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477:大陸間弾道卵の謎、ネネルド村上空

 馬車(ばしゃ)には渦流(ボルテックス)生成器(ジェネレーター)なるものが、配置(はいち)されている。

 迅雷(ジンライ)変異種(バリアント)……〝(そら)(およ)(さかな)〟とやらの〝(うろこ)〟を模して(つく)った。


 屋根(やね)(よこ)(つら)に、(さかな)のひれがごとく出っ張った〝(ちい)さな突起(とっき)〟。

 それは規格外(きかくがい)揚力(フォース)を、発生(はっせい)させるだけでなく――

 神力(しんりょく)(なが)すことで、堅牢(けんろうな)(よろい)にもなるらしい。


 ふぉん♪

『ゴウライ>渦流生成器/ON』

 おれの手甲(うで)から(サブアーム)が伸びて、馬車(ばしゃ)屋根(やね)へ――ガチャリッ。



「ひかりのたてよ!」

 (かぜ)からおれたちを(まも)っていた〝ひかりのたて〟には、(おも)いもよらぬ弱点(・・)があった。


 パッシュルルルルルルルルルルルッ――――♪

 パッコォォォォォオォンッ!

 怪音(かいおん)(とも)突出(とっしゅつ)する、巨大魔法杖(ルードホルド)先端(さき)


 ヴァチヴァチヴァチヴァチィ――――――――パキィィィィンッ!

 リオレイニアが(かさね)ねた、ひかりのたてがまた(こわ)れた。

 ボッゴッゴオッゴオォォォォォォォォッ、がたがたがたがた、ビリビリビリビリリッ!


「――えぇえぇー!? この速さが出せない(・・・・・・・・・)とぉー、ネネルド(むら)までわぁー、けぇっこぉー時間(じかん)がぁかかるぅわぁよぉぉう?――」

 困惑(こんわく)のルリーロアイコン。


 〝音の速さ(・・・・)〟とやらを越えられない(・・・・・・)〝ひかりのたて〟は――

 (つえ)やおれたちに、突き破られてしまう(・・・・・・・・・)のだ。


 もう、このままガタガタガタガタッ――ビリビリビリビリッ!!

 バラバラになっちまうんじゃないか?

 もうおれを引っぱる太鎖(ふとくさり)を、手放(てばな)すしかない!

 そう(おも)ったとき――


 ピィーッ――――ヴォヴォヴォヴォヴォヴォ。

 作動(さどう)する渦流(ボルテックス)生成器(ジェネレーター)

 画面横(モニタよこ)表示(ひょうじ)された鉄鎧(おれ)の絵。

 手甲(うで)から伸びたシールドワイヤーケーブルが、馬車(ばしゃ)神力(しんりょく)供給(きょうきゅう)している。


 ガタガタ――ビリビリ……ゴォン!

 馬車(ばしゃ)そして轟雷(おれ)の揺れが、ピタリと止まった。


 ふぉん♪

『>亜音速時の振動は、超音速時に収まる筈なのですが。

  惑星ヒースにおける空力特性を更新』

 そりゃ、(さかな)空飛(そらと)ぶくらいには、いろいろ(ちが)ってるんだろうよ。


 ヴュゥゥゥン♪

 前方(ぜんぽう)展開(てんかい)した馬車(ばしゃ)装甲板(たていた)に、外部映像(そとのけしき)を映し出す。


「ふう。そういえば、タターちゃん。(むら)(かえ)るのはいつぶりなの?」

 揺れが(おさ)まるなり平静(へいせい)を取りもどしたレイダが、(となり)(せき)(すわ)るタターへ(たず)ねた。


「か、ガタガタ、ブルブル、ガ、ガムラン(ちょう)出稼(でかせ)ぎに来て、ず、ずっと(かえ)ってなかったからぁ、2(ねん)ぶりですよぉー!」

 よそ行きの格好(かっこう)の、少女(しょうじょ)メイド。

 メイド姿(すがた)じゃない彼女(かのじょ)を見るのは、二回目(にかいめ)だ。

 ドレスとも(ちが)うその(ふく)は、おれやレイダの一張羅(いっちょうら)とほとんど(おな)じ。


「――まえに来たときにわぁ、お土産(みやげ)にっていってぇ、ムシュル(がい)おぉーたっくさん(いただ)きましたわぁねぇー♪――」

 馬車(ばしゃ)装甲板(そうこうばん)裏側(うらがわ)。ルリーロの(かお)アイコンが点滅(はなしを)する。

「そういえば、そうでしたね」

 エクレアが、顔アイコン(ルリーロ)同意(どうい)する。

 

本日(ほんじつ)村復興経過(むらふっこうけいか)確認(かくにん)も兼ねていますので、あまり羽目(はめ)(はず)さないようお(ねが)(いた)します」

 リオレイニアが(くぎ)を刺した。

 もののついでということで、タターの帰郷(ききょう)にあわせてネネルド(むら)視察(しさつ)(おこな)うことになっている。


 レイド(むら)から(はじ)まった天変地異(てんぺんちい)は、トッカータ大陸全土(たいりくぜんど)(およ)んでいた。

 それでも央都近郊(おうときんこう)では、魔物(まもの)不規則(ふきそく)発生(はっせい)した程度(ていど)(おさま)まった。

 (なん)(おさ)まったのかと言えば、(れい)三日三晩央都(みっかみばんおうと)を照らした光の剣(ひかりのつるぎ)のせい……おかげだ。


 各地(かくち)情報(じょうほう)はいまだ交錯(こうさく)し、もっとも未確認(みかくにん)地域(ちいき)が――

 まさにネネルド(むら)と言うわけで。


「へぇー、貝料理(かいりょうり)がオススメなのかしらねぇー、じゅるるりっ()

 ムシュル(がい)か、近頃食(ちかごろく)ってねぇな。

 結構(けっこう)まえに全部(ぜんぶ)、お(つく)りにして食っちまったから在庫(ざいこ)もねぇ。


 ヴュパパパパッ――――ふぉふぉぉん♪

「ピッ――顧問(こもん)地上(ちじょう)(かわ)水位(すいい)が下がっているようです」

「ピッ――本当(ほんとう)だニャァ。この(あた)りの地盤(じばん)はオリハルコンを(ふく)み、相当硬(そうとうかた)いはずニャァ?」


 ちなみに大人(おとな)たちは、もう座席(ざせき)に付いたタッチパネルを使(つか)いこなしている。

 轟雷(ゴウライ)を着ているわけでも解析指南(かいせきしなん)やヒントを聞けるわけでもない連中(れんちゅう)が、よくも(あつか)えるもんだと感心(かんしん)する。

 顧問と秘書(あいつら)魔法具(まほうぐ)なんかの専門家(せんもんか)だから、(うなづ)けるが――


「ピッ――ゲイルくーん♪」

「――レイダか、どうした?――」

「なんでもなーい。お(はな)しする魔法具(まほうぐ)使(つか)ってみたかったのー♪」

 おいレイダ、やめてやれ。

 ゲイルがまたこっちを、振りかえってるだろうが。


「ピッ――奥方(おくがた)さま、救援物資(きゅうえんぶっし)個人名(こじんめい)で出されますか?」

「――えーっとねぇー。タターちゃんのお(うち)への(ぶん)わぁ、私名義(わたくしめいぎ)でぇおねがぁぁい♪――」


 おれたちと行動(こうどう)(とも)にすることが(おお)かった、ガムラン(ちょう)連中(れんちゅう)は――

「(普通(ふつう)使(つか)いこなしてやがるぜ)」

 ふぉん♪

『イオノ>人類がピクトグラムを使い始めて約300年。

     GUIの勝利よねぇん♪』

 300(ねん)てこたぁ……おれが死んでから(・・・・・)600年分(ねんぶん)の、神々(かみがみ)叡知(えいち)(たまもの)ってことかぁ?

 ふぉん♪

『>概ねその解釈で合っているかと』

 詠唱魔法具板(プロマイド)の『(たのしそうな)』とかのマーク。

 あれひとつ取ってみても、猪蟹屋(おれたち)影響(えいきょう)はそこそこ(おお)きい。

 普段(ふだん)(かんが)えもしねぇが、轟雷(ごうらい)を着てると――

 いろいろと同時(どうじ)に、考え(・・)(めぐ)っちまうぜ。


 チチチチチィー、ヴュパパパパッ。

 おれは周囲(りゅうい)をくまなく、索敵(スキャン)する。

 動体検知(アクティブトラッカー)にも行動予測(アナロジーリザルト)にも、おかしなところはない。


 やがてずっと(とお)くの地上(ちじょう)に、(かわ)が増えてきた。


「もうすぐ、ネネルド(むら)だね♪」

 座席(ざせき)に付いた(ちい)さな画面(がめん)に、食い入るように見入(みい)るビビビー。

 (うつ)し出された現在位置(げんざいいち)(はし)に、『ネネルド村』の文字(もじ)(あらわ)れた。


「なんだぜ、あり()――ニャァ()

 どこかへ出かけたりするたびに、同じ言葉(なんだぜありゃ)(はっ)しているが――

 言わずには、居られなかった。


 無数(むすう)(かわ)

 それが一カ所(いっかしょ)集まっている(・・・・・・)

 さしずめ、巨大(きょだい)水たまり(・・・・)

 中央(ちゅうおう)にそびえる、その(かたち)

 巨大(きょだい)(もり)のような(しげ)りには――

 見覚えがあった(・・・・・・・)


 王族(おうぞく)管理(かんり)していた、召喚(しょうかん)(とう)

 それを(まも)るための結界内(けっかいない)に生えていた――


「なんか、似てねぇ()――ニャァ()

 五百乃大角(いおのはら)大爆発(だいばくはつ)し、木っ端微塵(ぱみじん)に吹き飛ばしちまった――

 ご神木(しんぼく)によぉ。

ピクトグラム/絵文字。絵を使った図表。文字を介さずに機器や設備の使用法を伝える為に発展した。もしくは今は廃れてしまった古代魔法を使用するための、方陣を描く手のひらツール。

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