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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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521/744

521:ツツィア子爵領紀行、美の女神よみがえる記憶

「ねぇシガミーィ()

 根菜(こんさい)(あま)えた(こえ)を出しやがる。


「なんでぇい?」

 折角(せっっかく)、出くわした馬車(ばしゃ)(はや)(くら)べをしようと(おも)ったのに――

 逃げられちまったぜ。


「なんかぁ、お腹空(なかす)かなぁい()

「ひひひっひひぃぃぃぃぃん?」

 やかましいな。


「ああもう、どうせなら(はや)く言えや。さっきの(まち)でなんか買えただろうがっ!」

 ガムラン饅頭(まんじゅう)なら売るほど有るから、それでも喰ってろ。

 ヴッ――ぽとっ!

 しょっぱいのと(あま)いのが(はい)った、紙箱(かみばこ)を――

 パカリと開けてやる。


「ひっひっひひぃぃぃん?」

 ぷるぷると(くび)を振る、でかい子馬(こうま)

 なんだよ、嫌なのか?


「ウッケッケケェェェッ()

 うしろを振り向くと――

 とんでもねぇ(はや)さで(くび)左右(さゆう)に振って、奇声(きせい)(はっ)してやがる。

 やめろや妖怪(ようかい)

 御神体(おまえさま)(かり)にも女神(めがみ)なんだから、ガムラン町以外(ちょういがい)ではしゃんと(・・・・)してくれ。


「じゃあ取って置きの、名代饅頭(みょうだいまんじゅう)を出してやるから――」

 こっちの狐顔(きつねがお)饅頭(まんじゅう)は、なんと梅餡(うめあん)尽生世味(つなまよあじ)だぜ。

 文句(もんく)はあるまい?


 ぽこ――こぉん♪

 馬車最前列(ばしゃさいぜんれつ)専用台(せんようだい)に載せられていた御神体(いおのはら)が――てちり。

 おれの(あたま)(うえ)に、舞い降りた。

「い・や・でーす。もう、なんかぁ(めずら)しーぃ(もの)おぉー所望(しょもう)しまっ――すぅぅん()

 その素っ頓狂(とんきょう)(こえ)で、(あたま)(うえ)(わめ)かれると――

 (ひざ)から(くず)れそうになるぜ。


(めずら)しいたってなぁ。ただでさえ(いま)はダンジョンの(おく)でも行かねぇと、獲物(えもの)が居ねぇってオルコがぼやいてたくらいだぞ」

 ムシュル(がい)大量(たいりょう)にあるが、マンドラゴーラは全部使(ぜんぶつか)っちまったし。

 ミノタウ(にく)ももう、それほど(のこ)ってねぇから――いよいよってときの最後(さいご)晩餐用(ばんさんよう)に、(かぎ)を掛けてしまってある。


「ダンジョンねぇ――迅雷(ジンライ)クーン、この(へん)にさぁダンジョンわぁ有るぅー()

 てちてちてちてち――(いた)くはねぇが。

 てちてちてちてち――(ちょう)うぜえ。


「トリュフ橋向(ばしム)こウの(マち)ニ、小規模(しょうキぼ)ナダンジョンヲ発見(はっケん)しまシ()

 ヴォォォォン♪

 (あた)りの地図(ちず)表示(ひょうじ)される。


町中(まちなか)に有んのか? (あぶ)なくね?」

 (あぶ)ねぇだろ?

「そうですね、ガムラン(ちょう)ならいざ知らず、この内陸(ないりく)では冒険者(ぼうけんしゃ)質量共(しつりょうとも)不足(ふそく)していますので――」

 顧問秘書(マルチヴィル)も、そう言ってる。


「ええええええええぇぇぇぇっ――!?」

 驚愕(きょうがく)のフッカ。(おどろ)いてやがる。


 おれも馬車(ばしゃ)(なか)(もど)り、みんなと一緒(いっしょ)地図(ちず)を見た。

 さっきのそこそこ(おお)きな(まち)、その(まち)図案(アイコン)女神像(めがみぞう)図案(アイコン)がくっ付いてる。

 そこを(ひがし)(すす)んで丁字路(ていじろ)――

 (きた)にトリュフ(ばし)(みなみ)にモップ渓谷(けいこく)


 橋向(はし)こうに、(ちい)さな女神像(めがみぞう)図案(アイコン)(あらわ)れた。


「コの(ちイ)サな女神像(めがミぞう)アイコンは、ギルド支部出張所(しぶシゅっちょうじょ)のよウで()

 学院廊下(がくいんろうか)の突き当たりに有った、寸足らずの(・・・・・)女神像(めがみぞう)(おな)(もの)だ。

 転移陣(てんいじん)には(つな)がらない、機能限定(きのうげんてい)女神像(めがみぞう)デバイス。


「フッカ。(なん)だぜ、このダンジョンわぁ?」

 折角(せっかく)土地(とち)(もの)が居るのだ。素直(すなお)に訊く。

(わたし)は知りません! (ちち)(はは)(まち)のみんなは、無事(ぶじ)なんでしょうかぁ!?」

 涙目(なみだめ)だぜ、(なに)も知らんらしいな。


「おそらく、そのダンジョンのせいで正式(せいしき)女神像(めがみぞう)(べつ)場所(ばしょ)(うつ)し、住民(じゅうみん)たちもさっきの(まち)あたりへ引っ越したのではないでしょうか?」

 フッカを(なだ)めるように、やさしく説明(せつめい)するマルチヴィル。

 そーかもなー。

 (さき)龍脈大移動りゅうみゃくだいいどう(たん)(はっ)した天変地異(てんぺんちい)数々(かずかず)

 地中深(ちちゅうふか)(なむ)っていたダンジョンが突如(とつじょ)地表(ちひょう)(あらわ)れても不思議(ふしぎ)ではない。


「きっと大丈夫(だいじょうぶ)だぜ。さっきの(まち)様子(ようす)だと、大事(おおごと)になってる(かん)じはしなかっただろ?」

 むしろおれたちは(いま)、ここに居る。

 もし(こま)ってる(やつ)が居たら、全力(ぜんりょく)(たす)けてやれば良いだけだ。


「そ、そうですよねっ。(ちち)(たよ)りないところもありますけれど、(たくま)しいところもあるので――きっと家族(かぞく)(まち)のみんなのために、尽力(じんりょく)していると(おも)います!」

 ふぅ、持ち(なお)してくれたぜ。


 大陸全土(たいりくぜんど)で起きた天変地異(てんぺんちい)では、死人(しにん)こそ出なかったが(むしろ行方不明者(ゆくえふめいしゃ)大量(たいりょう)発見(はっけん)され、(ひと)(かず)は増えた)――その原因(げんいん)おれだ(・・・)

 死んだおれを黄泉路(よみじ)から縒り合わせ(・・・・・)作り直すための(・・・・・・・)――

 反魂(はんごん)(じゅつ)。その負い目(かり)(ぶん)は、(かえ)していくつもりだ。


「あ、あぁぁあぁぁぁ――――――――――――――――――――っ!!!!()

「やかましぃ! どーしたぁ!?」

 うるせぇっ、五百乃大角(いおのはら)めっ!


「すっかり、(わす)れてたんだけどっぉ――――っ!?()

 地図(ちず)を見つめ、根菜(こんさい)(ふる)えている。

「だからなんだってんだぜっ――!?」

 五百乃大角(こいつさま)(めし)のため。

 ひいては世界(せかい)安寧(あんねい)のため。

 おれぁもう二度(にど)と、死ぬわけにはいかねぇ(・・・・・・・・・・)のだぜ。


 ふぉふぉふぉん♪

『モルト・トリュフリュ【木陰の宝石】

 ちいさな茸。鍋に入れるととてもおいしく、

 あまりのおいしさに天啓を授かるとか授からないとか。

 追加効果>適切な調理をすれば、食後一時的にMPが減らなくなり、

      INT、AGR、LUKのいずれかが恒久的に上昇する。

      ただし調理には熟達の料理人による、最高の仕事が必須。

      失敗した料理を食した場合、HP最大値が大幅に減少する。』

 (なん)だぜ、邪魔(じゃま)画面(がめん)を出すんじゃねーぞ!


 ふぉふぉふぉふぉふぉふぉふぉぉん♪

『ラゴラゥ・マツタゲ【凶夢】

 焼いて食すととてもおいしく、特に酒のおつまみに最適。

 追加効果>適切な調理をすれば、食後一時的にHPが減らなくなり、

      STR、DEF、LUKのいずれかが恒久的に上昇する。

      ただし調理には熟達の料理人による、最高の仕事が必須。

      失敗した料理を食した場合、MP最大値が大幅に減少する。』

 くそう、画面(がめん)(きのこ)説明(せつめい)で、埋め尽くされちまった。


「これっ――魔王城(まおうじょう)取ってきた(・・・・・)(ちょう)めっずらしぃ(きのこ)さまぁなんだけどさぁー! すぅっっっっかり、わーすーれーてーたーわーぁん()

 はぁ――!?

 いつもいつも(やぶ)から(ぼう)に、今度(こんど)(なん)(はなし)だぜ!?


「この二つ(・・)のウチ、一つ(・・)猪蟹屋(ししがにや)もとい、この美の女神(イオノファラー)であらせられ(たてまつ)られるところの、あたくしさまちゃんへの、お供物(・・・)として献上(けんじょう)して(いただ)いていまぁーすぅ()

 てちてちてちてち、すとととととととととととん♪

 (いて)ぇなっ! (あたま)(うえ)で、(あば)れるんじゃねぇーやいっ!


「コの(きノこ)にハ有効(ゆうコう)魔術的(まじゅつてき)薬効成分(やっこウせいぶん)ト、危険(キけん)魔術的(まじゅつてキ)薬効成分(やっこうせいぶん)混在(こンざい)していルようで()

「これっ、(いま)すぐ(つく)ってっ()

 ふぉぉん♪

 (なに)かを見て、書き(うつ)したらしい――

 たどたどしくて、(すこ)(まる)文字(もじ)

 追加(ついか)表示(ひょうじ)されたのは、(ふた)つの飯の作り方(・・・・・)だった。


「なんでこんな出先(でさき)で、言いやがる!?」

仕方(しかた)ないでしょっ! (はし)名前(なまえ)に似た名前(なまえ)(きのこ)のことを、思い出しちゃった(・・・・・・・・)んだからさぁ()

 てちてちてちっ、ぎゅるるるるるるぅっ!

 (いて)(いて)ぇ、(まわ)るんじゃねぇ!

 (かみ)の毛が、(から)んだだろうがぁ!


駄目(だめ)駄目(だめ)だぁっ! フッカの家族(かぞく)(まち)住人(じゅうにん)無事(ぶじ)(たし)かめるのが(さき)だぜっ!」

(きのこ)きぃのこぉ、きのこっこぉぉぉぉぉぉぉおぉっ()

 ぎゅるるるるるるるるるるるるるるるるるるぅっ!

 ブチブチィ――「(いて)ぇなっ!」

 (かみ)の毛が抜けただろーがぁっ、やめんかぁっ!


「ププークスクス♪ では(まち)や、フォチャカさんのご家族(かぞく)安否(あんぴ)確認次第(かくにんしだい)昼食(ちゅうしょく)を取るというのではいかがでしょうか()

 座席(ざせき)から飛びおりる茅野姫(ほしがみ)

 とたた――「よいしょ()

 おれの(あたま)(うえ)(まわ)根菜(こんさい)を、ひょいとつかみ上げた。

 ブチブチィ――「だから、(いて)ぇっつってんだろが!」

 また抜けただろーがぁっ、いい加減(かげん)にしろよお(まえ)らぁっ!


「しゃーねーな、そーするかぁ。お(まえ)さまも、それで良いな五百乃大角(いおのはら)ぁ!」

(わたくし)(うで)によりを掛けて、お料理(りょうり)をいたしますのでぇ、プークス()

 御者席(ぎょしゃせき)から(ねこ)(きつね)(えが)かれた饅頭(まんじゅう)(はこ)を取ってきて、御神体(ごしんたい)専用台(せんようだい)へ置く茅野姫(カヤノヒメ)


「けどぉ、天風羅睺(テンプーラゴウ)が、じたばた(・・・・)してるよ?」

 レイダが(ほろ)を広げ、御者席(ぎょしゃせき)から(そと)(のぞ)き込んだ。

本当(ほんとう)だね」「うむ」「じたぼた?」

 子供(こども)たちをどかして、(てん)ぷら(ごう)様子(ようす)を見ると――

 随分(ずいぶん)元気(げんき)を、無くしやがったなー。


「なるほど、ジタバタしとるな――神力棒(しんりょくぼう)じゃ(はら)(ふく)れんのかぁ?」

 ヴッ――ぱしり。

 取りだした神力棒(モバイルバッテリー)を――「みゃぎゃぎゃにゃあ゛ぁー()

 おにぎりに(うば)われた。


「むぐにゃぁー()

 おにぎりは神力棒(しんりょくぼう)を、(くち)(あな)は空いてない)に(くわ)えた。

 そして、じたばたしていた相棒(こうま)を、(やさ)しく抱き上げ――

 背中(せなか)背負(せお)った――ぐらぁり。


「うわっととととぉ――――!?」

 (てん)ぷら(ごう)(くら)(つな)がる機械腕(プロダクトアーム)に、馬車(ばしゃ)前輪(ぜんりん)が持ち上げられる。


 ぽっきゅら――ぽっきゅぽっきゅぽきゅぽきゅぽぽきゅきゅぽきゅらららっらぁっ!

 (はし)りだすおにぎり。

 揺れない構造(つくり)(した)に、猫の魔物(おにぎり)潜り込んだ(・・・・・)もんだから――


 馬車(ばしゃ)大揺(おおゆ)れに揺れ、おれは(あたま)を――ガゴォン!

 御神体(いおのはら)専用台(せんようだい)に、(おも)い切り打ちつけた。

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