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502/743

502:ネネルド村奇譚、魔眼殺しVer2をつくろう

「じゃあ、やるぞ。せいぜい10分程度(ぷんていど)調整(ちょうせい)は済むから、協力(きょうりょく)してくれ」

 ヴッ――どんがたがたん。

 テーブルと椅子(いす)を、桟橋(さんばし)まえに(なら)べた。


「あら、心地(ここち)よい(かぜ)ですね。うふふ♪」

 さぁぁぁぁっ――――たしかにココは、良い(かぜ)が吹きやがる。


 絵で板(エディタ)を立ち上げ――ヴュゥパ♪

 リオレイニアの(かお)(かたち)だけが、表示(ひょうじ)された。

 解析指南(かいせきしなん)迅雷(ジンライ)でも良いが――

 彼女(リオ)似合(にあ)目隠(めかく)しの(かたち)に、良い(あん)はねぇか?

 どうせ(あたら)しく、本式の奴(・・・・)(つく)るなら――

 より見た目の良い(もの)に、してやりたいからな。


 ふぉん♪

『>そうですね。ふて腐れたイオノファラーの心に寄り添うため収得した【地球大百科事典】スキルを使用すれば、シガミーの没後607年における衣服や生活様式の変移を参照可能です』

 わからんと言いたいとこだが、迅雷(おまえ)(かい)せば色々見(いろいろみ)られるのがわかりゃ十分(じゅうぶん)だぜ。


 ふぉん♪

『解析指南>目隠しデザイン生成を開始します>

      1:サングラス、

      2:MRヘッドセット、

      3:アイマスク(儀礼用、夜会用、睡眠用)。

      この中からお好みのデザイン系統を選出してください』


 ヴォン♪

『[▒]』

 ん? なんだこの図案(しかくいの)は?

 解析指南(かいせきしなん)が出した(わく)(すみ)

 小板(こいた)がクルクル(まわ)って出たり無くなったりを、繰りかえしてるぞ?


 ふぉん♪

『ヒント>タブレットを取りだしてください。

     自動的に入出力フェイズを進行します。』

 やっぱり、わからん。

「シガミー。タブレット……黒板(くロいた)ヲ取りだしてくだサ()

 おう、言われるままに取り出す――コトン。


 パッ――『この中から、お好きなデザインを何個でも選んでください』

 なんか出た。


「好きな(もの)ぉ――じゃぁ、リオ。これ(ゆび)で押――」

 ぱしり。

(わたくし)操作(そうさ)しても、よろしいのですね?」

 黒板(くろいた)を取られた。

「ああ、わかるなら、どんどん(すす)めてくれ」

 彼女(かのじょ)五百乃大角(いおのはら)迅雷(ジンライ)、ひいてはおれがもたらした(もの)を、これまで一番間近(いちばんまぢか)で見てきたのだ。

 黒板(くろいた)操作(そうさ)なら、おれより(はや)い。


   §


「どんな(かん)じだぁ?」

 彼女(リオ)背後(はいご)にまわり、見ていたら――

 ヒュパパパパパパパパパパパ、ススススッ、ポンポポン♪

 その素早(すばや)(うご)指先(ゆびさき)圧倒(あっとう)された。


 全部(ぜんぶ)数百枚位(すうひゃくまいくらい)(なか)から、(えらq)ばされただろうか。

 その(ゆび)に、(まよ)いはなく――ヴォォォゥン♪

『あなたが生成した、『目隠しデザイン』は――こちらになります』


 出来上(できあ)がったらしいが……こりゃ、轟雷(ごうらい)(かお)というか目というか。

 おれが死んだ(のち)、600年分(ねんぶん)重み(・・)というか――

 ニゲルがロボットプラモと呼んで、興奮(こうふん)していた何か(・・)

 そんなのに、(つう)じるものだった。


「スポーツタイプノ、偏光(へんコう)サングラスのようでス()

「こいつぁー、随分(ずいぶん)(とんが)っていやがるなぁ」

 割った(・・・)ピードロのように、鋭利(えいり)(かん)じ。


幾分(いくぶん)攻撃的(こうげきてき)にも見えますが、素敵(すてき)ですね♪」

 本人(リオ)が気に入ったんなら、文句(もんく)はねぇが――


「見てくれが良くてもコレじゃ(・・・・)(なに)も見えねぇだろ?」

 けど……目隠(めかく)しの部分(ぶぶん)が、鏡になって(・・・・・)やがるぜ?


「シガミー。調整(ちょうせい)にも時間(じかん)が掛かりますので一度(いちど)、このままのデザインで作成(さくせい)してみましョ()


   §


「これは普通(ふつう)に向こう(がわ)が、見えていますよ?」

 その(うれ)しそうな(かお)

 (おどろ)いたことに(かがみ)向こうからは(・・・・・・)、ちゃんと見えているらしかった。


「ひかりのたま、みずのたま、ひかりのたてよ♪」

 灯火(あかり)湖面(こめん)を飛んで行き、たゆたっていた蛸足(たこのすけ)に当たる。

 飛沫(しぶき)が舞い、ひかりのたてが――

 ヴォヴォォォォンと(ひろ)がった。


(いま)までのように、ほんの(すこ)遅れて物が見える(・・・・・・・・)(かん)じがなくなっていますっ♪」

 うふふふふふっと、魔法杖(つえ)を振りまわし、はしゃぐレーニアおばさん(19)。

 おれが居た(ころ)の日の(もと)だったら、とうに(よめ)に行ってる(とし)だが。

 この世界(せかい)では、まだまだ気ままに(ひと)り身の生活(せいかつ)謳歌(おうか)する(とし)だ。

 はじける笑顔(えがお)は、とても素敵(すてき)だった。


 だが、おれは正気を保っている(・・・・・・・・)

 (ひざ)から(くず)れ落ちるほどの(こい)に、落ちていない(・・・・・・)

 と言うことは〝魔眼殺(まがんごろ)し〟としての機能(きのう)が、ちゃんと(はたら)いている証拠(しょうこ)だ。


 ふぉふぉふぉん♪

『解析指南>〝白狐の面〟の216枚の魔術光学的構造を、概算化し魔術的特性の持つ質量をキャンセルしました』


 (ひかり)(すじ)魔法(まほう)神髄(しんずい)。その質量(おもさ)をキャンセル。

 概算化(がいさんか)切り捨てても(・・・・・・)魔術(まじゅつ)発動(はつどう)する。

 そう言っているのだ。

 常人(じょうじん)(やく)50(ばい)収得(しゅうとく)した、おれのスキルと――

 前世(ぜんせ)修行(ぎょう)記憶(きおく)が、そう理解した(・・・・・・)が。


「まて、(ひかり)重さ(・・)なんて、()からねぇだろうが?」

 おかしいだろうがよ。


 ふぉふぉん♪

『>イオノファラーが生存する2222年現在、重力質量は否定されています。物質とは光が場に止まり続けた結果、質量を持った物です。慣性質量および、魔術光学的な概念の改竄は容易く行えます』

 (あたま)(おく)が、チリチリしやがる。

 なーんか要らねぇスキルを、背負(しょ)い込んじまったんじゃねぇだろな。


 ふぉん♪

『シガミー>まてまてまて。物は光が鈍重になって出来たもんで、無い重さまで引いたと言っているのか?』

 そりゃおかしいだろ、(ひかり)がなきゃこの世は真っ(くら)だろうが。

 演算上(しき)教義上(しき)も、絵空事(くう)じゃねぇ。


 ふぉん♪

『イオノ>坊主、驚異の理解力!』

 やかましい!

 おまえ、それ言いてぇだけだろうが。


 ふぉん♪

『シガミー>その難しい魔術の話と空の話は、ぜひとも後でしようぜ』

 リオレイニアの持つ繊細(せんさい)な、魔術操作(まじゅつそうさ)技術(ぎじゅつ)

 その遅延(ちえん)が無くなることで、威力(いりょく)まで(すこ)し上がるってんだろ?

 良いことずくめの、良いもんが出来(でき)たのは(たし)かだろっ?


 ふぉん♪

『>はい、上出来と言って良――▼▼▼(ピピピッ♪)

 真上(うえ)からなんか、落ちて来たぁ!?


 ヴッ――パシッ、ガキッ!

 小太刀(こだち)を取りだし、鯉口(こいくち)を開ける!


 それは(・・・)丸くてまるで、卵みたいな形(・・・・・・)をしていた。


ーーー

重力質量/重さに由来する引き合う力。2222年現在、光学的見地から否定されている。

慣性質量/動き続ける、もしくは止まろうとする力。

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