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428:詠唱魔法具と拠点、満員御礼まじんの再来ふたたび

<<◇>>(ポポポポポーッ)

 何かが居る(・・・・・)って証拠(しょうこ)が、ばらけていく。

 『(FIRE)』アイコンが、『(ロックオンマーカー)』にもどり――


 ふぉふぉふぉん♪

『>ガイダンスシーケンス>ロックオンして下さい』

 なんだぜ!?

 (くだ)かれた(うつ)ろなものどもが、散り散りに落ちてくる。


 ふぉふぉん♪

『ヒント>見えない物を斬り、斬れない物を見て下さい』

「(その禅問答(もんどう)から、またやらせるのか!?)」

 ふぉん♪

『シガミー>色は空と異ならず、空も色と異ならず。』

 実体(じったい)はなく、不変(ふへん)もない。それだけだ。


 がしり――んぅ?

 (なに)かに、しがみつかれる。

 右手(みぎて)には、リオレイニア(生者(せいじゃ))。

 左手(ひだりて)にも、リオレイニア((うつ)ろ)。

 あと(とり)とか(さかな)


 ふぉふぉふぉん♪

『解析指南>龍脈言語による直接的な、物理演算の痕跡を記録しました』

 おう、ふざけんな。言葉(ことば)意味(いみ)だけなら、おれにもわかるぞ!

 実理(じつり)縁起(えんぎ)改竄(かいざん)――そりゃ五百乃大角(いおのはら)星神(ほしがみ)より、根源(こんげん)(いた)る。


「(世界(せかい)通告(つうこく)する、一切(いっさい)暗闇(くらやみ)を捨てよ。(かがや)け――)」

 言ってることはわかる。

 どこまでも伸びていく、(ひかり)のトゲ。

 その(なか)(はい)っちまえば、どうという(こと)は無く。


「おぼおおぉぉおぼおぼおおごえっげげgぇえ――――――――」

 トゲの(なか)(のぼ)っていく、(うつ)ろなリオレイニア一式(たち)

 おまえ、こらっ――なにを(しあわ)せそうに成仏(じょうぶつ)してんだぁ!


 そいつぁ、いただけねぇ。

 迅雷(ジンライ)を突き立てた周囲(まわり)(すこ)しだけ(けず)って、終わっちまったことになる。

 おれの前世(ぜんせ)(ほとん)どをつぎ込んだ、〝七天抜刀(しちてんばっとう)根術(こんじゅつ)免許皆伝(めんきょかいでん)〟スキルが――不発(ふはつ)だとぉ!?


「はくちゅん……!?」「はくちゅ♪」

 (まぶ)しかったのか、どっかで(だれ)かが――くしゃみをしてやがるぜ。

 おれも、そろそろ目を開けていられねぇ。


 盾代(たてが)わりにしてた丸盆(まるぼん)を、小脇(こわき)(かか)え――

 靴先(くつさき)(なに)かを蹴り飛ばす、仮面女(かめんおんな)

 あの仮面(かめん)暗視(よめ)だけじゃなくて、遮光(しゃこう)出来(でき)るのか!


「ふぅーふふうふっ――――♪」

 どこからか、そんな不気味(ぶきみ)(こえ)が聞こ――ガチン♪


 いま(まさ)成仏寸前(じょうぶつすんぜん)だった、薄衣(おんな)のリオレイニア((うつ)ろ)が――

 霧散(むさん)した。

 彼女(リオ)が手にしているのは、橙色(だいだいいろ)革袋(かわぶくろ)か?

 (なか)構造(こうぞう)が、どういう仕組み(もの)なのかはわからないが――

 完全(かんぜん)おれたちは(・・・・・)制圧(せいあつ)されたことになる。


 (ひかり)(つつ)まれていく、ドーム(じょう)空間(くうかん)

 おれは光源(かがやき)と化す相棒(ジンライ)から、(かお)をそらす。

 地面(じめん)を踏む靴底(くつぞこ)に、変わりは無ぇ。

 (しち)(かた)が――止まっちまった。


 やい、美の権化(リオレイニア)さまよぉう?

 その(ひたい)には、紫色(むらさきいろ)(ぬの)鉢巻(はちま)きみてぇに巻かれてる。

 スッゲー、似合(にあ)ってやがるなぁ。


 なんかなぁ。カチンときたんだよ。

 (ひと)との縁起(えんぎ)は、大抵(たいてい)そんなモンだ。

 ましてやおれぁ――


 (いくさ)と聞きゃぁ、先陣(せんじん)を切り――

 (さけ)(おんな)博打三昧(ばくちざんまい)――

 糊口(ここう)しのぎに小商(こあきな)い――


 (のち)の世じゃきっと、破戒僧猪蟹(はかいそうししがに)なんて呼ばれてんだろうぜ。


「……(めっ)せよ!」

 その一言(ひとこと)結果(けっか)としちゃ、最大(さいだい)効果(こうか)をもたらすことになった。


   §


 地中深(ちちゅうふか)くから(はな)たれた超広域結界ちょうこういきけっかい

 それは三日三晩(みっかみばん)央都(おうと)を照らし(つづ)けた。

 術者(リオレイニア)がいようがいまいが、寝てようが起きてようが――

 ガムラン(ちょう)避難(ひなん)してみても、変わらず――ピッカピカ。


「(その鉢巻(はちま)きの多重詠唱(たじゅうえいしょう)による魔術効果(まじゅつこうか)は、術者間(じゅつしゃかん)においても加味される(・・・・・)ようで()

 とは広域結界(ひかり)触媒(ちゅうしん)となった、迅雷(ジンライ)(べん)だ。


 それは一週間程度(いっしゅうかんていど)睡眠不足(すいみんぶそく)を、誘発(ゆうはつ)したが――

 突発的(とっぱつてき)発生(はっせい)していた央都外縁部(おうとがいえんぶ)における、魔物(まもの)発生(はっせい)完全(かんぜん)(ふう)じ込めた。

龍脈(りゅうみゃく)発生(はっせい)していた、(ちい)さな(ほころ)びが解消(かいしょう)されましたわ、くすくす()

 とは星神茅(ほしがみかや)(ひめ)(べん)


 (はか)らずもレイド(むら)一件以来(いっけんいらい)央都住民(おうとじゅうみん)(なや)ませていた案件(あんけん)解決(かいけつ)することとなったようで……。


 この出来事(できごと)新発売(・・・)詠唱魔法具(ブロマイド)の、売り上げにも(おお)きく貢献(こうけん)した。

 最後(さいご)まで彼女(リオ)抵抗(ていこう)したが――


「「央都(おうと)人々(ひとびと)(こと)顛末(てんまつ)を知らせ、なおかつ(こと)(おさ)めるのに、これ以上(いじょう)方法(ほうほう)がお有りですか?」――ららぁん?」

 という学院長(がくいんちょう)王女殿下(おうじょでんか)言葉(ことば)に――しぶしぶ陥落(かんらく)した。


 絵の柄(・・・)は、迅雷(ジンライ)映像記録(ログ)から切り抜いたものを(もと)に――

 五百乃大角(いおのはら)が、うまいこと合成(ごうせい)した。


 (ひか)(かがや)くメイドさんが、無数(むすう)魔法杖(まほうつえ)を手に持つ、神々(こうごう)しい姿(すがた)

 仮面(かめん)はなく、「このお(うつく)しさは美の女神(イオノファラー)さまの、生まれ変わり(・・・・・・)ではないか?」などと――まことしやかに(かた)り継がれることとなる。


   §


「うふふ、猪蟹屋(ししがにや)四号店(よんごうてん)(仮)(かっこかり)に、最適(うってつけ)なのではありませんか()

 ここは、おれが央都(おうと)に来た日に、よじ(のぼ)った城壁(じょうへき)(ちか)く。


 ゴーレムが、突き刺さったままの屋根(やね)

 そう、おれが叩き落とした(・・・・・・)ゴーレムだ。

 (かべ)徘徊(はいかい)できるよう(かる)構造(こうぞう)だったことが、(さいわ)いした。

 どうせこの(へん)は、日当(ひあ)たりが良くなくて(だれ)も寄りつかないらしいが。


「ふぅ――対魔王結界(たいまおうけっかい)への階段(かいだん)と、ギルド支部出張所(しぶしゅっちょうじょ)台座(・・)(つな)いだニャァ♪」

 よしよし。ギ術部顧問(おまえ)さまも、せいぜい扱き使(つか)われとけやぁ。


 ぽこ――こぉん♪

「それで、ここは何揚げ物屋さん(・・・・・・・)に、なるのぉん()

 おれは(あたま)(うえ)顕現(けんげん)した、女神御神体(めがみごしんたい)を――がっちゃり♪

 カウンター(よこ)(はしら)に取り付けた、『ギルド支部臨時(しぶりんじ)出張所(しゅっちょうじょ)』の〝台座(・・)〟とやらに乗せた。


「ぷるるルるぷるるルる――――こチら女神像(めがミぞう)(ナンバー)10286デす。ゴ用件(ようけン)ヲどうぞ()

 なんでも、廃棄女神像(はいきめがみぞう)出物(でもの)(さが)していたら、型落(かたお)ちの台座だけ(・・・・)が見つかったらしくてソレを――今回(こんかい)(けん)詫び(・・)として持ってきたのだ。


「ふむ、白目(しろめ)をむいてて、ちぃと気色悪(きしょくわり)ぃがぁ使(つか)えそうだなぁ♪」

 使(つか)(かた)は、学院(がくいん)出張所(しゅっちょうじょ)のおっさんにでも聞きゃぁいいだ――――


「――シガミー? 手が止まっていますよ?」

 いま彼女(かのじょ)(かお)に、仮面(かめん)はない。

 その(うつ)しさを軽減(けいげん)させるだけならば――

 やや(くら)めの耐魔王レンズ(・・・・・・)新開発(しんかいはつ))を入れた眼鏡(めがね)ひとつで、事足(ことた)りるからだ。


「へい、よろこぉんでぇー! そこぉ、ちょっくら御免(ごめん)なすってよぉ♪」

 おれと迅雷(ジンライ)(ひと)をかき分け、大慌(おおあわ)てで屋根(やね)(のぼ)る。

 なんせ今日中(きょうじゅう)にゴーレムを退()かして、屋根(やね)修理(しゅうり)して――

 明日(あした)から再開(さいかい)される初等(しょとう)魔導学院(まどうがくいん)に、(そな)えなけりゃならねぇ。

 いそがしい、いそがしい!

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