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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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543/744

543:央都魔導騎士団訓練場、ガラクタと猫のなまえ

()びましたか――ヴヴッ?」

 ()んでねぇぞ。

 迅雷(ジンライ)蜂真似をし(ふるえ)挨拶(あいさつ)をしたら、魔神蜂女(まじんはちおんな)がやってきた。

 すっかり蜂女(・・)が、(いた)について来たとみえるが――


 ギラリと(ひか)る、(かたち)(するど)眼鏡(めがね)

 見慣(みな)れりゃ、すげぇ格好(かっこう)が良いぜ。

 (はち)魔物(まもの)(おそ)れられなけりゃ、おれも掛けてみたいくらいだ。


「――神域食堂(しんいきわくせい)(とびら)と、(おな)じだっ♪」

 どたどたばた!

「もう、央都(おうと)!?」「すごく便利(べんり)ですね♪」

 キャッキャッ!

狐耳(キツネミミ)奥方(オクガタ)の背に、しがみ付かなくても良いとは僥倖(ギョウコウ)!」

(はや)のい!」

 蜂女(ルガさん)子供(こども)たちを、引き連れて来たようだ。


「よぉ、レイダ。まず〝装備(そうび)(つく)るための装備(そうび)〟てのを(つく)らねぇといけなくてな――」

 (あぶ)ねぇから(はな)れててくれ、と言おうとしたら――


(ちが)うでしょ! まずやることと言ったら(あた)しいお友達(ともだち)にっ、お名前(なまえ)を付けてあげることでしょ!」

 シガミーはこれだからと、「はぁー、やれやれ」された。


   §


両親(りょうしん)たちはケットーシィと呼んでいましたが、「本猫(ほんにん)が良いなら、どうぞ名付(なづ)けてあげてくださいな」と言付(ことづ)かりました」

 若草色(わかくさいろ)羽織(ケープ)が揺れる。

 あれは(のろ)われていた外套(ローブ)を、おれが(ふた)つに(たた)っ斬って――

 コントゥル家家宝(けかほう)匹敵(ひってき)する、レア装備(そうび)(つく)り替えてやった(もの)だ。


 ふぉん♪

『>ケットシー/ケットーシィという名称は、精霊の分類名であり個体名ではないようです』

 迅雷(おまえ)因照減簾(いんてりげんすだれ)って言うのと、(おな)じって(わけ)だな。


「こっちは(ちち)からシガミーちゃんにって、(あず)かりました」

 (わた)された(ふくろ)(なか)には。

蹴鞠(けまり)水盆(すいぼん)と、これは毛布(もうふ)だな?」

「はい。ケットーシィちゃんが使(つか)っている(もの)らしいです」

 そうか、今日中(きょうじゅう)装備(そうび)(つく)れるとは(かぎ)らんのか。

 (こん)を詰めて央都(こっち)仕事(しごと)をしないと、いけないかもしれんしな。


「んぅ? こりゃ四角(しかく)(いし)……じゃなくて、(はこ)か?」

 水盆(すいぼん)(なか)には、見覚(みおぼ)えがある(はこ)(みっ)つも(はい)ってた。

 おい迅雷(ジンライ)

 ふぉん♪

『>はいシガミー。既に何個か収集済みの、〝☆〟付きの魔法具と同等の物と思われます』


 この(はこ)方々(ほうぼう)で見つかるものの、装備条件(そうびじょうけん)LV(レベル)100というガラクタだった。

 しかも(すで)LV(レベル)100に(たっ)しているおれが手にしても、(なに)も起きないという。


「それは、ダンジョンの通路(つうろ)に落ちていて邪魔(じゃま)……央都(おうと)学者(がくしゃ)さんたちに鑑定(かんてい)していただいてはどうかと、持たせられました」

 フッカの口端(くちはし)が、引きつってやがる。


「おっさんめ、要らん(もの)を押しつけやがったな……じゃぁ、(もら)っとくけど――」

 ヴッ――どさっ、ガチャン♪

「きゃっ――(なん)ですか、これっ!?」

 (ふと)めの(かわ)ベルトを、フッカに手渡(てわた)した。


猪蟹屋(みせ)の売り(もん)(わり)ぃけど、詰め合わせだ。中身(なか)(から)にすれば収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)として使(つか)える」

 これは(じつ)はさっきツツィア子爵(ししゃく)と揉めたときに、(そで)(した)になればと(おも)って(こさ)えた(もの)だ。


「えっ、猪蟹屋(ししがにや)商品詰(しょうひんつ)め合わせっ!? ()えるー♪」

 はぁ? 場得(ばえ)るぅ?

 その収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)はシガミー(てい)物置小屋(ものおきごや))が(まる)ごと(はい)るくらいの(おお)きさがあるから、嵩張(かさば)荷物(にもつ)を入れちまえば――

 (たし)かに場所(ばしょ)空く(・・)だろうが。


「ちょっと、なによそれっ!」

 やや(しゃが)れた(こえ)に、振り(かえ)ると――

「みたわよ、みたわよぉぅ!」

 おっとりした(こえ)も、飛んでくる。


 薄着(うすぎ)(やつ)厚着(あつぎ)(やつ)が、物欲(ものほ)しそうな(かお)で立っていた。

 いつの間に来たのか、〝深遠(しんえん)(ささや)き〟のメンバー(たち)だ。


「えへへへぇー♪ これは我が()から出たゴミ……じゃなくって、発掘品(はっくつひん)対価(たいか)として、シガミーちゃんがくれた(もの)でぇーす。深遠(しんえん)(ささや)きの共有財産(きょうゆうざいさん)には、なーりーまーせーんーのーでー♪」

 何故(なぜ)()(たか)くする、フッカ(じょう)


「「ずるいっ! チャッカばっかり、うらやましいっ!」」

 本当(ほんとう)喧嘩(けんか)してるわけじゃねぇーだろうが、一応(いちおう)


「じゃぁ、討伐(とうばつ)クエストが(はじ)まるまえに装備(そうび)調(ととの)えておいて欲しいから、二人(ふたり)にも(わた)しておくよ」

 ヴヴッ――どさどさっ、ガチャガチャン♪

「「やった! うれしいっ♪」」

 大喜(おおよろこ)びの二人(ふたり)と、意気消沈(いきしょうちん)するフッカ。


「もちろんフッカの(ぶん)も、もう(ひと)つくれてやらぁ」

 ヴッ――どさっ、ガチャン♪

「わっ、やったぁ♪」

 太めの革ベルト(ししがにやつめあわせ)(かか)大喜(おおよろこ)びの、冒険者(ぼうけんしゃ)パーティー〝深遠(しんえん)(ささや)き〟。

 その目が――ギィン、ガッキィン!

 (あた)りへ(ひび)金音(かなおと)へ、釘付(くぎづ)けとなった。


(ところ)でさ、あれ()っといて良いの? 迅雷(ジンライ)さまと(なに)カワイイ(・・・・)(ひと)たちが、やり合ってる(・・・・・・)けど」

 革ベルト(もらったもの)(こし)に巻き、(まゆ)に手を当て(とお)くを見つめる。



今更(いまさら)だけど、お客人(きゃくじん)。いや、お客猫(きゃくねこ)さん。(わたし)魔導騎士団(まどうきしだん)術開発部(じゅつかいはつぶ)顧問技師(こもんぎし)のミャッドだニャ。歓迎(かんげい)するニャァ♪」

 その手には、しなる長草(ながくさ)

 その先端(さき)には――フサフサモコモコした毳毳(けばけば)が、生えていた。

 薬効成分のない(くすりにならん)ただの雑草(・・・・・)だが――


 さっと(よこ)に振られる毳毳(くさ)

 ヴゥォォォォォォォゥン♪

 (うな)るアダマンタイト!


「コれは本当(ほんトう)に、アダマンタイトノ特性(とクせい)ヲ推し(ハか)るタめに、必要(ひつヨう)なことなノですか()

 ヴォヴォヴォヴォヴォゥゥゥン――――ギャリガリギャキィィン!

 迅雷(ジンライ)とアダマンタイトが、火花(ひばな)を散らしている。

 どっちも傷一(きずひと)つ、つかんだろうが。


 お(ねこ)さまは稗粟(ひえあわ)みてぇな長草(ながくさ)に、翻弄(ほんろう)されている。

「おーい、ミャッドー! その(へん)で止めてやれやぁ!」

 おれも(てら)(あそ)びに来たどら(ねこ)塵払(ちりはら)いで、あやして(あそ)んだりしたことがある。

 だから気持(きもち)ちは、わからんでもないが――

 お(まえ)さまも、(ねこ)だろうがよ。

 自分(てめえ)で振った長草(ながくさ)に、目を(うば)われてるしな。



定番(ていばん)だけどぉー、〝タマ〟よっねぇー()

 レイダの(あたま)(うえ)物見気分(ものみきぶん)五百乃大角(いおのはら)が、(なん)か言ってる。


「ミャーちゃん」「パトリオット」

「モソソモソ」「ネコチャン」「ケトン」

 敷いた茣蓙(ござ)(うえ)を、子供(こども)たちが寝転(ねころ)がる。

 振り落とされた丸茸御神体(まるきのこ)が、どこまでもコロコロコロコロと(ころ)がっていく。

 (やつ)ぁ、(まる)いからな。


「ヴィヴィエラ2(ごう)」「では3(ごう)で――ヴヴヴヴ?」

 (ひめ)さんたちまで参加(さんか)してんのか?

「ルコル1(ごう)は、どうコォン?」「ニャミカ7(ごう)ミャ♪」

 見れば、いつの間にか、ルコルたちまで来てやがるし。


「ネコレイニアにゃん」「樽酒(エール)

 (オルコ)娘に工房長(ノヴァド)

「ルィノ」「ウェレ」

「ナジの排他原理(はいたげんり)

 学者方(がくしゃかた)連中(れんちゅう)

「ボスケテ」「ノストロモ」

 魔導騎士団(まどうきしだん)連中(れんちゅう)まで居やがる。

 おいおいお(まえ)ら、(かんが)えるまでもねぇだろうが。


「ばかやろう、(タコ)は〝蛸之助(たこのすけ)〟。ならあいつは、〝猫之助(ねこのすけ)〟に決まってるじゃ――」

 簡単(かんたん)(はなし)だぜ。


「「「「「「「「「「「「「「「「「却下(きゃっか)っ!」」」」」」」」」」」」」」」」」

 却下(きゃっか)された。

絶対(ぜったい)だめぇー、格好悪(かっこうわる)い!」

 絶対(ぜったい)だと、言われた。


「なんだとっ、蛸之助(たこのすけ)がかわいそーじゃねーか!」

蛸之助(たこのすけ)は、似合(にあ)ってるから良いのぉー!」

「じゃぁ、どーするんだぜ?」

 わいわいわいわいわいわいのわい♪

 うるせぇ。(ひと)が増えてきやがった。

 がやがやがやがやや、どやどやどやどややや♪

 (ちょう)うるせぇ。どこまで増えやがる。


「ひひひひぃぃぃん?」

 そういや(てん)ぷら(ごう)は、〝馬之助(うまのすけ)〟じゃなかったかー。

「みゃにゃぎゃぁー()

 (ねこ)魔物扱(まものあつか)いされてるおにぎりも、〝おにぎり〟だったなー。

 まったく、決まりゃぁしねぇ!


「おーい、お(ねこ)さまどもやーい。(なん)かねぇのかぁー? (ねこ)を言い表すのに、ちょうど良い言葉(ことば)わぁよぉー?」

 勝負(しょうぶ)(?)に(ねつ)(はい)(かた)(いき)をする(ねこ)たちに、そう(こえ)を掛けたら――


「――「(ねこ)って言ったら、ヴァロルフォグル・オルネコーだニャァ♪」――」

 やり合ってる最中(さいちゅう)に、よそ見をした――

 (ちい)さな(ねこ)(おお)きな(ねこ)が、迅雷(ジンライ)一閃(いっせん)を食らい、なぎ(たお)された。

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