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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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549:央都猪蟹屋跡地、唯物ライフルと装備を作るための装備

「まったく、(あぶ)ねぇ(ところ)だったな!」

(まった)くだニャァ♪」

 本当(ほんとう)に、この世界(せかい)(おんな)どもわぁ――(いのち)がいくつあっても足らん。

 けど――ジメジメウジウジしてるよか、元気(げんき)でよっぽど良いか。


「おい、いい加減(かげん)、降りてくれやぁ」

 背中(せなか)を揺すると顧問氏(こもんし)が、屋根瓦(やねがわら)にガシャリと落ちた。

 小柄(こがら)とはいえ大人(おとな)背負(せお)やぁ、(つか)れらぁ。


「それにしてもよぉ、本当(ほんとう)出来(でき)るのかぁ? こんな複雑(ふくざつ)(もの)を、あんなに(かた)いアダマンタイト鉱石(こうせき)使(つか)って……」

 おれたちは元央都(もとおうと)猪蟹屋跡地(ししがにやあとち)……じゃなかった、元央都(もとおうと)猪蟹屋予定地(ししがにやよていち)……でもなくて、ただの央都猪蟹屋(おうとししがにや)予定地(よていち)二階(にかい)屋根(やね)(くつろ)いでいた。


 ヴッ――ぱたん。

 おれは黒板(タブレット)を取り出し、見ていた図面(ずめん)をミャッドにも見せた。


「できるニャァ♪ といっても基本構成(きほんこうせい)はロォグさま、長銃(ちょうじゅう)発案(はつあん)はシガミーで、設計(せっけい)はイオノファラーさまじゃニャいか……ニャハァー」

 ため(いき)を漏らす、大陸随一(たいりくずいいつ)魔導工学技士(まどうこうがくぎし)魔法具専門(まほうぐせんもん))。


(なん)たら(なん)たらは王女(おうじょ)仕込(しこ)みだろ、事実上(じじつじょう)おれぁ(なに)もしてねぇ、はぁぁー」

 ミャッドじゃねぇが、おれだって伝説(でんせつ)職人(しょくにん)スキルを(ほこ)っていたのだ。

 (かる)く落ち込みくらいすらぁ。


「ゴーレムに使用(しよう)されている疑似活力回路(ぎじかつりょくかいろ)ニャ、あれは魔導工学(まどうこうがく)範疇(はんちゅう)を超えてるニャハァフゥン」

 さらに(なが)(いき)を吐かれた。


「落ち込んでるところ、(わり)ぃが……ちと聞いときてぇことがあるんだがよ?」

「なんだい、(あらた)まってニャハフゥ?」

 (はな)(たび)(ねこ)(ひげ)が、わさわさ揺れてる。


「あの(なげ)火縄(ひなわ)……長銃(ちょうじゅう)完成(かんせい)したら、目に見えない力(・・・・・・・)を〝お釈迦(しゃか)〟にしちまうってのは――どこまで本当(ほんとう)なんだぜ?」

 要らぬ心配(しんぱい)、とまでは言い切れねぇ。

 この世界(らいせ)には(みょう)な、底深(そこぶか)さがある。


「オシャカ? オシャレのことかい? たしかにそろそろシガミーも素敵(すてき)淑女(レディー)になる努力(どりょく)を、(はじ)めた(ほう)が良い年頃(としごろ)だよニャァ?」

 ちっ、うるせぇなぁ。

 どうして年長者(ねんちょう)ってぇのは、こう的確(てきかく)小言(こごと)を言いやがるんだぁ?


(ちが)ぅわぃ! お釈迦(しゃか)てぇのわぁ、全部無駄(ぜんぶぶだ)になっちまう――壊れちまう(・・・・・)って意味(いみ)だぜ!」

 おれは両手(りょうて)形作(つく)った(たま)を、パカリと割ってみせた。


「そうだにゃぁ、マテリアリズム……唯物特化(ゆいぶつとっか)超々(ちょうちょう)長々(ちょうちょう)ロングレンジ魔法銃杖(まほうじゅうじょう)。あれが出来上(できあ)がれば相手(あいて)何者(なにもの)でも、当たれば現実(げんじつ)(もの)として――消し飛ばしてしまうことは、(うたが)いようもないニャハーァ」

 ニャハーァと欠伸(あくび)のような嘆息(ためいき)


 〝色即是空(しきそくぜくう)空即是色(くうそくぜしき)〟の縁起式(えんぎしき)を、現実(うつつ)にする。

 そんな(もの)(はや)いか(おそ)いかの(ちが)いでしかなく、仏門(ぶつもん)(はい)った(もの)が気にするようなことじゃねぇ。


 けどそれは、迅雷(ジンライ)五百乃大角(いおのはら)御神体(ごしんたい)ひいては――

 MSP(メガミスキルポイント)消費し(つかっ)ちまうから、(ひさ)しく姿(すがた)を見てねぇあの――


 「本当(ほんとう)姿(すがた)美の女神(いおのはら)にも、効くのか?」

 という二の句は継げず、おれは押し(だま)った。


   §


「これが、〝装備(そうび)(つく)るための装備(そうび)〟ですの?」

(わたくし)万能工具(ばんのうこうぐ)に、似ていますららららぁん♪」

 (ひめ)さんたち(たち)が、興味津々(きょうみしんしん)だった。


 わいわいわいわい、がやがやがやがや。

 いつものガムラン(ぜい)に、学者方(がくしゃかた)たち。

 大講堂(だいこうどう)(まど)(そと)には訓練所(くんれんじょ)から抜けてきた、魔導騎士団員(まどうきしだんいん)たちが(やま)なりだった。


「ガントレットだコォン?」

(ぎん)ぴかニャ、お(たから)ニャァ♪」

 ソレ(・・)が置かれた(だい)に張り付く、喫茶店勢(ルコルとニャミカ)


 どっちかといや、お(ねこ)さま……ロォグの手甲(てっこう)(ちか)いが――

片手分(・・・)しかねぇじゃねーか? これで、あのアダマンタイト(かたいやつ)を――どうやって火縄銃(じゅう)加工する(うちなおす)んだぁ?」


「――簡単(かんタん)ニゃ。すぐそこで(くスぶ)っテる、灼熱(しゃくネつ)(ほのオ)使(ツか)うニャ♪――」

「みゃにゃぎゃぁー♪」

「ふっふっふ、この魔法杖(・・・)特殊(とくしゅ)構造(こうぞう)には、(ぼく)も手を貸したんだニャァ♪」

 うん。お(かげ)で、おれは手を貸さなくて済んだぜ。


「――と言うことはニャ♪ コイツはやっぱり、お(たから)ニャァ♪」

 ニャミカが(だい)(はし)に、手を掛ける。

 (なん)だか、にゃぁにゃぁうるせぇ。

 ふぉん♪

『>確かに猫比率が、上昇しています』


阿呆(あほう)か! おれたちはその(ほのお)退治(たいじ)するために、此処(ここ)(あつ)まってるんだぜ?」

 ここからでも路地向(ろじむ)こうの、猪蟹屋跡(ししがにやあと)……予定地(よていち)が見える。

 レイダ(ざい)蒼い輝き(・・・・)陽光(ようこう)(もと)で、キラキラと(かがや)きまくっていた。


 がやがやがやがややや、わいわいわいわややや♪

 うるせぇ。()()(およ)んで、揉めてる場合(ばあい)か。


「お(はなし)途中失礼(とちゅうしつれい)いたしますが、現中央都市(げんちゅうおうとし)ラスクトール自治領(じちりょう)における最大(さいだい)政敵派閥(せいてきはばつ)が、(やす)み明けの明朝(みょうちょう)にも決起(けっき)するという報告(ほうこく)も来ています。あまり悠長(ゆうちょう)なことは、言っていられないのではありませんか――ヴヴヴヴヴヴヴヴウウヴヴウッ?」

 ほれ見ろ、(おこ)られちまったじゃんか。

 けど止めろや、蜂女(ルガレイニア)

 幼気(いたいけ)聴衆(ちょうしゅう)威嚇(・・)するんじゃねぇ、詠唱魔法具(ブロマイド)が売れなくなるだろ。


「――大丈夫(だいじょうぶ)ニャ、使(つか)った(ぶん)の――炊き出しは――塩分補給(えんぶんほきゅう)――高等魔術(こうとうまじゅつ)――みゃにゃぁん♪――」

 あーまた意味(いみ)が、化けちまったぜ。

 おにぎりの通訳(やく)を待たねぇと。


「ぎゃにゃぁ――((りゃく)()

 ぱたん♪

『「心配は要らないよ。使った炎の分の活力は、アダマンタイトが触媒となって魔力消費されるニャもの♪」って言ってるもの♪――』

 わからんが、(ひと)つわかった。

 つまりはMP(エムピー)とかいう、あの紫色(むらさきいろ)(ぼう)減る(・・)ってことだ。

 けどよ――


「バカを言うな! 対魔王結界(たいまおうけっかい)(あな)を開けて、(なか)(ほのお)鍛冶(かじ)使(つか)うつもりかっ!?」

 まえに工房長(ノヴァド)が言ったことが、現実(うつつ)になろうとしている。


『「それしか方法はないし、火力を削れる特典付き。良いことずくめだもの」って言ってるんだもの♪』

 〝だもの〟とはお(ねこ)さま……ロォグは言ってねぇだろ。


 がやがやがやがややや、わいわいわいわややや♪

 うるせぇ――が、()()(およ)んで、揉めてる場合(ばあい)じゃねぇな。


「じゃあ、対魔王結界(たいまおうけっかい)穴を空ける(・・・・・)として、そいつは(だれ)がやるんでぇい?」

 工房長(ノヴァド)(はなし)(すす)めると――

「それは、いくつかの条件(じょうけん)があるニャァー♪」

 この〝装備(そうび)(つく)るための装備(そうび)〟。

 つまり魔法杖(まほうつえ)(えら)ぶ、使い手(ひと)条件(じょうけん)とは――


 大講堂(だいこうどう)(おお)きな黒板(こくばん)(うご)くようになっており、がたがたがたたん。

 顧問氏(こもんし)ミャッドを手伝(っつだ)う、秘書(ひしょ)マルチヴィル(じょう)

 引き出された(さら)なる黒板(こくばん)には、(つぎ)のような特徴(とくちょう)が書かれていた。


『小柄で頑丈』

『針の孔を通すような、手先の器用さ』

『炎に巻かれても死なない』

 おれと工房長(ノヴァド)に、視線(しせん)(あつ)まる。


「「ばっ、バカを言うんじゃねぇやぁ! あんなとんでもねぇ火に巻かれたら、生きていられるわけがねぇだろがっ!!」」

 一字一句違(いちじいっくたが)わず(こえ)が、(そろ)っちまったぜ!


「「それでこの、(ひと)(えら)魔法杖(まほうつえ)(だれ)使(つか)うんでぃ?」」

 (なん)だぜ!? おれたちは(かお)見合(みあ)わせつつも、(あつ)まる視線(しせん)(あらが)う。


「「小柄(こがら)頑丈(がんじょう)で、ちょっとやそっとじゃ死なない(やつ)くらい、(ほか)にも居るだろうがっ!?」」

 (だれ)か居ねぇかと、(あたま)(かか)えるおれたち――あ、居たぜ!


「ゲイルはどうだっ!? あんな(なり)をしちゃいるが――」

 いや駄目(だめ)だろーが。ここに居る全員(ぜんいん)が、ガムラン(ちょう)大らかさ(・・・・)を身につけているわけじゃねぇ。

 元火山(もとかざん)ダンジョンの(ぬし)を受け入れられなかったら、また(べつ)(あらそ)いが(はじ)まっちまう。


 おい迅雷(ジンライ)知恵(ちえ)を貸せ。

 おれよりも火に(つよ)(やつ)なんざ、世の(なか)にはごまんと居るだろ!


 ふぉん♪

『>シシガニャンを着たシガミーや火龍ゲートルブに、並ぶ者なら茅野姫です。彼女だけが炎に巻かれても、一人だけ涼しい顔をしていました』

 星神(ほしがみ)さまか――よぉし!


(わたくし)対魔王結界(たいまおうけっかい)(ふた)をしたシガミーさんを、推薦(すいせん)いたしますわ♪ ププークスクスススッ()

「ばかやろう、アレを閉じたのはおれと王女(おうじょ)さまだぜ!? おれはあの工具になる魔法杖(・・・・・・・・)(あつか)えなかったからなぁ!」

 くおう、先手(せんて)を打たれた。


「ららぁぁん!?」

 あのときの灼熱(あつさ)(おも)い出したのか、ラプトル王女殿下(おうじょでんか)卒倒(そっとう)した。

 くそう、(ほか)に居ねぇかぁ!?


「あっはっははははっ! こんなのシガミーか烏天狗(カラテェー)しか居ないじゃないのさ、ウッケケケケッ()

 だまれ丸茸(まるきのこ)

 いくらおれでも――あんな炎(・・・・)に巻かれたら、死んじまわぁ!

 二度(にど)とゴメンだぜ


女神(めがみ)さまが、そう言うんじゃなぁ。(たの)んだぜ、シガミー♪」

 工房長(ノヴァド)めっ!

 安心(ほっと)した(つら)で、壇上(だんじょう)を降りて行きやがって!

 あの火を(あつか)ってみたいなんて、言ってたくせに!


『片手甲/ワンハンドガントレット(仮)を扱えること』

 おれはこの最下行(いちばんした)に書かれた文字(もじ)に、希望(きぼう)(たく)した。


 (だい)(うえ)の、片手分(ひとつ)しかない片手甲(かたてっこう)

 猫技師(ねこぎし)ロォグと顧問技師(こもんぎし)ミャッド謹製(きんせい)の――

 片手しかない(ワンハンド)持ち手の付いた手甲(ガントレット)


 そいつをつかんで、「(だれ)かやりたい(やつ)は居ねぇーかぁ? (いま)なら猪蟹屋(うちのみせ)(めし)を、いくらでも食わせてやるぞぉー?」と、(たか)く持ち上げてみせた。

 (だい)(うえ)に立ち、くるりと一周(いっしゅう)


「えっ、本当(ほんと)ぉ? ならやる! あたくしさま、やるます()

 手を上げたのは、御神体(いおのはら)だけだった。

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