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503/743

503:ネネルド村奇譚、大陸間弾道たまごの正体

「きゃっ――ひかりのたてよ!」

 ヴォォォォォォォッン!

 見方(みかた)によっては、なんと言うか――

 まるでルガ(ばち)(かお)のように、見えないこともない――

 〝魔眼殺(まがんごろ)Ver(バージョン)2〟、周囲(しゅうい)景色(けしき)(うつ)し込む眼鏡(かがみ)


 それを掛け、(さらに)に研ぎ澄まされた高等魔術(ひかりのたて)(はな)った――

 リオレイニア・サキラテ。


 ヴァチヴァチヴァチヴァチィ――――――――ッ!

 落ちてきた丸いの(・・・)は、ひかりのたてにぶち当たり――

 ゴガァァァァァンッ――――!


 ブォォンッ――――ドガァァァンッ――――ドゴゴォォォォンッ――――バキバキバキキィィィ――――!!!

 (ゆか)にあたり(かべ)に跳ね(かえ)り、(はしら)粉砕(ふんさい)して――


「ぎゃぁぁぁぁぁっ――――!」

「うひゃぁぁぁあっ――――!」

「みゃにゃぎゃぁっ――――!」

「ひひひひぃぃんっ――――?」

 老若男女(ろうにゃくなんにょ)(ねこ)、そして(うま)――――(てん)ぷら(ごう)(はら)をかすめた。


 阿鼻叫喚(あびきょうかん)のネネルド(むら)


「っきゃやややややぁぁぁっ――――ドゴゴガガァァン!」

 (いま)(こえ)学者方(がくしゃかた)の、ふわふわもこもこした頭突(ずつき)(おんな)か!?

 おれとリオをかすめ、湖面(こめん)へ飛んで行く巨大(きょだい)(まる)(なに)か。


 頭突き(・・・)(はじ)かれた卵型(それ)が――――ぽこぉん♪

 水面(すいめん)から出ていた蛸足(たこあし)見事(みごと)命中(めいちゅう)、ぷぎゅりゅりゅりゅとキャッチされた。


「ぷぎゅぎゅりゅりゅーぅ?」

 巨大な蛸(たこのすけ)によって、桟橋(さんばし)に置かれる丸いの(・・・)


「こりゃぁ、ゲイルが持ってきた……あの卵(・・・)(おな)じ――だよなぁ!?」

 がやがやぎゃぎゃややや、わざわざざざわざざわわ?


これが上から(・・・・・・)落ちてきた……と言うことは――」

 ギュギュギュィィィィンッ――!

 ギュギュィィン――!

 チチチィ――!

 魔法具(まほうぐ)やアーティファクトの作動音(さどうおん)が、うるせえ!


 学者方(がくしゃかた)何人(なんにん)かとミャッド、そしてシュッとした魔眼殺しVer2(スポーツサングラス)を掛けたリオレイニアが――上空(うえ)を、直上(ちょくじょう)枝葉を(・・・)見上(みあ)げている。


 ヴュュュゥゥゥゥンッ♪

 チチチチィ――――おれの視界(しかい)拡大(かくだい)され、大写(おおうつ)しになる。

 太さ(・・)が10シガミーはありそうな、小枝(・・)(さき)

 かなりの上空(じょうくう)(しげる)枝葉(えだは)(なか)に、よく見れば〝ゲイルを(ねら)った灼熱(しゃくねつ)(たまご)〟が何個(なんこ)か、ぶら下がってた。


「ちっ、なんで気づかなかった!?」

全天(ぜンてん)スキャンノ解像度(かいぞウど)でハ、卵形状(たまごけいジょう)判別(はんベつ)するマでに時間(じかン)ガ掛かりま()

 ああ言やぁ、こう(かえ)しやがって。


「まさか!?」

「「ひょっとして!?」」

 ざわつく学者方(がくしゃかた)ども。


「「「この(たまご)って――!?」」」

「「「「(たまご)じゃなくて――――!?」」」」

「「「「「この大木(たいぼく)のぉ――――――!?」」」」」

 拡大(かくだい)して目で見て確認(かくにん)した連中(れんちゅう)が、核心(かくしん)(せま)った。


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「(たね)ぇ――――――――――っ!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 うるせぇー、学者(がくしゃ)どもめっ!


(おどろ)いたニャァ! (たね)と言うより――木の実(・・・)かニャ?」

「ということは、あの紅蓮(ぐれん)(ほのお)大木(たいぼく)の木の()の……〝果肉(・・)〟ということになるのでしょうか?」

 困惑(こんわく)顧問氏(こもんし)秘書(ひしょ)


 ぎしぎしぎしっ――――!

 そのとき桟橋(さんばし)が、(おお)きな(おと)を立てた。

 (かたむ)橋桁(はしげた)から、「(みず)に落ちてはたまらん」「(もど)れ、(もど)れ」と、学者方(がくしゃかた)が逃げていく。

 対魔王結界(ししがにや)惨状(さんじょう)を知るものも、「(ほのお)に巻かれてはたまらん」「逃げろ、逃げろ」と(もど)っていく。


「リオレイニアさんが、あの(たまご)を撃ち落としたの?」

 余計(よけい)なことに、いつも気づく子供(レイダ)


「いえ、普通(ふつう)ひかりのたて(・・・・・・)使(つか)っただけですが――」

 おずおずと(すす)み出る、美の権化(リオレイニア)

 もっとも〝(スキル)〟は(いま)魔導光学的(まどうこうがくてき)にかつてないほど相殺(そうさい)されている。

 つまり、等身大(とうしんだい)妙齢(みょうれい)淑女(しゅくじょ)が、そこに立っていた。


「レーニアおばさん――じゃない!? (ひと)魔物(まもの)っ!?」

 黒頭巾(くろずきん)は脱ぎさられ〝(はち)(かお)眼鏡(めがね)〟を掛けた彼女(リオ)は、(ひと)の目には――


「それ知ってる、魔神(まじん)って言うんだよね……あれ? 魔王(まおう)だっけ?」

 子供(レイダ)め。

 おれも迅雷(ジンライ)も、まさか――こうなるとは、(ゆめ)にも(おも)わねぇ。


(ひと)魔物(まもの)!?」

 ざわざわざわわわっ!?

魔王(まおう)って、絶滅(ぜつめつ)したはずじゃ!?」

 がやがやがやややっ!?


 まるで猫の魔物(おにぎり)初めて見たときの(・・・・・・・・)人々(ひとびと)のようなやり取りだぜ。

 この作法(さほう)だか茶番(ちゃばん)だかは、一度(いちど)やらないと――

 どうしても(はなし)(さき)に、(すす)まねぇらしい。


 「様子(ようす)を見るぞ」「そウしましょ()

 なんて後手(ごて)(まわ)ったのが、裏目(うらめ)に出た。


   §


「なに!? 魔王(まおう)とな?」

 とうとう一番(いちばん)のお(えら)いさんである、コントゥル辺境伯(へんきょうはく)さまがやってきちまった。


伯爵(はくしゃく)さま、ここは危険(きけん)かも知れません! お下がりください――ひかりのたてよ!」

 護衛(エクレア)たちを(したが)えたお館さま(とのさん)奥方さま(ルリーロ)を、(まも)るように駆けよった給仕服姿(メイドすがた)魔王(・・)(うたが)い)は――ヴォォォォォォォッン!

 三度目(さんどめ)の〝|邪を弾く聖なる盾《MAGIC・SHIELD》〟を展開(てんかい)した。


 ふぉん♪

『シガミー>猫の魔物は〝決闘死〟とやらで、人の魔物は〝魔王〟だったか?』


 ぽこふぉん♪

『イオノ>ちょっと何よ、この騒ぎ?』

 ひと口(アイコン)サイズの五百乃大角(いおのはら)が、画面(インベントリ)の中に(あらわ)れた。


 ふぉん♪

『ホシガミー>ちょっと目を離すと、すぐに面白いことに、プークス?』


 魔神(まじん)再来(さいらい)再来(さいらい)再来(さいらい)、リオレイニア・サキラテ。

 彼女(かのじょ)が〝MAGIC・(ひかり)SHIELD(のたて)〟を展開(てんかい)したということは――

 それは、お館さま(とのさん)奥方さま(ルリーロ)(まも)りが、万全(ばんぜん)になったことに(ほか)ならない。


 ふぉん♪

『>イオノファラーが温玉にさえしなければ、あの物体が熱を発することは無いと思わ――▼▼▼(ピピピッ♪)

 また真上(うえ)からなんか、来るっ!?


 ヴッ――パシッ、ガキッ!

 ふたたび小太刀(こだち)を取りだし、鯉口(こいくち)を開ける!


 それは(・・・)やっぱり(まる)くて、まるで卵みたいな形(・・・・・・)をした――

 巨木(きょぼく)木の実(・・・)推定(すいてい))だった。


 ヴァチヴァチヴァチヴァチィ――――――――ッ!

 木の実(それ)魔神(まじん)リオレイニアの、高等魔術(ひかりのたて)(ふせ)がれ――ゴガァァァァァァァァン!

 こんどは(そら)彼方(かなた)へと、飛び去った。


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「辺境伯(けんきょうはく)夫妻(ふさい)がぁ、狙われたぞー(・・・・・・)!!!」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 駆けよる村人(むらびと)たち。


「ふぅ、(あぶ)ないところでした。伯爵(はくしゃく)さまに奥方(おくがた)さま、お怪我(けが)御座(ござ)いませんか?」

 颯爽(さっそう)と振りかえるのは、ルガ蜂のような(・・・・・・・)(つら)


 その轟雷(おれ)両目(メインカメラ)のような姿形(デザイン)が、この世に出てくるまで(・・・・・・)には。

 日の(もと)で言うなら600(ねん)必要(ひつよう)だったのだ。


 おれが居た(ころ)の日の(もと)より、随分(ずいぶん)後の世の(すすんだ)来世(このせかい)でも――

 両目(りょうめ)鏡で出来ていたら(・・・・・・・・)、そりゃぁ――


 魔神(まじん)間違(まちが)われても、仕方(しかた)がねぇだろう。

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