表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

519/744

519:龍撃準備開始、ツツィア子爵領へ行こう

「よし、受け取ったな。じゃぁその(かね)を貸してくれ。フォチャカの父上殿(ちちうえどの)への特別報奨金(バウンティー)にするから」

 (わた)したそばから大金(たいきん)をぶんどるような真似(まね)をするやつぁ、本来(ほんらい)なら素っ首落(くびお)とされても仕方(しかた)がねぇ――


 ……(ところ)なんだが今回(こんかい)は、王族(おうそく)揉めごと(・・・・)対魔王結界(たいまおうけっかい)(なか)業火(かじつ)を、一遍(いっぺん)(おさ)めねぇとならねぇわけで。


「よくわからないけど……わかったわ。フォチャカは宿(やど)仕事(しごと)を、とても頑張(がんば)ってると聞いてるしね」

 そういって(かね)を置いたオルコトリアは――

 折角(せっっかく)央都(おうと)だからと、どこかへ走り去った。

 (やつ)本当(ほんとう)男前(おとこまえ)だな。


 ふぉん♪

『>そうですね。頑固なところはありますが、誠実で理解しやすいです』

 ヴォォォゥン♪


 ずどどどどどどどどっ――――男前(オルコ)が駆けていった方向(ほうこう)には、魔導騎士団(まどうきしだん)の詰め(しょ)がある。

 まあ(なん)でも良いやな。

 対魔王結界(たいまおうけっかい)(かな)業火(ごうか)(なん)でも、一緒(いっしょ)(たたか)ってくれると約束(やくそく)してくれたからな。


   §


 私財(しざい)をつぎ込みフォチャカ嬢(じぶんのむすめ)に、マジックスクロールを(たく)した、彼女(かのじょ)父親(ちちおや)

 (かれ)に会ってスクロールに(かん)しての、(くわ)しい(はなし)を聞きたい。

 (ほのお)を食らい樹木(じゅもく)へ変える、高等魔術(こうとうまじゅつ)

 〝炎曲(えんきょく)苗木(なえぎ)〟を修得出来(しゅうとくでき)たという、その(かみ)ぺら。


 「もう一つ、宿廊(すくろう)るが欲しい」ってのが、轟雷(おれ)(みちび)き出した説破(こたえ)だ。

 ふぉん♪

『ヒント>スクロール/紐で巻かれた書物。

     巻物、ひいては魔法やスキルを覚えられるアイテムのこと』

 うん。もしも手に入れられるなら、是非(ぜひ)とも欲しい。


 ふぉん♪

『>但し、<炎曲の苗木>はフォチャカ限定のユニーク・スキルですので、他の人間が習得することも使用することも不可能です』

 それでもだぜ。似た巻物(スクロール)があるなら、(さが)しておきたい。

 轟雷(おれ)がそう説破(せっぱ)したんだからよ。


「それで、フォチャカさんのご実家(じっか)はどちらですか? ヴヴヴヴヴッ♪」

 (かた)をすくめ(はち)のように(ふる)えてみせる、蜂の魔神(ルガレイニア)

 靴底(くつぞこ)(ゆか)に跳ねて――ゴカカカカカカカカッ!「ひぃぃぃぃぃぃっ!?」

 (おび)えるフッカ(じょう)本当(ほんとう)(こわ)いみてぇだな。


「やめてやれ、ルガさん」

 まるで本当(ほんとう)(はち)が、威嚇(いかく)してるみてぇだろうが。

 普段(ふだん)(やさ)しいんだが、こう……なんかの(はず)みで――


 ふぉん♪

『ホシガミー>意地悪スイッチが入ってしまうようですね、プークスクス?』

 そうだなぁ。星神(おまえ)さまが、食堂(しょくどう)とか小商(こあきな)いに傾倒(けいとう)してるみたいなもんなのかもなぁ。


「えーっとチャッカの(いえ)は、たしか……ツツィア(りょう)の――」

 外套姿(がいとう)のチャタンパが、(うえ)を向いて(おも)い出している。

「トリュフ(はし)(まち)じゃ……なかったっけ?」

 短剣武器(たんけんぶき)を身に(まと)ったリュカテークが、二の(うで)に付けた手裏剣状(しゅりけんじょう)(やいば)に手を当てた。


 こくりと(うなず)く、ケープ姿(すがた)のフッカ(じょう)


「それでしたら大女神像(だいめがみぞう)転移(てんい)すれば、さほど時間(じかん)は……帰りが(・・・)問題(もんだい)ですね」

 (わる)ふざけを止めた蜂女(ルガさん)が、(かえ)りの心配(しんぱい)をしている。


「それは、大丈夫(だいじょうぶ)だぞ。こいつら(・・・・)一緒に(セットで)連れて行きゃぁ、どっからでも一瞬で戻ってこれる(・・・・・・・・・)

 おれは根菜(いおのはら)茅野姫(ほしがみ)に持たせ、その背をぐいと突き出した。


「あらあらまぁまぁ、プークス()

 女神御神体(いおのはら)をうやうやしく(かか)げる、金糸(きんし)のような(かみ)少女(しょうじょ)

「ウケッケケケケケケーッ――♪」

 (かか)げられ、踏ん反りかえる美の女神(笑)(イオノファラー)


 一緒(いっしょ)に連れていくと、央都(おうと)守り(・・)手薄(てうす)になるが此処(ここ)は――

 行き来の時間(じかん)短縮(たんしゅく)するために、女神(めがみ)茅野姫(かやのひめ)を連れて行く。


 ふぉん♪

『>出かけている間に対魔王結界が決壊したり、巨木の果実をばらまかれて央都に巨木が林立したりしないことを願いましょう』

 それしか有るまい。

 (まん)(いち)そんなことになったら、央都(おうと)(おわ)る。

 ネネルド(むら)連中(れんちゅう)が、逞しすぎ(・・・・)なんだ。


「では、(わたくし)が行って口添(くちぞ)えをした(ほう)が、(はなし)(はや)いかしら?」

 とは、狐耳(リカルル)(・リ・)ご令嬢(コントゥル)

「いえ、お(じょう)さまが一定以上(いっていいじょう)規模(きぼ)(まち)(おもむ)かれますと、現地(げんち)子爵家(ししゃくけ)(うえ)(した)への大騒(おおさわ)ぎになるかと」

 とは、ルガ蜂顔(リオレイニア)のメイド(・サキラテ)


「じゃぁ、(ぼく)が行こうかニャァ?」

 フサフサの毛を揺らし、ニャァと鳴く。

「そうですね、マジック・スクロールに(かん)してなら、我々(われわれ)ほど適任(てきにん)もいないかと」

 手帳(てちょう)をパタリと閉じ、こっちを見る。

 じゃぁ連れてくか。


「ツツィア子爵領(ししゃくりょう)でしたらサキラテ家の別宅(べったく)御座(ござ)いますので、(わたくし)微力(びりょく)ながら――お(ちから)になれるかと」

 水面(すいめん)のように(あた)りを(うつ)し出す、鏡の眼鏡(ルガ-サイト)

 おれや迅雷(ジンライ)、フッカやミャッドたちの姿(すがた)(ちい)さく(うつ)りこんでいる。


「そうだニャァ……もし(なに)か有ったときに、現地(げんち)のツツィア伯爵家(はくしゃくけ)(かお)が利くと(たす)かるニャァ♪」

 日の(もと)でも余所者(よそもの)がうろつきゃ、揉めごとになったからなぁ。

 けど、(なが)(もの)冒険者(ぼうけんしゃ)は、どこにでも居んじゃね?

 ふぉん♪

『イオノ>えっとね、ぺらぺらり、あった。地続きな隣町のギルドまでならクエストを受ければ、見とがめられることは無いみたいよ』

 てことは隣町(となりまち)を越えて、クエストも無しで大所帯(おおじょたい)で居たら、結局目立(けっきょくめだ)っちまう(わけ)か。


 ふぉん♪

『>目的地のツツィア子爵領には、ルガレイニアの実家で有るサキラテ男爵領が隣接していますので、サキラテ一族のご息女がいれば大抵のことには便宜を図ってもらえると思われます』

 そういうことか、じゃぁ連れて――


「いかがでしょうか? ヴヴヴヴヴッ♪」

 (かた)をすくめ(はち)のように(ふる)えてみせる、蜂の魔神(ルガレイニア)

 靴底(くつぞこ)(ゆか)に跳ねて――ゴカカカカカカカカッ!


「ひぃぃぃぃぃぃっ!?」

 フッカは、ひょっとしたら……(はち)苦手(にがて)なのか?

「もう、やめてやれ」

 おれは(ただよ)ってた迅雷(ジンライ)をつかんで、蜂女(ルガさん)跳ねる肩(・・・・・)を――

 ぽんと押さえて止めた。


 鬼娘(オルコ)といい、王都(おうと)に来るとなんかの(たが)(はず)れちまうのか?

 魔術(まじゅつ)、しかも高等魔術(こうとうまじゅつ)得意(とくい)(やつ)(こころ)に触れる何かが(・・・)央都(ここ)には有るのやもしれねぇ。


「じゃあ、あたし行きたい! (いもうと)たちの(かお)を見てきたいっ!」

 とはサキラテ家ご息女(そくじょ)ビビビー。

「じゃあ、(わたし)もっ!」

 レイダも、(おお)きく手を上げた。


   §


 女神(いおのはら)茅野姫(かやのひめ)護衛(ごえい)に、おれと迅雷(ジンライ)

 顧問氏(ミャッド)秘書(マルチヴィル)護衛(ごえい)に、第七師団(だいななしだん)団長(だんちょう)のご老体(ろうたい)

 子供(こども)たちの護衛(ごえい)に、おにぎり。

 向こうで馬車(ばしゃ)を引くのに、(てん)ぷら(ごう)


「向こうで調節(ちょうせつ)してる余裕(よゆう)があるとは(かぎ)らねぇから、行く(やつ)全員座席(ぜんいんざせき)(すわ)ってくれー!」

 おれは高高度用馬車(こうこうどようばしゃ)を取り出した。


結局(けっきょく)、8(にん)もの大所帯(おおじょたい)になっちまったぜ」

 馬車(ばしゃ)金網(かなあみ)部分(ぶぶん)に、迅雷(ジンライ)式隠(しきかく)蓑製(みのせい)(ほろ)を――ぶわさぁっ、ぎゅっ、ぱちんぱちんぱちぱちぱちぱちん♪


迅雷(ジンライ)そっちはどーだ?」

「すべてのホックを閉じました。これで雨風(あめがぜ)(かみなり)火炎(かえん)(たま)にも耐えます」

 よし、良さそうだな。


「みゃにゃぎゃにゃぁー()

 (おな)(いろ)子馬(こうま)へ、颯爽(さっそう)と飛び乗るおにぎり。

「ひひっひひぃぃぃん?」

 (きゅう)に乗られ、背後(はいご)を見ようとクルクル(まわ)り出す――

 黄緑色(きみどりいろ)騎馬(きば)


座席(ざせき)がもう(ひと)つ、空いてるよ? タターちゃんも連れて行きたい」

 (あし)をブラブラさせるレイダが、いつものように余計(よけい)なことを。

 おにぎりの(ぶん)が、たしかに空いちまったが――


「それならゲイル(くん)も、連れて行こうよ」

 ビビビーが椅子(いす)(すわ)少年(ゲイル)を、(ゆび)さした。


座席(ざせき)が足りんし、どうせ(はなし)を聞いたら、すぐ(もど)るだけだぞ?」

「「それでも、みんなで行きたい!」」

 (あそ)びに行くつもりだな、こいつらぁ。


「ふぅ、そうしたら第四師団団長(ミラカルカ)も連れてってやらんと……かわいそうだろうが」

 座席(ざせき)を増やすか?

 こんどは(そら)(うえ)(つぶ)れるような速さで、カッ飛ぶわけじゃないから――


「じゃぁ、(ぼく)が残るニャァ。あの(へん)景色(けしき)が良いところだから、子供(こども)たちを連れて行ってあげて欲しいニャァ♪」

 お(やさ)しいもんだな、ちょっと見直(みなお)したぜ。


「そういうことならわしも、護衛(ごえい)(にん)(ゆず)ろうかのう」

 ご老体(ろうたい)もか、さすがに人間(にんげん)出来(でき)てやがるぜ。

 そう言って、(そろ)ってふたりが行く(さき)には――


「がっはははははっはっ――――おらぁ、追加(ついか)(さけ)もってこぉぉぉぉぃ!」

 ノヴァドや年配(ねんぱい)学者方(がくしゃかた)たちが、昼間(ひるま)から酒盛(さかも)りを(はじ)めてやがった。

 くそう、(うらや)ましいぜ!

 おれも天狗装束(てんぐしょうぞく)着替(きが)えて、混ざりたいくらいだ。

子爵領/上位領主から命じられ、その地に赴き根付いた者が治める土地。

男爵領/昔からの豪族が爵位を受け、治めている土地。

辺境伯領/王族や上位領主から叙勲された者が治める土地。

※トッカータ大陸における爵位制度には諸説有り、主な称号となります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ