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480/743

480:大陸間弾道卵の謎、おいでませネネルド……湖?

 馬車(ばしゃ)(つな)がれた、巨木(きょぼく)根元(ねもと)

 (ひろ)足場(あしば)のような場所(ばしょ)に、〝ルードホルドの魔法杖(まほうつえ)〟が降りたった。


「ひっひひひひひひぃぃぃぃいぃんひひぃん!?」

 困惑(こんわく)(てん)ぷら(ごう)が、そこに居た。

 あいつはいつも困惑(こんわく)しとるが――


(てん)ぷら(ごう)村人が(・・・)……とっ(つか)まってやがる!」

 いまの(あわ)てぶりは、いつもの比じゃなかった。


 ぽっきゅらぽっきゅら、ぽきゅぽきゅぽきゅぽきゅきゅららっ――――どごぽぎゅむ♪

 半狂乱(はんきょうらん)(はし)(まわ)り、巨木(きょぼく)(みき)激突(げきとつ)する黄緑色の子馬(てんぷらごう)


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ、と、止まったぁぁぁぁぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁっ――――――!?!?

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 (わけ)もわからず引きずられていたっぽい人々(ひとびと)が――

 魔物のような子馬(てんぷらごう)もろとも、巨木(かべ)激突(げきとつ)した。


 すげぇな、子馬(こうま)

 一馬力(いちばりき)では利かない、その(ちから)

 見かけからは想像(そうぞう)もつかない、最新(さいしん)魔導工学製(まどうこうがくせい)

 それを一瞥(いちべつ)した白眼鏡(しろめがね)が、(くち)(ひら)く。


「さきほどタターが言ってたのは、こういうこと(・・・・・・)だったのですね」

 給仕服(メイドふく)(すそ)をひるがえしコツコツコツと、木製(もくせい)足場(あしば)を踏んでみせる美の権化(リオレイニア)


 巨木(きょぼく)が生えた水面(すいめん)には、物置小屋(ものおきごや)のような(ふね)のような。

 そんな(もの)が浮かべられ、木や(なわ)(つな)ぎ合わされていた。

 そしてそのつらなる屋根(やね)が、まるで(おお)きな地面(じめん)と化し――

 (はしら)を立て、巨木(きょぼく)へと上陸(じょうりく)したんだな。

 その(さま)は、目に浮かぶようで――


「まるで……鉄砲虫(てっぽうむし)だぜ」

 そうなのだ。

 ネネルド(むら)人々(ひとびと)は生えたばかりの(なぞ)巨木(きょぼく)(みき)に、(ちい)さな集落(しゅうらく)形成(けいせい)していたのだ。


ウケルー(・・・・)、なにこのバイタリティー()

 美の権化(リオレイニア)頭上(ずじょう)で、美の女神御神体(いおのはら)がくつろいでやがる。

 だから御神体(ごしんたい)さまよぉ、勝手(かって)(なに)かを安請(やすう)け合いするんじゃねぇ。

 どうぜ、やるのはおれと迅雷(ジンライ)だろうが。


「まだまだ立て込んでいて、お恥ずかしい(かぎ)りですじゃ♪」

 そうご満悦(まんえつ)白髪(はくはつ)のご老体(ろうたい)を、「村長(そんちょう)のプランターさんです」と紹介(しょうかい)してくれたのは新米(しんまい)メイドのタター。


 いつものように、子馬(てんぷらごう)に引きずられていた彼女(かのじょ)が――すぽん♪

 ようやく子馬(こうま)尻尾(しっぽ)から、解放(かいほう)された。

 それにはコツが要る(・・・・・)ようで、村長(そんちょう)子馬(こうま)から引き剥がしてやっている。


「まったくもうもう、こんな〝(みず)はけが良くて大水(おおみず)(なが)されることのない地面(じめん)〟なんて……(ひさ)しぶりだわ♪」

 (わか)豪華絢爛(ごうかけんらん)(からだ)つき。タター(いわ)く「村長(そんちょう)孫娘(まごむすめ)、イャナターちゃんです」。

 どうにもコツが要るようで、孫娘(まごむすめ)子馬(こうま)から((りゃく))。


「そうだな。十年(じゅうねん)まえに巨石(きょせき)(なが)れ着いた(とき)以来(いらい)だ」

 まだ(わか)屈強(くっきょう)(からだ)つき。タター(いわ)く「村長(そんちょう)息子(むすこ)さんのナゲッターさんです」

 どうにもコツが要((りゃく))。


 全員(ぜんいん)全員(ぜんいん)子馬(こうま)絡め取られ(・・・・・)――

 少女(しょうじょ)タターにより、解放(かいほう)されていく。


「こノ場合(ばアい)(てン)プら(ゴう)が……捕獲(ほかク)されていルと(かンが)えるべきデは()

 困惑(こんわく)のおれたち。子馬被害者(こうまひがいしゃ)(かず)が増えりゃぁ、こうして立場(たちば)逆転(ぎゃくてん)する。


「まさか、タター(じょう)特異性(とくいせい)がネネルド(むら)……特定地域(とくていちいき)住人(じゅうにん)発現(はつげん)する、(なん)らかの未確認(みかくにん)スキルの発露(はつろ)であるとは――」

 ソコソコ(おお)きな帳面(ちょうめん)に、(なに)かを書き付けていく顧問秘書(こもんひしょ)

「――製作者(せいさくしゃ)である王女(おうじょ)さまにも……気づく(わけ)がないニャァ♪」

 顧問氏(こもんし)(かお)には、〝さっきは死ぬかと(おも)ったけど、ここに来て良かったニャァ♪〟と書いてある。


「タター。ネネルド村住人(むらじゅうにん)方々(かたがた)は……ひそひそ……(かり)にも女神(めがみ)辺境伯(へんきょうはく)名代(みょうだい)をまえにして……度胸試(どきょうだめ)(てき)風習(ふうしゅう)でもあるのですか?」

 いまだ子馬騒動(こうまそうどう)渦中(かちゅう)にあり、困惑(こんわく)しているのだとしても――

 村長(そんちょう)(はじ)解放(かいほう)された村人(むらびと)(こうべ)が、垂れる様子(ようす)(たし)かにない。


 コントゥル家に(つか)え、美の女神(いおのはら)とも懇意(こんい)な――

 (ちょう)出来(でき)(おんな)であるリオレイニア。

 そんな彼女(かのじょ)からしたら、言いたいことの(ひと)つもあるだろうが――


「ふぅふん♪ わがイオノフ(きょう)にあるのわぁー、〝おかわり(・・・・)〟のぉー四文字(・・・)だけぇでーすーがーぁ(きっぱり)()

 美の権化(できるおんな)(つつ)ましい胸元(むなもと)を、高速(・・)ですべり降り――

 その手のひらで、ぽとりと受け止められた御神体(ごしんたい)さまが、(のたま)ふ。


「なんですかな、こちらの(しゃべ)る……(さかな)(たまご)のような(もの)は? ふぉっふぉっふぉっ♪」

 呑気(のんき)(じい)さんだぜ。


「ふっふっふぅーん、聞いてぇ(おどろ)きなさぁい♪ アナタの世界(せかい)のよりどころ()――」

 イオノファラーは、いつもと変わらねぇ。


 わいわいわいわい。がやがやがややや。

 おれたちの喧騒(けんそう)に、(ほか)村人(むらびと)たちまで(あつ)まってき――


「ひっひぃぃぃん?」

 ぽっきゅらぽっきゅらららっ――――「ぬぅぉわぁぁぁっ(ずざざざざぁぁっ♪)――――!?」

 引きずられていく、追加村人(ついかむらびと)一号(いちごう)


(うまの)魔物(まもの)が居――っきゃぁぁぁぁっ!?」

 おなじく追加村人(ついかむらびと)二号(にごう)

「狩るか――ぬぅうぉぉぉぉわぁぁぁっ!?」

 おなじく追加村人(ついかむらびと)三号(さんごう)

「いやまて。うまそうな(さかな)(たまご)を手にされた、天女(てんにょ)さまがい――うぉぉおぉぉおおぉぉおぉわわわぁっ!?」

 おなじく追加村人(ついかむらびと)四号(よんごう)


「ひっひいひひひっひいぃぃぃぃぃぃぃぃぃんっ――――!?」

 ぽっきゅらららららららっ――――♪

 木の(みき)に空けた無数(むすう)洞窟(どうくつ)(?)から、わらわらと這いでてきた村人(むらびと)たちが――

 ひとり(のこ)さず、子馬(こうま)餌食(えじき)と化していく。


   §


「みんなぁー、(おどろ)かないで聞いてねぇーん。じつわぁ、あたくしさまわぁー――お(さかな)(たまご)でわぁ、あ・り・ま・せぇーんぅ()

 天女(てんにょ)によって天高(てんたか)(かか)げられた、うまそうな(さかな)(たまご)が――ふたたび(のたま)うが。


「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「「うっそだぁぁぁぁっ、そんなにおいしそーなのにぃ――(さかな)(たまご)じゃなぁいぃーのぉぉぉぉおっ!?!?

」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」」

 うるせえ。


 ここネネルド(むら)では、〝うまそうな(さかな)(たまご)〟であることが(なに)よりも肝要(かんよう)らしいぜ。

 けど理解(りかい)したぞ。日の(もと)にも、こういう土地(とち)があったからわかる。


 ここはトッカータ大陸(たいりく)における、とんでもなくひどい田舎なのだ(・・・・・)


   §


 自分(じぶん)で吐いた狐火(きつねび)をすぅと吸い込む奥方(おくがた)さまの、手足(てあし)がニョキリと伸びた。

 そんな芸当(げいとう)出来(でき)るんだな……(はじ)めてみたぞ?


 ふぉん♪

『>妖狐としての特性はおいそれと、人へ見せるような物ではないのでは?』

 その(わり)には日頃(ひごろ)から狐火(きつねび)(あやつ)り、おれには七曜の星(かぎぼし)とわかる(じん)仕掛(しか)けたりしてたけどな。


 (むら)発展(はってん)にときどき手を貸していたらしい伯爵夫人(ルリーロさま)が、登場(とうじょう)するに(いた)り――

 全村人(ぜんむらびと)片膝(かたひざ)を突き、手を組んで(はな)に押しあてた。


「アナタの世界(せかい)のよりどころっ、()女神(めがみ)やってまぁすぅー。イオノファラーちゃんでぇーすぅ()

 それ、順番(じゅんばん)(ぎゃく)だと、まるで締まらねぇなぁ。


 ふぉん♪

『イオノ>そこのシガミー。お静かにしないと、おかわりを要求しますよ?』

 やかましいやい。

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