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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

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42:魔剣イヤーイ使い(幼女)、魔法使いの弟子(幼女)になる

 すっとのびる、ほそい手――こぉん♪

 手の(こう)ではじかれた一本箸(フォーク)が、空中(ちゅう)回転(まわる)


 のびるゆびさき――ぴたり。

 つままれるみじかい金属棒(フォーク)


   §


「だれかが(はな)った(ほのお)魔法(まほう)――」

 (ひめ)さんが(ゆび)をいっぽん()てた。


「――それにキッチリおなじだけの(つめ)たい魔法(まほう)をかさねる――」

 もういっぽん()てた(ゆび)(かさ)ねられる。


 (ドア)(まど)()けはなった物置(ものおき)見晴(みは)らしがよく、灯りの魔法(ひかりのたま)もいらないくらいだ。


「――それが一番(いちばん)わかりやすい、乾燥(かんそう)魔法(まほう)のおぼえかたよ」

 よく見ておきなさいと、その目が言っている。


   §


 ととん。

 その()でから足を()む、白いの(・・・)

 細身(ほそみ)(かかと)がとがった(くつ)がおどる。


 おれの全部(ぜんぶ)()りの居合(いあい)の、予備動作(ねじりこみ)()てた。


 つぎの瞬間(しゅんかん)――こつこつ♪

 ほんの二歩(にほ)。それだけで、白いの(あいつ)も、なんかやってるのが(・・・・・・)わかった。


 背筋(せすじ)がのびたまま、すべるように(ある)くのは、普通(ふつう)できねえからな。


「いくわぁよー?」

 鬼娘(オルコトリア)のやる気のない声。

 ひとかかえはある大きな(ほのお)魔法(まほう)を、指先(ゆびさき)のちいさい(うご)きで()げとばした。


「いくぞ、レイダ!」

 おれたちは、どたどたどた――そとに飛びだす!

 もっと(ちか)くでみたかったのだ。


「わたしの〝かえんのたま〟よりおっきい!」

 魔法(まほう)つかいであるレイダが、自分(じぶん)(じゅつ)とくらべている。


 それでも、鬼娘(オルコ)(はな)ったのは攻撃(こうげき)目的(もくてき)(じゅつ)ではないらしく、人があるく程度(ていど)速度(はやさ)しかない。


 あれが攻撃(こうげき)なら、ただ(よこ)()げればいいだけだ。

 だが白いの(・・・)は、さらに()みこみ片手(かたて)をうしろ(こし)にあてた。


 すぅーーーーーーくるん。

 (まよ)いなく、まわされた一本箸(フォーク)


 ぎょっとした。

 おれがはじめて、この町に来たとき、()(ばち)真言(マントラ)(とな)えたことがあった。

 そのとき使(つか)った〝回廊(かいろう)〟という、真円(しんえん)(えが)(わざ)かと(おも)ったのだ。


「(ご安心(あんしん)ください。シガミーが(おさ)めた呪術(じゅじゅつ)体系(たいけい)は、()(もと)()まれの血脈(けつみゃく)をもとに回路(かいろ)形成(けいせい)します。この地に住む生物(せいぶつ)が、いくら(ことわり)(とな)えても発現(はつげん)することはないと思われます)」


「(それぁ、五百乃大角(いおのはら)()いたのかぁ?)」

「(いえ、ギルド施設(しせつ)女神像(めがみぞう)情報(じょうほう)(もと)(わたくし)算出(さんしゅつ)……勘定(かんじょう)いたしました)」


   §


 (えが)かれた、ひかりの()

 その軌跡(きせき)がつながると、ひかりの()のなかが(しろ)(けむり)でみたされた。

 輪郭(りんかく)はモコモコとうねっていて、まるで(けむり)でできたびーどろだ。


「(おい、あんな生活(せいかつ)魔法(まほう)みたことねぇぞ?)」

「(ガラスの(いた)……ビードロの部分(ぶぶん)が、目にみえるようにした――〝(つめ)たい魔法(まほう)〟と(かんが)えられます)」


 その中心(ちゅうしん)小指(こゆび)でかるく(たた)くと、

 丸い煙(びーどろ)が、するりと(すす)みでた。


 くるん、とん♪

 くるん、とん♪

 くるん、とん♪


 ぜんぶで四枚(よんまい)足並(あしなみ)みを(そろ)えてすすむ(けむり)(いた)

 最初(さいしょ)のが、(ほのお)魔法(まほう)接触(せっしょく)する。


 ぱりん、(ひかり)()がこわれた。

 パッシュゥゥゥゥルゥゥゥ――――ふきだす白煙(はくえん)


 ヴォォウワッ――――(ほのお)魔法(まほう)が小さくなった。


 おー♪

 ()く、おっさんたちとレイダ。


 ぱりん、ぱりん、ぱりん――つぎつぎに飛びこんでいく(ひかり)()

 パッシュパシュパシュルルゥゥゥゥゥゥゥゥウルゥゥ――――ボッファァァァァァァァン!


 あたり一面(いちめん)(けむり)につつまれた。

 けどこの(けむり)ぁ――ぜんぜん。


(けむ)くねえし、(すす)もつかねえぞ!」

「ひんやりして気持ちいい!」

「これガ、〝乾燥(かんソう)魔法(まほう)〟なのですネ」


   §


 白煙(けむ)のはれた(みち)のまん(なか)


 くるくるくるくるるる♪

 片足(かたあし)をもちあげ、回転(かいてん)する白いの(・・・)

 (しろ)前掛(まえか)けと背中(せなか)服色(ふくいろ)が、交互(こうご)()()える。


 くるくるくるくる、くるるるるん♪

 右手(みぎて)から左手(ひだりて)へはしわたしされ、(ゆび)(あいだ)をまわるように、いったりきたりする一本箸(フォーク)


 やがて片足(かたあし)回転(かいてん)していた、いきおいが止まる。

 (ほのお)魔法(まほう)をはなった術者(オルコトリア)正対(せいたい)した。


「オルコトリアさん。いつもお嬢様(じょうさま)がお世話(せわ)になっております」

 白いの(・・・)が、片足(かたあし)をひいて(こし)をおとした。


 ()く、おっさん連中(ども)

 いまの(つめ)てえ(けむり)()せモンとして、おもしれえもんだったらしいな。

 おれも、とっておきの般若湯(さけ)だしちまうかなぁ?


「ええほんとぉ、いつもお世話してますよ(・・・・・・・・)ぉ、リ・オ・レ・イ・ニ・ア?」

 仁王立(におうだ)ちの(おに)白昼堂々(はくちゅうどうどう)視る(・・)ようなもんじゃねえ。

 なんであいつぁ怒ってやがんだ?


「(見世物(みせもの)されたから(・・・・・)、ではないでしょうか?)」

 なんか、(からだ)()えてきたぜ?


「お子さま(たち)にもう(すこ)わかりやすく(・・・・・・)実演(じつえん)してあげても……良いかもしれませんわね……くすくすくす?」

 白いの(・・・)の目が(かく)れてても、(わら)ってねえのがわかる。


 ゴッ――――ゴォォォォガァ!

 (ほのお)魔法(まほう)からの、さらに(ふく)れあがる(ほのお)魔法(まほう)

 その(ほのお)青白(あおじ)変化(へんか)した。


   §


「おふたりとも、そろそろ(もど)ってきなさぁーい。このあたり(さむ)くなりますからぁ~!」

 (ひめ)さんに()ばれたおれたちは、(ドア)(まど)をしめ戸締(とじ)まりをした。


 こぽぽぽぽ♪

 お付きがいなくなった(ひめ)さんが、自分(じぶん)紅茶(ちゃ)を入れはじめた。


(あつ)いから気をつけてね」

 平民(へいみん)であるおれとレイダに、紅茶(ちゃ)を入れてくれる藩主(はんしゅ)(むすめ)

 前世(ぜんせ)なら、とても(かんが)えられねえな。


「それからシガミーちゃんには、生活(せいかつ)魔法(まほう)講師(せんせい)としてリオレイニア……あの(しろ)(ふく)の子を付けてあげる」


 びーどろのまど()しにみたら白いの(・・・)が、青白い大怪球(とくだいひとたま)にむかって(けむり)丸柱(・・)進軍(しんぐん)させてた。


「ぜってぇ、いらねーーーーっ!!!」

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