表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
1:輪廻転生、おいでませガムラン町

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

41/744

41:魔剣イヤーイ使い(幼女)、姫さんのお付きの白いの

「でも、シガミーはまだ生活(せいかつ)魔法(まほう)、ぜんぶは使えないよね?」

 なんて言って楽しげに、まあたらしい風呂桶(ふろおけ)にすわり込む子供(レイダ)


「なにいってる? (あか)りと、(ほのお)のがつかえりゃ十分(じゅうぶん)だろうが」

 ひっぱり込まれたおれも風呂桶(ふろおけ)にすわり込む。

 まだ余裕(よゆう)があって、おとなでもあと一人(ひとり)は入れそうだ。


「これからの(あつ)季節(きせつ)部屋(へや)()やせないと、また(たお)れるよ。それにトイレだって、お風呂(ふろ)だって水魔法(みずまほう)必要(ひつよう)でしょ?」

 おい、なんだその残念(ざんねん)そうで深刻(しんこく)(つら)は。


(かわや)……トイレは、迅雷(ジンライ)の〝仕舞(しま)魔法(まほう)〟じゃ駄目(だめ)か?」


「(風呂(ふろ)の水も、おまえが川から()んでこれるよな?)」

「(いいえ、液体(えきたい)量子(りょうし)記述的(きじゅつてき)再配置(リアレンジメント)することは不可能(ふかのう)……(わたくし)量子(りょうし)回路(かいろ)……頓知(とんち)をもってしてもむずかしいのです。よって格納(かくのう)することはできません)」


駄目(だめ)に決まってるでしょ! ちゃんと水魔法(みずまほう)(なが)して、乾燥(かんそう)させる魔法(まほう)(かわ)かさないとだめ! なんでかはわからないけど、とにかく駄目(だめ)って決まってるの!」


「ちっ、だめかぁー」

「ご期待(きたい)にそエず(もウ)しわケありません」


(かわ)かす魔法(まほう)か……じゃあ、レイダが毎日(まいにち)あそびに来るついでに、やってもらえりゃぁ……」


「あそびには来るけど、乾燥(かんそう)魔法(まほう)(わたし)もまだ……つかえないわ――よいしょっと!」


 レイダが風呂桶(ふろおけ)から飛びだした。

 テーブルに用意(ようい)された、おれたちの茶菓子(ちゃがし)に、どたどた――かけていく。



「(生活魔法(せいかつまほう)てのは(だれ)にでも、つかえるはずじゃなかったのか?)」

「(乾燥(かんそう)魔法(まほう)は、対象(たいしょう)を燃やさないための加減(かげん)がむずかしく、収得(しゅうとく)には時間(じかん)(よう)するようです)」


「(レイダもまだ、子供(ガキ)だしな。それに手が燃えねえよう(・・・・・・・・)にすんのは(・・・・・)、たしかに簡単(かんたん)じゃねえからなあ)」


「どっこらせっと!」

 椅子(いす)がわりの木箱(きばこ)(こし)かけた。

 もー、シガミーはほんと、おじさんみたい。

 レイダがいつもの小言(こごと)をいう。


 茶菓子(ちゃがし)をかじりながら――もぐもぐもぐ。

 包帯(ほうたい)()かれた、じぶんの(うで)をみる。

 ようするに〝()やすもの〟と〝()やさねえもの〟の〝区別(くべつ)〟がむずかしいわけだな。



「うーん。魔法(まほう)練習中(れんしゅうちゅう)にまた暴発(ぼうはつ)させて、手が燃えちゃっても(こま)るし、ちゃんとした講師(せんせい)が……ぱりぱり、もぐもぐ……ひふほうかひはへ?」

 ほんと(おに)とはいえ、よく食うよな鬼娘(オルコトリア)は。


 いや、冒険者(・・・)ってのは、みんなよく食うか。

 でも、こいつ受付(うけつけ)仕事(しごと)だろ……このあいだの(うご)きを見りゃ、鍛錬(たんれん)をおこたってねえのはわかるが。


「うふふのふ♪ おふたりさん、そのお(はなし)相談(そうだん)()ってあげても、よくってよ?」

 このえらそうな態度(たいど)が良い――とか抜かしてたなニゲルは。

 おれには、さっぱりわからんが。


「でも(ひと)(おし)えるのって、結構(けっこう)……いえ、かなーりむずかしいわよ……わすれたわけじゃないでしょうね?」

 (おに)端正(たんせい)(かお)が、かすかにゆがむ。その冷ややかな眼差(まなざ)しは――(ひめ)さんが、ひとにものを(おし)えるのに(なん)があることを物語(ものがた)っていた。


「も、もも、もちろんよ。(おし)えるのに適任(てきにん)がいるわ――ぱちん♪」

 (ゆび)をならす、狐耳(きつねみみ)藩主の娘(ひめさん)


「こちらに」

 さっきまで、おっさんたちに紅茶(ちゃ)をいれてた白装束(しろしょうぞく)が、(ひめ)さんのとなりにたってた。


「「わっ!?」」

 おどろいたおれとレイダが、(ちゃ)をこぼす。

「おどろかせてしまいましたね。ごめんなさい」

 ――と、こぼれたのを、そつがなく()きとってくれる白装束(しろしょうぞく)


 ちかくでみれば、それはえらく仕立(した)ての()給仕服(きゅうじふく)

 しゃらあしゃらした物腰(ものごし)、すずやかな口元(くちもと)

 (ひめ)さん()きのなかでも、よけいな(うご)きがまったくないやつ。


 コレだけの器量良(きりょうよ)しをニゲルたち、男衆(おとこしゅう)(ほう)っておくはずはねえ、と(おも)うんだが――――

 やっぱりあの〝(めん)〟が、(こえ)ええのか?


 ()(はな)をおおう、まっしろい鳥の顔(・・・)()した(めん)

 紅茶(ちゃ)(うつわ)に似たような光沢(こうたく)(はな)ち、(くさ)のつるの模様(もよう)があしらわれている。


「(おい、よくみりゃ、目の(あな)があいてねえぞ?)」

「(……(ぎゃく)に〝()る〟ことに特化(とっか)したアーティファクトと思われます)」

「(みる? ……ギルド長の眼鏡(めがね)みてえなのか?)」

「(おそらくは)」


   §


(ほのお)魔法(まほう)(つめ)たい魔法(まほう)を、同時(どうじ)につかうと〝乾燥(かんそう)魔法(まほう)〟になるんだけど――」

 オルコトリアの声が(とお)い。


 物置小屋(おれのいえ)のよこ。

 城壁(じょうへき)とちいさな草地(くさち)のあいだ。


 通路(みち)いっぱいに距離(きょり)をあけた、(オルコ)白いの(・・・)

 (おに)の手には大きめな、(ほのお)魔法(まほう)


 がやがやがや、いいぞー、やれやれ!

 おっさん連中(れんちゅう)は、もちこんだ(さけ)()みはじめている。


「リオレイニア、これつかって(・・・・・・)!」

 (ひめ)さんが(ほう)りなげたのは、さっきまで(くわ)えてた三つ叉の一本箸(フォーク)


(うけたまわ)りました。リカルルさま」

 白いの(・・・)が、片足(かたあし)をひいて(こし)をおとした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ