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427:詠唱魔法具と拠点、リオレイニアたちのたたかい

 ぶら下がってた天井(てんじょう)を、踏み割る(・・・・)

 ゴズズズズゥゥゥゥゥン――――――――!!!!

 ぐらぐららららっ!


「「「「「「「「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁっ!?」」」」」」――ニ゛ャァ!?」――ららぁん!?」

 揺れる大地(ドーム)


 (ゆか)全部(ぜんぶ)ぶち抜いて、あの(うつ)ろなリオレイニア一式(・・・・・・・・)を――

 奈落(ならく)(そこ)(たた)き落とす――算段(さんだん)は付いた。

 どうやら、あいつらは……空中(ちゅう)(わた)って(ここ)まで追いかけては、こられねぇみてぇだからなぁ。


「(そういや、子供(こども)大人(おとな)たちは、どこ行った?)」

 四の型(でたらめ)以外(いがい)(わざ)には打突(だとつ)の向きや(つよ)さ、回数(かいすう)なんかを加減(かげん)するための――文言(もんごん)が付けられる。

 体現する(・・・・)(あし)がかりを(みずか)(はっ)し、こと(こま)かに聞くことで(・・・・・)――

 尋常(じんじょう)じゃねぇ集中力(しゅうちゅうりょく)――つまるところ正確(せいかく)さを、発揮(はっき)出来(でき)るようになるのだ。


 けど文言(それ)で、どれだけ引き(しぼ)っても――

 真下(ました)に居られたら、七の(かた)なら巻き込んじまう。


 瓦礫(がれき)一緒(いっしょ)に、落ちていくおれ。

 つい(ちから)(はい)っちまったが――

 結構(けっこう)もろいぞ、この(かべ)(つく)り。


「(レイダ以下(いか)(めい)外縁部(がいえんぶ)避難済(ひなんずみ)())」

 ふぉん♪

『>▼――レイダ、▼――タター、▼――ヴィヴィー

 >▼――リオレイニア、▼――ラプトル王女、▼――学院長

 >▼――ミャッド、▼――秘書』

 迅雷(ジンライ)表示(ひょうじ)した(マーカー)に、全員(みんな)姿(すがた)(かさ)なる。


 (ほんとう)当に(はし)へよけてくれてて、(たす)かったぜ。

 どうもあの革袋(・・・・)地続(じつづ)きだと、まわりが見えなくなって――

 虚ろな奴らと(・・・・・・)対峙(たいじ)させられるらしい。

 こうして、地に(あし)が付いてなけりゃ――

 こうして、〝(なり)〟をひそめてくれる(・・・・・・・)みてぇだ。


 リオがみんなの真ん(なか)にいるから、最悪(さいあく)でも〝ひかりのたて〟で(しの)いでくれるだろう。

 学院長(がくいんちょう)ギ術部顧問(ミャッド)だけじゃなく、秘書(おつき)も居るしな。

 ふぉん♪

『人物DB>ロサロナ・ローハイネン

      初等魔導学院学院長』

 ふぉん♪

『人物DB>マルチヴィル・エリミネフ

      ラスクトール自治領ギ術部顧問秘書官』


 何奴(どいつ)此奴(こいつ)も名が(なげ)ぇとか、(おも)ってたら――チカッ!


 ヴォゥゥンッ――――♪

 緑色(みどりいろ)真円(しんえん)が、直下(ちょっか)革袋(かわぶくろ)から(ひろ)がっていく――――ビタリ!


「(この輪の内側(うちがわ)全部(ぜんぶ)ぶち抜くってわけかぁ――あとのことは(たの)んだからなぁー!!!)」

 みんなが居る手前(てまえ)にまで、(せま)ったが――

 ギリギリまで、引き(しぼ)れた。


 轟雷(ゴウライ)なってたとき(・・・・・・)ほどじゃねぇが、これから起こすことの結果(けっか)が――

 こうして画面(モニタ)表示(ひょうじ)されるようになった。

 (いま)から(くだ)(いわ)の割れ(かた)まで見通(みとお)せるなんて、もはや人間(ひと)(いき)を超えてるぜ。


 まさに、天狗(てんぐ)って言うのは、こう言う(やつ)のことを言うのだろう。

 前世(ぜんせ)天狗(てんぐ)と呼ばれていた(やつ)は、ひょっとしたら(いま)のおれみたいに――

 神々(かみがみ)どもに、(したが)えられていたのかも知れん――カカカカッ♪


「ふんぬぉりりりゃやぁぁぁぁぁぁ――――(しち)(かま)え、(とろき)(からすき)――(すぼし)(あみぼし)。――

(やり)から東方七宿(せいりゅう)まで。」

 全身全霊(ぜんしんぜんれい)をもって(はな)つ、おれの最大(さいだい)威力(いりょく))――

 かつ最小(さいしょう)半径(はんけい))の大技(おおわざ)が、炸裂(さくれつ)する。


「きゃぁぁぁぁっ――――対魔王結界(たいまおうけっかい)が聞いて(あき)れるんですけどっ!」

「それは魔王(まおう)……いや、ルリーロさまの何倍(なんばい)もパワフルなシガミーの問題(もんだい)だニャァ!」

 ドームの(はし)がうるせぇ。

 (くず)しちまった天井(てんじょう)を見て、(あわ)ててるんだろうが――

 そっちまではギリギリ(とど)かねぇから、(だま)って見とけや!


全然(ぜんぜん)もたないじゃないですか! 学院長(がくいんちょう)子供(こども)たちをお(ねが)いします!」

 駈けだす仮面(かめん)


◂◂◂(ピピピッ)♪』

 ちっ、(なん)だぜ!? この(はや)さ!

 真下(ました)にリオレイニアが、飛びこんで来やがった!


   §


 革袋(かわぶくろ)直上(ちょくじょう)、30センチ。

 迅雷(ジンライ)(かど)が、詠唱魔法具(わらうふくろ)粉砕(ふんさい)――出来(でき)ねぇっ!


 ギャッリイィィィィィイィィィィィィィィィィィィンッ――――!!!!!!!!

 もう得物(ジンライ)はきっかり東方七宿まで(ひつようなぶんだけ)(ねじ)っちまったってのにっ――!?


 おぞぞぼぞぞっ――にたぁり♪

 地に(ちか)づいたからか、ふたたび色濃(いろこ)姿(すがた)をあらわす――

 リオレイニアの(おんな)としての、すこし(くろ)部分(ぶぶん)


 うぞぞぞ、ぼぞぞぞぞ、ばしゃばしゃ、ばささささっ♪

 周囲(しゅうい)を四つ(あし)や、鳥魚(とりさかな)(かこ)まれる。


 こいつらが(なん)なのか、わからねぇが――

 炊事洗濯(いえしごと)をしてるときの彼女(リオ)の、手際(けぎわ)の良さは――

 生き物(こいつら)躍動感(やくどうかん)にも、(つう)じるところがあるのかも。


 けど、(かたち)にすらなってねぇ、姿(すがた)のないうねりを(まと)った――巨躯(おとこ)鬼型(おに)

 ォオォォオオォォオォォォォォォガァァァァッ――――!!!


 あれが美の権化(リオレイニア)何を現しているのか(・・・・・・・・・)、まるでわからん。

 姫さん(リカルル)(しか)りつけるときだって、あそこまでは(おこ)らねぇし。


 しいていうなら……火龍の寝床(かざんダンジョン)で――

 ひかりのたて(・・・・・・)幾重(いくえ)にも展開(てんかい)した――

 あの、魔力(まりょく)とか胆力(たんりょく)とか――

 そういうものの(・・・・・・・)(あらわ)れ、なのかもなぁっ!!!!!!


◂◂◂(ピピピッ)♪』

 地を這うような、(ひく)姿勢(しせい)

 おれを見上(みあげ)げる仮面(かめん)と、目が合った!

 丸盆(たて)(かま)え、(うつ)ろなものどもを切り裂くような――

 (するど)い、魔法杖(つえ)行使(こうし)


 ギャッリイィィィィィイィィィィィィィィィィィィンッ――――!!!!!!!!

 魔物境界線(まものきょうかいせん)がある、ガムラン(ちか)くの山中(さんちゅう)

 小高(こだか)(おか)(まる)ごと(けず)った、七の型(おれのいちげき)


 基本的(きほんてき)にアーティファクトは、壊せねぇ(・・・・)って(はなし)だが――

 コガッガッガッゴッガァァァァァァンッ!

 (こわ)れた前例(・・)はあるし、地面(あしば)瓦礫(がれき)と化すのも時間(じかん)問題(もんだい)だ。


「――――、――――、――――!」

 身を(かが)めるリオレイニア。その(くち)三度(さんど)(うご)いた。

 聞こえなくても、(なん)て言ってるかわかる。

 盾のように(・・・・・)構えられた(・・・・・)、その表面(ひょうめん)に――光の文様(マジック・シールド)が浮かび上がった。


 そして彼女(かのじょ)(たたか)うのに邪魔(じゃま)(かみ)を、(むす)んでいた。

 どういうわけか、おれのと同じ鉢巻きで(・・・・・・)


『<MAGIC・SHIELD>――ピッ♪』

 ヴォヴォヴォヴォッ――――――――ギュガギィィィィン!

『<MAGIC・SHIELD>――ピッ♪』

 やべぇ、おれの最大の攻撃(しちのかた)が、易々(やすやす)と止められちまう。

『<MAGIC・SHIELD>――ピッ♪』

 いや、三つどもえで、みんな死んじまうよか、よっぽど良いが――!


 グンと持ち上げられるおれと革袋(やつら)と、回転(かいてん)する迅雷(ジンライ)

 三枚(さんまい)(ひかり)(たて)が、おれと(うつ)ろな連中(れんちゅう)(とら)えやがった!

 リオがここまでやるとはな。


 これで魔法杖(つえ)としては規格外(きかくがい)性能(せいのう)をほこる、迅雷(ジンライ)(うば)われ――

 高等魔術(こうとうまじゅつ)(とな)えられでもした日にゃ、公爵夫人(ようかいぎつね)でも(かな)うまい。


 本家本元(リオレイニア)対抗(たいこう)するためか、ひたひたひたたたたたたったっ――――うぼおぉぼっわぁぁぁぁ♪

 薄衣(うすぎぬ)のようだった、たぶん(・・・)(おんな)部分(ぶぶん)

 それが本人(ほんにん)(おな)じような、(からだ)つきへと変わっていく。


 厚みを増した(・・・・・・)彼女(おんな)(わら)う――――にぃたにぃたぁりりぃー♪

 ヴァチヴァチヴァチヴァチィ――――――――パキィィィィンッ!

 一枚目(いちまいめ)の、ひかりのたてが(こわ)れた。


 ドームの中心(ちゅうしん)(まさ)に――

 詠唱魔法具と美の権化(リオレイニアたち)の、ひとり(・・・)舞台(ぶたい)


 ヴァチヴァチヴァチヴァチィ――――――――パキィィィィンッ!

 二枚目(にまいめ)の、ひかりのたても(こわ)れた。

 このままだと均衡(きんこう)(くず)れる。


 おれの(あし)(した)に割って(はい)った、光の盾(マジック・シールド)がなくなり――スタン♪

 おれの(あし)地面(した)に落ちた。


 手甲(てっこう)から手のひら(がわ)に飛び出した、手袋(アームガード)で――

 革袋(かわぶくろ)粉砕(ふんさい)せしめんと回転(かいてん)(つづ)ける、迅雷(ジンライ)をつかむ。

 ギギギャッリィィィィィィィィィィィィィィィィィン!!

 つかまねぇと迅雷(ジンライ)が、想定範囲内(みどりのわく)から飛び出しちまうからなぁ――!


 ずざぁっ――床を踏みしめる(でぇいりゃあああああ)――がきっん!

 どうにか(おさ)えこんだが――――ざりざりざりりぃーーーーーーーーっ!


 すべる靴底(くつ)が止まれば、地面(ゆか)(まる)ごと抜ける。

 引き(しぼ)った(ぶん)だけ、より(ふか)くなるはずだから、気を付けろよ迅雷(ジンライ)ィ!

 ふぉん♪

『>了解しました』


 おれの(からだ)は、好きに使(つか)え――ただし、「(リオは死なすな。)」

「(お(まか)せくださ())」


「ひかりのたてよ、ひかりのたてよ、ひかりのたてよ――!」

 (ジンライ)回転(ねじり)はほぼ終わり、革袋(かわぶくろ)(わら)(ごえ)くらいしか――

 彼女(リオ)呪文(じゅもん)を、邪魔(じゃま)するものはない。

 まだ出せるなら、光の盾(それ)自分(じぶん)の身を(まも)ってくれ。


『『『<MAGIC・SHIELD>――ピッ♪』』』

 ググンッ――ふたたび光の障壁(リオレイニア)に持ち上げられる、おれたち。


「おぼぼぼぉぅわ、おぼぼぼぉぅわ、おぼぼぼぉぅわ――にたぁり?」

 厚衣(おまえ)は良いよ、言わなくて。

 とうぜん(ひかり)(たて)も、(やみ)(たて)もでない。


 ずざざぁぁぁぁぁぁあっ――――おれの回転(わざ)完成する(とまる)

 しかし、この呪文(ひかりのたて)には残り(・・)というか、つぎの魔術構文センテンスがあったらしい。


「――つるぎとかせ、つるぎとかせ、つるぎとかせ――」

 ヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォヴォォォォォォォゥゥンッ!

 (いた)のようだった(ひかり)が、まるでゴーレムの目玉(レンズ)みたいに(とが)っていく。

 (とが)りは、おれの(からだ)チクチクと(・・・・・)突きぬけ――


「――ぼぼぅぼわぅ、ぼぼぅぼぅ、ぼわわっ――?」

 ――はりあう厚衣(おんな)を突き刺し、たかく持ち上げていく。


「――せかいへつうこくする、いっさいのくらやみをすてよ、かがやけ――!」

 ――さらにもうひとつ、複雑(ふくざつ)魔術構文(じゅもん)

「――ぼぅ……おぅ……ぉ?」

 ――見つめ合う、仮面と虚ろな厚衣(リオレイニアたち)


 ギュギャッチリ――おれの(あし)が、完全(かんぜん)に止まる。

 しっとりとしたリオレイニアの手が、おれの手の(うえ)から――

 迅雷(ジンライ)をつかんだ。

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