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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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550/744

550:央都猪蟹屋跡地、片手甲の使い方

 色形(いろかたち)はロォグの持ち手甲(ガントレット)に似ていて――

 籠手先(こてさき)(ゆび)(かたち)鉄板(てっぱん)(かたち)は、リカルルの(あか)甲冑(かっちゅう)みたいな(こま)かな(つく)り。

 そして(なに)より、お(ねこ)さまは相当(そうとう)――(てつ)を打つのが(はや)かった。


流石(さすが)魔導具妖精(まどうぐようせい)ケットーシィさまだぜ、ふひゅぅーぃ」

 あ、今度(こんど)はノヴァドが落ち込んだ。


「落ち込む(ひま)なんかねぇぞ。工房長(こうぼうちょう)にも(つち)を振るって(もら)うからな。折角(せっかく)だから、よく見といたらどうだぜ?」

 ノヴァドに持たせてみたら――ピピピピピィ♪

 (とり)が鳴いた。この手甲(てっこう)にも――

「「騒々(そうぞう)しく鳴く(とり)がぁ、棲んでやがるぜっ!」」


「ちょっとシガミィー! あたくしさまがやるって言ってるじゃないのっ()

 やかましぃ。お(まえ)さまはいつも猪蟹屋(みせ)(めし)(なん)でも、好きなだけ食い散らかしてるじゃねぇかよっ!

 ふぉん♪

『>そういえば、そうわね』


 パァァァン――ッ、パァァァン――ッ、パパァァァン――ッ♪

「「うるせぇ――!!」」


 ヴォォォゥン♪

非適合者(ひてきゴうしゃ)――安全(あンぜん)(あツか)えナい(もノ)が手にスると、警告音(さイれん)ガ鳴り(ひび)くよウです()


 ガシャリッ――ノヴァドに突っ(かえ)されたソレを、おれは手にはめてみる。

 おれがやるしかないなら、さっさと済ませるに(かぎ)らぁ。


   §


 (あち)ぃ。(せめ)ぇ。

 猪蟹屋跡地(ししがにやあとち)……猪蟹屋予定地(ししがにやよていち)地下(した)へと(つづ)(とびら)は、厳重(げんじゅうに)封鎖(ふうさ)されている。

 それでも、(よこ)たわる()(うえ)に立つと――(あち)ぃの(あつ)くねぇのって。


「じゃぁ、(はじ)めるぞ――ニャァ♪」

 強化服10号改(シシガニャン)着込(きこ)み、迅雷(ジンライ)()(なか)涼しく(・・・)して(もら)ってても――()だる(ほど)(あち)いぃ。

 強化服(おれ)猫声(ねこごえ)は、(みんな)(わた)した耳栓(みみせん)(とお)して聞こえている。

 語尾(ごび)にニャァが付いちまうが、(はなし)出来(でき)りゃソレで良い。


 ふぉん♪

『イオノ>もう観念なさいわよ。他に強化服を着慣れているのわ、お姫ちゃんにレイダくらいでしょお?』

 ふぉん♪

『>そうですね。あの二人に繊細なマニュピレートを期待するのは、酷という物では?』


 わかったよ。やるよ。やるけどよ。

 どの(みち)、あの場にいた(なか)で、この片手甲(かたてっこう)――椀飯弩(わんはんど)丸獲烈灯(がんとれれっとう)とやらを(あつか)えたのは――

 ロォグとミャッドと、おれだけだった。


「――「毛皮持(けがわも)ちに、あの場所(ばしょ)(あつ)いニャァ♪」――」

 って言い張られたしよ。


 ちなみに片手甲(かたてっこう)を、取り付けるために――

 毛皮(けがわ)厚み(・・)無理矢理(むりやり)片手甲(てっこう)へねじ込んだ。

 だからその部分(ぶぶん)だけ、強化服(シシガニャン)由来(ゆらい)金剛力(こんごうりき)作動(さどう)しないが――

 星神さま(カヤノヒメ)研ぎ澄ました(・・・・・・)、この(からだ)が有りゃ、(なん)とかなるだろ。


総員退避(そういんたいひ)ニャァーッ♪」

 どがどがどが、ずどどどどぉ!

 くそう(みんな)大慌(おおあわ)てで逃げて行きやがったぜ。


 お(ねこ)さまわぁ、この手甲(てっこう)手順(・・)(おし)えてくれるって言ってたがぁ?


 ヴォポォン♪

『▼――魔法杖の衝角腕を、目標ポイントへ突き立ててください』

 空中(ちゅう)に浮かび上がる文字(もじ)、こいつは強化服(きょうかふく)画面(がめん)じゃねぇ。

 実際(ほんとう)(そと)に浮かんでいる。お猫さま(ロォグ)技術力(うで)は、神々(かみがみ)どもに匹敵(ならぶ)ってことだ。


(うで)を突き立てろだぁ――ニャァ!?」

 吹き出した業火(ごうか)に焼かれて、お陀仏(だぶつ)だろぅがぁ?


 (いま)地獄(じごく)(かま)(ふた)(うえ)は、相当狭(そうとうせま)い。

 (ふた)(うえ)(つく)られた、頑丈(がんじょう)(かこ)い。

 迅雷(ジンライ)鋼製(こうせい)土台(どだい)蜂女(ルガさん)高等魔術(しゃくねつのたま)で、持ち寄ったアダマンタイト鉱石(こうせき)を――

 伸ばして(たた)いて、貼り付けた。

 ギラリと(かがや)土台(どだい)は、まるで(かまど)だった。


 ()の真ん(なか)に――『(マーカー)』がクルクル(まわ)って、『死ね』と催促(さいそく)してくる。

 ヴォオゥン――『掌の形(てがた)』も(とびら)表面(ひょうめん)に、張り付いた。

 よし、丸焦(まるご)げになる予感(よかん)しかしねぇ。

 一端(いったん)、ここは引く――


 ヴォポオン♪

▼▽▽(ポポピュペ♪)――目標ポイントへのロックオン状態はあと10秒で自動的に解除されます』

 なんだとぉ、急かすんじゃねぇーよっ!


 おれは手甲(てっこう)(さき)の、(てのひら)目印(めじるし)に添える。

 すると手の(こう)から――ガッシャ、キュゥゥィン♪

 ゆっくりとせり上がり、生えてきた(・・・・・)のは――


亀甲紋(ろっかくけい)(ぼう)――ニャァ?」

 六角棒(それ)は、どこまでも伸びていく。

 当然(とうぜん)おれの手の(なか)から、出てきているようにしか見えねぇ!


衝角射出(しょうかくしゃしゅつ)まで3・2・1――」

 (ひと)(こえ)がする。五百乃大角(いおのはら)の声じゃねぇなぁ。

 キュドゴッ!

 (いきお)いよく(ぼう)が消え――(とびら)(たた)き込まれた。


「――ぎゃぁっ――ニャァ!?」

 つい(sけ)んじまったが、おれの手を(くい)突き抜けた感触(・・・・・・・)はない。

 どーなってんだ!?


 ヴォッゴゴオバッガァアァァァァァァァァァン!

 割れる、対魔王結界(じごくのかま)(ふた)

 (した)へ降りる階段(かいだん)へつづく通路(つうろ)を、(ふさ)いでいたソレが割れた。


 ッ――――ッヒュッボゴゴゴゴゴゴゴゴゴゥゥゥゥゥゥゥゥウゥゥウゥゥヮァッァァァァァ!!!!!!!!!!

 おれは(ほのお)に巻かれた。

 強化服(シシガニャン)を着ていても、(あし)が燃えちまいそうだし――

 画面(がめん)(そと)渦巻(うずまく)火炎(かえん)で、(なに)も見えん。


 ガッキュゥゥゥウゥゥゥゥッ――!!

 手甲(てっこう)から漏れる、(つよ)(ひかり)

 籠手先(こてさき)(つめ)(ひび)の入った(ハッチ)に、食い込む。


 ヴォポオン♪

『衝角腕再装填開始、シャッターノズル解放します。5・4・3・2・1』

 ――バッシャッ♪

 おれの手の(こう)に、(あな)が空いた。

 そこから――


 ポォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォッォォォォ――――――――――――――――――!!!

 噴き出る(ほのお)が、白煙(はくえん)に変わり――ッシュシュシュルルルッ♪

 荒れ(くる)っていた(ほのお)が――(すべ)て掻き消える。


『5・4・3・2・1――』

 わわわ、(また)なんか――!?

 ガキィン――うわとととっ!

 どすん。

 片手甲(かたてっこう)(とびら)から(はな)れ、おれは尻餅(しりもち)をついた。


 見れば(とびら)籠手先(こてさき)が、付いたままで――「ぎゃぁぁ、おれの手がねぇっ――ニャァ!」

 手甲(てっこう)(さき)付いてる筈の(・・・・・・)、おれの手が無かった。

 (さけ)んでいたら――ガッシャンガチャリ♪

 (あた)しい()手甲(てっこう)(さき)に、()り出した。


   §


「がははははははっ――――こいつぁ、すげぇぞ!」

 工房長(ノヴァド)(すわ)(さき)

 対魔王結界(たいまおうけっかい)(ハッチ)に付いた(てのひら)から、配線(はいせん)が伸び――

 (あし)(ちい)さな吹子(ペダル)を踏めば――


 ドシュゴゴゴゴゴゴバァァァァァァァアッ――――!

 噴き出す(ほのお)

 その(いろ)姫さん(リカルル)本気の蜂女(ルガレイニア)(はな)つような、青白い炎(・・・・)に変わる。

 しかもその(おお)きさは、精々(せいぜい)20センチ程度(ていど)


「「こりゃ、魂消(たまげ)たぜ!」――ニャァ♪」

 これなら本当(ほんとう)に、鍛冶(かじ)にも料理(りょうり)にも使(つか)えらぁ。


 ふぅ――おれはおれの手を、わしわしと(うご)かす。

 ついさっき(たし)かに千切れた(・・・・)籠手先(こてさき)

 なのに、おれの手に繋ぎ目(・・・)は無ぇ。


 ふぉん♪

『>機構的なトリックが魔術的に、再現されているようです』

 (なん)意味(いみ)があるのか、わからんが――最初(さいしょ)から最後(さいご)まで、おれの手は無事(ぶじ)なんだな?

 ふぉん♪

『>はい』

 なら良い。下手(へた)に問いただすと、(はなし)(なが)くなりそうだ。


「――(おも)った以上(いじょう)に、うまくいったニャァ♪――」

 小躍(こおど)りをする、お猫さま(ロォグ)


「けれど、もうこれ……十分(じゅうぶん)に〝災厄(さいやく)〟を、御せている(・・・・・)のではなくて?」

 どこか(あき)(がお)の、ご令嬢(れいじょう)


「だよなぁ――じゃぁ、もうアダマンタイト(せい)武器(ぶき)(つく)らなくて、良いってことかぁ――ニャァ?」

 おれがそう言うと、「な、なんだぁとぉぅ!?」と(あわ)てる工房長(こうぼうちょう)

 これだけのアダマンタイト鉱石(こうせき)(あつか)うことは、そうそう無いのだから――

 (いど)みたい気持(きも)ちはわかる。


「その火を使(つか)(つづ)けたら、いつか無くなってしまう(・・・・・・・・)のは(たし)かですが――」

 顧問秘書(マルチヴィル)(うで)(かお)(かく)し、対魔王結界(たいまおうけっかい)(うえ)(つく)られた(かまど)を見つめる。


 おれの手首(てくび)だった籠手先(こてさき)から噴き出す、青白(あおじろ)強力な炎(つよいほのお)

 ここに居ると工房長(こうぼうちょう)みたいに、(かお)が焼けちまいそうだ。

 おれは半歩下(はんぽさ)がった。


「――その(ため)にはアダマンタイトを触媒(・・)……つまり大量(たいりょう)のアダマンタイト装備(そうび)(つく)らないといけないミャー♪」

 (ひげ)が燃えるのが(こわ)いのか、(ねこ)たちは戸口(とぐち)(あた)りまで下がっている。

「うーむぅ。使(つか)わなくても良くなったが、結局作(けっきょくつく)らねぇといけねぇってのか――ニャァ?」

 ガシガシと猫頭兜(あたま)を掻くが、おれの(あたま)には籠手先()(とど)かねぇ。


「それに〝業火(ごうか)(ぎょ)する武器(ぶき)〟は、すぐ必要(ひつよう)になると(おも)いますわ――ふぅ」

 リカルルの(とお)い目。


「そうですね。もう(ひと)つ見つかった巨木(きょぼく)果実(かじつ)がどうなったのか。まだわかりませんし」

 奥方さま(ルリーロ)(あん)ずる、蜂の女(ルガレイニア)


「じゃぁ、すぐ(つく)ろうぜ。けどその(まえ)に、おれよか烏天狗(からすてんぐ)を呼んで来た(ほう)が良くね?」

 (なに)しろおれは肝心(かんじん)の〝伝説(でんせつ)職人(しょくにん)スキル〟を、持っていない(ことになっている)。


 城塞都市(オルァグラム)冒険者(ぼうけんしゃ)たちの装備修繕(そうびしゅうぜん)を、一人(ひとり)(と一本(いっぽん))でこなし。

 コントゥル家央都私設軍(けおうとしせつぐん)装備(そうび)修繕(しゅうぜん)も、一人(ひとり)(と一本(いっぽん)二匹(にひき))でこなしたっていう立派(りっぱ)実績(じっせき)

 それはやはり一目置(いちもくお)かれるスキル、〝伝説(でんせつ)職人(しょくにん)〟あったればこそなのだ。


 ぽっきゅぽきゅぽきゅ――♪

 おれは戸口(とぐち)から、(そと)に出た。

 (あせ)が垂れて、(うし)(あたま)(かゆ)くてたまらん。

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