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417:初等魔導学院、測定魔法具VSひかりのたま

「そのまま、〝ひかりのたま〟を使(つか)ってください」

 おれの武器(ぶき)を入れてる、指輪型(ゆびわがた)収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)とおなじだ。


「ひかりのたま」

 分厚(ぶあつ)(いた)に埋め込まれた、円筒状(えんとうじょう)びーどろ(ガラス)

 ひかりのたまを(はな)ったのに、まるで(ひか)らねぇ。


「あれっ? ひかりのたま!?」

 やっぱり、まるで(ひか)らない。

 (ひか)らせるんじゃねぇのか?


動力源(どうりょクげん)ニ〝ひかりのたま〟ヲ使(ツか)うトしても、構造上(こうゾうじょう)(ヒかり)(とモ)るはズで()

 足場(あしば)がわりの相棒(あいぼう)も、そう言ってる。


 だよなぁ、錫杖(しゃくじょう)小太刀(こだち)を取り出すときも――

 ほんの(すこ)しだが、手元(てもと)(ひか)る。


「おかしいですね? どんなに(ちい)さな(ひかり)からでも正確(せいかく)な、生涯最大(しょうがいさいだい)MP(マジックポイント)をはじき出すはずなのですが……?」

 測定魔法具(そくていまほうぐ)側面(そくめん)をカチャカチャする、おっさん職員(しょくいん)


「ひかりのたま、ひかりのたま、ひかりのたま――ひかりのたまっ!!」

 チカッ――――!!!

 (くら)(すす)けた円筒(えんとう)(そこ)が、やっと(ひか)っ――――ヴゥォンッ!


 おれの手と、測定魔法具(そくていまほうぐ)が――カッ!

 おっさんと、ギルド支部出張所(しぶしゅっちょうじょ)が――カカッ!

 生徒(せいと)たちと、見習(みなら)教師(きょうし)が――カカカカッ!!


 学院(がくいん)通路(つうろ)が、(まばゆ)(ひかり)(つつ)みこまれた!


   §


「ギルド支部(しぶ)備品(びひん)をぶち(こわ)した(やつ)が居るって言うから、(あわ)ててきてみたら――」

 (ひら)たい(はこ)に乗る、ギ術開発部(じゅつかいはつぶ)顧問(こもん)毛色(けいろ)(あか)るい(みどり)

 (しぶ)(かお)をした猫耳族(ねこあたま)が、猫手()猫の額(ひたい)に押し当てた。


「やっぱり――あなたたちでしたね」

 橙色(だいだいいろ)制服(せいふく)を着た顧問秘書(こもんひしょ)(あたま)(うえ)(みみ)はない。

 (こま)(がお)女性(じょせい)が、(ひと)の手を(ほほ)に押し当てた。


立て続けに悪ぃなぁ(みゃにゃんやぁーん)学院の魔法具とわぁ(にゃやみゃやん)どうにも相性が(にゃうにゃみゅ)あわねぇらしぃ(にゃぁーごぉ)()

そうだみゃぁ(にゃにゃぁ)それで魔法具は(みゃにゃむにゃぁ)?」

 鉄鍋(てつなべ)(かか)えた(ねこ)魔物(まもの)みたいなおれの言葉(・・・・・)を、ギ術部顧問(ミャッド)理解(りかい)したようだ。


「ちょっと、シガミー! にゃがにゃがうるさぁい!」

 根菜(いおのはら)(こえ)がするが、説明(せつめい)(さき)だぜ――にゃぁ。


 (ねこ)魔物(まもの)のような猫手(ねこて)で、鉄鍋(てつなべ)のフタを――

 パカリと開いた(・・・)


 ピカカカカカカッ――――――――ッ!!!!

「ぎにゃっ、まぶしっ!」

 狼狽(うろた)え、猫手(ねこて)両目(りょうめ)を押さえたり――

「きゃっ――はくちゅ♪」

 あまりの(まぶ)しさに、くしゃみをする――

 ギ術開発部(じゅつかいはつぶ)連中(れんちゅう)


 がぽん――――(ふた)を閉じた。

 おれ(猫の魔物(シシガニャン10ごう))の(かたわ)らには――

 空飛(そらと)(ぼう)根菜(こんさい)介抱(かいほう)される、仮面(かめん)(あや)しい(おんな)


 あの光害(こうがい)(なか)を、果敢(かかん)に駆けよってきた彼女(かのじょ)だが――

 彼女(かのじょ)光の盾(マジックシールド)をもってしても、ただの(ひかり)を防ぐことは――

 出来(でき)なかったらしい。


 鉄鍋(てつなべ)(なか)には測定魔法具(そくていまほうぐ)故障中(こしょうちゅう))を、封じ込めてある。


 がやがやがやや。わいわいがやや。

「では(わたくし)生徒(せいと)たちを、教室(きょうしつ)へ連れて行きますね」

 秘書(ひしょ)(ひと)が、子供(こども)たちの世話(せわ)を買って出てくれた。


「シガミー、リオレイニアさぁん、イオノファラーさまぁ?」

 目をしばしばさせたタターが、通路(つうろ)の向こうに姿(すがた)(あらわ)した。


「(迅雷(ジンライ)心配(しんぱい)は要らないから(さき)(もど)ってるよう、タターに言ってくれ)」

 飛んでく相棒(ジンライ)

 とっさにシシガニャンを着込(きこ)んで、強烈(きょうれつ)(ひかり)を避けたのは良いが。

 猫語(ねこご)しかしゃべれねぇと、こういうときに面倒(めんどう)だな。


「じゃぁシガミー、教室(きょうしつ)(もど)ってますねー!」

 タターのそんな(こえ)が聞こえ、やがて――ヴォォォォゥン♪

 迅雷(ジンライ)(もど)ってきた。

 しかし、盛大(せいだい)にマズったぜ。


「(はい。やって仕舞(しま)いました())」

 けどよ。たかが魔力上限(まりょくじょうげん)を、10増やしただけだろ?

 なんで、こんなことになった!?


「(わかりません。(さき)ほど作成(さくせい)した髪紐(リボン)との相性(あいしょう)(わる)かったのは、間違(まちが)いないと(おも)われます())」

 作成(さくせい)したときの、『アイテム詳細(しょうさい)』を出せ。


 ふぉん♪

『響言の鉢巻き【今紫】

 防御力30。魔力量10(碇)。

 魔術の多重詠唱が可能になる』


 んぬぅー?

 この、『魔力量(まりょくりょう)10』のうしろの、『((てい))』てなぁなんだぜ?


「(魔力量(まりょくりょう)を10増加(ぞうか)させる(いかり)……アンカーや鉤爪(かぎづめ)? 意味不明(いみふめい)())」

 どーするよ、迅雷(ジンライ)解析(かいせき)させると、時間(じかん)が掛かるしな。


 ぽこぉん――♪

 五百乃大角(いおのはら)(こころ)の、映し身(アイコン)

 梅干(うめぼ)しみたいなのが、収納魔法(ファイリングシステム)(あらわ)れた。


 どこ行ってやがった。

 もう、やることなすこと失敗続(しっぱいつづ)きで――

 こういうときにお(まえ)さまの後光(ごこう)を、役立(やくだ)てろや。

 (とら)(まき)をめくって、調(しら)べてくれるんでも良いがよぅ。


「(えー? だってそれ、シガミーのオリジナル(・・・・・)でしょぉー())」

 画面(がめん)(なか)をてちてちと横断(おうだん)し、〝アイテム詳細(ウインドウ)〟に張りつく美の女神(かみさん)


「(おれの手作(てづく)りじゃ、(なん)問題(もんだい)があんのかぁ?)」

「((おお)ありよねぇー♪ 攻略本(こうりゃくぼん)に載ってるのわぁー、シガミーをこの地に喚びだす前のこと(・・・・・・・・)だけだぁもぉのぉ――――んぅにゅるーぅ())」

 どーした、気色(きしょく)(わり)(こえ)を出すな。

 またなんか拾い食い(・・・・)でもしたのかぁ?


「(美の女神(めがみ)がぁそんなことするかぁ――いーからっ、ここ見て!(・・・・・))」

 そう言うなり、梅干し(アイコン)が――

 手近(てぢか)にあった、アイテム詳細画面(しょうさいがめん)(すみ)を――

「(へりゃっ())」

 (ちい)さな手で、ぺちりと(なぐ)った。


「(これさぁ、この()(カッコ)(ところ)さぁ、なぁんっかぁ文字(もじ)がさぁー、重なってなぁい?(・・・・・・・・))」

 がささっ♪

 (ふる)える文字(もじ)から、聞きなれない葉ずれの(おと)が聞こえ――


『(碇)』――がささっ♪

『(固定)』――ぽこん♪

 (ふた)つの文字(もじ)になった。


 おーい? こいつぁー、どーしたわけだぜ!?


「(おそらく、アイテム作成時(さくせいじ)(なん)らかの負荷(ふか)が、(わたし)やシガミーに掛かったからだと(おも)われま())」

 負荷(ふか)だぁー?

 高負荷演算(そいつ)にはひとつ、心当たりがある(・・・・・・・)


「(五百乃大角(おまえさま)よぉう? 最近(さいきん)なんども、御神体(からだ)ごと収納魔法(インベントリ)出入りしてた(・・・・・・)なぁ?)」


 ふぉん♪

『響言の鉢巻き【今紫】

 防御力30。魔力量10(固定)。

 魔術の多重詠唱が可能になる』


「(ひゅぷひゅー♪ そ、そそそんなことより、この(かっこ)固定(こてい)(かっことじ)ってなんわのぉー())」

 『アイテム詳細』を持ち上げ、すっとぼける梅干し(アイコン)


「(イオノファラー、口笛(くちぶえ)が吹けていません……たしかに気になります())」

「(ったくよぉう、お(まえ)さまのせいで重要(でぇじ)文字(もじ)がぁ、また化けてた(・・・・)じゃねーか!)」

 しかも、その(した)の――

 『魔術の多重詠唱が可能になる』

 ってのわぁ、リオレイニアが「不可能(できません)」って言ってたやつだぜ!

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