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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
4:龍撃の学院

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512/744

512:ギ術開発部研究所、第一倉庫最下層のなぞ

「あら? 倉庫部屋(そうこべや)はこの(かい)で、おしまいみたいでしてよ?」

 (たしかに)かに甲冑姿(リカルル)が言うとおりに、(した)(つづ)階段(かいだん)が無い。


「これで(おわ)りか、(たす)かった! なんせミャッドがあれもこれもと詰め込むから、収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)が足りなくなるところだったぜ」

 まだ、この階全部(かいぜんぶ)を見て(まわ)ってはいない。

 けどここまで、(した)へ降りる階段(かいだん)(かなら)見えるところに(・・・・・・・)有った。


 ふぉん♪

『>はい。それを考えれば、ここが最下層で間違いはないように思えます』


「だって(いま)まで、この倉庫(そうこ)(さき)(すす)めないところばかりで、こんなに(ふか)く降りたのは(はじ)めてニャァ♪」

 歓喜(かんき)小躍(こおど)りを舞う、猫の獣人(ミャッド)

 猫頭(ねこあたま)をした毛むくじゃら、猫耳族(ねこみみぞく)

 手先(てさき)まで(こけ)のような緑色(みどりいろ)毛皮(けがわ)(おお)われていて――


「ありがとうだニャヤァー♪」

 はしりとつかまれた手のひらには、押すと爪が飛び出る(・・・・・・・・・)肉球(にくきゅう)とやらがある。

「よ、よさねぇか!」

 (そう)じて(にく)めない姿形(すがたかたち)は、異性(いせい)から絶大(ぜつだい)にもてる。

 こうしてかわいらしい猫頭(かお)を向けられると、それはわからんでもない。


顧問(こもん)、お気持(きも)ちはわかりますが、落ちついてぇ――くっださい!」

 べりべりと引き剥がした上役(ミャッド)を、すとんと(ゆか)に置く顧問秘書(マルチヴォル)


「ふぅ。コレだけの収穫(しゅうかく)が有れば、魔導騎士団(まどうきしだん)(かか)えていた資金難(しきんなん)もかなり解消(かいしょう)されます♪」

 ぺこりと映像(えいぞう)五百乃大角(いおのはら)やおれに、(こうべ)を垂れる秘書(ひしょ)

 秘書(ひしょ)にならい、顧問氏(こもんし)もぺこり。


「そうわの? 大掃除(おおそうじ)のガラクタ(あつ)めじゃぁなかったのねぇーん()

 ヴォォォォゥン♪

 映像(いおのはら)顧問(ミャッド)(あたま)をなでた。


(やく)に立てたのなら、(なに)よりだぜ」

 央都(こっち)ではずっと二人(ふたり)に、世話(せわ)になってたからな。


「ガラクタではないニャァ。まえに(きみ)たちに売った〝太古(たいこ)廃棄女神像(はいきめがみぞう)部品(ぶひん)〟だって、ここで見つけた(もの)だニャァ?」

 それはつまり、おにぎりの中身(なかみ)である――

 猪蟹屋(ししがにや)(いま)、もっとも欲しているものだ。


 女神関係者(おれたち)なら欲しがるだろうとふっかけられ、まんまと高値(たかね)で買わされた経緯(けいい)がある。


「なんだと!? ソレを(はや)く言えやぁ!」

 まるで気にしねぇで、ここまで来ちまっただろうがぁ!

「あれ、言ってなかったかニャァ?」

 聞いとらんぞ。


大丈夫(だいじょウぶ)でス、シガミー。(たナ)(ナら)んでイた物体(もノ)(なカ)ニ、廃棄女神像(はいきめがミぞう)女神像(めがミぞう)(るイ)スる(もノ)ハ有りませんでシ()

 なら良いが。

 酢蛸(SDK)でも廃棄女神像(はいきめがみぞう)でも、(なん)でも良い。

 おにぎりに使(つか)っちまった、〝自分(じぶん)(かんが)えるための――何か(・・)〟。

 あれがありゃぁ、迅雷(ジンライ)とかおれが居なくても――

 天狗(てんぐ)とか烏天狗(からすてんぐ)を〝本当に居る(・・・・・)〟ように出来(でき)る。


 ふぉん♪

『>そうですね。演算単位を、もう一人分扱えるようになるなら、猪蟹屋業務の完全自動化も夢ではありません』

 迅雷(おまえ)が居てくれるだけでも、相当助(そうとうたす)かってはいるんだがな。


 兎に(かく)だ。間違(まちが)っても大事(だいじ)それを(・・・)、おにぎりの二匹目(にひきめ)使(つか)うような真似(まね)はもうしねぇ。

 自律型一号(あんにゃろう)一匹(・・)で、十分(じゅうぶん)だぜ。


「それで肝心(かんじん)の、その〝封印(ふういん)宝箱(たからばこ)〟とやらは、どこにあるのかしら?」

 カッツカッツコッツコッツ――――ひょい?

 赤いの(リカルル)壁向(かべむ)こうの通路(つうろ)を、(のぞ)き込んだ――「うぎゃぁ!」

 淑女(しゅくじょ)にあるまじき、怒声(どせい)


「ひかりのたてよっ!」

 ヴォォォォォォンッ――――!

 (せいなる)なる(ひかり)(はな)ち、(よこしま)なるものを(とお)ざける。

 蜂女(ルガさん)高等魔術(こうとうまじゅつ)炸裂(さくれつ)し、(まも)るべき主君(リカルル)を――


「むっぎゃっぴゃ――!?」

 ドッガァン――ゴドゴロロロロロロッ!

 盛大(せいだい)(はじ)き飛ばした!


「ひ、(ひは)わはいへへへほ、(ひほ)ひへふわほレー……ルーア゛レ」

 (ころ)んだ(いきお)いで狐面(きつねめん)が、ふたたび閉じられている。

 (なに)を言ってるのか、ほとんどわからんな。


 駆けよりカパリと、狐面(それ)を持ち上げてやる蜂女(ルガレイニア)

(もう)(わけ)ありません、お(じょう)さま! この(あたら)しい白狐(しろきつね)(めん)……いえ、(かがみ)眼鏡(めがね)通すと(・・・)威力(いりょく)(はや)さが上がるのに、まだ慣れていなくて」

 (ほほ)を押さえ、弁明(べんめい)する(しろ)魔神(まじん)


威力(いりょく)だけじゃなくて(はや)さもですか、そーですかっ――これだからヒーノモトーの連中(れんちゅう)は、まったくもうっ!」

 ガシャリと飛び起き、(にら)まれた。


「そんなことよりよ。ありゃぁ、ご令嬢(おまえさま)がやったのか?」

 (みじか)通路(つうろ)(おく)にあったのは、そこそこの(ひろ)さの部屋(へや)


 真っ(しろ)壁床天井(かべゆかてんじょう)、その真ん(なか)

 一段高(いちだんたか)くなった(だい)(うえ)

 (ころ)がるのは――〝豪奢(ごうしゃ)(つく)りの(はこ)〟。


「そんな訳有(わけあ)りませんでしてよ! その(かべ)に空いた、穴に驚いただけ(・・・・・・・)ですわっ!」

 どうやら、そうらしい。

 (おく)(かべ)には、大穴(おおあな)が――空いていた。


   §


 (はこ)(こわ)れていて、(なか)(から)っぽだった。

 どういうことだぜ?


 ふぉん♪

『>この国の歴史は類推ですが、500年から数千年と思われます。少なくとも、それだけの長い期間封印されていた果実を、倉庫の外へ投げ放った者が居るようです』

 そいつぁ、どんな大男(おおおとこ)……いや、大女(おおおんな)だぁ。

 (あたま)鬼の娘(オルコトリア)がよぎった。


「「(なん)ということ――ニャァ」――でしょう」」

 モサモサ神官(しんかん)どもを(したが)えた、ギ術開発部(じゅつかいはつぶ)二人(ふたり)が、宝箱(たからばこ)(むら)がる。


「この(こわ)(かた)からみて、まだひと(つき)も過ぎていないニャァ?」

 モササササッ、モササササッ。

「どういうコトでしょう? 我々(われわれ)でさえ到達出来(とうたつでき)なかった倉庫最下層(そうこさいかそう)侵入(しんにゅう)し、あまつさえ〝封印(ふういん)宝箱(たからばこ)〟を(こわ)すなんて――」

 モッサモササ、モモサァサァ。


 カツンコツン、カツンコツン――主人(リカルル)介抱(かいほう)を終えた魔神(まじん)蜂女(ルガレイニア)さんが、寄ってきた。


「と言うよりも……コレは、箱の中(・・・)封印(ふういん)されていた何かが(・・・)――内側から(・・・・)(はこ)(こわ)したようにみえませんか?」

 銀色(ぎんいろ)(ひとみ)(うつ)りこむ――(かべ)大穴(おおあな)

 大穴(おおあな)(かべ)粉砕(ふんさい)地中(ちちゅう)を、ほぼ真横(まよこ)に突き(すす)んでいて――

 よーく見れば向こう側に(・・・・・)(ひかり)が見えていた。


 すると、この(あな)は――


「「「「「(りゅう)の巣へ、繋がってるっ!?」」」」――のぉん!?()

 方角的(ほうがくてき)間違(まちがい)いねぇ。


「ジリリリリン――ッ♪」

 突然(とつぜん)警報(けいほう)!?


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ぎゃぁぁっ!!!???」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 飛び上がる、おれたち。

 モモサァ――引く(なみ)のように、下がる神官(モサモサ)たち。

 (やり)(かま)え、周囲(しゅうい)警戒(けいかい)に当たる。


「はぁぁい! ガチャリッ――もしもしー、斧原(おりはら)ですけどぉー、どぉーなぁーたぁー()

 胸元(むなもと)から(けん)(つか)みたいな取っ手(もの)映像(えいぞう))を取りだした(・・・・・)、イオノファラー(映像(えいぞう))。

 それには(くさ)(つる)のような(ひも)が、付いている。


 激しく動いたからか、五百乃大角(いおのはら)映像(えいぞう))の、中身(おく)がうっすらと見えていて――

 浮かぶ(プロジェクション)(BOT)から伸びた機械腕(プロダクトアーム)が、根菜(ごしんたい)をつかんで映像(いおのはら)(みみ)に押し当てている。


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「もしもし?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」――ござる!?」

 だからゴザルは言ってねぇ。

 それにしても(なん)真似(まね)だぜ、五百乃大角(いおのはら)ぁ?


 ふぉん♪

『>女神像デバイス間の、同期チャンネルを利用した音声通話のようです』

 はい、わからん。


 ふぉん♪

『ホシガミー>シガミーさん。今よろしいでしょうか、クースクス()

 (なん)だぜ、こんなときに――っていうか、いまの「通話(もしもし)」は茅野姫(ほしがみ)か。


 ふぉん♪

『シガミー>構わんが、こっちはとんでもねぇ物を見つけた。たぶん、ゲイルにぶち当たった木の実の出所がわかったぞ』


 ふぉん♪

『ホシガミー>あら、それはそれは。こちらでも弾道解析がすんだところですわ』

 なに?


 ふぉん♪

『ヒント>弾道解析/弾道学と同義。発射した弾を当てるための演算。この場合は着弾の様子から、発射地点を逆算すること』

 わか――るな。

 そりゃ、ゲイルを(ねら)った果実(たま)出所(でどころ)……だろう?

 つまり、おれたちが今居(いまい)部屋(へや)だ。

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