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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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565/744

565:おとぎ話と龍撃戦、執事服と弾丸

巨木(きょボく)木龍(キりゅう)停止(ていシ)しまシた()

 ヴォヴォォゥン♪

 迅雷(ジンライ)が飛んできた。


(なん)だとっ!――ニャァ♪」

 部屋(へや)(かべ)表示(ひょうじ)されていた景色(けしき)が――ヴュオォゥン♪

 上空(うえ)からのものに、切り替わる。


 ガムラン(ちょう)火山(かざん)ダンジョンと魔物境界線(まものきょうかいせん)(とりで)(すべ)てを、見渡(みわた)せる(ほど)遠景(えんけい)

 (よこ)たわる巨木(きょぼく)太枝(ふとえだ)がうねうねと、まるで大河(たいが)のようだ。


(たす)かったけど、(なん)でだぜ!?――ニャァ♪」

 これ以上(いじょう)(たまご)を飛ばされたら、やばい(ところ)だった。

 なんせ、追いかける人員(やつ)が居ねぇ。


類推(るいスい)になりマすが、火山(かザん)ダンジョン(まエ)被弾(ひダん)シた(サい)熱量(ねツ)ヲ――消費(しょうヒ)しつくシたと(おモ)われマ()

 対魔王結界(たいまおうけっかい)煉獄(ゲヘナ)をアダマンタイトに使(つか)うと、目減りする(・・・・・)のと(おな)じか?

 ふぉん♪

『>はい。火山ダンジョンからの距離を考えると、この膠着状態はしばらく続くと思われます』


「どうやら、そうみたいですわね――♪」

 ガチャガチャ♪

「ふぅ、(かろう)うじて(しの)ぎきりましたが――」

 ヴヴヴヴッ♪

 二足歩行(にほんあし)(もど)ったご令嬢(リカルル)と、大きな蜂(ルガレイニア)が、駆け込んできた。


「はぁはぁ、ふぅふぅ、ひぃひ――!?」

 そして(はち)(しり)邪魔(じゃま)にされ、素っ(ころ)ぶメイド服姿(ふくすがた)前掛け(エプロン)頭飾り(プリム)無し)の青年(ニゲル)

 随分(ずいぶん)と、ずた襤褸(ぼろ)じゃねーか。


 (ひめ)さんの(ところ)執事(しつじ)が、着流しの服(・・・・・)(うえ)から着てただろ――

 あれを(つく)ってやるか。


 ふぉん♪

『>イオノファラーのライブラリより、〝ロングテールコート〟をピックアップ。

  作成しますか Y/N?』

 よし、やってくれ。

 出来(でき)たらおれがこっそり一筆入(ひとふでい)れて、絶対(ぜったい)(やぶ)けない(よう)にしてやる。


   §


「コッヘル婦人(ふじん)本当(ほんとう)大森林(だいしんりん)(なか)には、回収(かいしゅう)に行かなくて良いのかしら?」

 四つ(あし)を止め、二本足(にほんあし)で立つご令嬢(リカルル)随分(ずいぶん)と――見栄え(・・・)がしやがるな。


 ふぉん♪

『>〝大森林〟はガムラン町以外で魔物境界線に接する、唯一の地であり、過酷な土地のようです』

 (いま)となっては(つよ)魔物(まもの)も出ねぇだろうが、そんな場所(ばしょ)(はなし)は……(いま)まで(ろく)に聞かなかったぞ?


「ヴュザザッ――あそこニは、こわーイ吸血(きゅウけつ)おばサ……凄腕(すごウで)冒険者(ぼうケんしゃ)ノお(ネえ)さンが居るかラ、安心(あンしん)シて(マか)せてオけば良いサね()――」

 丸茸(まるきのこ)白目(しろめ))が、女将(おかみ)さんのような(こえ)で、そう言う。


「では、女将(おかみ)さんの判断(はんだん)にお(まか)せするとしても……どの(みち)、このままでは、ジリ貧ですね――ヴヴヴヴッ♪」

 蜂の魔物(ルガレイニア)が、やけ気味(ぎみ)だ。

 (なん)とかしねぇと。


   §


 (みみ)(つんざく)(ほど)轟音(ごうおん)よりも、先に(・・)到達(とうたつ)する――(はや)さ。

 そしてその速さは(・・・)風雲(かざくも)従える(・・・)


 此方へ向かってくる(・・・・・・・・・)光影(ひかり)は――ふぉん♪

『>全部で12。木龍の卵の残りと同数で』


 ゴゴォゴガガガァァン――ほぼ同時(どうじ)

 やはり銃身(バレル)一本(いっぽん)しかないのに、あの長銃(オルタタタタ)一遍(いっぺん)弾丸(たま)を――

 何発(なんぱつ)でも込められる、みてぇだぜ?


「ヴュザッ――いよぉし、全弾命中(ぜんだんめいちゅう)わよ()――」

「ひゅうー♪」

「やりますわね、ウチのメイドも♪」

「いーえ。タターさんはもう私専属(わたくしせんぞく)メイドと言っても、過言(かごん)ではありませんらららぁん♪」


 凍った巨大卵が(・・・・・・・)、どごんばがんごどがばーんと次々(つぎつぎ)に落ちてくる。

氷弾(ひょうだん)(つらぬ)かれた(たまご)が、今後(こんど)吹雪(ふぶき)でも吹き出したら(・・・・・・)、どうしようかと(おも)ったが――」

 ふぉん♪

『>木龍の卵の生命活動が、停止しています。これなら問題なく格納出来ます』

 (なに)かの手違(てちが)いで〝(たまご)〟を取り出しかねないから、迅雷(ジンライ)(なか)にも――

 おにぎりに背負(せお)わせてる特大(とくだい)の、収納(しゅうのう)魔法具箱(まほうぐばこ)(なか)にも――

 仕舞(しま)うことは、出来(でき)ない。


「(どうする? 迅雷(ジンライ)(こう)補強(ほきょう)した収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)にでも、仕舞(しま)っておくかぁ?)」

 ふぉん♪

『>ひとまずはそれで凌げます。この卵が仕舞われていた宝箱の解析が済み次第、専用の収納魔法具箱を再作成します』

 じゃぁ、そうしてくれ。


「じゃあ回収(かいしゅう)してくるが、木龍(きりゅう)(たまご)は、おれと迅雷(ジンライ)責任(せきにん)を持って(あず)かるぜ!」

 撃ち落とされた(たまご)が溶けないうちに、(いそ)いで回収(かいしゅう)するぞ。


 ヴッ――縦横(たてよこ)(おな)(くらい)分厚さ(・・・)の、収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)を取り出した。


「それにしても、見事(みごと)伝承(でんしょう)(とお)りでしたねぇ」

 卵回収(たまごかいしゅう)手伝(てつだ)いについて来てくれた黒騎士(エクレア)が、そんなことを言って――


「がははははっ! 〝たまごはまだこんなにたくさん、あるんだから〟なぁ♪」

 (おな)じく付いて来てくれた工房長(ノヴァド)が、そんな(ふう)返した(・・・)


 (なん)のことだぜ?

 ふぉん♪

『>該当する項目は一件。件の『おうさまと、りゅうのまもの』の一節のようです』

 わからんが(いま)は、(たまご)回収(きしゅう)(さき)だぜ。


   §


「じゃぁ(あと)は、あの止まってくれてる(・・・・・・・・)巨木(きょぼく)退治(たいじ)すりゃ良いわけなんだが――」

 ふぉん♪

『>ロングテールコートを一件完成しました。

 >運搬中

 >1秒後に〝シシガニャン・へっど〟搬出口より、お届けします』


下手(へた)に燃やそうとすれば、また(なが)(ふと)くなるよねー?」

 うなだれるニゲル青年(せいねん)


「よし、出来(でき)た。此奴(こいつ)を着てみてくれ♪」

 ぽぽぉん♪

 あたまの後ろ(ジンライ)から天辺(うえ)(とお)って、画面(がめん)のむこうに『(はこ)』の絵があらわれた。

 (おお)きく(くち)を開けると――


「ぅんぐわぁにゃぁぁぁっ――――すっぽこん♪」

 シシガニャン10号改(ごうかい)(くち)から、(ひら)たい紙箱(はこ)が出た。


   †


「……これちょっと、派手(はで)じゃないかい?」

 ニゲルに着せたのは、今作(いまつく)った一張羅(いっちょうら)だ。

 (あお)みがかった黒地(くろじ)に、(うえ)から(した)まで銀線(ぎんせん)二本(にほん)

 肩口(かたぐち)から(すそ)まで引かれたソレは、一カ所(いっかしょ)だけギザギザに折れ曲がっている。


「あらニゲル、中々素敵(なかなかすてき)ですわよ♪」

 巨木(きょぼく)木龍(きりゅう)との決戦中(けっせんちゅう)に、降って湧いた休息(きゅうそく)


「えっ――本当(ほんとう)かい!?」

 破顔(はがん)する兵六玉(おまぬけさま)

「ええ、これなら――ほら、手を貸して♪」

 身を寄せ青年(ニゲル)両手(りょうて)を取る、ご令嬢(リガルル)


 くるんくるるんと三回転(さんかいてん)

 その(かお)(たの)しげで、翻弄(ほんろう)される青年(せいねん)を――真っ直ぐ見つめている。


「リ、リカルルルルルゥッ――!?」

 引きずり(まわ)されちゃ居るが、素っ(ころ)ばねぇのは――

 〝勇者の歩み(ブレイブ・ステップ)〟スキルを、使(つか)ってやがる。


「くすくす、ルが(・・)(おお)いですわよ?」

 あれ? なんか良い(かん)じじゃね?

 基本的(きほんてき)におれや丸茸(いおのはら)は、ニゲルの(こい)応援(おうえん)している。


「ヴヴヴッ――?」

 (ちが)うぞ? 〝ルガ(・・)(ばち)〟とは言ってねぇぞ。

 基本的(きほんてき)蜂女(ルガさん)は、悪い虫(ニゲル)敵視(てきし)している。

 けど(いま)だけは、止めてやれや。


「――さま、――」

 んぁ?

 気配(・・)(かん)じ振り(かえ)ると――戸口(とぐち)王女殿下(ラプトルひめ)が!

 しきりに杓子(しゃくし)を振り下ろしてるが、ありゃ――どっちを(・・・・)(たた)く気だぜ!?


 見ればおれたち以外(いがい)が、居なくなってる。

 黒騎士(くろきし)工房長(こうぼうちょう)も、レイダもビビビーも。

 逃げ(おく)れた第四師団長(ミラカルカ)が、(まど)から伸びた手に引かれて姿(すがた)を消した。

 くそう、おれを引っ込めてくれる(まど)も手も、手近(てぢか)に無ぇ――!!


 ふぉふぉん♪

『イオノ>珍しく真面目にお仕事に従事する、あたくしさまを差し置いて、楽しそうですね、そーですね?』

 部屋(へや)(つく)り付けの、立派(りっぱ)石机(いしづくえ)

 その(うえ)設置(せっち)された、ギルド支部出張所(しゅっちょうじょ)台座(だいざ)

 本来(ほんらい)小型(こがた)女神像(めがみぞう)が乗せられる場所(そこ)には、丸茸御神体(いおのはら)(白目)が――「どろン――()

 乗せられてたんだが……消えやがった!?


 (つぎ)から(つぎ)へと余計(よけい)(げい)を、(おぼ)えやがって――!


 ヴォォゥゥン♪

『戦略級選択的接触除草弾ユグドラゴン』

 (なん)かの画面(がめん)が、勝手(かって)に出たぜ?

 (わる)そうな(かお)(えが)かれた茄子(なす)……いや、こりゃまさかぁ火縄(ひなわ)(たま)かぁ!?

 けどこれが、どうした?


 ふぉん♪

『>デバイスID#10286が〝管理者権限〟で〝射撃諸元算定(データコンピュータ)プログラム〟を実行中』

 と言うと?

 ふぉん♪

『>狙撃手であるタターへ提示するため、こちらへ狙いを定めていると思われます』


 ふぅん、茄子(なす)……じゃなけりゃ木の芽か、(けもの)(つめ)みたいなのが――

 (いま)から此方(こっち)へ、飛んでくるらしい。


戦略(せんりゃく)……(きゅう)……ちょっと待て、これ『(くさ)(のぞ)く』って書いてね?――ニャァ♪」

「ヴヴュザッ――そうわよ()――」

 五百乃大角(いおのはら)(こえ)が、耳栓越(みみせんご)しにしやがるぜ。


 石机(いしづくえ)(うえ)台座(だいざ)を、もう一度見(いちどみ)たら――

 今度(こんど)浮かぶ(プロジェクション)(BOT)が、乗ってやがる。

『(Θ_<(カシャッ♪))』

 なぁっ――!?


 ふぉん♪

『>プライマリデバイス、〝いつも使う御神体〟として登録したプロジェクションBOTは、食事をすることや、おにぎりの背負った中継機を介した通話が可能になります』

 (ほん)(とう)に要らない(げい)ばかり、(おぼ)えやがって――!


「おれが薬草師(やくそうし)と知っての――――狼藉(ろうぜき)かぁ!――ニャァ♪」

 前世(ぜんせ)の〝仏道(ぶつどう)帰依(きえ)した(おれ)本分(ほんぶん)〟が、「(さと)れ」なら――

 今世(こんせ)の〝薬草師(おれ)本分(ほんぶん)〟は、「(くさ)(あつ)めろ」だぞ!?


「ヴュザヒュッ――ぅぎゃ!? うるさい()――」

『(lll゜Д゜(カシャッ♪))』

 (かお)(あお)くする、浮かぶ(たま)


「まさか、この辺一帯(へんいったい)(くすり)になる(くさ)おおぉー、根こっそぎ枯らしちまう(・・・・・・)つもりじゃねぇだろぉーなぁぁぁぁっ!?――ニャァ♪」

 ばかやろーう!

 ふぉん♪

『シガミー>この辺は特に貴重な薬草が山のように取れる、最高の〝薬草狩り場〟なんだぜ!』


「ザザザヴュッ――どの(みち)、あの巨木(きょぼく)育ちきったら(・・・・・・)水源(すいげん)(とぼ)しいこのエリアじゃ、羽根芋一本生(はねいもいっぽんは)えなくなるわよ()――」

『(◎_◎(カシャッ♪))』


()ぁ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!――ニャァ♪」

「gjづうdjfっj――――ぷすん()

 白煙(はくえん)と化し、姿(すがた)を消す浮かぶ球(いおのはら)


「やい、撃つのを止めんかぁ!――ニャァ♪」

 ふぉん♪

『>デバイスID#10286との接続が、途絶しました』

 迅雷(ジンライ)五百乃大角(いおのはら)に、もう一度繋(いちどつな)げ!


「「「シ、シガミー?」」」

 呆気(あっけ)にとられる主従(しゅじゅう)と、(わる)(むし)をかき分け――

 おれは(そと)へ飛び出した。

 おにぎりが居る(とう)に上がりゃ、こっからでも視線(しせん)(とお)る。


 ふぉん♪

『>女神像通信は、接続を維持しています』

 はぁ? (いま)接続(つながり)が切れたって言っただろぅがぁ!

 ふぉん♪

『>通話不能なのは、御神体デバイスが停止しているからと思われ』


「なんだとぉ――(はつ)が効き過ぎたか!?――ニャァ♪」

 丸茸(あいつ)伸びてる(・・・・)(あいだ)は、念話(ねんわ)通信(つうしん)出来(でき)ん!


長銃(ちょうジゅう)状態(じょうタい)ハ、おニぎりが背負(せオ)っタ基地局(きちキょく)アンテナへ接触(せっシょく)するコとで――リアルタイムニ参照(さンしょう)可能(かノう)()

 くそう、せめて向こうの様子(ようす)(さぐ)らんと。


「むあにゃぎゃにゃぁぁん――――()

 (てつ)(ぼう)背負(せお)った猫の魔物風(おにぎり)が、(とう)(うえ)(かぜ)に吹かれている。

「ひっひひひぃぃぃん?」

 (とう)には(のぼ)れない子馬(こうま)が、(とう)天辺(てっぺん)見上(みあ)げていた。


 ぽぎゅごん――おれは子馬(こうま)背中(せなか)を、踏み台代(だいが)わりにする。

 そして、ぽきゅぽきゅきゅと、(とう)(かべ)を駆け上がった。


「みゃんやにゃにゃにゃぎゃぁー!」

 (なに)かを言う(ねこ)魔物風(まものふう)に、取り付いたとき――

 怖気(おぞけ)(はし)った。

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