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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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540/744

540:トリュフ橋近くの町、アダマンタイトのゆくえ

物質化した龍脈(・・・・・・・)ニャヤ!?」

 魔術工学(まじゅつこうがく)専門家(エキスパート)である顧問技師(こもんぎし)

 (かれ)、ミャッドを(もっ)てしても、龍脈(りゅうみゃく)活力(マナ)(さら)なる関係性(かんけいせい)には――

 まるで(ねこ)のように(うずくま)り、(うな)るしかない。


 そんな新事実(しんじじつ)でもある〝超特選(ちょうとくせん)アダマンタイト鉱石(こうせき)〟は、応接室(おうせつしつ)(すみ)(はこ)び込まれている。

 長持(たからばこ)のまえで(かんが)え込み(まる)くなった顧問氏(ミャッド)へ、自分(じぶん)羽織(はお)っていた上着(うわぎ)を掛けてやる顧問秘書(マルチヴィル)


龍脈(りゅうみゃく)物質化(マテリアルか)したものぉ? なぁらぁフォーマット出来(でき)るのもぉ、(うなづ)ける(はなし)よねぇん()

 五百乃大角(いおのはら)の言う〝封大禍苞苴(ふうおおまがつと)〟てので清められ(・・・・)りゃあ、AOS(えいおーえす)とやらが使(つか)える。


 AOS(あいおーえす)てのは女神像(めがみぞう)迅雷(ジンライ)(かんが)えて自分(じぶん)行動(こうどう)したり、とんでもない(かず)仕事(しごと)をこなしたりするための頓知(とんち)だ。

 それぞれの女神像(めがみぞう)龍脈(りゅうみゃく)(つな)いでいて、その(なか)(うご)いているのは、龍脈言語(りゅうみゃくげんご)という(やつ)で――

 実理(じつり)縁起(えんぎ)改竄(かいざん)可能(かのう)な、文字通(もじどお)りに神々(かみがみ)(ちから)根源(こんげん)だ――たぶん。


 ふぉん♪

『>演算単位が1を超えれば私や、おにぎりのように自発的に思考します』


「(うぬぬ、姫さん(リカルル)甲冑(かっちゅう)とかはAOS(えーおーえす)を持ってるけど、ソコまでは(・・・・・)(いた)っていないと言うことで有ってるか?)」

 ふぉん♪

『>はい。その認識で問題ありません』


 おにぎりとお(ねこ)さまと丸茸(まるきのこ)車座(くるまざ)になって、アダマンタイトの(はなし)をしている。

 あの(かた)金棒(かなぼう)が、〝どういう(もの)なのか〟って(ところ)からだ。

 専門家(エキスパート)である顧問氏(ミャッド)が、両猫手(りょうて)猫頭(あたま)(かか)える(よう)なことが――

 その一端(いったん)でも、おれにわかるのは――

 (ひとえ)轟雷(ごうらい)を着たときの、〝頓知(とんち)の冴え〟のお(かげ)だろう。


 ふぉん♪

『>それだけでは有りません。シガミーは元からわからないことをわからないなりに、経験則として扱う傾向がありました』

 ふぉん♪

『イオノ>そうわね。坊主、驚異の理解力♪』

 ふぉん♪

『シガミー>うるせえ。それ、言いてえだけだろが』


 まぁ、そんなわけで〝(なに)を、どう(つく)るのか〟の(はなし)には、まだまだ行き着きそうもねぇ。

 なので、おれの(うし)ろに(なら)ぶ〝猫撫(ねこな)順番待(じゅんばんま)ち〟の子供たち(がきども)を――


「こっちの相談(そうだん)わぁ、まだまだかかるぞ? 向こうで(つめ)てぇ飲み(もの)でも出してやるからぁ、付いてこいやぁ」

 長椅子(ながいす)のまえに長机(ながつくえ)を、どんと置き――


「おひとつどうぞ」

 おれは真っ(さき)(つく)り置きの〝カルル〟を、姫さん(リカルル)に出してやった。

 (ほか)ならぬ、リカルル・リ・コントゥル(じょう)の名を(かん)した飲み物(これ)は――

 (つめ)たくて(あま)い飲み(もの)で、アイスクリームとか言う(やつ)亜種(かわりだね)だ。


「それにしてもリカルルさまのおかげで、超助(ちょうたす)かったぜ! (おん)に着る!」

 彼女(リカルル)がツツィア子爵(ししゃく)たちを蹴散(けち)らしてくれなかったら、アダマンタイトの(けん)でまだ揉めてただろうからな。


「あら、当然(とうぜん)ですわよ。領民(りょうみん)危地(きち)に駆けつけないで、(なに)貴族(きぞく)ですか?」

 (こと)もなげに、そう言ってのける。

 この真っ()ぐな心根(こころね)にだけは、本当(ほんとう)(あたま)が下がるぜ。


(さき)ほどのご無礼(ぶれい)を、お(ゆる)しくださいませ。聖剣切(せいけんぎ)り、いいえリカルルさま」

 おれの(となり)片膝(かたひざ)をつく、冒険者(ぼうけんしゃ)さま。

 結局(けっきょく)、ツツィア子爵関係者(ししゃくかんけいしゃ)は、(かれ)(?)ともう一人(ひとり)獣人兜(じゅうじんかぶと)騎士(きし)がモソモソ(てい)(のこ)った。

 ふぉん♪

『人物DB/レフォール・ツツィア

      ツツィア子爵領次期当主

      冒険者としての資質は未知数』


「わかってくだされば、良くってよ。それに領地(りょうち)から産出(さんしゅつ)された鉱物(こうぶつ)所有権(しょゆうけん)主張(しゅちょう)するのは、貴族(きぞく)として当然(とうぜん)ですもの」

 カルルを、一口啜(ひとくちすす)るリカルル。


「いいえ、元々(もともと)あのアダマンタイト鉱石(こうせき)は、こちらに()られる(こう)レベル冒険者(ぼうけんしゃ)のシガミー・ガムランさまが、ジャイアントゴーレムを単独討伐(・・・・)した報酬(ほうしゅう)として獲得(かくとく)した(もの)ですので」

 (ひめ)さんの目が一瞬(いっしゅん)、こっちを見た。


「ふぅ……そういうわけにも(まい)りませんわ。そうですわね、ツツィア子爵領(ししゃくりょう)へは……私個人(わたくしこじん)からアダマンタイト相応(そうおう)対価(たいか)を、お支払(しはら)いいたしますわ」

 「ジャイアントゴォレムゥー!? それはどちらに居るんですの? (わたくし)(ぶん)わぁ!?」とか言い出さなくて(たす)かった。


「お嬢様(じょうさま)それは――」

 (くち)(はさ)む、ルガレイニア(じょう)

 チリィィィン――――――――♪

 姫さん(リカルル)が持つ、豪奢(ごうしゃ)細剣(ほそけん)

 その柄頭(つかがしら)に付いた、白金(はっきん)金具(かなぐ)(つよ)く鳴った。


「はい、承知(しょうち)いたしました――――ヴヴヴヴウヴヴヴヴツ♪」

 暗黙(あんもく)了解(りょうかい)でもあるのだろう、魔神(まじん)再来(さいらい)再来(さいらい)再来(さいらい)蜂女(はちおんな)即座(そくざ)(したが)う。

 計算魔法具(けいさんまほうぐ)を取り出し、何かの計算(・・・・・)(はじ)めた。


「アダマンタイトの値段(ねだん)って、8(けた)大台(おおだい)だろっ!?」

 とんでもねぇ、お(たから)だぞ?


「気にしなくて良いですわよ、シガミー♡」

 にこり。全然(ぜんぜん)(わら)ってねぇ?

 ふぉん♪

『>リカルルは、魔物境界線を守るために貴族階級にあるまじき倹約家です』

 だよなぁ。絶対(ぜったい)(うら)があらぁな。


「これから、始まること(・・・・・)への、手付(てつ)けとしては(やす)(もの)ですわ……ふふふ♪」

 (わら)姫さん(リカルル)一瞬(いっしゅん)、地の(そこ)を見るような目つきをした。

 その視線(しせん)(さき)にあるのは十中八九(じゅっちゅうはっく)、あの巨大土塊(ジャイアントゴーレム)とやらを産出(さんしゅつ)する――

 モソモソ(てい)訓練用(くんれんよう)ダンジョンだ。

 (けっ)して、目先(めさき)のアダマンタイト鉱石(こうせき)を見ているのではない。


「くすくすくすくす、くつくつくつ――ここぉぉん♪」

 おいニゲル。あの(つら)(こえ)ぇから、やめさせろ――

 居ねぇ!?

 本当(ほんとう)に逃げ(あし)だけは、一級品(いっきゅうひん)だぜ。


   §


 ふぉん♪

『おにぎり>「じゃぁ、こっちへの支払いは、ミノタウロースの角を一対で手を打つよ」って言ってるんだもの』

 おにぎりが、そんな木の(いた)を突き出してきた。


 どうやら向こうの相談(そうだん)が、一段落(ひとだんらく)したらしい。


「「終わったのっ!?」」

「終わのい?」「では順番(ジュンバン)だぞ」

(わたし)もぉ、(ねこ)を抱っこしたいです」

 子供(こども)たちが、立ち上がる。


「にゃぁーん♪」

 お(ねこ)さまが(ふところ)から、取り出したのは――

 手、腕? いや、(ちが)うな――ガシャン♪

 自分(ねこ)(からだ)よりも、(おお)きな手甲(てっこう)だった。


 その付け根の持ち手を、カッキンカッキンと操作(そうさ)すると――

 手甲(それ)はまるで自分(じぶん)の手のように、カチャカチャララと(うごめ)いた。

「むあにゃん♪」

 (いさ)ましい鳴き(ごえ)――カギュッ♪

 (にぎ)られる手甲(てっこう)(こぶし)


(わたし)からだよっ♪」

 取り出される魔法杖(まほうつえ)細長(ほそなが))。


 生意気(なまいき)子供(こども)背後(はいご)(つら)なる、子供(こども)たちが――

 同じく魔法杖(まほうつえ)初心者用(しょしんしゃよう))と、魔法杖(まほうつえ)先太(さきぶと))。

 (ちい)さな火の蜥蜴(とかげ)なんかを、(かま)える。

 最後(さいご)給仕服姿(きゅうじふくすがた)が取り出した、魔法杖(まほうつえ)初心者用(しょしんしゃよう))の先端(さき)には――

 掃除用(そうじよう)毳毳(けばけば)が、取り付けられている。


()る気か――?」

 ささやかな緊張(きんちょう)

 お(ねこ)さまは(さわ)られるのに、飽きたらしいぜ。


 蘇生薬(エリクサー)は?

 ふぉん♪

『>央都に来てから確保した物が、134本。シガミーの手甲に4本、指輪と腕輪に一本ずつ』

 それだけありゃ1、2本使(ほんつか)ってもかまわんだろ。


 くるりと(きびす)(かえ)した、お(ねこ)さまは――

 すてててってと走り出す。

「あっ、逃げたっ!」

 追う子供(こども)たち。


 カカキキキィン、ギャギャギャガシャガシャンッ♪

 (ねこ)手甲(てっこう)(かか)げ――ガキリッ!

 超特選(ちょうとくせん)アダマンタイト鉱石(こうせき)を、持ち上げた。


「にゃぁーん♪」

 振り(かえ)(ねこ)

 ヴォォォォォッゥゥゥンッ♪

 迅雷(ジンライ)浮かぶ(プロジェクション)(BOT)発する(だす)のと(おな)じ、(うな)り。


 (ひる)子供(こども)たち。

 その一瞬(いっしゅん)(すき)を突き――後ろ走り(・・・・)(はじ)める(ねこ)

 (うし)ろを見ずに椅子(いす)長机(ながつくえ)を避け、ぶつかることなく通路(つうろ)へと消えていく。


「ぷっ、ふふふふふうぅぅぅっ――!?」

 折れ(まが)がる蜂女(はちおんな)

「あはははっ♪」

 (わら)うリカルル(ひめ)


「こらケットーシィ、(なん)ですか! お行儀(ぎょうぎ)(わる)いですよ」

 その(へん)(はし)(かた)は、モソモソ家では(とが)められるべきことらしい。

「良いじゃないか、ケットーシィも友達(ともだち)出来(できて)(はしゃ)いでるんだろう――キリッ」

 (よめ)(かた)に手を(まわ)す、旦那(おっさん)


「ええい気色(きしょく)(わる)い! いつまで気取(きど)っているのっ、ぅあなたわぁ!」

 スパパパッパパッシィィィイィンッ――――ォォゥン!

 (とどろ)(わた)扇杖(ハリセン)――火縄(ひなわ)のような残響(ざんきょう)


「どこへ行くんだ?」

 (いそ)いで(あと)をつけると、(ねこ)女神像横(めがみぞうよこ)(つく)られた(おお)きな(とびら)を――ドゴッヴォヴゥン♪

 アダマンタイトで、(なぐ)りつける。


 ガチャン――ギギギィィ♪

 開いた(とびら)の向こうには――草原(そうげん)(ひろ)がり。

 甲冑姿(かっちゅうすがた)(おとこ)たちが、むさ(くる)しく――(けん)を振っていた。

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