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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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513/744

513:ギ術開発部研究所、狙撃犯はんめい

(いま)なぁ、茅野姫(かやのひめ)から連絡(れんらく)が来たんだが――ゲイルを(ねら)った木の実を(ぎゃく)辿(たど)ったら……んぁぁ?」

 おれの(くび)(かたむ)く。


 ふぉん♪

『シガミー>おい、返事をしろや。茅野姫さまよお?』

 返事(へんじ)がねぇ。居なくなっちまったぞ?


(Θ_Θ)(カシャッ)

 ヴォォォォゥン♪

 映像(すがた)を消し、機械腕(ほそうで)につかまれた五百乃大角(ごしんたいさま)が寄ってきた。

 ふぉん♪

『イオノ>あー。地下深くだからか、この倉庫が防磁されているのかわからないけど、女神デバイス間の通話を介さないと一行文字が使えないみたいねぇん』


 ふぉん♪

『ホシガミー>そのようですね。うふふ♪ その場所で私と一行表示で会話なさるときには、イオノファラーさまの近くへ居てください、プークス♪』


「そーいうことならぁ、逃げられねぇように(つか)まえとけ」

 ヴォヴォォォォゥン――――カシャキャチャガシッ!

 おれの(ちか)くを(ただよ)ってた空飛ぶ棒(ジンライ)が、空飛ぶ球と根菜(いおのはら)細腕(ひも)でつないだ。

 女神一式(ごしんたい)(つか)まえてたら――とんとんと(かた)(たた)かれた。


「それで、(ぎゃく)辿(たど)ったら……(なん)なんだい?」

 振り向けば――「なんで女将(おかみ)さんがここに?」

「いやだね、この子は。この建物(たてもの)家捜(やさが)しし(はじ)めたときに、合流(ごうりゅう)しただろう?」

 初耳(はつみみ)なんだけど?


 ふぉん♪

『>173分前にコッヘル夫人と、合流しています』

 するってぇと、神官(モサモサ)どもに(ちゃ)を出してもらったときか。

 モサモサ人混(ひとご)みで、全員(ぜんいん)(かお)は見てなかったからな。


「わかんなかったぜ、すまんすまん。それで――」

 (なん)(はなし)だったっけ?

 ふぉん♪

『>ゲイルを狙った木の実を逆に辿ったらの話、では?』

 そうだぜ。


「――(ぎゃく)辿(たど)ったらよ、(りゅう)の巣に行き着いたそうだ」

 全員(ぜんいん)(くび)が、(かべ)大穴(おおあな)へ向いた。


   §


宝箱(たからばこ)から飛び出た木の実がぁ――ガハハ♪」

 屈強(くっきょう)鍛冶職人(かじしょくにん)が、(わら)ってやがる。


地中(ちちゅう)を突き(すす)んで行って――ららぁん♪」

 魔導工学者(ゴーレムつかい)、もしくは第一王女(ドルイドひめ)(おそ)れられる彼女(ラプトル)も、(わら)ってやがる。


(りゅう)の巣の(かべ)に跳ね(かえ)って――うひょぉ♪」

 うるせぇ、師団長代表(ケッピン)

 お仲間(なかま)のご老体(ろうたい)はモサモサに介護(かいご)され、(わらし)はレイダに手を引かれるまま(はし)(まわ)り――

 (かお)(なが)獣人(じゅうじん)は、にょろにょろと(なが)(した)を出したり引っ込めたりして(あた)りを(うかが)っている。

 背負(せお)った武器(ぶき)(つち)を掘る農具(のうぐ)のようで、まるで(つよ)そうには見えんが――


 ふぉん♪

『>ここに居る師団長の中では一番、仕事が出来そうですね』

 そうだな。なんか毛並(けな)みも良いしな。


上空(じょうくう)へ飛んで行った……ニャァ?」

 車座(くるまざ)になり、そんな結論(けつろん)(たっ)する大人(おとな)たち。


「じゃぁ、宝箱(たからばこ)から木の実を(はじ)き飛ばしたのは、一体誰(いったいだれ)なんでぇい?」

 鉄塊(てっかい)にもたれる、むくつけき代表(だいひょう)ノヴァド。

「だろぉ? しかも、ごく最近(さいきん)のこととなるとよぉ?」

 (すわ)り込んだ(てん)ぷら(ごう)にもたれるおれ、しゃらあしゃらに程遠(ほどとお)代表(だいひょう)シガミー。


「あなたたち、その(あな)危険(きけん)かも知れません。もう(すこ)し下がってください」

 ひかりのたてを(かま)え、大穴(おおあな)(ふさ)蜂女(ルガさん)

 あのひかりは魔物(まもの)や、(よこしま)(もの)をとおざける。

 基本的(きほんてき)には飛んでくる魔法(まほう)や矢を、(ふせ)ぐためのものだ。


 (あな)(ちか)くに居た、おれとノヴァドは――しっしと部屋(へや)(すみ)へと追いやられた。

 ガハハと(わら)工房長(かれ)(うで)が、鉄塊(てっかい)のような金槌(かなづち)を――ゴゴドゴンッ!

 退()かしたその(かど)が――ヴァチィッ!

 弧を(えが)(ひかり)曲面(きょくめん)をかすった


「おっとあぶねぇっ――よっと!」

 ゴォゥン、ゴッズズズズゥン!

 かるく跳ね(あが)った鉄塊(かなづち)を、蜂女(ルガさん)からとおざける工房(ノヴァ)――


「あっ――あぁあぁぁあぁっ?」

 おれはようやく、思い至った(・・・・・)


 (くだん)の木の実は蜂女(ルガさん)の〝ひかりのたて〟に向かって、落ちてくる性質(・・・・・・・)があった。

 そして木の実(・・・)は、そのひかり(・・・・・)に触れると――

 とんでもない(いきお)いで、弾き飛ばされていた(・・・・・・・・・)ことを。


「やべぇっ! 犯人(はんにん)本当(ほんとう)にリオ――ルガレイニアだったみてぇだぜっ!」

 おれの言葉(ことば)にギョッとしたルガさんが、ひかりのたてをぼしゅるると消した。


   §


 (いにしえ)(りゅう)を閉じ込めた、宝箱(たからばこ)とやら。

 それを打ち(こわ)したのは、(・なか)(はい)っていた巨木(きょぼく)の木の実。

 そしてそれを、引き起こしたのは(・・・・・・・・)――


「まさか(わたくし)の、ひかりのたて!?」

 両手(りょうて)(ちい)さく持ち上げる、蜂のお化け(ルガレイニア)


「そうだ。しかも呪文(じゅもん)最後(さいご)まで(とな)えた本式(ほんしき)の、とんでもねぇひかりのたてだっただろう?」

 三日三晩(みっかみばん)央都(おうと)を照らし(つづ)けた超広域結界ちょうこういきけっかい

 地中深(ちちゅうふか)くから(はな)たれた――龍脈言語(りゅうみゃくげんご)による直接的(ちょくせつてき)物理演算(ぶつりえんざん)


「けどあそこまでの大事(おおごと)に、なってしまったのはぁ――」

 涙目(なみだめ)になり、持ち上げた手を(ちい)さく振りまわす白い蜂(ルガさん)


「――シガミーが「(めっ)」したからではなくて?」

 べつに責め立てるつもりは、無かったんだが――

 すっと赤い狐(リカルル)が、割って(はい)ってきた。


「そうでスね。シガミーが作成(さクせい)シた〝紫色(むラさきいろ)のリボン〟にヨる未解析(みかイせき)詠唱効率(えいしょうコうりつ)上昇(じょうシょう)ト、理論上最大(りろんじょうサいだい)魔導伝導率(まどうでンどうりつ)(ほコ)(わタし)トの共闘(コラボ)も――爆発的(ばくはつテき)広域化(こうイきか)一因(いちいン)でス()――」


 ふぉん♪

『無縫のリボン【紫】

 防御力30。魔力量10。

 シワにならない魔法のリボン』

 小窓(ダイアログ)がでた。もっともこいつは偽装(ぎそう)してある。


 ふぉん♪

『響言の鉢巻き【今紫】

 防御力30。魔力量10(固定)。

 魔術の多重詠唱が可能になる』

 魔神の再来の再々(リオレイニア)が、あのとき(かみ)(むす)んでいたリボン。

 その本当(ほんとう)性能(せいのう)は、こっちだ。


 日の(もと)坊主(ぼうず)にとっちゃ、朝飯前(あさめしまえ)多重詠唱(たじゅうえいしょう)

 (とな)えることは出来(でき)ても、この世界(せかい)住人(じゅうにん)であるリオには発現(はつげん)しなかった。


 詠唱法(それ)をおれ以外(いがい)(やつ)にも、使えるようにする(・・・・・・・・)頭装備(あたまそうび)

 ひとつの呪文(じゅもん)何個(なんこ)もの魔法(まほう)を、詰め込む(・・・・)詠唱法(えいしょうほう)

 その威力(いりょく)実際(じっさい)に、測定魔法具(そくていまほうぐ)(こわ)し、央都住民(おうとじゅうみん)寝不足(ねぶそく)にしている。

 そんな経緯(けいい)根菜(こんさい)判断(はんだん)で、お蔵入り(・・・・)になった(もの)だ。

 それとあのとき彼女(かのじょ)の手が、迅雷(ジンライ)に掛かったことが原因(げんいん)半分(はんぶん)


(めっ)せよ♪」

 そんな子供(レイダ)のおふざけに――

「滅せよ?」

 つづく子供(ヴィヴィヴィー)

(メッ)せよゥ?」

 火龍少年(かりゅうしょうねん)ゲイル。

(めっ)すを?」

 第四師団団長(ミラカルカ)

 やかましいぞ、貴様等(きさまら)め。


(れい)の〝(めっ)せよ〟かい? そりゃぁシガミーが(わる)いさねぇ♪」

 女将(おかみ)さんが、木さじへ手を延ばす。

「ガハハハハッ――ちげぇねぇ♪」

 やめろや、工房長(ノヴァド)


「ですがぁ、あの(あと)王都周辺(おうとしゅうへん)魔物(まもの)出現(しゅつげん)が、ほぼ無くなりましたららぁぁん」

 そーだろう、(なん)でかはよくわからんが。


「ありゃぁ、(たし)かに……おれも(わる)かった。央都(おうと)市民(しみん)にも(ひど)いことをしたと(おも)ってる。けどよぉ、魔王(まおう)(ふう)じ込めるための対魔王結界(たいまおうけっかい)を跳び越えて――央都(おうと)まるごと〝ひかりのたて〟で囲んじまう(・・・・・)とわぁ、さすがのおれでも(おも)わねぇよ」

 うつむいて、泣き(ごと)を言う。

 (けっ)してありゃぁ、おれだけのせいではない。


 実理(じつり)縁起(えんぎ)改竄(かいざん)――美の女神(いおのはら)茅野姫(ほしがみ)御業(みわざ)よりも、滅多(めった)なことだ。

 (ひと)の身で((いま)の見た目は、蜂のお化け(・・・・・)みてぇだが)そんなことをする(ほう)(わり)いだろう?


 ふぉん♪

『ホシガミー>お亡くなりになったシガミーさんをサルベージするため乱しに乱しまくった龍脈の経路が、アレで一遍に整いましたわ♪』

 やっぱり、おれのせいじゃんか。

 ひとまず(だま)って、(うつむ)いておく。


「なるほどニャァ。あの強力(きょうりょく)聖なる光(・・・・)(はじ)かれた木の実が、こうして(かた)岩盤(がんばん)を――」

「――数日掛(すうじつか)けて、掘り進んだと(・・・・・・)

 ギ術開発部組(じゅつかいはつぶぐみ)が、納得(なっとく)してくれた。


多少(たしょウ)疑問(ぎモん)ハのこりまスがルガレイニアにヨる〝ひかりのたて〟が、封印(ふうイん)さレた(りュう)……巨木(きょぼく)の木の実をネネルド(むら)まで弾き飛ばした(・・・・・・)ことは、間違(まチが)いないよウで()

 ヴォヴォゥゥン――――ギュギチキャシャラララッ!

 五百乃大角(いおのはら)が飛び立とうとして、『(>△(プロジェクション)<)(BOT)』を揺さぶってる。

 そろそろ(はら)を空かせる(ころ)か。いそがねぇと。


「あれ? けどさ、その木の実は(たまご)だと(おも)ったゲイル(くん)が、持って(かえ)って来ちゃったでしょぅ?」

 不意(ふい)にかたむく、子供(レイダ)(くび)


「そうだぜ! ならネネルド(むら)に生えた巨木(きょぼく)(たね)は――どっから来た(・・・・・・)?」

 それはつまり、封印(ふういん)されてた木の実とは(べつ)の木の実を――

 バラ撒いてる(・・・・・・)(やつ)が居るってことで。

 くそう、また振り出しに(もど)っちまった。

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