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497:ネネルド村奇譚、料理番の実力

「あれっ? ひょっとして、やろうっていうのぉぉん? このあたくしさまぁとぉぉー()

 御神体(ごしんたい)のやろうが、生意気(なまいき)にも――『(Θ_Θ)(カシャッ)

 浮かぶ(たま)を、追加(ついか)しやがった。


 ひとつの(たま)に乗り、(のこ)りのふたつを――ヴォォヴォォヴォォォォン♪

 ぐるんぐるんと、(はべ)らした。

「ウケケッケケケケケケケッ――――()

 マジ(・・)で、やりあう気らしいぜ。


 ったく、馬鹿神(ばかがみ)さまめ。

 殿(との)さんまで来てるときに、わざわざ喧嘩(けんか)をふっかけて来やがって!

 この(さい)本気(ほんき)退治(たいじ)しちまうのも有りかもしれなくね?

 あとは野となれ(やま)となれだ。


「シガミーちゃんに……うぅーん、よしっ300!」

 当然(とうぜん)のように、王子殿下(おうじでんか)が賭ける(こえ)が聞こえてくる。

村人(むらびと)たちに賭け(ごと)(ひろ)めるのは、気が引けますららぁぁん!」

 困惑(こんわく)王女殿下(おうじょでんか)少女(しょうじょ)メイド・タターの手前(てまえ)村人(むらびと)への配慮(はいりょ)(わす)れてはいないようだが――


「む、それもそうだな……じゃぁ、ぼくはこの〝タコォ〟の〝オスーシ(・・・・)〟を賭けよう!」

「それは良い(かんが)えですね、(わたくし)も賭けますららぁぁん♪」

 なんだと!?

 秘蔵(ひぞう)の〝しょうが〟を、(きざ)んで載せてやったのに!


 わわわわい、がやややい♪

 騒然(そうぜん)とする、タコゥパ会場(しゅうかいじょ)


「まダ桟橋(さんばシ)ニ置きっパなしの蛸足(たこアし)見た目(フォルム)が、物議(ぶつギ)(かモ)シ出しているよウで()

 見た目が〝魔物(まもの)のなかの魔物(まもの)〟って(かん)じで、食べる習慣(しゅうかん)がないんだろうが――


「おれも!」「わたしも!」

「わしも!」「あたしも!」

「ぼくも!」「あたいも!」

 大好物(だいこうぶつ)豪語(ごうご)してたネネルド村村民(むらそんみん)まで(さら)を、厨房(おれの)まえの(だい)テーブルに置いてくのは――どういうわけだぜ!?


(ワレ)は、食べる」

(わたし)も食べる」

「おれも喰うぞ、ガハハハッ♪」

 わわわわい、がやややい♪


(わたくし)は、様子見(ようすみ)です」

「レーニアおばさんがそう言うなら、(わたし)様子見(キープ)で」

 リオレイニアが止めてくれん。


 わわわわい、がやややい♪

 ガチャガチャ、ガチャチャチャッ♪

 (だい)テーブルが(たこ)寿司(すし)で、埋め尽くされた。


「くそう、奇祭(タコゥパ)(にぎ)やかしになればと(おも)って、(たこ)寿司(すし)(つく)ってやったのに!」

 垂らした醤油(しょうゆ)が、(かわ)いちまう!


「その、タコゥパ(・・・・)ってなんわのっ!? エウロパ(・・・・)じゃないんだからさっ!」

 ふぉん♪

『ヒント>エウロパ/太陽系第五惑星である木星の第二衛星。生命の痕跡が発見されている【地球大百科事典】』


 ついさっき収得(しゅうとく)した神々(かみがみ)言葉(ことば)や、神々(かみがみ)世界(せかい)事柄(ことがら)がわかるスキル。

 さっそく役立(やくだ)ってくれているが……つまるところ、おれが死んだ(のち)の日の(もと)一切合切(いっさいがっさい)なんて――

 死んじまったおれの、あずかり知る(ところ)ではない。


「わからんことを言うなーっ! 寿司(すし)のことも(ふく)めて、なんだか(はら)に据えかねたぞ!」

 目のまえに浮かぶ(たま)(ひと)つくらい、二つにしても(・・・・・・)(ばち)は当たらんよなぁ――!

 ヴッ――おれは小太刀(こだち)を、取りだした。


 ふぉん♪

『>シガミー、自重してください。現在ネネルド村には央都とガムラン町の、最重要人物が集結しています。万が一のことがあれば、猪蟹屋の存続が不可能になります』


 あ、(わす)れてたぜ。

 五百乃大角(いおのはら)の〝丸い球の方(・・・・・)〟は、おにぎりたち(・・)にひっぱたかれて大爆発(だいばくはつ)したんだった。

 その(いきお)いは、(すさ)まじくて――

 王族(おうぞく)管理(かんり)してた〝召喚(しょうかん)(とう)〟と、(ちか)くに生えてた〝ご神木(・・・)〟。

 そして〝おれの(からだ)〟まで、木っ端微塵(ぱみじん)になった。


 ふぉん♪

『イオノ>ご自分の死因を忘れるなんて、プークス♪

     悪鬼羅刹と恐れられた僧兵猪蟹も異世界暮らしで、

     焼きが回っちゃったんじゃないのー?』


 (まる)(たま)から――ガチャコン♪

 (まる)(あな)の空いた(ぼう)が、突き出た。

 それはまるで銃口(ひなわ)のようで――

 キュキュゥ――カキン♪

 こっちに、(ねら)いを(さだ)めた。


本気(ほんき)でやろうってぇのかぁー?」

 ふん、(かま)わねぇが、位置取(いちどり)りがまずい。

 (いま)場所(ばしょ)だと、流れ弾が(・・・・)(ひと)に当たらぁ。


 おれは(あご)(なな)めまえへ、くいと突き出す。

 そっちで立ち合え(・・・・)という、意思表示(いしひょうじ)だ。


「いいわよぅ――あたくしさまの撃った弾丸(たま)が、(からだ)に当たったらシガミーの負け(・・)だからぁねぇぇ()

 『(ΘoΘ)(ガチャッ)』『(ΘoΘ)(ガチャッ)』『(ΘoΘ)(ガチャッ)

 (たこ)みてぇな銃口(くち)一斉(いっせい)に、おれに(ねら)いを付けなおす。


「おう――(からだ)に当たるのを(ふせ)いだら、おれの勝ち(・・)だからな?」

 カキッ――小太刀(こだち)の鯉口を切る(をあけた)


   §


「死に(さら)ぁせぇー()

 バッゴォォ――ン!

 なんか火縄(ひなわ)弾丸(たま)よか(おお)きなのが、撃ち出された!


「――チィェェェェェェェェィッ!」

 ガッギュモギュッィィンッ!

 よし、斬ってやった!

 ――ボゴン、ボコララッ♪

 うしろの(かべ)に当たった、弾丸(たま)(おと)がおかしい。

 鉛玉(なまりだま)じゃねぇ(ところ)をみると、おれに怪我(けが)をさせるつもりはねぇみてぇだが――


「あたれあたれぇ()

 バッガボッゴォォ――ンッ!

 見たら(・・・)喰らう――(やつ)が引き(がね)を引く気配に(・・・)合わせろ(・・・・)


「――ッチェェェイ、ェェィッ!」

 ガッギュギッ、ガガチュキュゥゥンッ!

 あっぶね!

 一発(いっぱつ)(あし)を、(ねら)って来やがった!


 バッガッボッガガァァン――!

 ガガガッギュギィィン、ギャギギャギギィィンッ!


 『(>x<)(カキン)』『(>x<)(カキン)』『(>x<)(カキン)

 浮かぶ(プロジェクション)(BOT)(かお)が、一斉(いっせい)に吠え(づら)をかいた。


「っはぁぁっ――どうした、もう(しま)いかぁ!?」

 スゥゥゥゥ、ガキン!

 小太刀(こだち)を、鞘に収める(とじる)


 ふぉん♪

『>そのようです。プロジェクションBOTの暴徒鎮圧用ゴム弾は、総弾数三発。再装填のためには、一度格納する必要があります』

 よし、おれの勝ちだ――が。


 ふぉん♪

『シガミー>おい、五百乃大角』

 ふぉん♪

『イオノ>なによ、バカシガミー!』


休戦(きゅうせん)休戦(きゅうせん)。おれたちはネネルド(むら)へ、(なに)しに来た?」

「ばかね、そんなの〝タコパしに来た〟に決まってるでしょ()

阿呆(あほう)か、そりゃお(まえ)さんだけだぜ! 特産(とくさん)のムシュル(がい)を買い付けに来た決まっ――――むぎゅっ!?」


寝言(ねごと)を言うのは、この(くち)ですか? いつもいつも――」

 頭陀袋(ずだぶくろ)をかぶった(やつ)に、(くち)を摘ままれ小言(こどと)を言われた。

 来世(らいせい)にも、生きてみるものだぜ。

 こんなに突拍子(とっぴょうし)もない目に、遭うんだからなぁ。


「ゲイルを狙撃(そげき)した犯人(はんにん)正体(しょうたい)(さぐ)ることが、今回央都(こんかいおうと)から飛んできた目的(もくてき)では?」

 そう、そうだったぜ。


「リオレイニアちょっと……ひそひそ……あのでけぇ木、どう(おも)う?」

 折角(せっかく)そばに来てくれたことだし、(おも)ったことを聞いてみた。


随分(ずいぶん)立派(りっぱ)で、とても一日(いちにち)で生えて来たようには見えませんが?」

 そうだぜ。どう見ても、あの木は普通の木じゃねぇ(・・・・・・・・)


「あの木は魔王城(まおうじょう)から飛んだ(さき)の、結界(けっかい)に生えてたご神木(・・・)にそっくりじゃねぇかぁ?」

 ふふふ、おれは最初(さいしょ)に見たときに(おも)ったことを、言ってやった。


 がやがやがややや。

 わやわやわややや。

 そうだろうそうだろうとも。

 衝撃(しょうげき)事実(じじつ)(みな)驚愕(きょうがく)――してねぇ。


「シガミー! タコォのぉオスーシっ、すっごくおいしぃーよぉー!?」

 なんで、そこに(・・・)(おどろ)いてやがる?

 女神(めがみ)さまの料理番(りょうりばん)を、舐めるなよ。

 うまいに決まっとるだろうがっ、なんだぜ(いま)さら!


 じゅるぅり()

 レイダたちが(むら)がる(だい)テーブルへ、ふらふらと飛んで行こうとする御神体(めがみざま)をひっつかんだ。


休戦(きゅうせん)だと言っただろう。向こうの(かわ)いちまった寿司(すし)を食わせるわけにもいかねぇから――ここでちょっと待ってろ」

 厨房(いたば)作業台(つくえ)(すみ)(さら)を置き、その(うえ)根菜(こんさい)さまを載せた。


(たこ)やーらかい、お(ねぎ)おいしぃっ♪」

 出来(でき)たての(たこ)寿司(すし)を、十貫(じゅっかん)くらい食わせたころ(・・・・・・)

 根菜(めがみ)機嫌(きげん)が、ようやく直った。

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