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滅せよ! ジリ貧クエスト~悪鬼羅刹と恐れられた僧兵のおれが、ハラペコ女神の料理番(金髪幼女)に!?~  作者: スサノワ
3:ダンジョンクローラーになろう

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382/744

382:龍脈の回廊、ホーミング滅の太刀

 ズゴゴォォォォォォ――――!

 錫杖(しゃくじょう)鎧武者(おれ)より(なが)さがあった。

 引っ張ると、(いきお)いよく飛び出してきやがる。


 グルグルグルグルルン――――ジャッリィィィィィン♪

 手甲(てっこう)(うえ)(わた)らせ、錫杖(しゃくじょう)をつかむ。

「よぉーし、こいつぁおれがまえに使(つか)ってたのと、寸分(すんぶん)たがわね()――ニャァ()

 鉄鎧(てつよろい)(からだ)で、寸分(すんぶん)たがわねぇってこたぁ――

 相当(そうとう)(おも)(なが)く、(ふと)さがある。

 それでもニゲルの(けん)を、止められなかったわけだがなぁ。


 ズシャッ、ガッキュゥゥゥン――(あし)をひらく。

 (ニゲル)が目のまえに居やがる。

 じっとしててくれりゃ、世話(せわ)がねぇんだがなぁ!


 ガキュゥン――――チキリ、スラァァァァッ!

 直刀(ちょくとう)は、いまさっき研いだみてぇに、研ぎ澄まされてる。

 鉄の柱(しゃくじょう)(いろ)(しろ)みがかってて、最初(さいしょ)に持ってたのとは(ちが)う。

 そして本当(ほんとう)(なげ)ぇ。

 太刀(たち)みてぇな歯車(はぐるま)が付いてねぇから、自分(てめぇ)直刀(かたな)投げねぇと(・・・・・)――

 抜くことも出来(でき)ん。


 スゥゥゥゥ――直刀(ちょくとう)(はばき)を、(さや)(はし)に乗せる。

 (さや)を突き出せば、まえに飛んで行く。

 野郎(ニゲル)のお(かげ)鉄鎧()(からだ)にも、大分馴(だいぶな)れた。


 ガッシィン、ガキュィィッィン!

 (こし)を落とす。

 いきなり〝(めつ)太刀(たち)〟ってのも、(げい)がねぇが――

 大道芸(それ)じゃ、まるで(とど)かなかったしなぁ!


「(おい、おれはどうすりゃぁ良いんだぜ? このまま普通(ふつう)に、飛ぶ(とり)を斬るときみてぇに、斬っちまって良いのか?)」


 ふぉふぉふぉん♪

『ガイダンスシーケンス>ロックオンして下さい』

 わからん。


 ふぉふぉん♪

『ヒント>見えない物を斬り、斬れない物を見て下さい』


「(なんだぁその、禅問答(もんどう)わぁ!)」

 だがなぁ、おれぁ(くさ)っても坊主(ぼうず)だ。


「((いろ)、すなわち(くう)なり――――(なが)れる(かぜ)しか実在(うつつ)はねぇ)」

 ってことだろう?


 ふぉふぉん♪

『ガイダンスシーケンス>視線入力による多重ロックオンが可能です』

 わからんが。


「(見えねぇ(もん)を、見つめろと?)」

 そりゃつまり、こういうこったろぉ?


 ニゲルの、ジリジリとした足音(あしおと)

 『(ポッ)』――(かげ)(なか)から(あらわ)れる、ひし(がた)


 ニゲルの(いき)づかい、上下(じょうげ)する(かた)

 『(ポッ)』――(かさ)なっていく(ふた)つ目の、ひし(がた)


 ニゲルをよける(かぜ)

 『(ポッ)』――(かぜ)(なが)れから(みっ)つ目の、ひし(がた)


 ニゲルの(こころ)のあり(かた)を、(ひか)(けん)視線(しせん)から(かん)じとる。

 『(ポッ)』――切っ(さき)から四つ目の、ひし形。


 おれの(なか)(ニゲル)気配(けはい)を、(かん)じ取る。

 『(ポッ)』――ニゲルの(かお)から(いつ)つ目の、ひし(がた)じゃねぇな……四角(しかく)だ。


 (やつ)を見るな。(なが)れる(かぜ)で、(ニゲル)を捕えろ!


 ふぉふぉぉぉぉん♪

『>多重ロックオン完了。いつでも切断できます。

 >滅モード:ON』

 ビキピピピッピィィィィイィッ――――♪

 (とり)が、鳴き止まなくなった。


 鉄の柱(しゃくじょう)易々(やすやす)と割るあの剣(ニゲル)相手(あいて)に、真っ(こう)から斬り(むす)ぶってんならぁ。


拙僧(せっソう)わァ、妙竹林山(みょウちくりんざん)朧月寺(ろうげツじ)がぁ虎鶫衆(とらつぐミしゅう)弐番隊(にバんたい)隊長(たいチょう)猪蟹(しシがに)()――ニャァ!」

 せいぜい見得(みえ)を切っておく。


「なんだいソレ? じゃあ、(もく)も言っておこうかな」

 (ひか)(けん)(かま)える(てき)

 ひし(がた)(かお)四角(しかく)が、(うご)くニゲルを追いかける。


   §


迅雷(ジンライ)クンさぁー。あれ、何やってるか(・・・・・・)分かるぅ()

 手に汗握(あせにぎ)勝負(しょうぶの)行方(ゆくえ)


「はイ、赤鬼(あかオに)各種(かくシゅ)アンテナと光学素子(こうガくそし)デロックオン。ニゲルノ速度(そくド)ニ、電波(でンぱ)にヨる索敵(さくテき)と、予測演算(よソくえんざん)にヨる自動追尾(じどうツいび)(おこナ)うようデ()


「うぷぷぷぷぷっ、坊主(ぼうず)たいがいにして欲しいんですけどぉー((かっこわらい))♪ けど、お(さむらい)が持ってるのってぇさぁ――錫杖(ぼう)よねん()

仕込(シこ)直刀(がタな)のようデす――(タし)かニ、姿勢制御(フライトコントロール)可能(かノう)推進装置付(スラスターつ)砲弾(ほうだン)ではありマせ()


「――(ぼく)は、八つ橋高校(はしこうこう)(ねん)β組(べーたぐみ)清掃委員兼(せいそういいんけん)帰宅部部長(きたくぶぶちょう)西計(にしかず)三十六(みとむ)!」

 僧兵(そうへい)赤鬼鉄鎧(シガミー)啖呵(たんか)(たい)し、見得(みえ)を切るニゲル。


「に、ニゲルさまぁらぁん❤」

 (おも)(びと)であるニゲル。その決死(けっし)表情(ひょうじょう)に、釘付(くぎづ)けのラプトル王女(おうじょ)


「ありゃぁ、本気(ほんき)でシガミーを斬るつもりだねー」

 人類最高(じんるいさいこう)LV(レベル)(シガミー(のぞ)く)を(ほこ)女将(おかみ)が、木さじを手に汗握(あせにぎ)っている。

「カヤノヒメちゃぁん? ほ、ほんとぉにー大丈夫(だいじょおぶ)なのぉー!?」

 コントゥル家名代(けみょうだい)も、手に汗握(あせびぎ)ってる。


 見上げるほど巨大(きょだい)鉄鬼相手(てつおにあいて)に、一歩(いっぽ)も引かない。

 それはガムラン町住人(ちょうじゅうにん)(はじ)めて目にする、精悍(せいかん)(かお)


「に、ニゲルってば、本当(ほんとう)随分(ずいぶん)とぉー。なーまーいーきーでーすぅーわぁーねぇ――――――ココォォン♪」

 ぼごごぉうわー♪

 戦闘狂(せんとうきょう)リカルルが、眼から(くち)から狐火(ほのお)を噴き出した。


心配(しんぱい)はいりませんが、そろそろ決着(けっちゃく)が付きそうなので、(わたくし)この場所へ(・・・・・)(おもむ)かなければなりませ()

 星神(ほしがみ)カヤノヒメが、映像(えいぞう)指差(ゆびさ)した。


「えっ、いまぁ良いところぉなのぉにっていうか()――」

 御神体(ごしんたい)が、シガミーの体(カヤノヒメ)を見つめ――

「――行かぁなぁいとおぉー駄目(だめ)なぁのぉーん()

 浮かぶ(プロジェクション)(BOT)実物大女神映像(イオノダラーえいぞう)も駆け寄ってきた。


「レイド(ムら)まデの距離(きョり)ハ408キロメートル。(いマ)かラでは決着(けっチゃく)に間にあいまセ()

 飛ぶ独鈷杵(ジンライ)が、目的地(もくてきち)までの正確(せいかく)距離(きょり)を告げる。


「レイド(むら)ぁ? (わたくし)がぁ――(つえ)にぃ乗せてぇあげましょおーかぁー?」

 椅子(いす)がわりにしてた巨大杖(きょだいつえ)を、ヴォォォォンと(うな)らせる伯爵夫人(ルリーロ)


「ソレでは間に合いませんので、超女神像(ちょうめがみぞう)使(つか)いますわ、くすくす()

 (かか)えていた果実(かじつ)を、ポケットにしまう星神(カヤノヒメ)


「なら地下(ちか)転移陣(てんいじん)まで、テンプーラゴウに乗ってけば良いよ!」

 (きゅう)に、そんな事を言い出す子供(レイダ)

 (おお)きな子馬(こうま)(くび)を、ぽむぽむんしている。


 それは(あん)に「(わたし)も行きたい!」と言っているのであり。

 『監督不行届』の(たすき)袈裟懸(けさが)けにしたメイド・タターとラプトル王女殿下(おうじょでんか)が――

「「いけません。レイダちゃん!」」

 全力(ぜんりょく)で引き留める、反省中(はんせいちゅう)二人(ふたり)


 (しか)(こえ)(おどろ)いた子馬(こうま)が、(はし)り出す。

 子馬(こうま)へ、よじ(のぼ)ろうとしていたカヤノヒメと、どういうわけか――

 またもや尻尾(しっぽ)にカフスを囓られた(・・・・)、メイド・タターを(ともな)って。


「ありゃりゃ、(はし)り出しちゃったから、仕方(しかた)が無いよねぇ♪」

 (のたまう)子供(こども)。そう、彼女(レイダ)はまだ子供(こども)なのだ。

 この暴走(ぼうそう)(2回目(かいめ))が巻き起こす惨状を(・・・)、まえもって知ることは出来(でき)ないのだ。


 ぽっきゅぽっきゅぽっきゅむらっ♪

 一瞬(いっしゅん)(すき)姿(すがた)を消した、子馬(こうま)子供二人(こどもふたり)とメイド。


前回同様(ぜんかいどうよう)準待機中(じゅんたいきちゅう)(もの)を向かわせて!」

 リカルルの号令(ごうれい)が、邸宅(ていたく)(ひび)(わた)った。


   §


 パッコォォォォォオォンッ!

 ふざけた(おと)太刀筋(たちすじ)

 ニゲルの姿(すがた)(かろ)うじて(とど)められる、唯一(ゆいいつ)(あし)がかりだ。


 しかも、おれの具足(ぐそく)(うろこ)みてぇな、鎧板(よろいいた)総出で(・・・)――――

 太刀筋(たちすじ)を、ニゲルに沿わせて(・・・・)くれやがる。


 ギュギィギャギョォォォォンッ――――パッコォォオォォォォッォォォォォンッ!

 (とら)えたのはおれだが、追いかけるのは仕込み直刀(かたな)だ。


「(こいつぁ、意味(いみ)がわからねぇにもほどがあるぜ!)」

 刀が剣士を操る(・・・・・・・)なんざ、妖刀(ようとう)そのもので――

 そんな(もん)は生まれてこの(かた)見たことがねぇぞ(・・・・・・・・)


 ピピピピピピピピッ、プポーン♪

 この升目(ますめ)(かさ)なったときに(はな)つと、良い(かん)じに――ニゲルを追いかけてくれるのがわかった。


 ギュギィギャギョォォォォンッ――――パッコォォオォォォォッォォォォォンッ!

 (まわ)景色(けしき)

 うまく(からだ)を、さばかねぇと――

 ギャギュギギャッ――――!

 バゴォボゴォォンッ!!!

 手甲(てっこう)やヒジが、(からだ)にぶち当たる。


 ギュヴォォォオォン、ギョヴォォォォォン♪

 まるで稲妻(いなづま)のような。

 燕返(つばめがえ)しなら――5、6匹分(ぴきぶん)往復(かえし)

 振ってるおれにもつかめねぇ、太刀筋(たちすじ)


 それでニゲルを取り(かこ)んでやったら――

 ニゲルが居なくなった。

「(どこ行きやがった!?)」


 ピピピピピピピピッ♪

 升目(ますめ)一箇所(いっかしょ)(あつ)まっていく。


七天(しちテん)抜刀(ばっとう)根術(こんじゅつ)(ぜロ)太刀(タち)()――ニャァ()

 スウゥゥゥゥッ――ブッシュゴハァァァッ!

 排気(いき)(ととの)える。


 プポーーン♪

 ニゲルは見えねぇが、ソコに居る。


「チィェェェェェェェェイ!()――ニャァ()

 カラダごとぶつかるように、切先(きっさき)をふりぬいた!


 ふぉん♪

『>悪鬼羅刹(仮)のパラメーターセットに〝滅の太刀〟反応を検出』


 ッイィィィィィィィィィィンッ!

 ッイィィィィィィィィィィンッ!

 ッイィィィィィィィィィィンッ!

 切先(きっさき)がいつまでも鳴り、鉄輪(てつわ)(ふる)わせやがる。


 ヴォォォォオンヴォォオヴォォオヴォヴォォォォン――――!

 自分(てめぇ)(はな)った(やいば)が、見えねぇ。

 まさに疾風迅雷(しっぷうじんらい)電光石火(でんこうせっか)だ。

 どっちが疾風(かぜ)で、どっちが電光(かみなり)だかわかりゃしねぇがぁ!


 ガァァァン――ギャリイィィィィン♪

 ボガァァン――ギャリイィィィィン♪

 ガッチャ、ガチャンッ!

 切結(きりむす)(たび)に、コッチの仕込み直刀(かたな)(みじか)くなる。


 カカカカカカッカカカッァァァァ――――!

 ニゲルの(けん)に付いた、かすかな()びみたいなのが飛んで――

 (ひかり)を増していく。


 ――――ッチッ!

 よぉし、ニゲルの(はら)をかすめた――――!

 ――が、この手応(てごた)え。

 (くろ)(ふく)(した)に、革鎧(かわよろい)でも着込(きこ)んでやがったなぁ!


「ちきしょうめぇ()――ニャァ!!()

 それでも、たしかに斬った(・・・)

 もう二度(にど)(とら)えられねぇ気がしたから――

 真言(マントラ)でも(なん)でもねぇアレを――(とな)えとく。


(めっ)せよ《・》――ニャァ()

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