表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

534/744

534:猫の魔物はケットーシィ、デェーンデデェンデェンデェーン♪

「「あっ! シガミーばっかりずるいっ!」」

 子供(こども)らが(むら)がってきた。

 生意気(なまいき)レイダ、ビビビーお(じょう)さま、火龍少年(かりゅうしょうねん)ゲイル、第四師団長(だいよんしだんちょう)ミラカルカ。

 一斉(いっせい)外套姿の猫(おねこさま)を撫でようと、手が伸びてきやがる。


邪魔(じゃま)だっぜ、おまえらぁ!」

 タタン――ストォン!

 おれはお(ねこ)さまを(かか)えて、長持(たからばこ)へ飛び乗った。

 アダマンタイト鉱石(こうせき)(ふと)さは、丸茸(いおのはら)(あたま)くらい。

 (なが)さは……1・5シガミー(おれひとりはん)だったか?


 実際(じっさい)かなり(なが)いな。鬼娘(オルコトリア)大剣(たいけん)くらいは、あるんじゃないか。


 ふぉん♪

『>あれ? これフォーマット出来るんだけど?』

 画面(モニタ)(なか)にも居る丸茸御神体(いおのはら)さまが、お宝(アダマンタイト)(ゆび)さした。


 封大禍苞苴(ふうおおまがつと)ぉ……(ふう)じた大禍(おおまが)苞苴(つと)……土産(みやげ)をくれてやるだとぉ?

 子細(しさい)わからんがぁ、随分(ずいぶん)とお(さや)しいことだな?

 迅雷(ジンライ)説明(せつめー)しろ。


 ふぉん♪

『>F.A.T.S.、つまり神々の船の理でアダマンタイトを清めると、AOSがインストール可能になるということです』

 ヴォヴォヴォゥン♪

 AOS(エーオーエス)てのわぁ、猪蟹屋(ししがにや)総力(そうりょく)をあげて(さが)してる……酢蛸(SDK)のことか?

 ふぉん♪

『>ほぼ、そう考えていただいて、差し支え有りません』


「やい、お(ねこ)さまよ」

 おれはアダマンタイトに(ほお)ずりする(ねこ)を、ひょいと持ち上げた。

「ふにゃぁー?」

 外套(ローブ)背中(せなか)に垂れた頭巾(ずきん)(ところ)を、つかんで持ち上げたら。

 もの(すご)気の抜けた(・・・・・)(つら)で、(にら)まれた。

「ニゲルみてぇな(つら)してねぇで、仕事(しごと)(はなし)(すす)めるとしようぜ?」


 ふぉん♪

『イオノ>量子フォーマットとD言語規格のセッティングには、時間かかっちゃうけどね』

 よし、わからんがわかった。

 なら、このアダマンタイト鉱石(こうせき)だけは、(なん)としても――

 猪蟹屋(うち)がもらう。


 状況(じょうきょう)としちゃぁ、おれと迅雷(ジンライ)とおっさんと冒険者(ぼうけんしゃさま)さまのぉ、四人(よにん)山分(やまわ)けって(ところ)だろうが。


「にゃにゃにゃにゃやーん!」

 お(ねこ)さまが、ジタバタと(あば)れ出すが――

 (ねこ)手足(てあし)はまるで、おれに(とぼ)かなかった。


 おれたちの状況(じょうきょう)把握(はあく)した(うえ)で、『どんな炎系の攻撃にも対抗出来る装備が作れる』と言わしめる装備(それ)にも興味(きょうみ)は湧くが――


 使い道(・・・)(なや)むのわぁ、手に入れてからだぜ。

 さてさて、まずはおっさんにお(うかが)いを立て――


「デェーンデデェンデェンデェーン♪」

 (たと)えるならボス(せん)まえの、(いな)予感(よかん)を――

 音楽(おと)にしたような。


 みんなが注目(ちゅうもく)する、視線(しせん)(さき)

 長椅子(ながいす)(たたず)五百乃大角(いおのはら)が――薄桜色(うすさくらいろ)(スマホ)を取り出した。

「あらん? お(ひめ)ちゃんからの着信(ちゃくしん)わよ()

 プッ――♪

「はい、もしもしぃ。斧原(おのはら)でぇーす()

 お(まえ)それ、本当(ほんとう)の名だろう?


「――もしもしって、なんですの?――」

 (かろ)やかで横柄(おうへい)(つや)やかさ。

 (りん)とした(こえ)(スマホ)から漏れ、こっちまで聞こえてくる。

 五百乃大角(いおのはら)が〝お姫ちゃん(・・・・・)〟と呼ぶのはもっぱら()だ。

 そう、伝説(でんせつ)聖剣(せいけん)が抜けなくて、(はら)いせに家宝(かほう)宝剣(ほうけん)全部使(ぜんぶつか)って――ぶち折った(・・・・・)という(いわ)く付きの――

 コントゥル辺境伯家(へんきょうはくけ)令嬢(れいじょう)


 冒険者(ぼうけんしゃ)ギルドガムラン支部受付嬢(しぶうけつけじょう)(また)の名を〝聖剣切(せいけんぎ)り〟。

 ガムラン最凶(さいきょう)にして魔物境界線(ガムラン)代表(だいひょう)、リカルル・リ・コントゥル。


「もしもしって言ったら、(かめ)じゃなくって――どーしたのぉー? こっちわぁ、とっても面白(・・)……じゃなくってー、大変(たあいへえん)なことになってるわよぉーう()

 この通話(かいわ)スマホ(・・・)なる(いた)を、(かい)して(おこな)われている。


 神々(かみがみ)世界(せかい)通信機(つうしんき)

 遠方(えんぽう)会話(はなし)をするための魔法具(まほうぐ)

 この世界(せかい)にも発掘魔法具(はっくつまほうぐ)として(つた)わっているが――

 それは、おれの二の(うで)(なが)さもある、(ふと)めの長箱(ながばこ)だ。

 それと(おな)機能(こと)が、あの薄板(スマホ)にも出来(でき)ている。


 ニゲルが日の(もと)から持ち込んだスマホとやら(そいつ)を、スキルと無人工房(むじんこうぼう)複製(ふや)した。

 だから仕組(しく)みは完全(かんぜん)にはわからんままだが、便利(べんり)なのだけは良くわかっている。

 ニゲルのは(もと)から(あお)で、リカルルのを(あか)に変えて、五百乃大角(いおのはら)のは……今日(きょう)薄桜色(ピンクいろ)

 おれには迅雷(ジンライ)が居るから、要らねぇ(もん)だが――

 みんなが持ってると、おれも一枚欲(いちまいほ)しくならんでもねぇな。


「――それはコッチのセリフですわっ! すぐ(もど)るというお(はなし)では、なかったのかしらぁ? イオノファラーさ・ま・あ?――」

 ありゃ? (たし)かに(はなし)を聞いて、すぐ(もど)る手はずだったが――

 (なに)(おこ)ってやがる?


「ぎゃっひっ――――し、シガミーさんへ(いま)ぁ、代わりますのでぇ()

 そう言って御神体(じぶん)より(おお)きな薄板(スマホ)を、「へぃ、パースっ()」と投げて(・・・)寄越(よこ)丸茸(メガミ)


「あっぶねーぇ!」

 つい受け取っちまったぜ!

「みゃにゃん♪」

 (ねこ)に逃げられたぞ。


「――ちょっと、聞いていらっしゃいますの!?――」

 うへぇ――!

 最初(さいしょ)こそ見てくれの(はな)やかさと、(すじ)(とお)ったまっすぐな心根(こころね)に――「こいつぁみどころが有る」なんて(おも)ったし――

 戦闘狂の悪い癖(けんかっぱやさ)さえ出なけりゃ――中々(なかなか)、良い(おんな)になるんじゃねぇかなんて――へへっ♪


 なんて――(おも)っていたときもありました。

 最初(はな)っから飛びつかれて、(つぎ)には……(くび)を飛ばされそうになったし――

 この声(・・・)に、あまり良い印象(いんしょう)はねぇ。


「どーしたぁ? こっちわぁ、どでけぇ土塊のゴーレム(・・・・・・・)やら、本物の猫(・・・・)やら、ひょろ(なげ)アダマンタイト(・・・・・・・)やらで大変(てーへん)なんだぜ?」

 おっさんの面白(おもしれ)(つら)精神作用系(せいしんさようけい)スキルの不気味(ぶきみさ)さとか、あと(ぬし)しか居ねぇ(みょう)なダンジョンとか、やたらと(なげ)(まち)名前(なまえ)だとか――

 (はな)してぇことが、(やま)ほどあるぜ。


「はぁ? こちらのほうが大事(おおごと)で――ちょっとソレ全部(・・・・)、聞き捨てなりませんでしてよっ!?」

 お(じょう)さまー、避難(ひなん)して(くだ)さいませ――ヴヴヴヴヴヴッ♪

 薄板(おうと)から、蜂女(ルガさん)(こえ)も聞こえてくる。

 ブツン――プーップーップーッ♪

 通話(スマホ)が切れちまった。


「おい、切れちまったぞ?」

 おれは薄板(うすいた)仕舞(しま)う――すぽん♪

 折角(せっかく)だから(もら)っとく。


 央都(むこう)(なん)か起きてるとしても、心配(しんぱい)する(ほど)のことではない。

 魔王(まおう)という生物(いきもの)(たお)した冒険者(ぼうけんしゃ)パーティー、〝聖剣切りの閃光(ヴォルトカッター)〟の(ほとん)どと――

 勇者(ゆうしゃ)のなりそこない(揚げ物(・・・))に、木さじ食堂(しょくどう)女将(おかみ)人類最高(じんるいさいこう)レベル(たい))までが、央都(おうと)に詰めてる。


 おれでも、あの布陣(ふじん)(くず)せん!

 しかし、(なん)なんだってんだよわぜ!


「おい、茅野姫(ほしがみ)さまよ!」

 面白(おも)そうな(ところ)(くび)を突っ込もうとして、うろうろさまよう金糸(きんし)(かみ)少女(しょうじょ)を呼びつけた。


(なん)でしょう、プークス()

 (うれ)しそうに、計算魔法具(けいさんまほうぐ)を出すな。


央都(おうと)此処(ここ)を、(いま)すぐ(つな)げるか?」

 計算魔法具(しょうばいどうぐ)を取り上げつつ、(たず)ねる。


(いま)すぐというわけには――神域惑星(しんいきわくせい)御神体像(ごしんたいぞう)に付いた転移陣(てんいじん)(とびら)は、ネネルド(むら)央都(おうと)大講堂(だいこうどう)二カ所(にかしょ)(つな)がっております。これ以上(いじょう)(つな)ぐには、どちらか(ひと)つを閉じなければ(・・・・・・)なりません、うふふ()

 順路的(じゅんろてき)にはネネルド(むら)のを閉じて、此処(ここ)(つな)ぐしかないな。


「そうするしかねぇよなぁ。よし、やってくれ!」

「では、絶対(ぜったい)動かない壁(・・・・・)(しつら)えられた〝要らない扉(・・・・・)〟を(ひと)つ、お貸し(くざ)さいませ?」

 と手のひらを向けられたので――

 おれは家主(やぬし)であるフッカ父(おっさん)に、手のひらを向けた。


「むふぅむ? 動かない壁(・・・・・)? 詳しいことわはーん、わっかりかねまっすがっはーんぁ――この(まち)動かない壁など(・・・・・・・)御座(ござ)いませんが? ソレが(なに)か?」

 おっさんの言うことは、(もっと)もだった。

 この(まち)地下(ちか)ダンジョンの(ボス)大きさ(・・・)によって、地面(じめん)翻筋斗打(もんどりう)仕様(しくみ)だからなー。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ