表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

518/744

518:龍撃準備開始、スクロールと特別報奨金

(わたし)(ちち)(はなし)を聞きたい……のですか?」

 (ちゃ)を飲み、ひと(いき)ついたフッカ(じょう)


 烏天狗(ぼく)(つく)ってやった、黄緑(きみどり)っていうか若草色(わかくさいろ)羽織(ケープ)

 法被(はっぴ)を脱いだ彼女(かのじょ)は、それを羽織(はお)ってくれている。

 気に入って使(つか)ってくれているようで、(なに)よりだ。


 おにぎりの(まぶ)しいほどの黄緑(きみどり)よりは、落ちついた(いろ)

 ガムラン饅頭(まんじゅう)塩餡(きみどり)のほうに、色合(いろあ)いがよく似ている。


 ふぉん♪

『日夜シリーズ一式【終日】

 全防御力日中336~夜半784(+229~+677)。

 全魔法攻撃力日中342~夜半81(+143~-118)。

 時間帯によって追加効果が変わる、

 摩訶不思議な魔術師向け防具一式。

 追加効果/日中INT+30/AGL+30

 条件効果/日没中にHPが一割を切ると女神の加護により、

      STR+30/ATK+30/VIT+30

 装備条件/INT25。成人女性または、成人前の子供』


 (なげ)ぇ、そうだぜ。

 あの羽織(はおり)ひと揃え(・・・・)は、コントゥル家が家宝(かほう)にしても、おかしくねぇ(くらい)代物(しろもの)だったぜ。


 ふぉん♪

『>あのとき初めて一式装備を作ったのですから、やり過ぎてしまったのも仕方がありません』

 だよなー。


「そうです。火山(かざん)ダンジョンで使(つか)った高等魔術(こうとうまじゅつ)、〝炎曲(えんきょく)苗木(なえぎ)〟。あれを修得(しゅうとくした)した〝マジック・スクロール〟の出所(でどころ)を、知りたいだけです」

 (トレー)を持つ、蜂のお化け(ルガレイニア)さんが、(やさ)しく微笑(ほほえ)んだ。


「あ、あれは(わたし)窮状(きゅうじょう)を見かねた(ちち)が、財産(ざいさん)をなげうって手に入れた(もの)だと聞いていますぅー! すべて(わたし)のせいなんですぅー、どうかご容赦(ようしゃ)を――ガタブル!」

 あれ、また(おび)えだしたぞ?


「レーニア。フッカは(はち)のような(かお)が、(こわ)いのではなくて?」

 ご令嬢(れいじょう)(こぶし)細顎(あご)に添え神妙(しんみょうな)面持(おもも)ちで、侍女兼友人(じじょけんゆうじん)を見つめる。


(こわ)い? (わたくし)がです――か?」

 (トレー)小脇(こわき)にはさみ、ずいと(かお)を寄せるルガレイニア。


「ひぃぃぃぃぃぃっ!?」

 (おび)えるフッカ(じょう)本当(ほんとう)(こわ)いみてぇだな。

 普段(ふだん)猫の魔物(ケットーシィ)とか子馬の魔物(テンプラゴウ)とか魔神の再来(ルガレイニア)とか言われても、すぐ慣れちまうものだが。


「こらっ、チャッカ!」

「リオレイニアさんに、失礼(しつれい)でしょっ!」」

 パーティーメンバーの二人(ふたり)は落ちついたのか、鏡目(かがみめ)蜂顔(はちがお)平気(へいき)らしい。


失礼(しつれい)ということはありませんが、そう(おび)えさせてはかわいそうですね」

 スッと鏡の眼鏡(ルガーサイト)へ手を伸ばす、ルガレイニア。


「まてまて、(はず)すな! これ以上(いじょう)(はなし)をややこしくするなってんだぜ!」

 この場の全員(ぜんいん)前後不覚(ぜんごふかく)(おちい)り、大怪我(おおけが)をするほどの――

 〝(こい)〟だかに落ちちまう(・・・・・)だろうが。


「ふぅ、(ぎゃく)ですわフッカ。〝炎曲(えんきょく)苗木(なえぎ)〟に目を付けたアナタのお父上(ちちうえ)を、(たた)えることはあっても(とが)めることなど有りませんでしてよ!」

 (こし)両手(りょうて)威圧(いあつ)しているようにも見えるが、シガミー(おれ)烏天狗(ぼく)天狗(わし)を追いかけ(まわ)すときと(くら)べたら――

 (やさ)しいもんだぜ。


「お(まえ)さんの父上(ちちうえ)には……そうだなぁ、猪蟹屋(うちのみせ)から特別報奨金(バウンティー)が出ることにするぞ」

 今決(いまき)めた!


   §


「というわけでだ、この(かね)をかしてくれ。央都(おうと)(けん)が片付いたら(ばい)にして(かえ)すからよ」

 まるで渡世人(とせいにん)(よう)口上(こうじょう)だが、しかたねぇ。

 央都(おうと)へ来てからこっち、(みせ)を買ったりして(かね)を、どっさりと使(つか)っちまったからなぁ。


 ここは黒板裏(こくばんうら)(ちい)さな部屋(へや)

 ガチャリと(つくえ)に置いたのは、『オルコ』と名入(ない)りの革袋(さいふ)

 これはオルコトリアから(あず)かってたもんで、おにぎりの(なか)から五百乃大角(いおのはら)が見つけて取り出しちまった(・・・・・・・・)


 結局(けっきょく)天狗(てんぐ)との一騎討(いっきう)ちは(かな)ってないから、フェスタの掛け金(・・・)とは(べつ)にしておいた(もの)だ。


 追加(ついか)革袋(かわぶくろ)(ぶん)精算(せいさん)しちまったが、最初(さいしょ)天狗(わし)に寄こした(ぶん)――なんだっけ?


 ふぉん♪

『>ファイトマネーです。鬼族の風習による、特別報奨金の様な物です』

 そうそれ、つまりは大事(だいじ)(かね)だろ。

 ガムラン(ちょう)仲間(なかま)に、不義理(ふぎり)出来(でき)ん。


「それは、好きに使(つか)えば良い。天狗殿(てんぐどの)一度(いちど)、お(わた)しした(もの)を受け取る道理(どうり)は無いわっ!」

 ゴガォォウ!

 気迫(きはく)いや、鬼拍(きはく)気圧(けお)された。


「いいや、受け取ってもらわねぇと、ちと困る(・・・・)

 といっても、一旦借(いったんか)りるんだがぁ。


(こま)る? なんで?」

 パァァンッ――(ひだりて)(みぎて)で打ち付ける鬼娘(オルコトリア)

 (おど)されてる? おれぁ(おど)されてるのかぁ――(たす)けろ迅雷(ジンライ)


簡単(かんたん)なことじゃわい」

 (こえ)に振りかえる鬼族(オルコ)、その四肢(しし)が――ごきん、ばきん!

 倍化(ばいか)した。


 天井(てんじょう)からぶら下がるのは、天狗装束(てんぐしょうぞく)

 おれは(いま)烏天狗(からすてんぐ)装束(すがた)此処(ここ)に居る。

 つまり天井(あっち)のは迅雷(ジンライ)だ。


 ふぉん♪

『シガミー>悪い、助かった』

 ふぉん♪

『>いいえ。それで、この場はどう切り抜けますか?』

 手を抜きゃぁ(おこ)るだろうし――


天狗殿(てんぐどの)っ、此処(ここ)で――会っ――た――が――――――っ」

 (すで)長剣(ちょうけん)は抜き放たれ、振り上げる太刀筋(きどう)は――

 まえにギルドを(こわ)したときに、見たのと(おな)じ。

 それでも、いかなる修行(しゅぎょう)によるのか。

 その剣先(けんさき)天狗(じんらい)を――(つらぬ)いた。


 ボッフゥワァン――――ガシャンッ♪

 白煙(はくえん)を吐き飛んできた、(まる)められた天狗装束(てんぐしょうぞく)一式(いっしき)

 それを即座(そくざ)に、収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)仕舞(しまい)い――すぽん♪

 うしろ手に独古杵(ジンライ)を、解き(はな)った。


「はぁぁっ!? 逃げたぁっ――!?」

 ブゥォォォゥン――――「(あぶ)ねっえっ!!!!!!」

 鬼娘(オルコ)長剣(けん)が、置いてあった豪奢(ごうしゃ)(とり)置物(おきもの)に――


 ガッキュキッィ――ン!

 手甲(てっこう)に付けた(やっとこ)剣先(けんさき)つまんだ(・・・・)

 止めねぇと(こわ)れるし、(こわ)したらまた(かね)がかかっちまう。

 ドガンッ、パッリィン♪

 ちっ、長剣(けん)を止めた衝撃(いきおい)で、うしろの硝子(ビードロ)が割れちまった。


天狗殿(てんぐどの)駄目(だめ)ならぁ――シガミーでもぉー良いのよぉぉう?」

 「(なに)が?」って聞いたら、(おこ)るだろうな。

 当然(とうぜん)一騎討(いっきう)ちの(はた)し合いの(はなし)だ。


「おれに勝っても、(よめ)にわぁ(もら)ってやれんぞぉ!? おれぁ、こう見えても(・・・・・・)(おんな)だからな?」

 ガチィンと、剣先(けんさき)を突っ(かえ)してやる。


「わかってるわよ! もうね、(たたか)わないと(つよ)くなれないのに、その相手(あいて)居ないんだもの(・・・・・・・)、しょーがないでしょーっ!」

 (けん)を下ろし涙目(なみだめ)になる、綺麗(きれい)(かお)(おに)


「な、なんだぜっ!? ま、魔物(まもの)でも狩りに行きゃ良いじゃんか?」

 (とりで)むこうの(もり)(おく)に入れば、(いく)らでも(つよ)(やつ)に出くわすだろ?


「だからぁLV(レベル)30以上(いじょう)魔物(まもの)がぁ、一切出(いっさいで)なくなっちゃったのよ!」

 そりゃ、初耳(はつみみ)だぜ?

 ふぉん♪

『イオノ>初耳わね』

 ふぉん♪

『>女神像の魔物素材売買の統計情報には、まだ現れていません』


「それ、リカルルさまは、知ってるのか?」

 聞いてみる。もし、そんなことになってるなら、戦闘狂(せんとうきょう)(ひめ)さんが(だま)ってるとは(おも)えん。


「はっきりとは知らないと(おも)う……ぐすん。ほら、リカルルは仕事(しごと)さぼってたから」

 あー、そこに(つな)がるのか。おれたちにも責任(せきにん)一端(いったん)はある……ようなねぇような。


「じゃあ尚更(なおさら)だぜ、オルコトリア。おまえこのまま、こっちに詰めとけ」

 おれは割れた硝子(ビードロ)を――すぽん♪

 ヴッ――(もと)どおりに直した(カチャ)

 単純(たんじゅん)(もの)なら、(なお)すのは簡単(かんたん)だ。


「え、なんで? それにガムラン(ちょう)を開けるわけには、行かないでしょー」

 長剣(けん)をガチリと、(さや)(おさ)める鬼娘(オルコ)


「けどこっちに居れば、下手(へた)したら(りゅう)(たたか)えるぞ?」

(りゅう)……火龍(かりゅう)のゲイル少年(しょうねん)?」

 (なに)やら(かんが)えてる。

 彼女(オルコ)火龍(かりゅう)ゲートルブと、(たたか)ってないからな。


「ちがう、〝央都建国(おうとけんこく)(たたか)い〟に出てくる(いにしえ)(りゅう)だ」

 言ってやった。

 鬼娘(おにむすめ)の目が、見開かれた(・・・・・)


 よし(いま)だ――ガチャリッ♪

 おれはもう一度(いちど)、オルコトリアの財布(さいふ)を取り出した。


「カカカッ――そう言うわけじゃ。(おに)(むすめ)央都(こっち)(とど)まってもらう(あいだ)仕事(しごと)(やす)ませる(ぶん)の、給金代(きゅうきんが)わりと(おも)うて――受け取って――はくれ――ぬか――のぉ――う――ぅ」

 (せま)部屋(へや)に、天狗(てんぐ)(こえ)木霊(こだま)した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ