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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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390/744

390:美の女神の料理番(シガミー)、真打ちあらわる

「さぁ、再起動(さいきどう)するわよう()

 超女神像(ちょうめがみぞう)()

 ちゃぶ(だい)(うえ)に置かれたのは――まるい魔法具(ボタン)

 それに(ちい)さな手を掛ける、全長十数(ぜんちょうじゅうすう)センチの女神(イオノファラー)御神体(ごしんたい)


 (ねこ)魔物(まもの)のような魔法具(まほうぐ)修理(しゅうり)していた面々(めんめん)と、それを見物(けんぶつ)していた面々(めんめん)が――ずささささ!

 一斉(いっせい)(はな)れて、距離(きょり)を取った。


「あーれぇ? みなさぁん、どぉしぃてぇ逃げてぇくのぉん()

 御神体(ごしんたい)(くび)をかしげるが――

 それは、無理(むり)からぬことであった。


 そもそもの発端(ほったん)である、イオノファラーの映し身(からだ)大爆発(だいばくはつ)

 その規模(きぼ)は、あたりを更地(さらち)にするほどのもので。


 しかも、ちゃぶ台前(だいまえ)に置かれた猫型魔法具(ジュークボックス)も――

 惑星(わくせい)ヒースの天変地異(てんぺんちい)爆発(ばくはつ)したのを、修理(しゅうり)したばかりだ。

 いつまた爆発(ばくはつ)するか、わかったものではなく。


 そのうえ、魔法具(まほうぐ)から生えた尻尾(・・)は――

 背後(はいご)にそびえ立つ、超女神像(ちょうめがみぞう)(つな)がっているのだ。


「そりゃぁ、イオノファラーさまよう。こーんなにでけぇ女神像(めがみぞう)まで、(まん)(いち)にでもふっとびでもしたら――」

 (ぞう)を見あげる、小柄(こがら)工房長(ノヴァド)

(いのち)危険(きけん)があるからに、決まっていますわ――」

 (ひたい)を押さえ苦悩(くのう)する、狐耳(きつねみみ)名物受付令嬢(リカルル)


「――らぁん」

 受付令嬢(リカルル)の背に(かく)れる、第一王女殿下(ラプトルひめ)

「――そうだねぇ」

 木さじを(かま)えるのは、恰幅(かっぷく)の良い食堂女将(コッヘルふじん)


「え、ちょっと! 女将(おかみ)さんまぁでぇー!?()

 美の女神(イオノファラー)御神体(ごしんたい)が、気を吐いた。


「いくらでも換えの(からだ)がある、イオノファラーさまと(おな)じようには――いかないさね」

 木さじを(かま)えなおす、元宮廷料理人(トゥナ・コッヘル)


「ふぅぅぅぅぅぅーっ。いままでこういうのは(・・・・・・)、すべてシガミーに(まか)せっきりでしたから――」

 (なが)(いき)を吐きだす令嬢(れいじょう)

「そうだぜ、(はえ)ぇところ、シガミーに戻ってきて(・・・・・)もらわねぇとな!」

 鉄塊(てっかい)のような金槌(かなづち)を――ゴッガァァンッ!

 (たて)に置き、その背後(はいご)(かく)れる面々(めんめん)


「じゃぁ、あたくしさまもぉ――()

 美の女神(イオノファラー)実物大(フルスケール)立体映像(りったいえいぞう)(うつ)しだす――まるい(たま)

 それが(あわ)てて金槌(かなづち)(かげ)に掛け込んだ。


「もぉーいーよー♪」

 呑気(のんき)様子(ようす)のイオノファラーの映像(ホログラフィー)

 浮かぶ(プロジェクション)(BOT)も、御神体(ごしんたい)も――どちらもイオノファラーが操作(そうさ)する筐体(デバイス)である。


「ビビッ――――――♪」

 もう片方(かたほう)御神体(かたわれ)が、むっとした表情(かお)をしたのち――

 カウントなしで無造作(むぞうさ)に、置かれたボタンを押した。


   §


「にゃみゃにゃ?」

「ひっひぃーん?」

 見つめあう二匹(にひき)の、黄緑色(きみどりいろ)たち。

 それはごく自然(しぜん)な、邂逅(かいこう)であった。


 ぽきゅきゅむ、ぽきゅり♪

 (あぶみ)もない子馬(こうま)に、颯爽(さっそう)とまたがる――猫の魔物(おにぎり)


 その(おお)きさは、まるであつらえたように、同一(どういつ)スケールで。

 あるべき(もの)が、あるべき(ところ)(おさ)まった――しっくりさ。


 それは黄緑色(きみどりいろ)子馬(こうま)騎乗(きじょう)する、黄緑色(きみどりいろ)(ねこ)魔物(まもの)


「おにぎりちゃ――ぶふふっ♪」

 あまりにも自然(しぜん)(たたず)まいに、子供(レイダ)が笑みをこぼした。

「い、(いろ)もサイズも――くふふふふっ♪」

 新米(しんまい)メイド・タターも、つられて(かお)をほころばせる。


 ぽっきゅらりぽっきゅらり、にゃみゃがぁ♪

 あたりを闊歩(かっぽ)する子馬(こうま)――正式名称(せいしきめいしょう)『天ぷら号』。


 そして、目も(はな)(くち)もないのに、満足(まんぞく)げな様子(ようす)の――

 正式名称(せいしきめいしょう)『極所作業用汎用強化服シシガニャン自律型/試作個体名おにぎり一号』。


 ぽっきゅらりぽっきゅらり、にゃみゃがぁ(キリッ)♪


「ふ、ぷふふっ、な、ななんで立ち止まって、コッチを見るんだい!? あはははっはっ♪」

 (わら)い出すニゲル。

 スマホを取りだし――パシャリ♪


 おいニゲル。浮かれてるのも良いが――

 間違(まちが)っても、ちょっかい出すなよな。


 一匹(いっぴき)だけでもやべぇのに――

 あんな得体(えたい)の知れねぇ(うま)と――

 徒党(ととう)……騎馬(きば)を組みやがって!


 もう、あの二匹(にひき)(なに)をしでかすか……見当(けんとう)もつかねぇ。

 まったく王女(おうじょ)は兎も(かく)、レイダとタターまで一緒(いっしょ)になって――

 余計(よけい)なもんを、(こしら)えてくれやがったもんだぜ!


「みっ、御使(みつか)いさま。じつに威風堂々(いふうどうどう)? ご立派(りっぱ)御座(ござ)います? ぶふふふっ、ぷふゅふゅふゅふっ♪」

 おい神官(しんかん)。お(めぇ)さまは(わら)ったら、いけねぇんじゃぁねーのかぁ?


 ぽっきゅらりぽっきゅらり、にゃみゃがぁ(キリッ)♪

 やい、いちいちすました(つら)を、向けるんじゃぁねぇやい!

 しかも子馬(こうま)まで、(おな)(かお)つきしやがって――「ぶフふ()――ニャァ()


 じっと見てたら――キュキュィィー♪

 子馬(こうま)(かお)大写(おおうつ)しになった。

 こりゃぁひょっとしたら――おれが(つく)ってやった、全天球レンズ(めだま)か?


「(はい、彼女(かのじょ)三人(さんにん)知見(ちけん)総動員(そうどういん)して、全天球(ぜんてんきゅう)レンズを(はじ)め――いろいろな改良(かいりょう)(ほどこ)されたようで())」

 それなりに苦労(くろう)した結果(けっか)、あの尖りきってた(・・・・・・)ゴーレム(うま)が――

 これだけ間抜(まぬ)けた(つら)……かわいらしく、再構成(さいこうせい)されたってわけか。


「にゃみゃがぁ(キリッ)♪」

「ひひっひぃん(キリッ)?」

 だからやめろぃ。いちいちコッチを、見るんじゃねぇやい――「ぶフふっ!――ニャァ!!()

 なんでそう、面白(おもしれ)ぇかな。

 まあ、尖りまくってる(・・・・・・・)よか、よっぽどマシだが――


 こんなのを、笑い上戸(リオレイニア)にでも見られたら――

 血の(あめ)が降るだろうが……あいつのよじれる腹(・・・・・)とか、くの字に折れまがってぶつける頭(・・・・・)とかに。


「(おい、迅雷(ジンライ)())」

「(なんでしょうか、シガミー())」

「(あいつら、もう(すこ)し……どうにかなんねぇか())」

 おにぎり一匹(いっぴき)なら、ここまで面白(ひど)くはなかった。

 おにぎりの野郎(やろう)を、子馬(こうま)に乗せると――

 それだけで、人知(じんち)を超えた間抜けさ(・・・・)(かも)しだしやがる。 


「(ではせめて(くら)とか手綱(たづな)とか、(つく)ってみてはいかがですか())」

 んー? (もの)(ため)しだ、やってみるか。

 つかまる(ところ)(あし)を乗せる(ところ)がありゃ、レイダが乗るのにも便利(べんり)だろうしな。

鞍/脚を乗せるために、鞍につるす金具のこと。

鞍/人が乗るために、馬の背につける座る部分。

手綱/馬を御するための紐。馬の口にかませた金具に取り付ける紐のこと。

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