

 その手が勇者(ゆうしゃ)(なりそこない)の背に添えられた。

 「ぅひょわぃ、ラプトル(ひめ)ぇ――――――――!!」という(さけ)びを飲み込むニゲル。

 王女(おうじょ)(ふる)える指先(ゆびさき)を、振りほどかないニゲルは――(まさ)勇者(ゆうしゃ)だった。


建国(けんこく)(さい)姿(すがた)(あらわ)した(りゅう)とは(なに)か? ご神木(しんぼく)とは(なに)か? 召喚(しょうかん)(とう)魔王(まおう)(たお)すために存在(そんざい)しているのでは無かったのかっ!?」

 名乗(なの)りも上げず、声高(こえたか)らかに。

 演説(えんぜつ)をする男性(あいつ)が、政敵(せいてき)とやらの頭領(かしら)らしい。


「ふぅ、こうなっては仕方(しかた)がありませんわね。ルコラコル!」

 パチリと(ゆび)を鳴らす、派手(はで)なドレス姿(すがた)

「こちらにコォン!」

 ふすっ――狐耳(きつねみみ)少年(かれ)は、格好良(かっこうよ)(ゆび)を鳴らせなかったが――

 目的(もくてき)(もの)は、しずしずと(はこ)ばれてきた。

 猫耳娘(ねこみみむすめ)の手によって。


「にゃぁっふっふっふふのふふふふっ――♪」

 (なに)がそんなに(たの)しいのか、(うす)(わら)いを(つづ)けるニャミカ。

 その手には、上級鑑定魔法具箱(・・・・・・・・)(たずさ)えられている。

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