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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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564/744

564:おとぎ話と龍撃戦、撤退そして1年A組のみんな

「4(ばん)から6(ばん)までっ、一斉射撃(いっせいしゃげき)ららぁん!」

 (ふたた)び、ぬいぐるみをむしり取り、ぽいぽいぽぽいと投げ捨てる王女殿下(おうじょでんか)


「コォォォン――――♪」

 そこへドガガガッガガッ、めきめきめきょきょきょっ!!

 うねる木々(きぎ)に揺られ(なが)れて来る、(あか)(ほう)の四つ(あし)


「シガミー! やり過ぎって、どういうことかしらぁぁん?」

 そう聞いてくる、ガムラン町(おれたち)(ひめ)さん。

 四つ(あし)(けもの)のような、四つん這いの姿勢(しせい)は――。

 岩場(いわば)に棲む、火を吐く獣(おおかみ)のようにしか見えない。


 ニゲルを(たす)けるためとはいえ、ニゲルを(おど)かすような〝えげつない攻撃(ゴーレム)〟わぁ。

 王女殿下(ラプトルさま)(ひか)えたほうが、〝ニゲルに(・・・・)逃げられなくて(・・・・・・・)〟良いんじゃね。

 という進言(しんげん)だったんだがぁ――

 (なん)でか辺境伯ご令嬢(ルカルルさま)が、釣れちまったぜ。


 その眼光(かんごう)が、揺らめく(・・・・)

 ィィィィィイィィィンッ――――ばっがぁぁあぁぁんっ!!

 (なが)れた一条(ひとすじ)導火線(どうかせん)は、狐火(ウィルオ)・仙花(ーウィスプ)という――爆発(ばくはつ)する狐火(きつねび)だ。

 視線(しせん)(あた)一面(いちめん)射貫(いぬ)かれ、吹き飛ぶ――巨木(きょぼく)(つる)や根。


 めきょバキ、めきょめきょバギギギッ!

 だが大蛇(だいじゃ)(ごと)太枝(ふとえだ)鎌首(かまくび)を持ち上げ、空の上(うえ)へ逃げる。


 赤い四つ足(リカルル)狐面(かお)を突き出し、(あご)を揺らすと――ィィィン、ゥワッヴォヴォン♪

 直進(ちょくしん)するはずの導火線(ひかり)が、ぶわりとたわんだ。


「――ココォォン」

 ぼっごぉぉぉぅわぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――!!

 (あか)甲冑(かっちゅう)機械(きかい)の尾から、狐火(きつねび)が吹き出し――

 ィィィィィィィィィィィィィンッ――――――――――――――――ガガッッゴォン、バララッラッァァァァァッ!

 太枝(ふとえだ)一斉(いっせい)細切(こまぎ)れになり、目のまえが(ひら)けた。


 (いま)のは狐火・月輪(がちりんなんたら)

 (ひかり)導火線(すじ)真円(しんえん)(えが)く――狐火版(きつねびばん)真言(しんごん)みたいな(わざ)だ。

 ふぉん♪

『>クローズドサーキット・レーザーです』

 その呼び名は(なん)だか、締まらねぇんだがなぁ。

 まあ、どっちでも良いか。

 真っ直ぐだろうが輪っかだろうが、アレに(さわ)ると死ぬことに変わりは無い。


「いや(なん)でもねぇ、(なん)でもねぇ。(ところ)でよ、奥方(おくがた)さまは大丈夫(だいじょうぶ)か? (さが)しに行かなくて?」

「ココォン♪ (ころ)して死ぬような器量(たま)と、お(おも)いかしら?」

 (ちげ)ぇねぇ。まぁそうなんだが……(ひで)ぇ。


「ヴュザザッ――こちら遊撃班(ゆうげきはん)オルタタラー。お(ひめ)ちゃんへ緊急連絡(きんきゅうれんらく)ぅ! 弾薬(だんやく)装填(そうてん)完了(かんりょう)いたしましたぁー♪ ウッケケケケッ()――」

 素っ頓狂(とんきょう)(こえ)は、耳栓(みみせん)から聞こえて来た。


 あれ!? 五百乃大角(いおのはら)、おまえ何処行(どこい)った!?

 丸茸(まるきのこ)が、おれの(かお)(よこ)から居なくなってやがるぜ!?


「じゃぁ、いつでも(ねら)えるのね? 観測手(かんそくしゅ)イオノファラーさま?」

「ヴュザッ――もちろんでさぁ、本部長(ほんぶちょう)()――」

 ふぉん♪

『シガミー>お前、今どこだぜ?』

 (なに)をしようとしてやがる?

 観僧久修(かんそうくしゅ)本部長(ほんぶちょう)てなぁ、(なん)だぜ?


 ふぉん♪

『イオノ>こっちはギルド会館の、屋上わよ』

 (はな)れた(ところ)からオルコとタターが、巨木(きょぼく)(ねら)うとは聞いてるが――


 ふぉん♪

『ヒント>観測手/狙撃手に随行する標的観測の専門家。狙撃手の護衛も兼任し、射撃結果により修正案を提示したりもする』

 坊主(ぼうず)じゃぁねぇのか。

 ふぉん♪

『>『コントゥル辺境伯名代ならびに、木龍の卵追跡本部』における、役職と思われます』

 大講堂(だいこうどう)の入り(ぐち)に、立てかけてたアレか。


「じゃあ、やっちゃってぇー♪」

 そんな本部長(ごれいじょう)一声(ひとこえ)で――(かぜ)が吹いた。


 カカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカカッ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――!!!!!!!!!!!!


 無数(むすう)(ちい)さな(あな)が、巨木(きょぼく)(つる)太枝(ふとえだ)や根に穿(うが)たれた。

 ドゴッゴォォォッガァァァァァァァン!!!!!!!!!!!!

 爆発(ばくはつし)し、粉微塵(こなみじん)に吹き飛ぶ〝巨木(きょぼく)木龍(きりゅう)〟。


 おれたちは、(ほのお)に巻かれた。

鉄鎧姿(このすがた)だ、ひとつも(あつ)くねぇやぁ!」

 だが、外部(がいぶ)カメラが(ほのお)で埋め尽くされるのは、やべぇ。


「ららぁん!」「ですわね!」「あっちゃっちゃっちゃぁ――!?」

 猪蟹屋(ししがにや)標準装備(ひょうじゅんそうび)のお(かげ)でニゲルや、二人(ふたり)(ひめ)さんたちも無事(ぶじ)だ。

 けど迅雷(ジンライ)給仕服(きゅうじふく)(あたま)(うえ)(やつ)

 アレの耐熱温度(たいねつおんど)問題(もんだい)がある、〝やること番付(ばんづけ)〟に入れとけ。

 ふぉん♪

『>〝猪蟹屋制式ホワイトプリムの耐熱対爆仕様化〟を、TODOリストに入』


 (ほのお)(うず)がピタリと止まり?

 (つぎ)瞬間(しゅんかん)――シュッゴォォォォォォォォォォォォォォォォッ!!!!!!

 (みみ)(つんざ)轟音(ごうおん)に、(さいな)まれた!


「「「「ぎゃぁぁぁぁ!」――ですわ!」――ららぁん!」――うるっせぇぇぇ()――ニャァ♪」

 シシガニャンの(なか)耳栓(みみせん)をしていても、まるで効きゃぁしねぇ!

「(なんだぜ、この威力(いりょく)わっ!?)」

 それに一体何発(いったいなんぱつ)(たま)を込めたぁ!?


「(しかも一遍(いっぺん)此方(こっち)に、届いてる(・・・・)じゃねーか!?)」

 こんなとんでもねぇ(かず)(たま)一度(いちど)に撃てる(ほど)銃身(バレル)は付いちゃいねぇだろっ!?

「(おれたちわぁ、一体何を作った(・・・・・・・)んだぁ!?)」

 普通(ふつう)火縄(じゅう)じゃねぇにしても、こいつぁやり過ぎだぜ!


 (あた)りを埋め尽くしていた(ほのお)完全(かんぜん)に吹き飛ばされ、全員(ぜんいん)(かお)を上げると――

 メキョメキョメキョゴゴゴッパァァ!

 メキメキメキッ!

 (くすぶ)る火から若芽(・・)が生え――樹木(じゅもく)(しげ)っていく!

 燃える(はし)から芽が出て太枝(ふとえだ)が伸び、(さら)芽吹(めぶ)き――

 メキバギャゴゴン、バキバキバキバキョッ!!

 太枝(ふとえだ)(とぐろ)を巻いた!


「あら、これ駄目(だめ)(やつ)ですわね?」

 (とどろ)風音(かざおと)

 木々(きょぼく)が生え(しげ)り、何処(どこ)までも伸びていく。

 その姿(すがた)はまるで、急激(きゅうげき)に湧き上がった雨雲(あまぐも)のようで。

 おれたちは巨木(きょぼく)木龍(きりゅう)(かげ)から、一目散(いちもくさん)に逃げ出した。


   §


「それでおめおめと、(ここ)まで後退(こうたい)してきたわけですね?」

 ふぅと、ため(いき)()かれた。

 這々(ほうほう)(てい)で逃げてきたおれたちを、(とりで)(うえ)から()めつける(はち)


「そーは言うが、アレを見てみろやぁ!」

 おれは、おれたちを追ってくる――

 もはや木だか(やま)だか、わからない――

 巨木・木龍(きょだいなてき)を、(ゆび)さしてやった。


 太枝(ふとえだ)大量(たいりょうに)(から)みつき、(うご)(やま)のようになったソレを見た蜂女(ルガさん)が――

 (おお)きな(つえ)にぶら下がり、ヴヴヴヴーゥンと飛び降りてきた。


「わたしも、(たたか)のい!」

 第四師団長(だいよんしだんちょう)(わらし)一緒(いっしょ)に。


   §


「つるぎとかせつるぎとかせつるぎとかせっ!」

 ヴァチヴァチチィィ――――――――ゴゴゴゴオッ、ドゴボォンゴゴボーン!

 (ふと)さが5オルコトリアはあろうかという、太枝(ふとえだ)の打ちおろしを(ふせ)ぐ――(はち)のお化け。

 太枝先端(ふとえだせんたん)に生っていた(たまご)のような果実(かじつ)が、ものすごい(いきお)いで(そら)彼方(かなた)へと吹っ飛んでいった。


「ルガレイニアー! お(まえ)さんも、大概(たいがい)にしといてくれやぁ!!!――ニャァ()

 〝ひかりのたての尖った奴(つるぎとかせ)〟を、そうぽんぽん出すんじゃねぇやい!

 あまりとおくに果実(たまご)を吹っ飛ばされると、回収(きしゅう)するのに一苦労(ひとくろう)するだろーが!


「ですがー、もうこれしか防ぐ手立てが(・・・・・・)、ありません!!」

 ヴァチヴァチチィィ――――――――ドッゴゴゴゴゴォォン、ガラガラグワララッ、ドゴボォンゴゴボーン!

 (ふせ)ぎきれなかった太枝(ふとえだ)(とりで)城壁(じょうへき)を打ち(こわ)し、(すで)侵入(しんにゅう)(ゆる)している。


 (とりで)(なか)陣取(じんど)ったおれたちは、蜂の魔物(ルガレイニア)黒い騎士(エクレア)(まも)りの(かなめ)として――

 なんでか事務仕事(・・・・)に追われていた。


 おれは轟雷(ゴウライ)を脱ぎ強化服(シシガニャン)で、(こま)かな細枝(ほそえだ)蹴散(けちら)らしながら――

 第四師団長(ミラカルカ)がいる(おく)部屋(へや)中庭(なかにわ)を、往復(おうふく)している。


(いま)また2個も、飛んで行きやがったっ! (うらな)ってくれ!」

 そう言って(ひろ)部屋(へや)に駆け込むと、工房長(ノヴァド)金槌(かなづち)を振り下ろしてる。


 ボゴッ、メキョキョキョ!

 持ち上がり掛けた床石(ゆかいし)を――ガゴォン♪

 (たた)いて(なら)しているのだ。


「〝大陸間弾道(たいりくかんだんどう)木龍卵(きりゅうらん)〟の14(ばん)と15(ばん)をー、追跡開始(ついせきかいし)しーたのぃ! はぁはぁ」

 魔導騎士団(ミラカルカ・)第四師団長(フィッシュゲイト)が、すっ飛んでいった果実(たまご)未来(みらい)を――占い始める(・・・・・)

 その場の(すべ)てを記録(きろく)し、未来(みらい)(うらな)う――何たらとかいうスキル(・・・・・・・・・)を、使(つか)ってもらっているのだ。


 それは魔法杖(まほうつえ)をまるで――独楽(こま)のように(まわ)すというもの。

 ぐわららららんっ――チリィーン♪

 (かね)(おと)が鳴ると(ミラカルカ)は、必死(ひっし)(なに)かを(とな)えながら――

 (ひろ)げた地図(ちず)一点(いってん)に『×』を、書き込むのだ。


「ええと――」

 ビビビーが彼女(ミラカルカ)手伝(てつだ)い、飛んでいった果実(たまご)の行き着く(さき)を書きとめる。

「あと(だれ)が、(のこ)ってるの――?」

 レイダがメモ書きとメモ書きと、地図(ちず)見合(みあ)わせ、そうつぶやく。

 壁床天井(かべゆかてんじょう)(あお)く、ギラリとした光沢(こうたく)(はな)っている。


 おれたちの〝建国(けんこく)龍撃(りゅうげき)(たたか)い〟を「どうしても見たい」という、一年A組(ごがくゆう)生徒(みんな)担任(せんせい)を――

 超女神像(ちょうめがみぞう)がある冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドガムラン支部(しぶ)最上階(さいじょうかい)へ、招待(しょうたい)した。

 ひとまず展望台(てんぼうだい)から見物(けんぶつ)しててもらう、手はずだったのだが――


 おれは戸口(とぐち)から、(あたま)を出す――ゴォォッ!

 (うえ)を見れば(いま)にも落ちてきそうな巨木(きょぼく)に、圧倒(あっとう)される。

 押しつぶされようとしている(とう)天辺(てっぺん)にしがみ付く――

 黄緑色(きみどりいろ)猫の魔物風(おにぎり)を見た。


 (やつ)背中(せなか)からは、(てつ)(ぼう)導線(ひも)が伸びている。


「ヴュザッ――(わタくし)ビステッカガ、(ノこ)ってイます()――」

 五百乃大角(いおのはら)大飯(おおめし)ぐらい勝負(しょうぶ)を、繰り(ひろ)げた(やつ)か。

 白目(しろめ)を剥いた丸茸御神体(いおのはら)が、気取(きど)った子供(こども)(こえ)返事(へんじ)をした。


「ビステッカさん。14(ばん)がポートフ鉱山手前(こうざん)街道沿(かいどうぞ)い……えっと、(みち)(みっ)つに分かれてる(ところ)の――」

「ヴュザザッ――そこならぁ、たしか――レンゲネム(ちょう)女神像(めがみぞう)(ちか)()――」

 今度(こんど)飄々(ひょうひょう)とした男性(だんせい)(こえ)で、返事(へんじ)をする五百乃大角(いおのはら)白目(しろめ))。


「レンゲネム(ちょう)に、落ちる予定(よてい)でーす」

「ヴュザヴュ――はい、(うけたまわ)りましたわ♪ 落下予定時刻(らっかよていじこく)()――」

「2時間後(じかんご)です!」

 生徒(せいと)教師(きょうし)丸茸(まるきのこ)白目(しろめ))、あとおにぎりが総力(そうりょく)を挙げて――

 飛んでいった木(りゅう)(たまご)の、〝封印作業(ふういんさぎょう)〟を行っている。


 巨木(きょぼく)木龍(きりゅう)(たまご)(だれ)も知らないところで(つち)に埋もれてたら、相当厄介(そうとうやっかい)なことになるからだ。

 猪蟹屋(うち)御神体(まるきのこ)白目(しろめ))みたいに〝木龍の卵(あれ)〟を茹でたり(・・・・)奥方さま(ルリーロ)みたいに火に焼べたり(・・・・・・)する(やつ)が――

 (あらわ)れないとは(かぎ)らないから――(いそ)がなきゃならねぇ。

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