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413/743

413:初等魔導学院、廊下のつきあたり

「どうぞコチラへ」

 ゴドン――ガチャガチャガチャガチャチャチャチャチャッ♪

 さっきおれたちが居た教室(きょうしつ)の、黒板横(こくばんよこ)へつながる(ドア)

 ちいさめの(ドア)が、その(かたち)(おお)きさを――めまぐるしく変えていく。


 やがて(とびら)(ひら)き――こつこつこつん。

 その向こうへ、(ある)いて行ってしまう学院長(がくいんちょう)


 おれは(ドア)のむこうへ、(あたま)を出した。

 ココはどこだぜ?

 さっきの教室(きょうしつ)じゃねぇぞ。


「(最寄(もよ)りの女神像(めがみぞう)位置(いち)通路(つうろ)形状(けいじょう)から、(さき)ほどの教室(きょうしつ)があった建物(たてもの)(はず)れであると(おも)われま())」

 ヴォォォン♪


「この(とびら)は、この建物(たてもの)(なか)自由(じゆう)移動(いどう)できるのか?」

 おそるおそる付いていくと――背後(はいご)(ドア)が閉じられる。

 振りかえったときには――その(かたち)(なんの)変哲(へんてつ)もなくなっていた。


「はい。(わたくし)(はな)れるとドアの持つ記憶(きおく)が、クリアされてしまいますが」


 がやがやがやややや。

 廊下(ろうか)には、生徒(せいと)たちがならんでた。


「へぇー、地味(じみ)便利(べんり)ねぇん()

 収納魔法具(しゅうのうまほうぐ)格納された(・・・・・)御神体(いおのはら)が、画面(がめん)(なか)でだらけてやがる。

 意識(アイコン)だけのときとは(べつ)に、御神体本体(ごしんたいほんたい)映し身(アイコン)も、ひと(わく)よけいに使(つか)われていた。

 ふたつ(なら)んだ五百乃大角(いおのはら)怖気(おぞけ)(はし)る。

 一瞬(いっしゅん)、身がまえちまったがひとつは、おれが(つく)ってやった五百乃大角(いおのはら)御神体(からだ)だ。

 ふたり(ぶん)食費(しょくひ)が掛かるわけじゃねぇ。


「そうですね。条件(じょうけん)さえ(そろ)えば、魔導学院(まどうがくいん)敷地内限定(しきちないげんてい)ですが、ほかの建物(たてもの)移動(いどう)することも可能(かのう)ですので、横着(おうちゃく)するのにも使(つか)えますよ。ふふ」


「そりゃ、良いなぁー(迅雷(ジンライ)、おまえなら(とびら)に、転移魔法具(てんいまほうぐ)仕込めるか(・・・・・)?)」

「(転移扉(てんいドア)起点(きてん)となる学院長室(がくいんちょうしつ)構造(こうぞう)を、もう(すこ)しくわしく知らなければ――現状(げんじょう)では無理(むり)())」

 だよな。まず転移魔法(てんいまほう)使(つか)えん。

 かならず(おお)きな女神像(めがみぞう)を、(かい)さねぇと転移(てんい)出来(でき)ない。

 それを(ちい)さな魔法具(まほうぐ)で、再現(さいげん)する方法(ほうほう)なんて――見当(けんとう)も付かん。


「では手続(てつづ)きがありますので、失礼(しつれい)いたしますね」

 学院長(がくいんちょう)は手にした〝クエスト依頼書(いらいしょ)〟をヒラヒラさせ、(れつ)(さき)(ほう)(ある)いて行ってしまう。


「シガミーちゃん!」

 ガシリと(うで)をつかまれた。


「わっ!? (おど)かすなっ!」

 メイドなのか魔術師(まじゅつし)なのか、はっきりしない格好(かっこう)少女(しょうじょ)に、しがみ付かれる。


「ちゃん……はやめろや」

 振りほどこうとしても――

「じゃぁ、シガミーさま!」

 がしりと手をつかまれる。


「よけいにやめんか!」

 だから、まとわり付くなよ――

 (つよ)く振りはらったら、怪我(けが)をさせちまいかねない。

「じゃあ、なんて呼んだら良いの?」

 ジタバタともがくしかない。


「シガミーで良いぜ。こっちもタターって呼んでるんだからよ」

「じゃぁシガミー。シガミーは冒険者(ぼうけんしゃ)カードを持ってるのに、なんでここに居るの?」

 あたりを見まわしたら(れつ)(さき)(ほう)に、『ギルド支部出張所』なんて看板(かんばん)が出てた。


学院長(がくいんちょう)先生(せんせい)に、つれてこられたんだぜ。たぶん、クエストの依頼(いらい)を受けることになる」

 (かく)すようなことでもないから、(はな)しておく。


「そーなの? じゃぁ、一緒(いっしょ)に居てっ!」

 だから、しがみ付くなよ。

 まったくなんだぜ、(あま)えてやがる。


「リオ……レイニア先生(せんせい)わぁ、どーした?」

 (れつ)先頭(せんとう)にも……居やがらねぇし。


「リオレイニアさんは女神像(めがみぞう)がある通路(つうろ)(おく)に行っちゃって、(わたし)ひとりだと(こころ)ぼそいのっ!」

 手に持つのは、(いた)に乗せられた紙切(かみき)れ。


『冒険者とうろくのてびき

 なまえ: タター

  ひとつめ/ まほう使い

  ふたつめ/ まじゅつ師

  みっつめ/ とうぞく』

 それには手書(てが)きで、名前(なまえ)職業(しょくぎょう)が書きこまれていた。


「あれ? そーいやタターは冒険者登録(ぼうけんしゃとうろく)をしてないのに、なんで魔法(まほう)使(つか)えるんだ?」

 ぽこ――こぉん♪

 かるい処理落(しょりお)ち。


 てちり――おれの(あたま)(うえ)に降りたつ、御神体(いおのはら)

 やい、頭の上(そこ)土間(どま)がわりに使(つか)うなっ!


生活魔法(せいかつまほう)わぁ(だれ)にでもぉー、使(つか)えるぅでしょぉぅ()

「いまいち魔法(まほう)とか魔術(まじゅつ)とかの、(くわ)しいところが……わからねぇんだよなぁ」

 生活魔法(せいかつまほう)以外(いがい)一切合切(いっさいがっさい)まるごと全部(ぜんぶ)迅雷(ジンライ)とおれのスキルでなんとかしてきちまったからな。


生活魔法(せいかつマほう)権化(ごんゲ)でアる、リオレイニアに師事(シじ)してオきながら……まルで進歩(シんぽ)が見られませンからね――向キ不向(ふム)きもありマ()

 浮かぶ独古杵(ぼう)が、意見(いけん)をしやがる。

「ばかやろーう。おれぁ、ちゃんと乾燥(かんそう)させる魔法(まほう)使(つか)えるようになったし――生活(せいかつ)(こま)ることは、もうなくなったぜ?」

 相棒(ジンライ)(にら)みつけてやる。


「向き不向(ふむ)き……そうだね。シガミーは薬草師なのに(・・・・・・)、ビックリするほど(つよ)いもんね……しかもこんなに、カワイイのに」

 (いた)に乗せた(かみ)を、(にら)みつけるタター。


『冒険者とうろくのてびき

 なまえ: タター

  ひとつめ/ まほう使い

  ふたつめ/ まじゅつ師

  みっつめ/ とうぞく』


「それよぅ、(うえ)のふたつはわかるが、最後(さいご)のはどういうわけだ?」

「もし魔法関係(まほうかんけい)のが(えら)べない(とき)は、せめて身軽(みがる)職業(しょくぎょう)(えら)んで、〝テンプーラゴウ〟に引きずられないように(・・・・・・・・・・)したいの!」

 あー、いつもことあるごとに、引きずられてたもんなぁ。


「ふぅん――――ってなんだぜ?」

 がやがやがやややっ!

 どやどやどやややっ!

 いつのまにか生徒(せいと)たちが、おれたちを(かこ)んでいた。


「「「「「「「「「「「「シガミーちゃん!」」」」」」」」」」」」

 全員(ぜんいん)が手に(いた)を、持ってやがる。

「なんでぇいなんでぇい、どーしたぁ?」


「「「「「「「「「「「「下位職業(かいしょくぎょう)だとLV(レベル)が上がりやすいって言うけど、そのへんどーなのぉっ!?」」」」」」」」」」」」

 あ、合点(がてん)がいったぞ。

 さっきおれのLVを知られても、そこまで大騒(おおさわ)ぎにならなかったのは――


「うぷぷっ、これわぁシガミー。〝薬草師(やくそうし)〟だと(おも)って舐められてんじゃね(・・・・・・・・・)()

 やかましいぞ、根菜(いおのはら)


 むしろ、本当(ほんとう)追加(ついか)スキルは120を越える、おれからしたら――

 かるく見られるくらいで、ちょうど良いってもんだぜ。

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