表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

416/743

416:初等魔導学院、上級鑑定VS伝説の職人スキル

「では、この魔法具(まほうぐ)に、手を置いてください」

 (ひら)たい角材(かくざい)の真ん(なか)には、(くら)(いろ)のビードロ……ガラスが埋め込まれている。


 あ、まてよ。

 魔法具(これ)に手を乗せるまえに、〝魔力量(まりょくりょう)最大(さいだい)〟とか〝魔力量(まりょくりょう)リミットブレイク〟とか取っちまえば良いってことじゃぁねーか。

 薬草師(やくそうし)がいくら魔力(MP)(とぼ)しい職業(ジョブ)でも、好きなスキルが取れるんだぜ。

 (なや)むようなことじゃねぇ。


「(無理(むり)です。上級鑑定(じょうきゅうかんてい)されたときに、現在(げんざい)体力量(たいりょくりょう)魔力量(まりょくりょう)は知られていま())」

 はぁ? そりゃおかしーだろ。

 そうしたら、(なん)のための魔法具(まほうぐ)だ?


「(ではギルド職員(しょくいん)を、上級鑑定(じょうきゅうかんてい)してみればわかりま())」

 わけがわからねぇが、上級鑑定(しめしめうっひっひ)

 言われるままに、おっさんを値踏みする(・・・・・)


 チーン♪

『タウリン・ハラヘリアル LV:24

 楽師★★★★ /絶対音感/鉄の心臓/女神の加護

   追加スキル/上級鑑定/鉄の胃袋

 ――所属:ラスクトール冒険者ギルド本部第二楽隊』


「(その状態(じょうたい)で、(かれ)頭上(ずじょう)を見つめ(つづ)けてくださ())」

 ヴォゥ――♪

『HP/■■■■■■787

 MP/■■■■■■■■■■1180』

 なんか追加(ついか)(ウインドウ)が、でやがったぞ。

 おれのと(ちが)って、紫色(MP)(ほう)(なげ)ぇ。


「(これが(かれ)の、現在(げんざい)HP(エイチピー)MP(エムピー)())」

 つまり、さっきおれを上級鑑定(じょうきゅうかんてい)した職員(アイツ)には、おれの魔力量(MP)がばれてるってことか。


「(はい。いまから改竄(かいざん)すればバレま())」

 女神像(めがみぞう)なしでスキルが取れるってのも、(おそ)らく……(ざい)だ。


 ふぉん♪

『イオノ>ふふふ、美しさは罪ではありません。

     眷属である迅雷が付いているのだから、

     ソレくらいで来て当たり前だけど、

     チートが……イカサマがバレるわね』


 んぅー? けどよぅ、スキルは偽装(ぎそう)したままなんだから、イカサマも(なに)もねーだろぅ?


「(スキルを偽装(ぎそう)しても、このタイミングで(なん)らかのズルをした事実(じじつ)を、把握(はあく)されま())」

 はぁぁ? うまくいかねぇもんだぜっ!


上級鑑定(じょうきゅうかんてい)……そうだったね、(きみ)上級鑑定(じょうきゅうかんてい)を持っているのだったね。(わたし)はタウリン。ギルド支部職員(しぶしょくいん)だ。よろしく』

 上級鑑定(じょうきゅうかんてい)を持ってる(やつ)のちかくで上級鑑定(じょうきゅうかんてい)すると、ソイツの(あたま)に鐘の音が聞こえるのだ。


「こっちこそ、世話(せわ)になるぜ」

 かるく(あたま)を下げたおっさんにならって、おれも(あたま)をちょっと下げた。


 ふぉん♪

『人物DB>タウリン・ハラヘリアル

      ラスクトール自治領冒険者ギルド支部職員』

 迅雷(ジンライ)新機能(おぼえがき)に、二人目(ふたりめ)登録さ(かきこま)れた。


「その(とし)で、これだけの追加(ついか)スキルを持つなら……魔術(まじゅつ)適性(てきせい)がなくても、気落(きお)ちすることはありません」

 やい、とおい目をするな。

 まだ、魔法具(そいつ)使(つか)ってねーだろうが!


 解析指南(かいせきしなん)、なんかいい手はねーか?

 女神(めがみ)眷属(けんぞく)打開(だかい)できない現状(げんじょう)に、(くや)しまぎれの解析指南(とっておき)


 ふぉふぉん♪

『解析指南>装備による補正値も、冒険者の適性に含まれます』

 はぁ、そんなんで良いのか?


「(そうですね。装備(そうび)底上(そこあ)げすることは、(みな)やっています。装備(そうび)できることも適性(てきせい)というわけで())」

 ふぉふぉん♪

『イオノ>もっとも魔法を学び始めたばかりの初心者が、

     魔力量上限を上昇させるレア装備を、

     装備できるはずはないんだけど、プークス?』


 うるせぇ、ならこの場で――

 〝魔法量(まほうりょう)を上げる装備(そうび)〟を(つく)って、目のまえで装備(そうび)してやる。


 使(つか)える素材(そざい)は?

「(通常(つうじょう)素材(そざい)と、ジンライ(こう)使用可能(しようかのう)です。(れい)のミノタウロース素材(そざい)も、加工(かこう)すれば使用可能(しようかのう)())」


 そうだなぁー。エディタを使(つか)ってる(ひま)はなさそうだし――

 ジンライ式隠(しきかく)(みの)は、(つく)れるか?


「((つく)り置いた(もの)が、(やく)80万平方(まんへいほう)メートル……ガムラン(ちょう)同程度(どうていど)面積分(めんせきぶん)ありま())」

 んにゃ?

 そんな<20万人分(まんにんぶん)>もの反物(たんもの)は要らん。

 鉢巻(はちま)きが縫えるくれぇの、細帯(ほそおび)をよこせ。


 ふぉん♪

『>シガミーの頭の大きさで、何本ご入り用ですか?』

「(一本(いっぽん)、いや二本寄(にほんよ)こせ)」


 ふぉん♪

『>色や柄は、どのように?』

「(なら、このMP(エムピー)(ぼう)とおなじ(いろ)で)」


 ふぉん♪

『>了解しました。色見本でます』

 ヴォゥン♪

(#563779)――今紫(いまむらさき)

 それは、魔力量(MP)(しめ)(ぼう)とおなじ(いろ)

 (あお)みがかった、とても(あざ)やかな(むらさき)だ。


「良いじゃねーか♪」

 おれの言葉(ことば)を、どう受け取ったのか――

 職員(おっさん)が、『ギルド職員募集中』のチラシを、一枚差(いちまいさ)し出した。

 まあ、折りたたんで(ふところ)にしまっとく。


 ふぉん♪

『>防刃帯布を二件、作成しました。

  いつでも収納魔法から、取り出せます』


 ヴッ――ふぁぁっさぁ。

 おれは、色鮮(いろあざ)やかな鉢巻きを(・・・・)、手につかんだ。

 天衣無縫(てんいむほう)スキルと、初級位相(しょきゅういそう)幾何学(きかがく)スキルを使(つか)って――

 (いと)使(つか)わず袋状にした(・・・・・)

 当然(とうぜん)(ぬい)い目は無ぇ。


「これわぁ、ウチの(かみ)さんにもらった装備(そうび)なんだが――ィィイィィンッ♪」

 (はし)を持ちスッと、(ゆび)のあいだを(とお)すようにして――

 一瞬(いっしゅん)で、強力(きょうりょく)装備(そうび)(つく)り替える!


 黒筆(スタイラス)使(つか)えねぇから、文字(もじ)を書き込むことは出来(でき)ん。


 それでも伝説(でんせつ)職人(しょくにん)まかせで――

 頭部防具(とうぶぼうぐ)強化(きょうか)と、防具筋力(ぼうぐきんりょく)強化付与(きょうかふよ)と、防具体力(ぼうぐたいりょく)強化付与(きょうかふよ)と、防具攻撃力(ぼうぐこうげきりょく)強化付与(きょうかふよ)と、防具知恵(ごうぐちえ)強化付与(きょうかふよ)と、防具防御力(ぼうぐぼうぎょりょく)付与(ふよ)と、幸運効果(こううんこうか)付与(ふよ)と、幸運効果(こううんこうか)永続(えいぞく)と、幸運効果(こううんこうか)増大(ぞうだい)と、幸運倍化(こううんばいか)と、幸運(こううん)リミットブレイクと、防具幸運(ぼうぐこううん)強化付与(きょうかふよ)と、耐性強化(たいせいきょうか)付与(ふよ)と、耐性強化(たいせいきょうか)永続(えいぞく)耐性強化(たいせいきょうか)耐性倍化(たいせいばいか)不壊付与(ふかいふよ)と、自動修復(じどうしゅうふく)(しょう)付与(ふよ)を掛けた。


 (やぶ)けない鉢巻(はちま)きになった。

 下地(したじ)出来(でき)たぞ。


 あとは、魔力量(MP)影響(えいきょう)(およ)ぼすようなスキルを――

 やりすぎねぇ程度(ていど)に、何か取れ(・・・・)――。


「(〝魔力増強(まりょくぞうきょう)付与(ふよ)〟、〝魔力増強(まりょくぞうきょう)効果永続(こうかえいぞく)〟、〝詠唱術(えいしょうじゅつ)〟、〝魔力枯渇(まりょくこかつ)耐性付与(たいせいふよ)〟、〝魔力枯渇(まりょくこかつ)耐性永続(たいせいえいぞく)〟を収得(しゅうとく)しまし())」

 ふぉん♪

『>使用スキルポイントは236。

  SP 残り144,480です』


 ふぉん♪

『響言の鉢巻き【今紫】

 防御力30。魔力量10(碇)。

 魔術の多重詠唱が可能になる』


 〝魔力量(まりょくりょう)上昇(じょうしょう)〟が(はい)ったな。

 ひとまずこれで十分(じゅうぶん)だろ。

 これで足りなきゃ、学院長(がくいんちょう)になんとかしてもらう。


「(了解(りょうかい)しました。(かみ)(みみ)(うえ)(むす)べば、よろしいですか())」

 やってくれ。

 カシャカシャ、カチャカチャ――(ほそ)くて(くろ)機械の腕(プロダクトアーム)が、迅雷(ジンライ)から生えた。


 シュルシュルと(かみ)()き――カチャカチャキャチャチャッ♪

 持ち上げられた金色(きんいろ)(かみ)が、左右(さゆう)(みみ)(うえ)(むす)ばれていく。


 迅雷(ジンライ)におれの(かみ)を、(くく)らせてる(あいだ)に――

 アイテム名偽装(めいぎそう)も、(ねん)のためしとく。


 ふぉん♪

『無縫のリボン【紫】

 防御力30。魔力量10。

 シワにならない魔法のリボン』

 コレで良いだろう。


「(〝響言(きょうごん)鉢巻(はちま)き〟を装備(そうび)しまし())」

 おれは測定魔法具(そくていまほうぐ)に、手を乗せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ