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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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562/744

562:火山ダンジョンふたたび、建国の戦いもふたたび

 (くず)れ落ちる岩肌(いわはだ)

 結局(けっきょく)おれは、ノヴァドの金槌(かなづち)発掘された(・・・・・)んだが。

 その(あな)から、ダンジョンの入り(ぐち)崩落(ほうらく)した。


 ドッゴゴゴオッ、ゴオゴゴゴゴゴゴゴゴゴ、ガララッラッ、ガンゴンゴゴガガン――――――――!!!


 揺れる地面(じめん)に、もんどり打ちながらも――

 火山(かざん)から(はな)れ、振り(かえ)った。

 火口(かこう)(ひろ)溶岩(ようがん)を吹き上げ、(あらわ)れるのは――うねる太足(ふとあし)

 それは――


組成(そせイ)検出(けんシゅつ)解析終了(かいせキしゅうりょう)しマした。巨木(きょボく)ト99・99999%同質(どウしつ)()

 おれの(うし)(あたま)から、相棒(あいぼう)(こえ)がする。

「このやろーぉ、とうとう生えちまった(・・・・・・)かぁ!――ニャァ♪」

 めきめきと生え伸びる(ところ)は、普通(ふつう)の木にも(おも)えるが――

 普通(ふつう)の木は、おれたち目掛(めが)けて(みき)太枝(ふとえだ)を、振り下ろしたりしねぇ(・・・・・・・・・・)


「まるで蛸之助(たこのすけ)じゃねぇーかよっ!?――ニャァ♪」

 吸盤(きゅうばん)もないし、太枝(ふとえだ)は直ぐに(すみ)になる。

 だが(くず)れるそばから、(あら)たな太枝(ふとえだ)芽吹(めぶ)き――

 バキバキョ、メキョキョギッと何処(どこ)までも、這い(すす)んでくる。

「逃げろぉ!――ニャァ♪」


「まったくもう、大方(おおかた)迷路(めいろ)まえの通路(つうろ)(ころ)びでもしで、〝木龍(きりゅう)(たまご)〟を落っことしたのですわっ!」

 (こし)(あか)ベルトから、(ちい)さな取っ手を(・・・・)引き出し――ヴォヴゥゥン!


音声入力(おんせいにゅうりょく)朱狐(しゅぎつね)シリーズ装着(そうちゃく)!」

 リカルルが取っ手(レバー)押すと(・・・)彼女(リカルル)合成音声(こえ)がして――

 パァァァァッ――――カシャカシャしゅるるるっパチパチン♪

「――ふぅ、さっぱりしましたわっ!」

 身につけていた狐面の甲冑(しゅぎつねシリーズ)一式(いっしき)を、一瞬(いっしゅん)派手(はで)なドレス姿(すがた)着替(きが)え――

 更にもう一度(・・・・・・)甲冑(かっちゅう)着替(きが)えたのだ。


 つまり変身(へんしん)ベルトに甲冑一式(しゅぎつねいっしき)を、(かる)整備(せいび)(なお)し――

 (あせ)土草(つちくさ)(よご)れた甲冑(かっちゅう)と、小袖(こそで)(はかま)(ふんどし)も――

 綺麗(きれい)さっぱりした、というわけで。


「おーぉーい! おれたちも全員(ぜんいん)猪蟹屋装備(みせのふく)を着てくれやぁ――!」

 着替(きが)(かた)(くち)を酸っぱくして、何度(なんど)(おし)えた。

 パァパァパパパッパッァァァッ――しゅるん、しゅるるるるうるるるるっ♪

 子供(こども)たちを(ふく)む、いつもの連中(れんちゅう)が――猪蟹屋装備(がんじょうなふく)へと着替(きが)えていく。


 ノヴァドやエクレアは、甲冑姿(かっちゅうすがた)に。

 ニゲルはどういうわけか、給仕服(メイドふく)に。

 ふぉん♪

『>どうやら服を取り違えたようです。ある程度のサイズ変更は自動で行われるので――破けたりすることは無いと思われますが』


 メキメキョ、ウゾゾゾゾゾッ――――ぽきゅごむんっ♪

 おにぎりが片足(かたあし)巨木(きょぼく)の根に(はら)われそうになり、盛大(せいだい)にこけた。


「ぶはハっはははッ、ニゲル(くン)。良いわネ、想像以上(そうゾういじょう)似合ってル(・・・・・)()

 ウケケケッケケッと白目を剥いたまま(・・・・・・・・)青年(ニゲル)をからかう丸茸(まるきのこ)が――

 ガチャッリィィン♪

 (かか)えていた女神像(めがみぞう)土台(どだい)から、すっぽ抜けた(・・・・・・)


「あら本当(ほんとう)ですわね、サイズが(ちい)さいですけれど、似合(にあ)っていますわね?」

 良かったなニゲル、(ひめ)さんがことのほか(よろこ)んでくれてるぞ?

 そして、サイズが〝小さい(・・・)〟ってことは――

 取り(ちが)えた相手(あいて)は、おそらく少女(しょうじょ)メイド・タターだ。


格納する服(しまうふく)間違(まちが)えたな。(わり)ぃ、ひとまずソレで(たたか)ってくれやぁ――ニャァ♪」

 これで青年(ニゲル)素足(すあい)(さら)していたら、蜂女(ルガさん)即死(そくし)してた(ところ)だが――

 収納魔法具付(しゅうのうまほうぐつ)きの腕時計(うでどけい)は、良い仕事(しごと)をした。


 元々(もともと)ニゲル青年(せいねん)が着ていた、(くろ)細身(ほそみ)制服(ふく)

 その(うえ)から給仕服(きゅうじふく)を、一式着込(いっしききこ)んだ(かたち)になってる。


「なんか(みょう)に、(さま)になってやがるな?」

 見方(みかた)によっちゃ羽織(はおり)みてぇにもみえるしな。

 もともとニゲルは、猪蟹屋二号店(ししがにやにごうてん)店長(てんちょう)をしてる(あいだ)は――

 ずっとあんな、ひらひらした(しろ)いの(しかも猫耳族(ねこみみぞく)耳型(みみがた)が付いてる)を、(あたま)(うえ)に乗せてたし――


「ひゅぅ、びっくりしたけど……結構動(けっこううご)けるし、このメイド(ふく)はちゃんと、もの(すご)頑丈なんだろ(・・・・・・)?」

 スタンスタタァンと、(うし)(ばし)りでおれを見る青年(せいねん)


 おれたちは(くず)れた火山(かざん)から(はな)れ、(もり)侵入(しんにゅう)する。


 ヴォヴォヴォヴォォォォゥン――――♪

 ルガレイニアはレイダとビビビーを乗せた、(おお)きな魔法杖(まほうつえ)を飛ばしている。

 本人(ルガさん)金剛力(パワーアシスト)もなしに地を、すべるように駆けている。


 (かお)の良い〝盾男(エク)新婚(レア))〟は姫さん(リカルル)が背に乗せ、四つ(あし)で――先行(せんこう)する。

 甲冑()四つ足(あし)は、相当(そうとう)やべぇ。

 ふぉん♪

『シガミー>迅雷おまえ、よくあれを捌ききったな?』

 ふぉん♪

『>対魔王結界という限定空間での一騎打ちでなければ、翻弄されていたと思われます』

 だなぁ。


「ぅぉぉおぉぉぉぅうっわぁぁぁぁぁっ――――!?」

 ヴォヴォヴォヴォオヴォヴォヴォヴォオヴォヴォ――――♪

「うるさのい――――?」

 ノヴァドは第四師団長(だいよんしだんちょう)(わらし)が、(あたま)(ふと)魔法杖(つえ)に付いた金具(かなぐ)に引っかけて、(はこ)ばれてる。


「シガミー、どうせ走ったら(・・・・)脱げちゃうから、これは(かえ)しておくよ!」

 ヒラヒラした前掛け(エプロン)を、青年(ニゲル)に突っ(かえ)された。

 それを受け取り、すぽんと仕舞(しま)う。

「それを言ったら、その(あたま)(うえ)のも落っこち――ねぇな?――ニャァ♪」


 ニゲルはずっと、(うし)ろを向いたままだ。

 (よこ)から突き出た木の(えだ)を、振り(かえ)りもせずに背をそらせて(・・・・・・)避けた。

 いま(ニゲル)は〝勇者の歩み(ブレイブステップ)〟を使(つか)っていない。

 (てき)に立ち向かうときに(かぎ)り、(かれ)何処(どこ)までも加速(かそく)する。

 (いま)おれたちは巨木(きょぼく)蛸足(たこあし)から、逃げている(・・・・・)


 多分(たぶん)だが青年(かれ)(いま)急激(きゅうげき)成長(せいちょう)してるんじゃね?


「「ふふ、プリムは最初(さいしょ)の身だしなみで――」」

 右手(みぎて)にルガレイニア。

 左手(ひだりて)にニゲル。


「「こほん、可憐(かれん)さと実用(じつよう)を兼ね(そな)えた――」」

 (こえ)(かぶ)ってやがる。

 片方(かたほう)魔法杖(まほうつえ)童二人(わらしふたり)を乗せ、(かぜ)より(はや)(はし)ってる。

 もう片方(かたほう)(うし)(ばし)りで(かぜ)より(はえ)ぇし、後ろの様子が(・・・・・・)見なくてもわかってる。

 (すで)LV(レベル)100のおれの(ほう)が、(つえ)(はず)なんだが。

 この二人(ふたり)体捌(たいさば)きに(なら)自信(じしん)は、まだまだねぇ。


「メイドの神髄(しんずい)とも言え――」

「メイドさんの精神的規範(せいしんてききはん)とも言え――」

 やっと、(ちが)言葉(ことば)が出てきたが――


 けどよぉ――ニゲルよぉ。

 お(まえ)さんは、給仕(きゅうじ)じゃねぇーだろうが。


   §


 (ふた)を開けると、煉獄(れんごく)(ほのお)を吹き出す。

 ならその(ほのお)に、高等魔術(こうとうまじゅつ)を掛けてもらう。


 いくぞぉ――いちにのさぁん!

 いまだぜ、フッカァ!

 樹木(じゅもく)と化していく、長大(ちょうだい)(ほのお)

 かくして央都(おうと)に、平和(へいわ)(おとず)れ――


 そんな予定(つもり)冒険者(ぼうけんしゃ)パーティー〝深遠(しんえん)(ささや)き〟の三人(さんにん)を、呼んだりもしたんだが。

 唯一無二(ゆいいつむに)のユニークスキル、〝炎曲(えんきょく)苗木(なえぎ)〟の出番(でばん)は無くなった。


 何故(なぜ)なら温泉卵(おんたま)にしようと茹でたら、バカのように大火(たいか)を吹き出した対魔王結界(たいまおうけっかい)は――

 超長(ちょうなげ)長銃(ひなわ)(つく)算段(さんだん)で――どういう(わけ)か、調伏出来(ちょうぶくでき)ちまった。


 ふぉん♪

『イオノ>それねー、煉獄って書いて〝ゲヘナ〟って読むのよん♪』

 (ひろ)って(ふところ)に突っ込んだ、丸茸(まるきのこ)さまが――すっぽこぉん♪

 またおれの(かお)(よこ)に、てちりと顕現(けんげん)した。


 対魔王結界(たいまおうけっかい)煉獄ゲヘナ〟は、(すで)に売り(もの)にする算段(さんだん)顧問秘書(マルチヴィル)第一王女殿下(ラプトルおうじょ)が、(すす)めると言っていた。

 基本的(きほんてき)には工房長(こうぼうちょう)ノヴァドに、アダマンタイト特化(とっか)鍛冶工房(かじこうぼう)として使(つか)ってもらうだけだ。

 それだけで、いつか(ほのお)(よわ)まり、毎度(まいど)ルガレイニアの手を、(わずら)わせなくて済む。

 そして(ほのお)魔術師(まじゅつし)フッカに〝煉獄番ゲヘナばん〟として、詰めて(・・・)もらえば万一(まんいち)が有っても――

 巨木が生える(・・・・・・)だけで済む。


 メキョメキョメキョキキキキキッ――――ゴドッガァン!!

 まるで(たこ)(あし)のような、太枝(ふとえだ)がおれをかすめて、うしろへ(なが)れた。

 強化服(きょうかふく)シシガニャンを着ておいて、良かった――迅雷(ジンライ)

 ふぉん♪

『>轟雷を着用しますか? Y/N』

 やらいでかぁ!


 目のまえに(あらわ)れた轟雷(ごうらい)鉄鎧の体(からだ)が、バッシャ――ガシャガシャガシャ!

 背中から開いた(・・・・・・)外部装甲(てつよろい)轟雷(ごうらい)〟の、背部(はいぶ)ハッチへ飛び込む――ぽぎゅごむん♪

 カヒューィ、ガゴゴンッ!

 隔壁(ハッチ)が閉じられ――ヴュパパパパパパパパッ♪

 真っ(くら)だった目のまえが、(あか)るくなった!


 メキョメキョメギギギギギャッ――――太枝(ふとえだ)背後(はいご)から(せま)る。

 無数(むすう)(レンズ)が、全部(ぜんぶ)方向(ほうこう)一度(いちど)に見せてきた。

 一瞬(いっしゅん)目眩(めまい)


 ガッチャゴッ、チキッ――――ビィィィィィッ!

 おれは振り向きざまに、太刀(たち)を抜く!

 ギュルルルルルルッ――――――――――――――――ガリリリリリリリリィィィィィンッ!!!

 (さや)歯車(はぐるま)が、火花(ひばな)を散らす!


 撃ち出される太刀(たち)――パッコォォォォォオォンッ!

 ふざけた(おの)を立てて、振るわれた巨大(きょだい)太刀(たち)は――

 巨木(きょぼく)木龍(きりゅう)(しだ)(やなぎ)(ごと)く、するりと(かわ)された。


 太枝(ふとえだ)が分かれる(ところ)に――ギョロッ!?

 強化服(シシガニャン)程度(ていど)大きさ(・・・)目玉(めだま)が、芽吹(めぶ)いた!

 (うご)きも(はえ)ぇし、こいつぁ――植物系(みためどおり)魔物(まもの)じゃなさそうだぜ。


 (すく)なくともネネルド(むら)巨木(きょぼく)みたいに、生え(そろ)ってない――

 (いま)若木(わかぎ)状態(じょうたい)はなぁ――――!


「お(じょう)さま。我々(われわれ)足手(あしで)まといのようですので、距離(きょり)を取ります!」

 そう言って自分(じぶん)(つえ)に乗り――轟雷(おれ)姫さん(リカルル)勇者(ニゲル)から、(おお)きく距離(きょり)を取るルガレイニア。


 轟雷(おれ)無数(むすう)の、外部(がいぶ)カメラが(とら)えるのは――チチチィィッ、ヴュヴュユユゥ♪

 四方八方(しほうはっぽう)から(むら)がる、巨木(きょぼく)蛸枝(たこえだ)

 ソレを細切(こまぎ)れにしていく、一組(ひとくみ)男女(だんじょ)


 そしてルガレイニアが前掛け(エプロン)物入れ(ポケット)から取り出したのは――薄くて大きな本(・・・・・・・)


 大陸中(たいりくじゅう)子供(こども)(かなら)ず、読み聞かされる伝承(おはなし)

 ()のミノタウロースと双璧(そうへき)をなす、伝説(でんせつ)のなかの伝説(でんせつ)

 それは(まさ)に〝(りゅう)〟と呼ぶべき対象(・・)で――


『おうさまと、りゅうのまもの』

 その(ほん)には、そんな表題(タイトル)が付けられていた。

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