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488:ネネルド村奇譚、水蜘蛛と蛸足

 ぱちゃぱちゃぱちゃ――――♪


「きゃぁぁ!? (みず)(うえ)(はし)ってる?」

「あれ!? (しず)まないね?」

(あぶ)ないですよ、(もど)って(くだ)さい!」

 驚愕(きょうがく)子供(レイダ)たち。


 ぱちゃぱちゃぱちゃ――――♪


本当(ほんとう)猪蟹屋(ししがにや)関係者(かんけいしゃ)たちには、(おどろ)かされることばかりだニャァ♪」

(おぼ)れなくて良かったですが、不可解(ふかかい)ですね」

活力収支(マナしゅうし)計算上(けいさんじょう)の、破綻(はたん)が見られます!」

 ギュギュギュイッ――ン♪

 数名(すうめい)測定機器(アーティファクト)を、湖上(こじょう)へ向けた。

魔法杖(つえ)使(つか)えないのに、どうして!?」

 ギュギュギュー、ガチガチガチ――プスン♪

 驚愕(きょうがく)学者方(ミャッド)たち。


 ぱっちゃぽっちゃん――――♪


 がやがやがやがや、がやがやがややや――――!?

 がやがやがやがや、がやがやがややや――――!?

 がやがやがやがや、がやがやがややや――――!?

 がやがやがやがや、がやがやがややや――――!?

 驚愕(きょうがく)村人(むらびと)たち。


 30シガミー程度(ていど)距離(きょり)(はし)りぬけ、ぱちゃちゃぽん――――♪

 速度(そくど)(よわ)まり(ちい)さな(あし)が、水面(すいめん)足跡(あわ)(のこ)す。


「(くすくすくす♪ さすがのシガミーさんのお(おからだ)でも、(みず)に浮くのは一苦労(ひとくろう)ですわねっとととと())」

 パカン、カッパァン♪

 お盆(トレー)素面(すいめん)(たた)きつけ、(しず)(はじ)めた両足(りょうあし)で――

 すかさず、コパワァンと飛び乗った。


「あらまぁ、水蜘蛛(みずぐも)とわぁ、お(なつ)かしぃでぇすぅわぁねぇぇ♪」

 巨大(きょだい)魔法杖(ルードホルド)垂直(すいちょくに)に立て、その(うえ)(すわ)辺境伯名代(ルリーロさま)

「ミィズグモォ……(なん)だっけそれぇー()

 ルリーロの(あたま)(うえ)。とおくを見つめる御神体(ごしんたい)さま。


ござる(・・・)ですわぁ。えーっと透波(すっぱ)とか乱波(らっぱ)とか、こんな人たち(・・・・・・)ぃ?」

 (むす)んで見せたその刀印(いん)は、隠形(おんぎょう)暗視(あんし)のための九字(まじない)ではない。

 江戸(えど)(まち)からの転生者(てんせいしゃ)である妖狐(かのじょ)が、形作るなら(・・・・・)――

 正真正銘(しょうしんしょうめい)(てき)を燃やすための〝瀑布火炎(ばくふかえん)(いん)〟と化したりするのだ。


「ご・ざ・る!?」

 正真正銘(しょうしんしょうめい)の〝ござる〟への言及(げんきゅう)に、レイダの目が見開(みひら)かれた。


「(もっとも(むかし)、あまりにも(ひま)だったときに三途の川(かわ)(はし)って(わた)ったりしてたので、多少(たしょう)コツ(・・)会得(えとく)していますけれど、くすくす())」

 やや、がに(また)両手(りょうて)でバランスを取る(さま)は、力士(りきし)審判員(アンパイア)(よう)である。


(なん)か言ってるけど、とおくて聞こえないよ?」

 リオレイニアおばさんの、(そで)を引く姪っ子(ヴィヴィエラ)

「ふぅ、イオノファラーさま。カヤノヒメさまと、お(はな)出来(でき)ますか?」

 簡易魔眼殺し(しろめがね)をクイと持ち上げる、ガムラン町随一(ちょうずいいち)モテ女(・・・)


「ちょっと待ってねぇーん。いまタブレットにぃー、お(つな)ぎぃいたしまぁーすぅ()

 美の女神(イオノファラー)が、ふざけている(あいだ)にも、(たこ)(ぼう)絡み合いは(・・・・・)熾烈(しれつ)さを増し――――ヴァリヴァリヴァヴァヴァヴァヴァッリィィィィッ!!

 INT(インテリジェンス)タレット迅雷(ジンライ)自衛機能(ほうでん)が、止まらなくなった。


 ぎゅりゅりゅりゅっりゅりゅっ――――(たこ)(さけ)び。

 振り上げられる太腕(うで)、もしくは太脚(あし)

 ぶぅぅうぅぉぉぉぉぉおんっ――――ずどがぁぁぁん!

 桟橋(さんばし)に、千切れた蛸の足(・・・・・・・)が落ちてきた。


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「うぎゃぁぁぁぁぁぁぁっ――――――――――――――――!?」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 (さけ)全員(ぜんいん)

 (ふと)赤黒(あかぐろ)蛸足(たこあし)が、じたばたぶぎゅりゅると――もんどり打つ様(・・・・・・・)は、とても正視(せいし)に耐えられるものではなかった。


「うるっせぇっ! (ひと)折角(せっかく)(たこ)野郎(やろう)仕留(しと)めたってのに、(みず)をさすんじゃねーやぁ! 目が覚めちまった(・・・・・・・・)だろーがぁ!」

 女性(じょせい)らしい(からだ)つきへの過渡期(かとき)金糸(きんし)(かみ)上品(じょうひん)守銭奴(しゅせんど)

 茅野姫(カヤノヒメ)インザシガミーの、起床(きしょう)である。


「うへぇ! 今度(こんど)はさっきと(ぎゃく)に、でけぇ(ほう)のカヤノヒメが――シガミーみてぇになっちまったぞ!?」

 驚愕(きょうがく)工房長(ノヴァド)


「シガミー、起きたのねぇん♪ 状況(じょうきょう)わぁ、お・か・わ・りぃ()

 うるせぇーがぁー、「根菜(おまえ)さまに言われるまっでもねぇぜ!」

 おれは長椅子(ながいす)から、飛びおりた。


 ふぉん♪

『シガミー>おれがあの蛸野郎を、現でも掻っ捌いてやりゃぁ良いんだろ?』


迅雷(ジンライ)ィー、無事(ぶじ)かぁー? あとちょっと待て、おれもすぐそっちへ行くから――」

 ピッ――ジジジッツジジィィィィィィィ♪

 取りだした、強化服(シシガニャン)10号改(ごうかい)を着る。


 ヴヴヴゥゥンッ――ズゴォォォゥン♪

 ゴガッチャリ――カッヒュゥーイ♪ 

 (つぎ)轟雷(ごうらい)を取りだし、背中(せなか)を開けた(ところ)で――

 おれの(からだ)が、ひるがえる(くるりーん)


 強化服(シシガニャン)画面(モニタ)が消え、(あた)りが薄暗(うすぐら)く――

 ぐらり、すてころん、ばっしゃぁぁぁんっ!


「ばかやろう! こんな(ところ)で、ごぼがばごべ――――(しお)っかれぇなっ!」

 おれは水面(すいめん)に浮いた(なん)かの(うえ)で、盛大(せいだい)にすっ(ころ)び――ごぼがばごべー!?

 ふぉん♪

『シガミー>急に体を返すなってんだ!」

 あーも-、(しず)(しず)むぜ。

 (すげ)(いきお)いで(しず)んでいくぜ、おれがぁ!


 ふぉん♪

『ホシガミー>ごめんなさい。

       イオノファラーさまのライブラリを参照したら、

       〝蛸は大根で殴れ〟なんて攻略法が見つかったので、

       急いで迅雷さんの元へ駆けつけたのですけれど、

       もう限界ですわ――へにゃりん♪」


「えー、ごぼがば――そうわのう? がばげべ?」

 ちっ、おれの姉(ほしがみ)さまは(からだ)使(つか)(かた)がぁ、本当(ほんとう)出来(でき)てねぇなぁ!

 おれの(からだ)に、ガタが来ちまってるじゃんか!


 それにおれぁ山育(やまそだ)ちで、(およ)ぎなんざ――――ばちゃばちゃすすすすうすぅい♪

 あれ? (およ)げてやがる?

 そういやぁ神域惑星(しんいき)で、とんでもなくでけぇ河鱒(かわます)に追いかけられたときに、スキルを取ったんだった!


 ばしゃばしゃ――水面(すいめん)まで上がると、(なに)かが浮かんでやがる。

 (ふた)つの足場(あしば)が見えた。

 レイダ(ざい)(ぼん)だ――ぱかぁん、ぱかかぁぁん♪

 それを踏みつけ、どうにかこうにか水面(すいめん)に立った。


「ぜぇはぁぜぇはぁ――――ごっほはぁっ!」

 眼前(がんぜん)には大蛸(おおだこ)と、大蛸(おおだこ)突き刺さる(・・・・・)相棒(ジンライ)


 ヴッ――くるくるるっ、ジャッリィィィィィン♪

 おれは錫杖(しゃくじょう)を、取りだした。

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