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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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530/744

530:旧パラベラム冒険者専用訓練ダンジョン、まさかのSSSR

「まったくもう! (ちい)さな冒険者(ぼうけんしゃ)さんたちが居るのだ・か・らっ、お手本に(・・・・)な・ら・な・く・て・は――ね?」

 ニコリと(わら)いパタリと、魔法杖(ハリセン)を閉じる。


 フッカ(はは)革鎧(かわよろい)魔法杖(ハリセン)に、(とが)った帽子(ぼうし)

 ちと(いさ)ましいが、魔術師(まじゅつし)たちの服装(ふく)に似てる。


 かたや長椅子(ながいす)に突き刺さるフッカ父(おっさん)は、肘当(ひじあ)てと膝当(ひざあ)以外(いがい)(ろく)装備(そうび)を付けていない。

 (いろ)がふんだんに使(つか)われた、上下(じょうげ)そろいの(ふく)だけだ。


 (かたち)としては猪蟹屋(ししがにや)二号店店長(にごうてんてんちょう)ニゲルの(ふく)と、そう変わらない。

 ニゲル(むこう)(くろ)ずくめ。

 おっさん(こっち)魔物(まもの)に見つけてくれと言わんばかりの――

 赤青黄緑紫(たくさんのいろ)に、白黒(しろくろ)縞模様(しまもよう)

 このちぐはぐさ(・・・・・)は、おれの強化服10号改(シシガニャンかい)(つう)じる(もの)がある。


 冒険者(ぼうけんしゃ)のする格好(かっこう)じゃねぇが――それでも生き延びてきた(・・・・・・・)んだから、馬鹿(ばか)にしたもんじゃねぇ……かもしれん。


「それデは、解錠(かいジょう)しマ()

 細腕(ほそうで)を伸ばし、長持(ながもち)に付いた鉄鍵(てつかぎ)(あな)へ――カチャ♪

 本体(ほんたい)(ぼう)ごと――ガッシャカチリと半回転(はんかいてん)

 鉄鍵(てつかぎ)は、すんなりと(はず)れた。

 (わな)があるって(はなし)だったが?


 ふぉん♪

『>はい。通常ではあり得ない、二通りの起動スイッチが仕込まれていました。そのうち、ひとつ目を避け、ふたつ目は念のため解除してから解錠する必要がありました』

 じゃあ、おっさんは命拾(いのちびろ)いしたって(わけ)だな。


「開っけてっ! はやくぅー、(ひら)けゴマぁ――()

 はしゃぐな美の女神(めがみ)護摩壇(ごまだん)用意(とうい)はしてねぇ。

 祈祷(きとう)なんぞしなくても、(わな)迅雷(ジンライ)(はず)してくれたぜ。

「(はい。金具(かなぐ)が錆び付き、(おも)いかもしれませんが)」

 ガゴォン、大丈夫(だいじょうぶ)だ――ギギーィ♪

 顧問秘書(こもんひしょ)手伝(てつだ)ってくれる――バコーン!


 おれは、ぴょんと跳びはねて(なか)を見た。

「こいつぁ――?」

 (なか)(はい)っていたのは、(やぐら)を組み(はじ)めたばかりの(ぼう)みたいな。

 (よこ)たわる角棒(かくぼう)(さき)二股(ふたまた)(ちい)さい角棒(でっぱり)が、取り付けられている。

 ただし、(ぼう)(いろ)は――(かがみ)のような(ぎん)に、(あかがね)のような光沢(こうたく)が混じっていた。


「まさかっ、アダマンタイト!?」

 顧問秘書(こもんひしょ)(かた)が跳ね、目の(いろ)が変わった。


「「「「うひゃぁ!?」」」」

 大人(おとな)たちの何人(なんにん)かが――尻餅(しりもち)をついた。

 うひゃぁ(・・・・)とか、言いやがったぞ?

 貴重(レア)ではあるが、そこまで(めずら)しくもねぇだろう?


 あまりにも(かた)くて、ノヴァドでさえ(ひね)が折れると言って――

 ふぉん♪

『>炉の火力を増すためにノヴァドは、リオレイニアへ依頼をしていましたね』

 あの青白い炎(・・・・)なぁ。

 狐火(きつねび)人魂(ひとだま)のように(いのち)を食らう、冷てぇ炎(・・・・)とは(まった)くの別物(べつもの)

 近寄(ちかよ)っただけで耐熱(たいねつ)革手袋(かわてぶくろ)が、消し(ずみ)になっちまうほどの(ほのお)

 (おも)い出しても、身震(みぶる)いするぜ。


 ガムラン(ちょう)では、(おな)希少金属(きしょうきんぞく)のオリハルコンも、日頃(ひごろ)から(かみなり)よけに使(つか)ってるし。

 おれだってアダマンタイトを採取(さいしゅ)取引(とりひき)討伐報酬(とうばつほうしゅう)で、何個(なんこ)か持ってるくらいだ。

 ここまで、ひょろ長く(・・・・・)は無かったけど。


「こ、これは――議会(ぎかい)招集(しょうしゅう)しなければ!」

 ツツィア子爵領縁(ししゃくりょうゆかり)女性冒険者(じょせいぼうけんしゃ)は、通路奥(つうろおく)(はし)って行っちまった。

 どうしたんだぜ?

 突き当たりに有るのは、(ちい)さめの女神像(めがみぞう)だけだが。


「あらん、あちらどなたぁん? すっごいイケメン(くん)じゃん()

 おれの(かた)生えた(・・・)丸茸(まるきのこ)がぁ……飯以外(めしいがい)のことに興味(きょうみ)を持つのは(めずら)しいな。

馬鹿野郎(ばかやろ)ー、あいつぁ(おんな)だぜ?」


 ふぉん♪

『人物DB/レフォール・ツツィア

      ツツィア子爵領次期当主

      冒険者としての資質は未知数』

 (けん)を持つ姿(すがた)も、まるでなっちゃいなかったしよ。

 LV(レベル)38てぇのも、なんかの間違(まちが)いだろ。


「ふふぅん? けど男子(だんし)なのは間違(まちが)いありません。恋愛相談所(れんあいそうだんじょ)所長(しょちょう)のこのあたくしさまがぁ、性別(せいべつ)見間違(みまち)えることなど(まん)(ひと)つもありませんのぉでぇー、キッパリッ()

 言い切りやがった。


 ふぉん♪

『イオノ>まったくもう、隅に置けーなーいーわーねー。シガミーったらもー、ウケケケ♪』

 (まんが)(いち)あいつが(おとこ)だって言うんなら、気色(きしょく)(わり)いことに……ならんなぁ。

 (いささ)(いさ)ましいが、あのドレスのような甲冑(かっちゅう)は、とても似合(にあ)っていたし――

 ガムラン(うち)姫さん(リカルル)が四つ(あし)(けもの)彷彿(ほうふつ)とさせ、実際(じっさい)に駆け回るような荒くれ(・・・)なら。

 さっきのあいつぁ、(とり)だ。たおやかで、水面(すいめん)優雅(ゆうが)(おそ)(かん)じの。

 どこか、かわいげがあった。


 いやいやっ、冷静(れいせい)(かんが)えりゃ――おれぁ、いま(おんな)だし。

 あいつぁ、五百乃大角(いおのはら)見立て(・・・)じゃ――(おとこ)なんだろぉ……ん?

 (とく)問題(もんだい)ねぇ……のかぁ?

 僧正(そうじょう)大名(だいみょう)(なか)にゃぁ、そういうやつも居たし――?

 あーぁ? なんだか随分(ずいぶん)と、ややこしくね?


「わ、はははは……わぜ?」

 男女(だんじょ)のことわぁ、(そう)じて――(わら)って誤魔化(ごまか)してとくに(かぎ)らぁ。


   §


「アダマンタイトは、長けりゃ長いほど(・・・・・・・・)――(たか)いだとぉ?」

 初耳(はつみみ)だがなぁ。

 シュカンッ――よっと!

 迅雷(ジンライ)を伸ばし、片足(かたあし)を掛けた。

 一本足(ジンライ)釣り合い(バランス)を取り、背伸(せの)びをする。


 長持(ながもち)(おさ)まったそれは、(たし)かに随分(ずいぶん)(なげ)ぇが。

 ふぉん♪

『>はい、約1・5シガミー。2メートル11センチあります』


「はい。これだけの(なが)さだと――相当(そうとう)(がく)にな……ります」

 目を見開(みひら)いた顧問秘書(マルチヴィル)が、カタカタと(ふる)えている。


「それは、おいくらパケタになるのかしら、うふふふ()

 スッと、計算魔法具(けいさんまほうぐ)を取り出す、小商(こあきな)いの権化(ごんげ)


「ちょっと待て、しめしめうっひっひ♪」

 おれは(わり)(つら)をして、値踏(ねぶ)みをした――チーン♪


 (かね)(おと)が鳴り、画面(がめん)(なか)各種(かくしゅ)アイコンが、(すみ)に退かされる。


 ふぉん♪

『超特選アダマンタイト鉱石【レア度10】/

 非常に希少かつ長大な、アダマンタイトの角棒。

 龍脈形成の熟成期に採れ、硬質過程で破損することが多い。

 これ以上の魔導伝導率を持つ鉱物は、存在しない。

 価格/24500000パケタ』


 真ん(なか)(あらわ)れた鑑定結果(かんていけっか)には、8(けた)もの数字(すうじ)が書かれていた。

 ガムラン(ちょう)超女神像(ちょうめがみぞう)に使われた〝マナ宝石(ほうせき)超特選(ちょうとくせん)】〟

 あっちはガムラン(ちょう)年間予算(ねんかんよさん)一割(10%)……たしか3,150(まん)パケタだったか。


 そして、『存在しない』とか言われても(こま)るぜ。

 魔導伝導率(まどうでんどうりつ)理論上最大(りろんじょうさいだい)の、迅雷(ジンライ)が居るだろが。

 (なん)でもわかる上級鑑定(じょうきゅうかんてい)でも、間違(まちが)うことはあるようだ。


「プークス()

 目の(いろ)を変えた星神(ほしがみ)さまが、計算魔法具(けいさんまほうぐ)を差し出した。

 パチポチペチリと、入力()してやると――


「うふ、うふ、うふ、うふ、クス……クス? ププークス!?()

 市場価格(しじょうかかく)2450(まん)パケタ。

 それを確認(かくにん)した星神茅野姫(ほしがみかやのひめ)が、卒倒した(たおれた)


   §


「フッカよぉ。そろそろ、いろいろちゃんと説明(せつめい)してくれなぃ?」

 わからんことが(おお)すぎて、もう限界(げんかい)だった。


 子供(こども)らは長持(ながもち)、いや宝箱(たからばこ)によじ(のぼ)り。

 (めず)しいらしい中身(なかみ)を、ベタベタと(さわ)りまくっている。 


「えーっと、そのぉーっ、(わたし)にも(くわ)しいことは、わかりかねるわ……家地下(いえちか)のダンジョンのことよね?」

 (なに)を訊き、訊かれているのか。

 それすら、わからないような状況(じょうきょう)だ。


「あふぅん、ひょっと・し・て・ぇ? やっぱりおれっちの……パパっちのぉお(はなし)、ふふん♪ 聞きたくなっちゃったぁー?」

 (せわ)しない(とり)のように(くび)(うごめ)かし、身を乗り出したおっちゃん(パパっち)

 (フッカ)撓垂(しなだ)れ掛かり、うざがられている。

 『話したい♪』と(かお)に書き、満面(まんめん)の笑みを(たた)えてやがる。


「ねぇねぇねぇねぇーん♪ そこんとこさぁー、どぉうなぁのぉーん?」

 あまりにも、ウザかったから――


「いやぁ? (まった)(もっ)興味(きょうみ)は、ねぇーぜっ!」

 全力(ぜんりょく)(ことわ)った。


「ふぅ、うちの(ひと)はすぐ脱線(だっせん)するから、説明(せつめい)一週間(いっしゅうかん)はかかってしまいますわ」

 革鎧(かわよろい)を脱ぎ、平手(ひらて)旦那(おっさん)(しり)をひっぱたく(よめ)さん。


「ぅわはふひっ――――♪」

 (よめ)が脱ぎ捨てた革鎧(かわよろい)を、(ひろ)(あつ)めるおっさん。

 これはこれで、とても(なか)が良いのだ……たぶん。


「ですので、ここは(わたくし)が――あら、あなた(・・・)? こんなところにいたのね♪」

 魔女帽子(まじょぼうし)を取ったフッカ(はは)が、帽子(ぼうし)(なか)(はさ)まる(なに)かをみつけた。

 くるんと帽子(ぼうし)をひっくり(かえ)して、それ(・・)を落っことす。

 ぼとん、チャッ!


「「「「「ぎゃっ――あら!?」」」」」

 (おどろ)大人(おとな)たち!

 落ちた(なに)か。その(いろ)(あざ)やかな青色(あおいろ)で。


「みゃにゃあ゛ぁぁーん?」

 寝ていたところを、(たた)き起こされたような――不機嫌(ふきげん)(こえ)

 おれの住んでた御山(おやま)香味庵(こうみあん)(まわ)りにも、時々居(ときどきい)アレ( ・・)だ。


 我が物顔(ものがお)で、(へい)(うえ)(みち)ばたを(ある)く。

 四つ(あし)(みょう)(なが)くて、にゃぁと鳴く。

 猫頭(ねこあたま)でもなく、(ねこ)魔物(まもの)でもなく。


 ソレ(・・)宝箱(ながもち)を見るやいなや飛び乗り、お宝(アダマンタイト)を見つけた。

「ぅなぁあーぁん♪」

 (ねこ)は背を伸ばし、二本足(にほんあし)で立ち上がった――ヴッ♪

 首輪(くびわ)(ひか)らせたと(おも)ったら、気づけば外套(ローブ)魔法使いの(とがった)帽子(ぼうし)を着ている。


 ふぉん♪

『>あの首輪には、われわれの最新の収納魔法具である、腕時計と同等の機能が備わっているようです』

 ああ、首輪(くびわ)から取り出した(・・・・・)(ふく)に、一瞬(いっしゅん)着替(きが)えやがったぞ。


 見た目はまるで猫耳族(ねこみみぞく)赤子(あかご)のようだが――

 (からだ)つきは(ひと)のソレとは、まるで(ちが)っていて――

 やっぱり、どうみても普通(ふつう)(ねこ)だった。


「にゃみゃーん()

 ぽきゅぽきゅむーん♪

 戸口(とぐち)から猫の魔物(おにぎり)(はい)ってきて――


「みゃにゃぎゃにゃぎゃぎゃやー()

 すっくと立つ(ねこ)に、(かお)を寄せる。


「に゛ゃぁーん()

 突き出される、(ちい)さな肉球(にくきゅう)――ぺたし♪

 強化服自律型シシガニャンじりつがたおにぎりが――(ねこ)(ひたい)小突(こづ)かれた。

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